定例会
3.子供たちのサポート体制

@児童虐待の実態と対策
 大阪府岸和田市の中学3年男子に対する親の虐待事件など、全国的に児童虐待の事件が増加しております。10年前と比較しても、10倍以上の件数となり、再び増加傾向に転じているという新聞記事が目にとまりました。さらには、1歳にもならない幼い幼児の痛ましい虐待事件も増えている中で、早急に社会全体で取り組む必要を感じずにはいられません。
児童虐待とは、家庭教育としてのしつけとは全く異なる、子ども自身の心身の成長と人格形成に深刻な影響を与える人権侵害の問題として広く社会問題となっています。深刻化する児童虐待の早期発見、早期通告、迅速的確な対応を図るため、平成12年5月に「児童虐待防止法」が成立し同年11月20日に施行されました。
その中で、これまでにはなかった児童虐待の定義として4つが明示されています。
1、身体的虐待(なぐる・ける・戸外に締め出すなど)
2、性的虐待(子どもへの性交、ポルノの被写体に強要するなど)
3、ネグレクト(適切に食事を与えない、自動車内に放置するなど)
4、心理的虐待(言葉によるおどし、兄弟間の差別的な扱いなど)
児童虐待の発生要因は、親側の事情によるものや、養育事情など複数の要因が交錯して発生すると考えられています。
山口県は4月から「ハイリスク家庭見守りチーム」を創設し、子どもの健康管理などの知識をもつ保健師を、虐待が行なわれている疑いがある家庭などに派遣し、早期発見や再発防止などに取り組む予算案が出されましたが、光市において、虐待に関する現状はどうなのか、さらに県とどのような連携をとられるのか、具体的な対応策等も踏まえお聞かせください。

A地域の連携強化
 先日テレビで、地域のみなさんが、通学中の子どもたちを温かく見守る様子が放映されていました。地区の子どもが不審者に襲われるという事件が起こり、一部の親が子供のサポートとして、通学時間帯や地区の夜警をしていましたが、少人数での対応には限界があり、地区のお年寄りに協力してもらったことから地域の方の前面協力が始まったそうです。子どもに対する事件が多い中で、地域の人たちが地域の子どもを育てる、守るという、一番理想的な体制づくりができていることに非常に感動しました。始まりは不審者の防衛手段ということからですが、地域の連携強化は、様々な問題全てに通じることではないのでしょうか。
光市においても、市内小学校の生徒に新年度早々防犯ブザーが支給され、地域で子どもたちを守ろうというありがたい動きが出てきています。本当に心強いことだと思っています。
しかしながら、まだまだ核家族・地域の希薄化などで、子育てに不安を抱えた親に対するサポート体制は、十分とはいえない状況です。増えつづけている虐待事件解決にも、子育て支援の充実は非常に手助けになるものと思っています。
一つの例ですが、社会福祉協議会が行なっているにこにこサービスなどは、一時的な支援とはいえ、核家族の多い中で、息抜きの子育て支援として重要なサポートだと思っています。その他にも市民の方の自発的な子育て支援活動、NPO法人による障害を持つ子ども達のレスパイト事業等があります。様々な支援体制をもっと多くの方に周知徹底していただき、少しでも地域のみなさんで支えあえるような仕組みづくりを強化していくべきだと思っています。行政の役割は、その仕掛け役なのではないでしょうか。母と子と父、そして人にやさしいまちを目指す光市として、16年度末には策定されます次世代育成支援計画を踏まえ、どのように考えておられるのかお答えください。

答弁
まず、1点目、児童虐待の実態と対策についてでございます。
児童虐待は、児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えることから、関係機関が連携して、児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うことが、重要と考えているところでございます。
光市における児童虐待把握件数は、平成12年度8件、平成13年度4件、平成14年度4件、平成15年度1件となっておりますが、大半は、ひとり親家庭や母親の病気等により、適切な子供の養育ができない状況にあるもので、児童相談所は、このうち7名を児童養護施設に入所措置をしております。
児童虐待に関しての市の業務といたしましては、何よりも、関係した情報の児童相談所への通告義務が課されているところでございます。通告を受けた児童相談所は、速やかに児童の安全を確認するとともに、必要と認めるときは、児童に一時保護を加えることができるとされております。児童虐待につきましては、迅速かつ的確な対応が必要なため、県では周南児童相談所管内におけます関係機関が連携して、児童虐待問題に関する地域ネットワークを形成し、児童虐待の防止と早期発見、早期対応に努めているところでございます。また地域において、児童虐待を発見しやすい立場にある保育園、幼稚園、小学校の職員、医師、保健師、民生・児童委員の方々は、児童虐待の早期発見につとめなければならないとされており、そうした事例があれば、直ちに児童相談所へ通報するよう関係者へお願いしているところでございます。
平成16年度に策定いたします次世代育成支援行動計画にも児童虐待の防止と早期発見、早期対応に関する取り組みについても盛り込みたいと考えております。なお、現在、国会においても、対策の強化に向けて改正法案が提出されているところでございます。
今後とも関係機関と密接な連携を取りながら、児童虐待の未然防止と早期発見及び市民への啓発に努めてまいりたいと考えます。

次に2点目の地域の連携強化についてお答えいたします。
議員さんのご質問の中にもありましたように、地域の人達が地域の子供を連携して子育て支援をしていくということが重要な課題であると認識しております。
現在、市内で行われている民間の子育て支援活動は、毎週1〜2回開催の、親子・祖父母で地域の人達や自然の中でのふれあい・語り合いなどを行っている子育てサークルが4団体、不定期な開催でありますが、育児を休みたい母親をサポートする子育てサークルが2団体、毎月1回開催の子どもの生まれた月が同じ親子の、ふれあいを目的とした育児サークル15団体などがあり、地域で活発な活動をしておられます。また、社会福祉協議会のボランティアセンターでは、日常生活に何らかの支援を必要としている人へ協力会員を派遣し、低額で家事支援を提供する会員制の「にこにこサービス」やボランティア講座の開催、ボランティアに関する情報提供を行っています。さらに、「NPO法人虹のかけ橋」では、障害をもつ子どもたちの放課後の支援、養育や介護の必要な人への一時的支援などの活動をされており、これらは地域での重要な子育て支援体制だと考えておりますし、市も事業の一部を助成しているところでございます。このような団体の活動は、地域社会の中で今後、大きな役割を担うことになると考えており、こうした取り組みへの支援のあり方や、子育て支援センターやボランティアセンター強化の方策、あるいは、民生児童委員との連携の強化、高齢者などとの世代間交流など、さらなる地域のネットワーク化に向けても、先ほど申し上げました次世代育成支援行動計画を策定する中で、十分検討して参りたいと考えております。