定例会

1、教育環境の整備について
 
 教育改革の根本とするところは、子どもたちの個性が尊重され、「生きる力」が培われて、平和な社会の人格者を育てることにあると思っています。この「生きる力」は長期にわたる教育によって始めて育つものであり、適切なものでなくてはなりません。「生きる力」は素質と環境から形成されるものとされています。素質が生かされるための環境が整えられることが大切なのです。自治体が教育を重視しているかが問われているのです。今一番急がれている教育環境の整備という視点から、3点にわたり質問していきたいと思っています。

@特別な支援を必要とする児童・生徒への対策
文部科学省はLD等の軽度発達障害児への支援体制作りとして「特別支援教育」の推進を急ピッチでおこなっています。そして学校教育法などの法改正をまたずにどんどんと「実態づくり」を進めようとしています。県においては、小中学校に在籍する特別支援を必要とする児童生徒への支援方法や校内体制整備などについて、15年度・16年度において、光市と周南地域・萩地域において研究されてきました。
光市内においても、特別なニーズ(特別な手だての必要性)をもつ子どもたちが少なからずいます。軽度発達障害児だけでなく、不登校や被虐待児、経済的に困難を抱えた子ども等も特別ニーズを持つ子どもだといえます。これらを進めるためには、少人数学級の実現、すべての子どもの学習する権利がきちんと保障される基本的な条件の見直し、必要な時間だけ支援を受けられる教室の開設等が同時に進められ、それぞれに対応する教員が別枠で配置される必要があるでしょう。
特色ある学校づくりから二学期制の導入に向けた準備等、新たな環境整備に向け取り組まれようとしておられます。今年度、新規事業の中にあげられている学習指導支援員派遣事業は、特別な支援を必要とする子供へ、どのような目的効果を期待されているのでしょうか。ご所見をお伺いします。

答弁
今年度、新規事業として取り組む「学習指導支援員派遣事業」の目的は、文部科学省の生徒指導上の諸問題調査において、平成15年度は、いじめ、暴力行為等も前年度より増加したという報告がなされたことは御案内のとおりです。
 本市においても、全国と同様に不登校児童生徒数、いじめ、暴力行為等もわずかではありあますが、増加の傾向にあり、憂慮すべき状況にあります。
 その中において、学校においては、学力進度が著しく遅い児童生徒及び軽度発達障害等の児童生徒の個別支援や、集団不適応による別室登校児童生徒の指導、さらに問題行動を有する児童生徒の指導など、全教職員で対応しているところです。
 しかしながら、不登校児童生徒が多く在籍している学校や、問題行動が頻発している学校においては、十分な指導・対応ができない現状があることから、より一層のきめ細かい支援を行うため、それらの学校及び家庭へ指導員を派遣し、児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣改善等のための適応指導・相談を行うともに、教職員や保護者等の相談にも応じ、児童生徒の学校及び学級復帰を支援し、もって児童生徒の社会的自立及び家庭に対する支援の充実に資することを目的としてこの事業を立ち上げる予定です。
 その内容としては、指導員2名を任用し、家庭や学校から学習支援の派遣願いが提出された後、派遣実施を関係者で検討し実施いたします。
 さらに、関係者が互いによりよい連携を図り、児童生徒一人ひとりの状況に応じたきめ細かい指導を行うために、月1回程度関係者会議を開催し、情報交換ならびに今後の対応について協議いたします。
今後も児童生徒一人ひとりの実態をしっかり見極め、学校・家庭・関係機関が共通理解をし、協働して支援していきたいと思います。さらに児童生徒全員が学校生活で楽しく有意義に過ごし、それぞれの個性の伸長が図れるよう、この事業の効果的運用と今後ともきめ細かな指導のための人的措置について努力していきます。

要望
今問題になっているフリースクール対応として、早速教育委員会が動いてくださったことに対し、心から感謝したいと思っています。今後ともきめ細かい配慮をしていただけるよう、思い出多い学校生活を子供たちがおくれるよう、県に協力していただける教員の加配や専門分野の指導者の参加をお願いしました。


A児童・生徒の安全対策をどう進めるのか
不審者による学校現場での多発する殺傷事件を振り返って、さらなる学校の安全対策が今まで以上に叫ばれてきています。ガードマンの設置を行っているところや教職員の巡回、保護者との話し合い等、それぞれ学校での対策を講じておられると思いますが、学校の教職員は、教育指導と学校運営の専門家であっても、安全対策の専門家ではありません。一方で地域に「開かれた学校」の要素も大事なのではないでしょうか。ブロック塀や警備で垣根を作るのではなく、地域の人との関わりで人の垣根を作ることの大切さ・・・地域の方の多くの目を学校に向けることこそ、本来の安心な教育環境になっていくのではないかと考えています。子どもたちを犯罪から守るために、学校、地域、家庭の連携はどう機能しているのでしょうか。今後の方向性を具体的にお聞かせ下さい。

答弁
児童・生徒の安全対策については、各学校における関係者以外の立ち入り禁止の立て看板の設置や、登下校時に不審者からの危険を知らせるための防犯ブザーを全児童に配布するといったハード面での設備整備に併せまして、警察の協力を得ての防犯訓練の実施などによる危機管理意識の向上といったソフト面での充実を中心に行ってきました。
 しかしながら、こうした対策も学校現場のみでの対応には限界があり、ご指摘のように、安心な教育環境を構築するには、学校と地域が一体となり、多くの目で見守っていく体制づくりが急務の課題であるととらえています。
 その方策としましては、教育委員会としても、すでに社会教育団体や市民団体などに対して、登下校時におけるあいさつ運動や見守り活動の取組みをあらゆる機会を通じてお願いしているところで、また、学校においても、参観週間等を設けるなどして、保護者や地域の方に多く参観していただく中で、たくさんの方の目で、安全はもちろん、子どもたちの健やかな成長のためにお力添えをいただけたらと思っているところです。
 いずれにしましても、学校・地域・家庭の三者が緊密に連携をとりあった、実効性のある安全対策が全市的に展開できるよう考えていきたいと思っております。

要望
 防犯ブザー・登下校の見守り等、生徒や保護者はもちろん、地域の皆さんに現状を周知徹底していただけるような指導を行うことが今後も必要だと思います。季節ごと、または行事ごとの周知徹底、警察との連携を強化していただき、地域の方の協力を得て、校内美化のための緑化・環境学習等への参加も要望いたしました。



B利用しやすい図書館を目指すために
読書離れが問題となっている今日、子どもたちが読書を通じて、想像力を養い精神的に豊かに成長することは非常に大切なことであると見直されてきています。心がうまく育ってないままに大人社会に出てしまい、順応できないでいる若者を見るにつけ、今更のように本との出会いを助ける環境を整える必要性を感じています。いままでにも、何回となく多くの議員から図書館及び学校図書館への提言がなされてきました。しかし、現状はどうなのでしょうか。施設整備ももちろん必要だと思いますが、ハード面の充実よりも、ソフト面の充実がなぜ進まないのでしょう。特に教育環境の整備として図書館の利用しやすさは必要不可欠ではないのでしょうか。学校図書館、市立図書館との連携はもちろんですが、今後の指定管理者制度も視野に入れた改善をどう捉えておられるのでしょうか。図書館運営に掲げられておられる、子どもの読書環境の整備の取り組みと合わせてお答え下さい。


答弁
 ご指摘のとおり、教育環境の整備において、子どもの本との出会いを確保する読書環境の整備、図書館の利便性の向上は、心豊かな子どもを育てる観点から、極めて重要な課題であると認識しています。
 このようなことから、ハ−ド的な施設整備はもとより、今までに、子どもの読書環境の整備を図る観点から、赤ちゃん絵本コ−ナ−や児童コ−ナ−の設置、読み聞かせボランティアの養成、語りの会や絵本の読みあいの会の開催、市内小・中学校を対象とした「読書感想画展」などを実施してきていますが、来年度からは、祖父母を対象とした「孫への絵本の読み方講座」の新規実施をはじめ、乳・幼児を対象とした「おはなし会」、わらべうたセミナ−、図書館ボランティアグル−プ交流会、ボランティア養成講座などを実施し、読書環境のさらなる整備・充実に向けて、ソフト面を主体とした事業を展開することにしています。
 また、学校図書館と市立図書館の連携を図るため、図書館司書、学校司書教諭、学校図書指導員などによる連絡調整会議を開催し、良好な子どもの読書環境づくりに向けたネットワ−クの強化・充実に努めたいと考えております。
 さらには、生涯学習の中核施設として、利便性の高い図書館とするために、文化センタ−、ふるさと郷土館、生涯学習センタ−、或いは、伊藤公資料館などの関係施設や親子読書文庫などとの連携にも、一層努めていきたいと考えています。
 なお、現在、策定作業を進めています「子どもの読書活動推進計画」においても、子どもの読書環境づくりの整備を中心として、地域との連携による読書環境の整備、利便性の高い図書館のサ−ビスの充実などについて、重点化した計画にしたいと考えております。
 また、指定管理者制度の導入も視野に入れた図書館運営についてのお尋ねをいただきましたが、制度の検討に当たりましては、管理運営方法や事業内容などについて、周辺図書館、先進事例地、或いは、関連する類似施設などの動向なども参考にしつつ、新しい制度の課題や問題点などに関する整理、検討をしてみたいと考えます。
 その中で、新たなニ−ズに対応した図書館運営のあり方についても、研究をしていこうと計画しています。
 いずれにしても、地域や市民における生涯学習や情報センタ−の拠点となるよう、とりわけ、地域・学校との連携による子どもの読書環境の整備、利便性の高い図書館となるよう、実現に向けて努力していきます。
 
要望
利用者から、図書館運営に関しては多くの苦情・要望が出されています。しかしあまり前向きに改善されない現状を見て、今後はアンケートや意見箱を作り、順次整理をしていけるような環境を作り、利用者の立場に立った利用しやすい図書館運営になるよう改革して欲しいことを強く要望しておきました。