ひとり言

議案第71号 光市及び熊毛郡大和町の廃置分合について

市民クラブ・こう志会賛成討論より   

 
 私は、市民クラブ、こう志会を代表いたしまして、議案代71号「光市及び熊毛郡大和町の廃置分合について」に、 賛成の立場から、討論に参加したいと思います。

 さて市町村合併を歴史的に見ると、明治の大合併においては、明治維新後、世界の列強に伍していくため、近代的な地方自治行政の確立が時代の要請であり、昭和の大合併においては第2次大戦後、新しい憲法の下での地方自治の確立が時代の要請でありました。
 これに対し、平成の大合併は「財政再建」が時代の要請の大きな柱であると、私たちは考えております。国・地方自治体を合わせ約700兆円に上る借金の政策的な失敗については、その内容が次第に明らかになりつつありますが、ともに時代を生きた私たち一人一人にも責任の一端はありますし、またその借金は私たちが返済していかなければなりません。
 全世界の行政関係者の間で評判となった書籍、デビット・オズボーン、テッド・ゲーブラー著「行政革命」のテーマは「アントルプルヌール」、すなわち「新しい手段で資源を活用して、生産性と効率を最大にすること」であります。 まさに全ての自治体が一般社会から突きつけられている課題でありますが、これもまた平成の大合併の要請の一つでありましょう。
 以上2点が合併問題を考えるにあたっての私たちの根本的な視点であります。
 さて、私たちは、これまで多くの時間とエネルギーを費やし、光市の合併問題について議論を重ねてまいりました。
 こうした中、末岡市長は、いくつかの選択肢の中から、これまでの合併論議の経緯を顧みつつ、「広域合併については必ずしも反対ではないが、周辺市町の状況を勘案し、大和町との合併を出発点とする」という方向性を示し、議会もこれに一定の理解を示した上で「光市・大和町合併協議会」を立ち上げ、およそ1年間に亘って協議が行われてきたのであります。
 この間、光市議会においても特別委員会や一般質問等を通じ、実に多くの議論が交わされましたが、最大の争点は「何故、大和町との合併なのか、大和町と合併して何のメリットがあるのか」という点であったと思います。
 末岡市長は合併協議会会長として、「全国に範たる合併を目指す」と公言されましたが、合併協議会における1年間の協議を通じ、まさに今、これらのことに対する明確な回答が出されたと考えております。
 先日、4月12日に合併協定書が調印されましたが、多くの協定項目の中で特長的な点がいくつかあります。
先ず、三役等の特別職を特別参与という形で残さず、全員失職としています。
一般職員は10年間で100人削減することとし、参考資料にはその年次計画まで示されています。
また、議会議員には在任特例を適用せず、定数も地方自治法に定める上限数を大幅に下回る22人としています。
また、現在の大和町役場は総合支所ではなく支所とし、しかも平成20年には出張所とすることが明記されるなど徹底した行政のスリム化に努めています。
さらに、新市建設計画では109億円の合併特例債発行可能額に対し、発行予定額を35億8千万円に抑え、無駄なハコモノは建設しないという強い意思が示されています。
 一方、事務事業の調整では、合併の切り札のごとく言われていた「サービスは高く、負担は低く」という調整方法に対し、、行政サービスの基本である「公正・公平」という観点から、細かな事務事業一つ一つに対し、適正な受益者負担の在り方や事務事業の統廃合について検討されています。
 以上のことは、私たちの基本的な視点である「財政改革」と「アントルプルヌール」に合致するものであり、こういう合意は、相手の顔と心が見えるから出来たことであり、県内の広域合併が次々崩れて、2つの自治体の合併が増加していることからも明らかであります。
 私たちは、長引く景気の低迷により、今後、厳しい財政運営が予測される中、こうした合併の在り方は、十分に市民の理解を得られるものであり、光市のまちづくりにとって大きなメリットであると確信しております。
 これに対し、一方の選択肢である周南合併に関しては、確かに、中核都市づくりという合併の目的は明確でありました。
 しかしながら、周南市誕生の経緯の中で、合併後のまちづくりに大切な問題は置き去りにされ、合併協議会が政治闘争の場になってしまったこと、さらに周南市誕生後の混乱ぶりから、例えばどういう道筋で合併協議を進めるのか、広大な市域の中で、どうやって合併のスケールメリットを引き出すのか、などという具体的な政策を話し合うことも出来ませんでした。
 また、大和町との合併に対して、歳入、特に地方交付税の問題を取り上げ、財政悪化を理由に、反対する意見もありました。しかし、地方交付税は自治体の財源の均衡化と財源保障が主な目的であり、現在、三位一体改革が叫ばれてはおりますが、現実には地方の歳入については、景気の動向と、国の方針により毎年大きく変化しており、現在の制度の下では地方自治体の「努力しろ」はないに等しいのであります。その結果、私たちの努力の方向は歳出の削減が主たるものになっていくことは明らかであり、ここに財政健全化の意味があるのであります。
 さらに、大和町と合併しないで、今後10年間に予測される33億円もの財源不足をどう解消していくのか、と言う議論もなく、ただ合併を止めれば良いと論議はいかがなものかと考えております。
確かに、大和町との合併には、まだまだ解決すべき数多くの課題が残されてお
り、広域合併の問題もその中の一つであります。しかしながら、今求められていることは、市民の付託を受けた議員一人ひとりが、光市の合併問題について明確なビジョンを持ち、責任ある議論をすることであり、ただ、ただ批判するだけの議会であってはなりません。

皆さん!
 新しい市の名称は「光市」であります。
 市役所の位置は現在の光市役所であります。
 大和町の皆さんは、ここまで光市を信頼し、光市と共に新しいまちづくりを始めようとされているのです。
 合併後のまちづくりに最も必要なものはお互いの信頼関係であり、まさに、光市と大和町との間には、合併を成功させるに足る信頼関係があると信じております。
 20世紀フランス文学の最高峰『失われた時を求めて』の著者マルセル・プルーストが「発見という本当の冒険は新しい土地を見つけることではなく、新しい目で物を眺めてみることにある」と書いたそうでありますが、新生光市の大冒険はまさに、新たな視点でお互いのまちの良いところを見ることから出発すべきであり、そこに夢が生まれてくるのであると私たちは確信しております。
 以上、本議案が全会一致で議決されるように願いながら、賛成討論といたします。

合併議案可決、新市十月誕生へ

 

光市議会は12対2

大和町議会は10対3

 

瀬戸内タイムス より  


 光市議会は午前10時から開会。合併議案と関連の計5件について、末岡市長が提案理由説明し、合併調査特別委員会(西村憲治委員長)に付託した。審査に当たり、光翔クラブの3議員は退席し、討論のあと、10対2で可決すべきものと決した。
 続いて、本会議を再開。四浦順一郎議員(日本共産党)が「市民のくらしと福祉に痛みをもたらす合併。財政問題や住民投票などを実施しない市民置き去りの問題もあり、住民主人公の立場に背を向けた遮二無二合餅推進の暴挙」と反対討論した。
 稗田泰久議員(五月・改革連合の会)は「人口30万人以上の広域合併を求める信念は変わりないが、下松市長選の結果、実現可能な状況ではなくなり、光市と大和町の枠でまちづくりを考えざるを得ない」と賛成討論した。
 今村鐵雄議員(公明党)は「在任特例を適用せず、合併特例債を抑制することは市民に評価されている。新市建設計画にあるように、行財政改革の推進と市民とともに歩むパートナーシップのまちづくりに積極的に取り組むべき」と賛成討論した。
 市川煕議員(こう志会)は「行政のスリム化や合併特例債の抑制などの合意は、相手の顔と心が見えるからできたこと。光市と大和町には、合併後のまちづくりに最も必要なお互いの信頼関係がある」と賛成討論した。
 出席議員は18人で、うち中本議長は採決に加わらず、さらには光翔クラブの3議員が退席。14人が採決に参加。5議案とも賛成12、反対2の賛成多数で可決された。
 光翔クラブ幹事長の泉屋孝議員は、退席の理由について「(一市一町合併は)広域合併を求める我々の大義とはマッチせず、政策上の判断から棄権することにした」と述べた。
 賛成は、西村憲治議員、市川煕議員、縄重進議員、中村賢道議員、磯部登志恵議員(以上こう志会)今村鐵雄議員、森重明美議員(以上公明党)松本修二議員、阿部克己議員(以上市民クラブ)稗田泰久議員、森永教文議員(以上五月・改革連合の会)河村龍男議員。 反対は、藤田一司議員、四浦順一郎議員(以上日本共産党) 退席は、国広忠司議員、泉屋孝議員、守田勉議員(以上光翔クラブ)


 大和町議会臨時会は午前9時から開会。合併議案と関連の計5件について、委員会に付託せず、本会議で質疑・討論を行った。
 熊野町長の提案理由説明に続いて討論に入り、まず、土橋啓義議員(日本共産党)が「広域合併にならないという保証がなく、一市一町の合併をテコに、広域合併がその先に見えるようでならない。住民投票もしないという、有権者の意見を聞かない態度はとうてい納得できない」と反対討論。
 土井健生議員(十萌代表)は「行政、議会、住民が一体となり、我がまちは将来像の展望をしていかなければならない。40年近い、この大和町の悲願であった、まず目の前の光市との合併を実現させることこそが最重要課題」と賛成討論した。
 採決に際し、議会運営委員会で「議員として責任ある投票を町民に公表すべき」との意見で記名投票による採決が決定していたことから、合併関連5議案について記名投票を実施。出席議員は14人で、うち岩竹辰雄議長は採決に加わらないため、13人が投票した。5議案とも賛成10、反対3の賛成多数で可決された。
 賛成は、山本光正議員、熊野庄悟議員(以上新世紀)土井健生議員、友弘啓議員、轟明議員(以上十萌)芦原廣議員、早田一十議員(以上明志会)河村正雄議員、森重定昌議員、林節子議員(以上あゆみの会)
 反対は、土橋啓義議員(日本共産党)真田雄二議員(あゆみの会)小島康義議員。

今後のスケジュール(予定)

4月22日 県知事へ合併申請

5月10日 合併協議会16回会議

6月     県議会の議決

       県知事の決定

       総務大臣への申請

8月上旬  総務大臣の告示(官報)

10月4日 新市「光市」誕生

11月    新市の市長・市議選