損害賠償訴訟が和解へ

 

 

 

瀬戸内タイムスより  

 市立光総合病院で生体腎移植手術後に容態が急変し、死亡した男性患者の遺族が光市を相手取って7700万円を求めた損書賠償請求訴訟について、光市は裁判所の勧告に基づき和解金4000万円で和解する方針を決め、29日開かれる市議会随時会に訴訟和解同意議案を提出する。
 病院側の説明によると、平成15年1月21日、光総合病院で市内在住の自営業、男性患者(当時59歳)は実妹(59) (周南市在住)をドナーとして生体腎移植を受けた。手術は午前10時41分から始まり、午後4時33分に終了した。血圧や脈拍、意識レベルとも安定。5時40分、病室へ戻り、主治医の問いかけに返答した。6時40分、病室を訪れた看護師が生体監視装置(モニターアラームにより心肺停止に気づき、蘇生処置を行ったが、低酸素脳症から多臓器不全を合併し、3月1日死亡した。
 実妹は@回復室がない施設上の不備A術後の患者の観察・管理が不十分B救急処置の遅れ・不適切などを指摘し、男性患者が死亡したのは病院側に責任があるとして同年9月18日、光市を相手取り、山口地裁周南支部に損害賠償請求訴訟を起こした。
 これに対し、病院側は@主治医は70例以上の生体腎移植手術に関わっており、今回の手術も術中のトラブルがなく、術直後の患者の状態にも問題とすペき所見はなく、手術そのものは成功したA3階病棟のナースステーションに最も近い病室に生体監視装置を置くなど回復室並みの体制を整えていたB患者の異常発見後、看護師が心臓マッサージなどを行うとともに、医師が駆けつけて蘇生処置をした−と主張。心肺停止の原因については調査委員会を設置して究明したが、特定できなかったという。
 裁判は15回にわたって審理が行われたが、裁判所が職権により強く和解勧告。病院側は裁判所から勧告があったことや、和解により早期解決を図るなど総合的に勘案し、裁判所が示した和解金4000万円で和解する方針を決めたという。和解金は病院賠償責任保険で支払われる。
 また、病院によると、その後、3階病棟にHCU室(高次治療室)を確保するとともに、再発防止策として@職員の危機管理意識の高揚A危機管理体制の強化B事故防止マニュアルの励行などに取り組んでいるという。