定例会
1、 子どもたちの育成について
 
@二学期制導入について理解されているのか
受験競争に勝つための詰め込み教育の批判を受け、教科内容の3割削減などをすすめた「ゆとり教育」が、2002年具体化を目指す新しい取り組みとしてスタートしました。しかし、なぜ今の段階で見直しなのでしょうか?
このような政策の揺れに対して、学校現場にいる教師は常に受け身であり、方針が変わるたびに、現場の教師はその理解と変更後の指導方法への対応に追われて、多くのエネルギーを費やすことになります。子どもたちに一体どんな学力が必要か、何を教えなければならないかを一番知っているのは教師であるはずです。先に箱が用意されていて、その箱に何を入れたらいいのか、どのように入れるのがよいのかを後で考えるという状況があったのではないでしょうか。
そのような現状の中、光市においては、二学期制の導入がすでに来年4月から始まろうとしています。しかし、私には二学期制ありきで出発されているようにしか感じることが出来ません。
ここでまず教育長さんにお伺いいたします。二学期制導入までの経緯として、現場の教師の意見を、どのように反映されているのでしょうか。また近隣の小中学校が二学期制の導入をどのようにとらえているのでしょうか。保護者への理解は得られているのでしょうか。以上3点にわたりご所見をお伺いいたします。 

答弁
 まず、1点目「2学期制導入」についての1つ目「現場の教師の意見の反映」についてでありますが、これまで、2学期制導入につきまして、各学校に、校内検討委員会を設置しての検討や調査・研究を依頼しているところでありまして、市内各小・中学校の全教職員の総意に基づくものとなるよう努力しているところでございます。
 いずれにいたしましても、議員仰せのとおり、2学期制導入にあたりましては、全教職員の理解と協力、及び創造性にかかっておりますので、今後、全教職員が専門性をいかんなく発揮した主体的な対応が可能となるようにしたいと考えております。
 2つ目の「近隣の小・中学校が2学期制導入をどうとらえているか」についてでございますが、県内の市町村立小・中学校で初めて2学期制導入への調査研究が開始されたということで、大変注視をされているという報告を受けております。
 3つ目の「保護者への理解」についてでございますが、先行議員にもお応えしましたように、学校だよりや広報誌等を通して保護者や地域住民に情報発信するなど、機会あるごとに関係者への周知徹底を図っているところであります。
 今後、保護者や地域の声にも十分に耳を傾けながら、最大限に工夫と努力を行いと考えております。
 いずれにいたしましても、2学期制の導入はいうまでもなく、学期制度の変更ではありますが、この制度の変更により、児童生徒や保護者にとりましては、これまでの学校生活のサイクルが変わりますし、教職員にとりましても、教育活動を計画・実践する上での枠組みが変わりことにもなると考えております。
 また、それは、単に学校教育のサイクルや枠組みを変えるにとどまらず、家庭生活や地域の活動にまで大きな影響を及ぼすものであるとも考えております。
 先行議員お2人からもご指摘をいただきましたが、2学期制について十分調査検討を行い、導入によって予想される混乱を最小限にとどめ、導入の利点を最大限に生かすことができるよう工夫と努力を重ねていきたいと思います。



A教師のあり方
教師には社会の変化に対応した幅広い視点に立ち、さらに教養や愛情に満ちた豊かな人間性が求められます。短期間での教育政策の見直しが起きる中で、学校現場に混乱を招かず、課題へ的確に対応していくためには、資質向上の研修は必須であることは言うまでもありません。
そこでお尋ねいたします。まず1点目として光市内外において、教師の質の向上としての研修を具体的にどのように行っておられるのかお答え下さい。
2点目、常勤教師に対し非常勤教師は全体の約2割の率になっています。教わる子どもたちには、常勤教師も非常勤教師の区別もありません。
特に今年度からの事業として即戦力を必要とする学習支援指導員については、非常勤という立場でありますが、経験を必要とし様々な対応を求められる立場として、非常に重要なポジションです。以上の点からも安定的な採用を図り、採用された教師が、安心して教べんがとれるようにしていくことが必要だと考えますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
3点目、教師等、学校内職員の移動に対して、ひとつの学校の中で一度に半数近い関係者が移動するということは、安定的な全ての移行に問題ありという現場の声を聞いています。子どもの安定した育成に対して、基盤の揺るがない環境を作ることに配慮が足りないのではと考えますがいかがでしょうか。以上3点についてご所見をお伺いいたします。

答弁
 まず、2点目の1つ目「教職員の質の向上としての研修」についてでありますが、県では、教職員は、その教職年数に応じて、学校を担う職務や期待される役職が異なることから、それぞれの段階で求められる資質能力を育成するために、教職員一人ひとりのライフステージに応じて、計画的、体系的に研修を行うこととしております。
 実施にあたりましては、初任者研修や10年経験者研修など、教職の各段階における基本研修により、すべての教職員に共通に求められる資質能力を身に付けるとともに、教科研修や特別支援教育研修などの希望研修により、各自のニーズや力量に応じて、得意分野や専門性の向上を図ることとしています。
 本市としましても、教育開発研究所におきまして、自主研修講座受講や職場体験研修を実施し、教職員の資質の向上に向けた実践活動を実施しているところであります。
 また、光市教育研究会を設置し、先生方が自主的にそれぞれの分野で研修され、資質の向上に努めておられます。
 2つ目の「教職員の安定的な採用」についてありますが、文部科学省は、基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指し、平成13年度から第7次義務教育諸学校教職員定数改善計画をスタートさせ、教職員定数の改善や配置の拡充等により、現状のような教員配置となったところであります。
 非常勤講師など臨時的任用教員の雇用条件の改善を含め、議員ご指摘の安定採用につきましては、困難性もありますが、その職務の重要性を鑑み、都市教育庁会議等を通じまして、国・県へ機会あるごとに要望してまいりたいと思います。
 3つ目の「教職員の人事異動」についてでありますが、人事異動につきましては、適材適所の原則に基づき、全市的視野に立って、厳正かつ公正に人事の刷新を図るとともに、校長の意見具申を尊重し、特色ある学校づくり、確かな学力の向上、生徒指導上の課題など、各地域や学校の諸課題に適切に対応できる校内体制づくりに努めてまいったところであります。
 また、教職員各個人のライフステージも考慮しながら17年度の人事異動を行った結果、小学校25名、中学校23名 計48名であり、必要最小限の異動にとどめたところであります。




Bフリースクールについての考え方
 今までに、不登校児童等に対する多くの問題提起がなされてまいりました。様々な立場の方からのご意見を集約してみますと、不登校になった理由は、主なものとして教師による暴力、友人からのいじめ、学力の遅れなどがあげられます。これまでに県議会においても不登校問題解決にむけて、フリースクール、農村留学、ホームスクール制度などいくつかの具体的提案がさなれておりますが、ほとんど実現しておらず、適応指導教室、スクールカウンセラーで対応しているのが現状です。これで解決の方向にいっているとはとても思えない現状があり、本当に残念に思います。
最近では国においても、フリースクールの拡充を進める施策を打ち出しています。フリースクールとは、何らかの原因で学校へ行けない子供たちを預かり、施設内で義務教育が受けられるように指導者を置き、親代わりとしての役割を持つ施設です。光市にも、フリースクールといわれる施設が存在していますが、現状では私達が期待するほど機能を果たしていないものと思っています。
そこでお尋ねいたします。今後このようなフリースクールに対し、教育長さんはどのように対応されようとしているのでしょうか。また光市において適応指導教室はこれからの課題だと考えますが、教育開発研究所で提言されている教育支援センターの確立を中心に、心の居場所的存在としての役割を担う適応指導教室等をどう位置づけようとされているのかお考えをお伺いします。

答弁
 1つ目の「フリースクールへの対応」についてでありますが、全国的にみましても、その性格・形態等が様々でありますことから、一概に「フリースクールの定義づけ」について申すことは困難でございますが、議員ご指摘のNPO法人の認可を受けている長期滞在型施設「スモール・フィッシュ」など、民間施設への対応につきましては、平成4年3月に「学校不適応対策調査研究協力者会議」が報告いたしております「民間施設についてのガイドライン(試案)」等に沿ってすすめてまいりたいと考えております。
 2つ目の「適応指導教室いわゆる教育支援センターの確立」についてありますが、本市の小・中学校における不登校児童生徒数は、平成15年度では小・中学校合わせて40名で、また、昨年度も40名と横ばいの傾向にあり、依然として大変憂慮すべき状況にあります。
 議員ご指摘のとおり、不登校児童生徒や保護者が利用しやすい環境づくりをすすめることは、急務を要するところでありまして、本市の教育施設を活用した「教育支援センター」の整備をすすめることは、大きな課題であると考えております。
 本年度から進めております、不登校、問題行動等のある児童生徒へのきめ細かな支援を目的とした「光市学習指導支援員派遣事業」の有効活用を図るとともに、教育開発研究所の提言を生かし、検討してまいりたいと考えております。