定例会

3、少子化対策について

 家族と過ごすことに「安らぎ」を得たり、子どもを育てることに「喜び」や「生きがいを」を感じる……という意識調査結果や、実際、結婚していない人の9割近くが結婚することを希望し、結婚している人では平均で2.5人の子どもを産み育てることを望んでいるという調査結果もあるという記事を読みました。
少子化対策は早くから声が上がっていたにもかかわらず、未だ改善されない現状の中で、非婚化、晩婚化が大きな要因だといわれております。
その背景には、結婚観や価値観などの個人の意識の変化や、育児や仕事との両立の負担感が指摘されています。
もちろん、結婚や出産は、当事者の自由な選択に委ねられるべきものであり、行政や社会が安易に干渉すべきものではありません。
しかし、結婚や出産を望んでいても様々な不安、負担が希望を妨げているとしたらどうなのでしょう。
昨年度の合計特殊出生率1.29という数字を見てもわかるように、また過去最低記録を更新し、少子化にまったく歯止めがかかっていないことが明らかになりました。核家族化、就業形態の多様化、地域社会の人間関係の希薄化などが進む中、安心して子どもを生み育てられる環境づくりは社会全体の問題として考えることが重要です。
 政府は、経済的、社会的に深刻かつ多大な影響をもたらす急速な少子化の進展という事態に直面して、これまでの取り組みに加えてもう一段の少子化対策を進めるために、次世代育成支援対策推進法の制定および児童福祉法改正を行い、総合的、計画的な取り組みを強化していますが、産みたい人が望むだけの数の子どもを安心して産める社会、同時に子どものいない人が抑圧や干渉を受けない社会をつくる必要があると思います。ひとり親家庭や事実婚の人たちも含め、お互いの生き方、選択を尊重し、支えあう社会の実現を願っています。そのためには、女性の自己決定権を尊重し、多様なライフスタイルを認めていくことが重要です。こうした施策が出生率の低下を招くという誤解がありますが、女性の就業率が高い国では出生率も高くなっている事実が示すように、男女平等参画を実現していくことこそが求められているのです。そこで、3点お尋ねいたします。

@次世代育成支援行動計画の策定について
 次世代育成支援対策推進法は、17年度から10年間の時限立法ですが、16年度中に国が定める指針に即して、市町村、都道府県、企業が具体的な行動計画を策定することとなっています。そこで、計画の策定にあたって、まず光市においての重要課題をどのように把握し、計画への反映をするのかお伺いいたします。
 
A仕事と家庭の両立支援
 次世代育成支援対策推進法では、男性を含めた働き方の見直しの具体的計画を301人以上が働く企業に義務付けがなされ、300人以下の企業では努力義務とされています。
 光市内のみの企業において考えてみると、従業員301人以上が4社、それ以下の企業が、2733社あります。また、中小企業の中でも小規模事業所の割合はもっと高くなっていることから、行動計画策定の義務がある企業はたったの4社で、約2733社は努力義務だけなのです。
 厚生労働省の調査資料によりますと、男女とも長時間労働者比率が高い地域ほど出生率も低く、子育て期にある30歳代の男性の就業時間はもっとも長く、2割以上が週に60時間以上となっています。また、男性の家事時間が短い国ほど出生率が低くなっています。さらに、育児休業制度を利用しなかった理由として、職場の雰囲気を理由として断念した人が最も多くなっており、子どものいる世帯いない世帯とともに、子育てしながら働きやすい職場環境の整備を求める声がもっとも多くなっています。
 こういった現状からみても、働き方の見直しは重要ですが、厳しい競争のなかにある企業の協力を得るためには、有効な支援策が必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

B地域における子育て支援
 光市内では、母親教室から生まれた育児サークル、母親教室OB会、子育てサークル活動団体等々、幼稚園・保育園に入園前の親子から、親子や祖父母、地域の人がふれあいを大切に楽しく遊ぶ会など様々な活動があります。もちろん行政発信のものから、地域のボランティアの方による活動まで様々ですが、週一・月一・年数会の開催のサークル活動が行われています。
しかし、せっかく多くの活動があるにもかかわらず、連携や横のつながりができていないことで、効果が半減しているように感じています。
先日活動されている方々にお話を聞いたところ、利用者の中に最近では、とくにゼロ歳から1歳とまさに、乳児を抱えて来られる人が多くなっており、子育ての不安を語られたりする方が多いと言われます。利用者の中には、サークルに参加するまでは、ずっとひとりでテレビを見させながら子育てをしていたので、外に出て子育て仲間をつくることは無理と思っていましたが、思い切って参加して良かったと救いを感じている若い方が多いことに驚いています。
 また、県内でも、児童虐待の発生が増加しており、虐待者の約6割が実の母、約3割が実の父なのです。今の20代の若い親たちは、少子化第一世代であり、家族の機能や夫婦のありかたが従来とは大きく異なってきており、地域からの孤立や夫の長時間労働による母子家庭化なども進んでおり、子育て負担感が増加しています。
 厚生労働省の調査によりますと、育児中の不安については、共働き家庭の女性に比べて専業主婦のほうが、育児の負担感・不安感が高いことも明らかになっています。
 このような状況のもと、山口県では、今年度、子育てほっとサロンのような地域子育て集いの広場事業が実施されています。
実施箇所については全体からみると、まだまだあまりに少なすぎるという声を聞きます。公共施設だけではなく、空き民家や商店街の空き店舗など既存施設を活用しながら、子育て中の親が身近な場につどい、子育ての悩みを気軽に話せる場づくりを加速させる必要があると考えます。「地域子育てつどいの広場」をはじめとする、交流の場づくりや子どもや高齢者・障害者などが互いに交流できる拠点づくりなど、地域の実情を踏まえた多様な取組ついては、今年度中に策定されます次世代育成支援行動計画にどのように位置付けられているのでしょうか。


答弁

 ご質問の3番目の1点目「次世代育成支援行動計画の策定」についてお答え申し上げます。
次世代育成支援行動計画の策定にあたっては、保護者や子育ての現状及びニーズを把握することが大切であるため、合併前に旧市町で歩調を合わせ、同じ内容による調査を実施し、調査数未就学児世帯1,340人、就学児世帯690人に対し、あわせて1,163人、57%の回答を得ております。この調査は、地域における子育て支援、母子保健、虐待に対する意識、職業生活と家庭のあり方、生活習慣、子育てに係る意識や要望など約40項目について、行ったものでございます。この結果を具体的な施策や事業の目標を決定する資料とすると共に、次世代育成支援行動計画策定懇話会で様々なご意見をお聞きしながら、そして、議会でのこれまでの議論を踏まえ、計画策定に反映させてまいりたいと考えております。

 2点目の仕事と家庭の両立支援についてでございますが、議員仰せのとおり、次世代育成支援対策推進法の中で、常時雇用する労働者の数が300人以下の労働者を雇用する事業主も行動計画を策定し、届出を行うよう努めなければならない。と努力義務を定めております。
一般事業主に対する指導その他の援助の努力義務は、国に課せられておりますが、山口県においては県の商工労働部労政所管課で、企業が行動計画を策定する際、アドバイザー(社会保険労務士)を派遣して、援助しており、また、各商工会議所や市町村への啓発や情報提供も行っております。次世代育成支援対策は、国や県、市はもとより、企業や地域社会を含めた社会全体で取り組むべき課題であることから、、商工会議所や労政所管と連携をとりながら企業に対し、策定に向けた情報提供を行っていきたいと考えております。

 3点目の地域における子育て支援についてでございますが、議員仰せのとおり、市内子育てサークルとして様々な活動をされているグループがあります。現在、子育て支援センターでは、3歳未満児を中心に遊びの場、ふれ合いの場を提供するとともに育児に関する相談業務やおもちゃネットとしておもちゃの貸出しを行い、好評を得ているところでございます。従いまして子育て支援センターのさらなる役割の強化とセンターを中心とした子育て支援の中核を担うべき子育てサークルの育成・支援のためのネットワークづくりをはじめ、議員仰せの地域子育てつどいの広場や交流の場づくりなどについても次世代育成支援行動計画の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。