ひとり言

住民投票条例に対する反対討論

 

                                    こう志会  


 私はこう志会を代表いたしまして、議員提出議案第2号「光市が大和町と合併することについて市民の意思を問う住民投票条例」に反対の立場から、討論に参加いたします。
 私はまず本条例案の背景から述べる必要があると考えます。と申しますのは、本条例案は1市1町の合併あるいは広域合併に限らず、都市合併について賛成か反対かを問う条例であることを見抜かなければならないからであります。
 私たちは市民の中に広域合併について根強い支持者があることを知っております。住民説明会の中で、非常に少数ではありましたが、住民投票をすべきだという意見もありました。しかし彼らのうち少なくとも2名は広域合併を前提としての住民投票をして欲しいとの思いであったと私は考えております。
 しかし本条例案は光市・大和町の合併の是非を問うことに限られ、広域合併についての設問ではないことは明らかであります。
 周南市、下松市の状況広域合併に向けた明確な道筋が示されない現在、もし仮に本条例案が成立し、住民投票が実施されたとしますと、住民の間に計り知れない混乱が起こる恐れがあります。
 私は基本的には広域合併を支持する方々も、1市1町の合併には反対ではないと考えております。もし1市1町の合併に反対し広域を目指すのであれば、大和を除外した奇妙なものになるからであります。
 申すまでもなく、都市合併については、多くの市民が一言で言えば「時代の流れ」であるとの認識を持っていると私たちは考えております。

 そこで改めて提案者の説明を検証してみたいと考えます。
 提案説明の中で、市長選挙の出口調査を引用し「大和町との合併を支持する市民は12%に過ぎず、民意とのねじれ現象である」と何度も主張されましたが、これはその新聞を見ればわかるように、「将来的な合併の枠組みは」という設問に対する回答であります。
 将来的な合併の枠組みと現時点における合併の枠組みは全く異なる質問であり、1市1町の合併を将来の都市合併のスタートとするという末岡市長の主張は多くの人の共感を呼んでおります。また県内初の広域合併である周南市の混乱ぶりや、さらに県央、柳井、萩地区などは広域合併からスタートしたにもかかわらず、今合併の枠組み自体を見直す状況にあり、こういった地域が、堅実にその協議を終えようとしている光市・大和の町の合併を注視していることは事実であります。
将来的な合併も見据えた市長の考えを「極めてわかりにくい」と批判する一方で、将来的な枠組みに関する回答を、大和町との合併に対する回答にすり替えた提案理由はまさしく詭弁であります。
さらに、統計学上、光市の場合、一定の民意を反映するためには、約1000のサンプルが必要といわれるのに対し、この出口調査のサンプルは、僅か100であるということは提案者ご自身のご回答であります。
 このように、一部の意見の、しかも都合の良い部分だけを繋ぎ合わせた提案理由は市民を欺くものであり、到底理解できるものではありません。

 提案理由で提案者は合併の賛否を問うアンケートは実施していないし、議会も合意していないと述べておられますが、光市ではこれまで合併の賛否について平成6年、平成10年、平成14年と、3回のアンケート調査を実施し、合併の賛否を尋ねております。(合併賛成:平成6年「20%」、平成10年、「9.3%」平成14年「50%」)
 また、昭和62年に県の中核都市構想が発表されて以来、光市は、合併問題に対する様々な取組みを展開し、平成12年12月、県が「光市・大和町の合併パターン」を示して以降も、合併をテーマとした住民説明会をはじめ、パンフレットの全戸配布やシンポジウムの開催など、情報提供と住民との意見交換に努めております。
 一方、議会におきましても、平成11年に「都市づくり特別委員会」を設置し、およそ1年6ケ月の議論を行った結果「相手方を特定することなく合併を進めるべきである」という多数意見を報告し、さらに、平成14年6月には「合併調査特別委員会」を設置し、およそ9ケ月の議論を経て「大和町の合併は将来の広域合併のスタートとして協議する時期にきている」という報告を行っております。
 提案者は説明の中で、「降って沸いたような合併」という表現をされましたが、合併問題につきましては、議会においても、多くの時間とエネルギーを費やし真剣に議論してきたと思っております。
その結果、光市おける合併のスタートして大和町との合併協議を選択し、しかも、合併協議会では、1年もの時間をかけて真摯な協議が行われているところであります。
 提案説明では、あたかも、執行部が議会や市民の声を無視して、勝手に合併を進めているような印象を与えて、今回の提案理由とされているのは認識が誤っていると考えます。

 昨日ですべての住民説明会が終了し、多くの市民の意見が開陳されました。前回の説明会に比べて、参加人数も多く活発な意見が多く述べられたと感じております。
 その中で1市1町の合併反対を述べられた方は極めて少数であり、住民投票の必要性を述べられた方はわずかに3人でありました。また2会場では市民・団体レベルでは既に合併を前提としての話し合いが行われているとのご意見もありました。
 こういう状況下で、多くの経費を投入し住民投票を実施することは、住民の意思に反することであると断ぜざるを得ないと考えます。
 すでに大和町においては3月10日に同趣旨の住民投票条例を圧倒的多数で否決しており、大和町民の合併への期待は大きいものがあります。
 ご承知のように、合併協議会では既に、合併の期日を平成16年10月4日を目標とすることを決定しており、このためには、本年6月の県議会に諮る必要があります。
 今、この条例に基づいて住民投票を行うことは、合併協議会が確認した合併の期日を覆すことに他ならず、これは、大和町との合併に賛成を投じる市民に対し、理解を求めることはできません。

 今回の住民投票条例の提案理由は、これまでの経過や議会における議論を一切無視し、また事実確認が極めて一方的・恣意的であり、到底、賛同できるものではありません。
 こうした状況を鑑みますと、今回の大和町との合併の判断は、(地方自治法の定めるところによる)光市議会に与えられた責務であり、今、私たちは、これまでの光市議会における議論を踏まえ、多くの市民の信頼と付託を受けた光市議会議員として判断をすることが求められていると考えます。
 以上の理由により、議員提出議案第2号については、反対の立場を明確にし、討論を終結します。



議員辞職勧告決議反対討論

 

 最終議会に議員辞職勧告決議案が提出されました。この提出されました中本議員に対する議員辞職勧告決議案につきまして反対の立場から討論をいたしたいと思います。
議会初日に提出され反対多数で否決されました議長不信任決議案の時にも申し上げましたが、地方自治法92条2項に違反する事実はなく、決議案は不当でありました。
地方自治法第242条により、市民が、監査委員に対し、市の財務に関する行為について監査を求め、必要な措置を講じるよう求める制度です。

1.公金の支出
2.財産(土地、建物、物品など)の取得・管理・処分
3.契約(工事請負、購買など)の締結・履行
4.債務その他の義務の負担(借り入れなど)
5.公金の賦課・徴収を怠る事実(都税の徴収を怠る場合など)
6.財産の管理を怠る事実(損害賠償請求を怠る場合など)

否決されたにもかかわらず、同様な理由で、本決議案が提出されましたことにつきましては、全く理解できないどころか、本決議案の提出は不当ではないかとの感さえあります。

議員がその身分を失うのは任期満了、除名の懲罰、資格決定、辞職、身分に影響する裁判の確定等法令に規定されているものに限定されています。
任期満了、辞職あるいは例えば、連座制適用によって議員の身分が剥奪された場合につきましては、申し上げることはありませんが、除名の懲罰は「議員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意」を要することとされ、資格決定につきましても地方自治法によって、出席議員の3分の2以上の多数によりこれを決するという規定からも明らかなように、議員の身分に関することにつきましては、決議案のような過半数決議にはなじまない、という意見が、学会・実務界双方の定説となっております。
住民が直接選んだ議員を、同僚議員が決議案を提出し辞職を勧告することは本来おかしなことです。辞職を勧告できるのは選挙民だけであり、議会内での過半数議決にはなじまないものです。
また本議員の92条の2項に対する違反が明らかになっていないのに、彼の全人格を否定するかのような本辞職決議案には強く反対を表明いたしまして、反対討論といたします。