市営バスの乗客一便平均1.71人

 

 

瀬戸内タイムスより  

 12日午後0時39分、あいぱーく光発の光市営バスに乗った。12番目の停留所であるJR岩田駅前でようやく女性客1人が乗車。さらに、大和病院前で2人連れの女性客2人が乗り込んだ。自宅へ帰るという女性客1人は塩田の原城で降り、束荷の樋ノ口で降りた2人連れはカラオケ店へ出かけたようだ。
 再び記者1人だけとなったバスは秋色濃い大和路をゆっくりと走り、田布施町境に近い終点の佐田上に着いた。所要時間はちょうど一時間、運賃は730円だった。
 帰りは女性客4人、男性客1人。束荷の新市から大和病院前まで乗った女性客は「車が運転できないと、本当に不便です」と嘆いていた。往復の乗客は記者を入れると、計10人。運転手さんは「こんなに多いのは珍しい」と話していたが、この日も、往復とも乗客ゼロの便もあった。
 市営バスは昨年10月4日、旧大和町営バスをあいぱーく光まで路線延長してスタートした。バスは24人乗り1台で、1日6便(12本)。運行はタクシー会社に委託している。
 市一般会計予算によると、支出に当たる運行事業費は741万6千円で、収入は運賃84万円、県補助金(広域市町村バス支援事業費補助)142万3千円。つまり市の持ち出しは515万3千円(いずれも見込み額)となる。
 運行スタート時からの一年間の月別利用状況は、最も多いのは今年1月の245人。平均すると、1ヶ月310人。1日平均だと、10.28人となる。

 また、1便(行き帰りの2本)平均でみると、最も多いのは昨年10月と今年7月の2.05人。平均すると、1便平均1.71人。決して多い数字とはいえない。
 ただし、最近になって光方面から大和病院に行く人や高校生の利用が目立ち、10月に入ってからは1日平均約14.45人、1便平均2.4人(いずれも11日まで)と増加している。
 ところで、この市営バスは、合併前に開かれた旧大和町の住民説明会で「市役所に行くバスが欲しい」などという要望が相次いだことから、住民サービスの一環として運行されるようになった。
 しかし、実際には大和地域からバスに乗って市役所やあいぱーく光に行く人は極めて少ない。記者が乗ったバスでも1人もいなかった。
 市は今年度予算にバス交通システム可能性調査事業508万円を計上。新市全域のバス交通体系を総合的な観点から調査研究し、今後のバス交通システムの可能性を調査している。
 その中で、約5000人にアンケート調査を実施したところ、回答率は28%。塩田、束荷、岩田立野は全戸配布された大和地域でも回答率29%しかない。高齢者にとっては切実な問題と思えるのだが、アンケートの回答率でみる限り、意外とバス問題についての住民の関心は高くないといえる。
 全国的にはバス事業の再生に取り組む自治体が増えており、小型バスで病院や福祉施設などを巡るコミュニティバスを運行している例もある。光市でも可能性調査事業の中で将来の方向性を示すことになるが、やはり費用対効果という要素も考え、道筋をつけてほしいものだ。
 また、市営バスについても、市は18年度中に運行を見直す方針だが、例えば、1年間乗客がゼロである始発の岩田駅前6時10分発の佐田上行きを廃止するとか、市役所やあいぱーく光、大和総合病院で用件を済ませやすいような時刻表に改めるなど、早急な見直しが求められる。