グンデルの曲―Sekati―スカティ

ゴビャー先生に最後に習ったのが、「スカル・スンサン・クノ」と「スカティ・クノ」と「スカル・ゲンドッ・クノ」の3曲。もう1つ「スカティ・カランガッサム」というのをやりかけていたのだが、先生はどうしても途中までしか思い出せないと悔しがっていた。「クノ」とは「古い」の意。

「スカル・スンサン」は「クノ」をやると、「ビアサ」ができなくなる。(現在のスカワティ・スタイルのものをトゥンクラでは「ビアサ」と呼んでいる)似ているので混乱してしまうのだ。「スカティ・クノ」は、ギンダムの部分だけが同じ別の曲がバドゥンにあるらしい。また、「スカル・ゲンドッ・クノ」は、一部分がスカワティの「スカル・ジュプン」という曲にそっくり。本当に村によって似て非なる曲がいろいろある。

ところで、3曲ともサンシも習ったはずなのに、どうしても思い出せないところがあり、でも先生はもう亡くなってしまって…仕方がないので、こんな感じだったかなー、いや、こっちの方がカッコイイかも…とみんなでいろいろやってみる。こうやって芸能は変遷していくんだなあ…そのうち、また天才が現れて、すごいフレーズを思いついてくれるかもしれない。でも、その前に、この曲がお蔵入りにならないよう受け継いでいかなくては…。

「スカティ」というタイトルの曲はたくさんあって、一説によると、ス(1つの)+カティ(曲の単位)つまり、名前は知らないけど「或る曲」という意味らしい。例えば、スカワティで「スカティ」と呼ばれている曲は、トゥンクラでは「ウジャン・マス」という名前で通っている。

それから、「タブ・ガリ」と、「ブラユッ」の真ん中の部分も、以前先生に習ったのは違っていたのに、最近はスカワティ・スタイルでやっていて、これは危ない。最初に習ったバージョンも守っていかなくては…逆に、「チャンディ・ルバー」は、私はスカワティ・スタイルで習ったのに、最近はみんなポンゴセカン・スタイルでやっているので、私一人ついていけない…

というわけで、音楽にしろ、踊りにしろ、だんだん変化していくのは芸能が今も息づいている証しかも知れないが、そうやって廃れていくものを、私たち外国人が習うことによって、救い出す(温故知新?)という効果もあるようだ。