昼間消灯―Matiang Lampune―ランプを消して

バリではHondaはバイクの一般名詞化している。圧倒的にホンダのシェアが大きいことでそうなったようだ。インドネシア語にはスペダ・モトール(自動二輪)という名詞があるにもかかわらず、ホンダと呼ぶことが多い。スズキもヤマハもカワサキも全部、ホンダ?!ただし、バイクといっても、日本では郵便屋さんや新聞屋さんが乗っているいわゆるカブがほとんどで、頻繁に停止しなくてはならないバリの交通事情にはこのカブが合っているようだ。因みに左手にクラッチのついたバイクのことはホンダ・ラキ(男性)と呼んでいる。

バイクのネーミングもSuzukiのShogun(将軍)、KawasakiのKaze(風)など、日本人が見たら、やっぱり笑ってしまう。

ところで、日本ではバイクのヘッドライトの昼間点灯は義務付けられているが、バリでは昼間消灯が基本。前夜、ライトのスイッチを戻すのを忘れていて、翌朝そのまま走っていると「ランプが点いてるぞ!」と指差して教えてくれる。また、ドゥンクラ(スタンド)が立ったままの時も指差して教えてくれる。すれ違いざまに、あるいは追い越していく時振り向いて…ボンチェン(2人乗り)で2人とも振り返り、2人で指差していくさまは、ちょっとスゴイ!

バイクに乗り始めたころは、なんでみんなが指差していくのか分からず、ちょっと悩んだりした。そのうち、指差されると反射的に、左手でライトのスイッチ、と同時に左足でスタンドをまさぐるようになった。ある時、いつものように追い越していく人が振り返って指差した。ライトも消えているし、スタンドも上がっている。その後も数人が私のホンダの、それも後ろの部分を指差していく…だんだん不安になり、とうとう一旦止まって確認してみると、どうやら後ろのタイヤの空気が減っているようだ…

私もそのうち指差してやろうと狙ってはいるものの、いざという時には、なかなかその余裕と勇気が出ず、未だ実行できないでいる…

ボンチェン