おっぱい都市宣言を情報発信

 

 

  

 ● 暖かい心を育む育児への提言 〜おっぱい・語りかけ・そしてHUG〜
                      (聖マリア病院副院長 橋本武夫)


<暖かい心を育む育児のために>
 医療の進歩により、日本は世界で最も赤ちゃんの死なない国となりました。しかし、一方で、虐待はじめ、犯罪、自殺、キレる子どもなどにまつわる社会問題が急増しています。
 このような問題への対策は短絡的なものではなく、乳児期の母と子の絆(基本的信頼関係の構築)にまでたどりつく必要があります。そして、その原点は、やはり歴史的にも人間生物学的見地からも母乳育児へと、たどりつきそうです。

<歴史的に見た育児の原点「女から母へ」>
 昔から、「女は子どもを生んだだけでは母になれない」と言われてきました。「女」が「母」になるためには、女という文字に、ヽヽをつけると「母」になる。ヽヽは乳首であり、子どもを生んだ女性は乳首を吸われてはじめて母親になるといわれてきたのです。
 この先人の驚異ともいえる経験的な知恵は、現在、新しい科学の進歩により確認され、今、母乳の大切さが再認識されています。

<母と子の基本的信頼関係(人間生物学的見地から)>
 赤ちゃんによる母親の乳首への吸啜(きゅうせつ)刺激が、母親の下垂体からプロラクチン、オキシトシンという母性愛ホルモンを分泌させます。これは母性行動の発達に関与します。そして、赤ちゃんは空腹のストレス状態から母親に抱かれながら乳首を吸うことにより、至福の眠りへと移行するのです。
 この「哺乳・授乳」を通じての繰り返しが切っても切れない、母と子の絆、すなわち「基本的信頼関係」を構築し、これが子どもにとっての愛の原点、心の故郷となっていくのです。
 すなわち最近の母乳育児は、粉ミルクと母乳という物質の比較ではなく「抱いて語りかけて、お母さんの乳首を通しての授乳行為そのものが、育児のひとつである」という観点から理解すべきであります。

<母乳をあたえられなくても・・・>
 母乳を与えられなかった母親は、母親失格か?という訴えが届きます。しかし、残念ながらそのほとんどは、母乳育児についての真の理解が得られていなかったか、母乳を与えることが出来たのに、専門家の無理解による出産直後の支援の不足によるとも言えます。
 やりたかったが何らかの理由で母乳を与えられなかった、ある母親が、「哺乳ビンで粉ミルクを飲ませながら、私のおっぱいをさわらせていました」と話しています。これは、乳首を吸わせながらテレビを見ているお母さんよりも、まさに、母乳育児の心であり、感動です。大切なのは、母乳をやれなかった分、しっかり抱いて、語りかけてあげることです。

 これが暖かい心を育む育児の原点なのです。

上記は電子メール雑誌「小泉内閣メールマガジン」の第230号(4月13日配信)に橋本武夫・聖マリア病院副院長(久留米市)の特別寄稿「暖かい心を育む育児への提言〜おっぱい・語りかけ・そしてHUG」に掲載されている。
 橋本武夫さんは元日本母乳の会運営委員長で、母乳育児推進に取り組んでいる。光市にも度々訪れ、絵本「Loving HUG」を梅田病院(虹ヶ浜3丁目)の梅田馨医長、柚木貴晴秘書とともに出版したこともある。
 内閣政務官による「家族・地域の絆再生」プロジェクトチーム(座長・長勢甚遠内閣官房副長官)に招かれ、あたたかい心を育む育児の提言として「おっぱい」の講和をしたことがあり、小泉内閣メールマガジンの編集長でもある長勢副長官から頼まれて同マガジンに寄稿した。
 特別寄稿の執筆者プロフィールの一番下にある関連リンクをクリックすると、光市ホームページの「おっぱい育児」が開き、光市のおっぱい都市宣言などを見ることができる。
 一方、「家族・地域の絆再生」プロジェクトメンバーである内閣府大臣政務官の山谷えり子参議院議員を招いて教育フォーラムを6月17日(土)市民ホールで開く準備が進められている。光青年会議所45周年記念事業として、光市の「おっぱい都市宣言」で唱える「母と子と父、そして人にやさしいまちづくり」をテーマに講演やパネルディスカッションなどが行われる予定。