久しぶりの雨―Tumben Ujan

2年半ぶりに4週間ほどバリへ行ってきました。そして将に水を得た魚のように生き生きと濃厚な日々を過ごして来ました。朝はグンデル、昼はクンダン、夕方は踊り、夜は宿に帰りひたすら復習後、早々に就寝という日課をほぼ毎日こなしました。私にはまだまだこんなに元気があったんだ~!バリってこんなに楽しかったんだ~!とつくづく…そして将に矢のように日々は過ぎ本当にあっという間に帰らなくてはならない日を迎えてしまいました。叶うことならこのままずっとバリでガムラン修業を続けていたい…けれども…やはりそうはいきません。現実に戻らなくてはなりません。寂しい山口に戻らなくてはなりません。

でも考えてみれば、仕事もせず、家事もせず、自分の好きなことだけやっているのですから、楽しいのは当たり前といえば当たり前ですよね。

今回のバリがなぜこんなにも楽しくてしょうがなかったか…その1つには、私がバリに飢えていたからでしょう。山口に帰って来てからというもの、バリ話のできる仲間も、そしてガムランを一緒に演奏できる仲間もおらず、周りとの余りの温度差に絶望的な気持ちになる自分を何とか奮い立たせて孤軍奮闘を続けていたのですから。

愚痴はさておき…今回の滞在は2006年10月10日~11月6日。雨季のバリはバイク移動が大変なことになるので、なるべく乾季に行くようにしているのですが、なかなか都合がつかずこの時期となってしまいました。以前11月にバリへ滞在したときは、雨季の始まりということもあり、毎日のように雨が降り大変な思いをしました。特にウブド周辺では道路が川のようになったり、雨が上がっても道路に土砂が流れ込んで溜まっていたりして危な~い!もともとバイクに乗るのが余り得意ではない私が恐る恐る運転すれば、益々危な~い!

今回はずっと雨が降らず、快適な(?)バイク移動でしたが、とうとう帰る2日前、トゥンプック・ウドゥ(植物に感謝する日)で、満月前夜、大雨が降りました。植物たちへの恵みの雨。しかし、ナント私の部屋は雨漏り!ベッドや荷物の移動、濡れてしまった荷物の後始末と、おおわらわの夜となりました。そして翌日には会う人、会う人、口々に「トゥンベン・ウジャン!」ハリ・ラヤ(祝日)の前には雨が降って自然がマンディ(沐浴)をするそうです、つまりお清めの雨。

それからは急に雨季っぽくなってきて昼間も曇りだったり天気雨だったり。因みに日本では天気雨のことを「きつねの嫁入り」とかって言いますよね(山口だけ?)バリでは…バングリ出身の人はウジャン・ラジャと言っていましたが、ウブドの人はウジャン・アルジャと言っています。他の地方ではなんと言うんでしょうか…何はともあれ私はぎりぎりセーフで今回は一度もマンタル(合羽)を着ないで済みました。

そういうわけで今回もいろいろありましたが、バリの人々、そして神々からパワーをいただいて来ました。これでまたがんばれる!かな…やっぱりせめて年に一度はバリヘ行かないとな…

猪のバロン