数値目標やPDCAサイクルが重要

 

 

瀬戸内タイムスより抜粋  

 Plan(計画)Do(実施・実行)Check(点検・評価)Action(処置・改善)のプロセスの順に実施していく。工業などの事業活動で生産管理や品質管理などを進めるためのマネジメント手法。名称は四段階の頭文字をつなげた。
 自治体はCheckの仕組みが充分ではなかったが、近年は行政の分野でも今後、PDCAサイクルの考え方が取り入れられていくとみられる。

平成17年度に策定・作成された計画類は、21件。また、17、18年度の2年間で取り組むものが4件ある。
 出来上がった計画類や中間報告的な原案などを積み上げると、何と11センチ。経費も随分かかっており、当初予算に計上された金額を合計すると、5704万円。
 このように多大な経費とエネルギーを費やし、出来上がった計画類だが、それぞれの事業を実施していく指針として活用できる内容なのか、それが問題だ。
 とくかく行政が作る計画類は「○○を進める」「○○に努める」「整備・充実・強化を図る」といった表現が多く、それぞれの事業や施策が「いつまでに」「どの程度まで」などの数値目標が示されていないものが多い。
 内容的には良いことばかりが書いてあるのだが、単なる作文に終わり、ほとんど活用されずに担当者の棚に眠っているという例もあるのではないか。
 そこで近年は、数値目標を掲げたり、PDCA サイクルの手法を取り入れるなど、実際に活用される計画づくりが求められている。そのような観点から、光市が17年度に策定・作成した計画類の一部を内容面からチェックしてみた。

★子ども読書推進
 市教育委員会が策定した市子どもの読書活動推進計画は、数値目標が全く掲げられていない。例えば市立図書館の整備・充実として「子ども向け図書資料の計画的な整備」「障害児のための布絵本等の整備」などに取り組むとしているが、その数値目標はもちろん、図書館に現在、子ども向け資料や布絵本が何冊あるのかも示されていない。
 市立図書館によると、数値目標が全部出そろっていないため計画に盛り込まなかったそうで、今年度に設置される市子どもの読書活動推進委員会(仮称)に示したいというが、すでに定めている数値目標については、計画に加えるべきではないか。

★人材育成
 市職員の効率的な人材育成を図る市人材育成基本計画には、数値目標は、年間研修受講者数の目標を職員数の65%としているだけで、他には見当たらない。
 例えば、障害者雇用については、「定期的な採用試験の実施に当たり、障害者雇用率の推移を見極めながら、障害者雇用枠を創設します」と記されている。
 障害者雇用促進法によると、法定雇用率は官公庁2.1%。光市役所は17年度は法定雇用率をぎりぎり達成していたが、18年度は退職などにより法定雇用率を下回っている。「障害者雇用率の推移を見極めながら、障害者雇用枠を創設」は、法定雇用率を下回れば雇用したいという意味とみられるが、バリアフリー社会の実現を図るため、最低限度である法定雇用率よりも高い数値を目標に掲げ、率先実行の姿勢を示すことこそ、市役所に望まれるのではないか。

★エコオフィス
 市役所が行う事務・事業を対象とした市エコオフィスプランの特色は、PDCAサイクルを運用した取り組みであることが最大の特徴。各職場の環境監視員が推進状況を点検したり、ガソリン購入量などは請求書で数値を把握する。
 また、数値目標として、地球温暖化ガス排出量を22年度において、対17年度比6%減とした。これららが達成されると、5年間で1千トン(二酸化炭素換算)が削減され、コストも約3千万円削減される。
 市環境審議会で地球温暖化ガス排出量の削減目標を説明したところ、委員の間から「行政がそれほどの取り組みをするのなら、我々市民も立ち上がらないと」という声が出ていた。

★健康増進
 光市健康増進計画「光すこやか21」の特色は、行政だけでなく、策定協議会の委員が所属する15団体の取り組みを加えたこと。まさに、市民との協働のプランづくりがなされている。

 今後は、計画倒れにならないよう年次的な点検を行いつつ、職員が責任をもって計画実行していくという意識改革と、現場との連携を密にした組織改革が必要。
 さらに、計画等をコンサルに委託するようなことにならなくてもよいものにしていくため、専門的な職員の育成も併せて行う必要がある。