ひとり言

票差、薄氷の否決

 

(瀬戸内タイムスより)


 光市議会3月定例会は23日最終本会議を開き、『光市が大和町と合併することについて市民の意思を問う住民投票条例案』を賛成少数で否決した。
 住民投票条例案は四浦順一郎議員(日本共産党)が提出。可決された場合、光市・大和町合併協議会が目標としてきた10月4日の新市誕生は事実上、スケジュール的に困難となるだけに、採決の結果が注目されていた。
 最終本会議では、条例案の付託を受けていた総務文教委員会の松本修二委員長が賛成少数で「否決すべきもの」と決したという報告を行ったあと、討論へ。
 まず、阿部克己議員(市民クラブ)が「合併協議会で約一年かけて協議し確認作業を積み上げ、その内容は住民説明会や法定協だよりなどで市民に情報提供し、一定の理解を得ている。この過程を尊重するならば、法的に効力のない住民投票で、参考として市民の意思を問うことは、市民に混乱を招く結果となる」と反対討論。
 稗田泰久議員(五月・改革連合の会)は「市議選や市長選、県議選の結果から考えても、住民の意志は大きな合併を望む方が多いか、本当に小さい合併をスタートしてよいのか迷っている市民もたくさんいる。市議会が最終判断するに当たって、広く市民の意思を問うことは民意に沿った確実な判断が可能となることから、ぜひとも必要」と賛成討論した。
 市川煕議員(こう志会)は「住民説明会で一市一町合併に反対意見を述べた方は極めて少数であり、住民投票の必要性を述べた方もわずかに3人。すでに市民・団体レベルでは合併を前提として話し合いが行われているという意見もあった。こういう状況下で多くの経費を投入し住民投票を実施することは、住民の意思に反する。住民投票条例の提案理由は、これまでの経過や議会における議論を一切無視し、事実確認が極めて一方的・恣意的であり、とうてい賛同できない」と反対討論した。
 最後に、四浦議員が「合併という市民に大きな影響を与える問題について情報がきちんと伝わっていない。合併問題で住民投票が大きな流れになっており、光市は一市一町合併の是非を問うアンケート調査を一度も実施していない。新市建設計画案が明らかにされ合併の全貌がわかった、この時期に住民投票を行うのがベストだ」と賛成討論した。
 このあと、採決の方法について、稗田議員が無記名投票を求める動議を出した。光市議会では2人以上の賛成者があれば動議は成立する。稗田議員の動議に五人の賛成者があり、動議は成立した。
 これに対し、市川議員が記名投票の動議を出して7人の賛成者があり、こちらも成立した。
 このため、光市議会会議規則七十条(記名投票と無記名投票の要求があるときは、いずれの方法によるかを無記名投票で決める)により、採決の結果、記名投票九票、無記名投票八票で、住民投票条例案に対する採決は記名投票と決まった。
 続いて、住民投票条例案に対する採決に移った。出席議員は18人で、中本和行議長を除く17人の議員が議席番号の若い順に、住民投票に賛成の場合は白票、反対の場合は青票を投票箱に投じていく。
 16人の投票が終わった時点で、白票と青票は8票ずつ。最後に西村憲治議員(こう志会)が青票を投じて、白票が8票、青票が9票。住民投票条例案は一票差で否決された。
 賛成は、国広忠司議員、泉鼻孝議員、守田勉議員(以上光翔クラブ)藤田一司議員、四浦順一郎議員(以上日本共産党)稗田泰久議員、森永教文議員(以上五月・改革連合の会)河村龍男議員(副議長のため会派離脱中)。
 反対は、西村憲治議員、市川煕議員、縄重進議員、磯部登志恵議員、中村賢道議員(以上こう志会)松本修二議員、阿部克己議員(以上市民クラブ)今村鐡雄議員、森重明美議員(以上公明党)。
 光市・大和町合併協議会では、住民説明会で示された意見を新市建設計画案に反映させ、今月30日午後1時30分からあいぱーく光で開かれる合併協議会第14回会議で確認を受けたあと、4月12日に合併協定項目の調印式を行う予定。さらに、両市町は4月21日に臨時議会を招集し、廃置分合議案(合併議案)を提案する予定。