007 柱松

明るいピンク色の帯をひらひらさせながら、浴衣姿の幼い女の子が向こう岸の河原に走りだしてきた。夕方とはいえ夏の日はまだ高い。

そのうち、ひとり、ふたりと子供たちの数が増えてくる。せせらぎしか聞こえなかった河原もだんだんとにぎわう。

やがて日が落ち、西の山が黒いかたまりとなってこちらをのぞきこむ様になると、風も涼しくなり、河原や道の側に突き刺して並べられている松明にぽつぽつと火が灯されていく。子どもたちの姿は消える。いよいよ火祭りが始まる。

辺りはすっかり暗くなる。祭りの観客も集まっている。十数人の男らが火のついた竹筒をしばった縄ひもで持ちぐるぐると回す。あちこちで火が回りはじめる。河原は狂って踊る火の舞台となる。

男たちのまん中には約20メートルの高さに萩の葉がつめられた竹で編んだ漏斗をかかげる柱が立っている。ひとりが柱の頂上めがけて竹筒を投げると、他の者もこれに続き、火が次々と夜の空へ放たれる。頂上の漏斗に入りそうになると、観客も息をのみ、外れると、ため息がもれる。火はいくつも外れ、反対側にいる投げ手の頭をかすめる。火は回り、上へ飛び、あるいは投げそこねて横へ飛び、落ちて、ふたたび回され、ますます狂ってくる。

そのうちひとつが、よく手なずけられた獣のように、まっすぐに竹に沿って昇っていき、空中にとどまると、安堵と賞賛の拍手と歓声が上がる。回る火の勢いはおさまり、踊りは終わる。

空では萩の葉が燃え、時に大きな炎となって燃え上がる。月の下、燃え尽きた萩はぐらっとこぼれて落ち始める。宙で火の粉となって散り、川風に揺れ長い尾をひきながらやがて消えていく。


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