定例会

1、安心安全なまちづくり

@メディカルコントロール体制の充実
メディカルコントロールとは、救急現場から医療機関へ搬送される間において、救急救命士等に医療行為が委ねられる場合、医師が指示または指導・助言ならびに検証してそれらの行為に対する質を保証することを意味します。これを解釈すると、@救急現場において、本来医師が行うべき医療行為を救急救命士や救急隊員、あるいは一般市民が行うことを明確にする。Aそれらの医療行為は、救命率や病後の経過向上のためにその質を保証されなくてはならない。Bそのため、医師(医療側)は実施者の教育やリアルタイムでの指示・助言、行われた医療行為についての事後検証等について積極的に監修する。以上3点に集約できます。
救急救命士は、法改正によって、昨年4月からは、医師の個別指示なしで電気ショックを行えるようになり、今年7月からは医師の指示によって気道へのチューブ挿入が行えるようになりました。さらに、平成18年4月を目途に、医師の具体的指示に基づき、救急救命士に薬剤投与、エピネフリンという心肺再開のための強心剤を認めることとされています。
 このように救急救命士の処置範囲が拡大していく中で、救急救命士の知識・技能の向上や医師、救急病院との連携はこれまで以上に重要になっていることから、メディカルコントロール体制の構築が進められています。
地域住民に対して安心できる救急活動を提供するメディカルコントロール体制の現状をまずお聞かせいただき、救急救命士の具体的な現状も併せてお答えください。

答弁
〇中村消防担当部長
 1番目の「安心安全な街づくり」の1点目「メディカルコントロール体制の充実」についてお答え申し上げます。
 メディカルコントロールとは、議員仰せのとおり、医学的観点から救急隊員が行う応急処置の質を保証することとされ、そのためには、常時指示体制、事後検証体制、教育体制の充実を図ることが必要であるとされております。
 この体制の構築につきましては、平成8年8月に山口県が医療機関と消防機関との連携調整機関として設立した「山口県救急業務高度化推進協議会」を国の通知に併せて、山口県メディカルコントロール協議会として平成14年6月に設立し、さらに、平成15年3月には、山口県を東部、中部、西部と3つのブロックに分けた各地域のメディカルコントロール協議会を設置いたしました。
 光地区消防は、県立中央病院を中核病院とした、中部メディカルコントロール協議会に加入しており、県立中央病院とは、救急救命士への医師の指示及び搬送患者の応急処置の事後検証をすることにつきまして平成16年4月に委託契約を交わし、応急処置の拡大に対応できる体制を整えております。
 また、光地区消防では、この協議会の他、迅速な応急処置が出来るよう平成8年から「光地区救急業務連絡協議会」を立ち上げ、光市立病院と大和総合病院の協力のもと、常時指示体制、医学的見地からの事後検証、さらには、救命士の知識、技能を維持するための研修を実施しております。
 このように、光市立病院、大和総合病院との2次医療圏内でのメディカルコントロール体制の確立と併せ、2次医療圏で処置できない事案に対する県立中央病院でのバックアップ体制はすでに整いまして、これからの救急救命士の処置拡大という方向に進んで行こうとしている状況でございます。
 次に、救急救命士の具体的な現状でございますが、現在16名が救急救命士の資格を持っておりまして、昼夜を分かたず救急業務にあたっております。
 救急救命士の処置拡大につきましては、議員仰せのとおり、医師の指示なしでの徐細動、心肺停止患者への気管挿管、さらには薬剤投与と拡大されて参ります。
 このうち、「指示なし徐細動」はすでに平成15年10月から実施しておりますが、気管挿管につきましては、62時間の講習が必要で、現在救命士を山口県消防学校で、順次受講させており、16、17年度で全員講習を終了する予定としておりますが、この気管挿管の出来る救命士になるためには、年間の手術例が500症例以上の病院で、かつ、患者の承諾を得て30症例の実技が必要でありまして、この実技につきましては、現在のところ、山口大学医学部になるものと考えております。
 また、平成18年度をめどに、心肺停止患者に薬剤投与をすることとなりますが、来年度から、救急救命研修所で250時間の薬剤投与追加講習が予定されており、この講習にも順次受講させる予定でございます。
 応急処置の拡大に併せて、救命士として知識や技術の維持が必要でありまして、実務に就く前に2ヶ月間の就業前研修と、業務に就いた後も、毎年 64時間の技能維持研修、また、定期的に救急隊員の資質の向上を図るため平成15年から光市立病院、大和総合病院の医師を講師とした症例検討会などの勉強会も、両病院の格別な協力のもとに行っております。
 光市立病院5回(12月・2月・4月・6月・8月) 大和総合病院1回(7月)
この他、全国救急隊員シンポジウム、日本臨床救急医学会、救急医療業務実地修練等、全国レベルの講習会にも積極的に出席させ、救急隊員の技術の向上や維持に努めている所であります。
 今後も救急救命士の処置拡大に併せて、さらなる救急救命士のレベルアップ、救命率の向上に努めて参りたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。


A合併後の自治体病院としての役割
突然、心臓や呼吸が止まって救急搬送される人が全国的に増えている中で、光地区においても急病で搬送される方は、年々増加している現状です。これらの急病患者の命を救うためには、一刻も早い的確な手当が必要なのです。「一人でも多くの人命を救うためには、何が必要なのでしょうか。
「メディカルコントロール体制」を作り上げるため、平成15年3月末までに県内に3地域(東部・中部・西部)の「メディカルコントロール協議会」を設立していますが、この協議会は、医師と救急救命士とが今後より深い連携を築いていく上で欠かせないものです。
 メディカルコントロールは、従来確立された仕組みとして協働することがなかった消防機関と医療機関が協働するという点で初めての試みですが、合併後の公立病院の役割として、メディカルコントロールの目的である地域住民の救命効果を向上するために、どのような取り組みを考えておられるのかお答えください。

答弁
〇田中市立病院事務局長
 それでは、1番目「安心安全なまつづくり」の2点目「合併後の自治体病院としての役割」についてのご質問にお答え申し上げます。
 議員仰せのように、急病や事故などによる救急患者さんに一刻も早く的確な処置を行い、一人でも多くの方の命を救うためには、メディカルコントロールの充実は重要なことと考えております。
ただ今、消防担当部長より病院との連携について答弁いたしましたように、当院では、救急業務の適切な実施に資するため、光地区消防組合と協働して医師や看護師、救急救命士などが、救急業務における処置についての症例検討会の(隔月)開催や、心肺停止状態で救急搬送された患者さんに対する救急救命士の処置について、事後検証を行い助言指導することなどにより、知識や技術を深めることに努めております。
さらに、救急救命士が資格取得後、救急救命士としての業務に就く前に実施する就業前研修や、就業後毎年実施する就業後研修を引き受けるなど消防機関と連携を深め、救命率の向上に向けた努力をしているているところでございます。
 今後とも、こうした取組みを充実させるとともに、新市発足後新しい管理者のもとで、メディカルコントロールの充実について検討してまいりたいと考えております。
 ご理解賜りますようお願いいたします。