ひとり言

議員のあり方が問われる在任特例論議

 在任特例は合併特例法により、合併後も最長2年間は無条件に議員としての在任を認めるという制度。周南市では、さしたる議論もないまま在任特例を最長2年間適用し、78人の議員を抱えて混迷。議員報酬を最高額の旧徳山市に統一するという条例案が12月市議会定例会に提出されることになり、市民の反発を招いている。
 光市、大和町の両議会とも、議員の間で「行財政改革の範を示すため在任特例は適用すべきでない」「住民の意見を合併後のまちづくりに反映させるため適用すべき」などと意見が対立。両議会の正副議長らによる調整作業は難航したままだ。
 これら各議員の意見や態度を注視していると、市民の負託にこたえるべき議員のあり方が問われているという感がする。
 例えば、合併協議会や住民説明会の傍聴にも姿を見せず、一市一町合併に対する賛否は別としても、合併問題についての勉強や取り組みに熱心さが感じられない議員が在任特例を主張。そして、在任特例適用には熱心で、特例適用派の議員たちで笠戸島に集まって意見交換したりしている。
 合併問題に真剣に取り組み、合併後のまちづくりに意見を反映させたいという熱意ある議員が在任特例を主張するならば傾聴に値するし、そのような議員ばかりであるならば、住民の方から在任特例を適用してぜひ残ってほしいという声が出るだろう。
 また、合併後の介護保険料が光市の場合、十円値上げされることについて「光市民に不利益を招く」として強硬に反対した議員が多かったが、在任特例に伴って財政負担が増えることについては、どう説明するのだろうか。自ら範を示さずして、行財政改革を唱えるのだろうか。
 さらに、在任特例適用を主張する議員に広域合併派の議員が多いが、広域合併派の最大の主張は行財政改革にあるのではないか。
 両市町の住民アンケート調査によると、「合併により期待される効果」として「職員・議員数の削減等の行政経費削減や、システム等の改革で効率化が図れる」を求める回答が断トツで多かった。住民説明会でも、議員の身分に関する意見が最も多く、在任特例適用を批判する意見が相次いだ。
 今、在任特例をめぐる両議会の議論は建前と本音が入り交じり、混迷の度を増している。このような住民不在の議論を一体、いつまで続けるつもりなのだろうか。   (浦)