定例会
3、子育てにやさしいまちとは

@学童保育のあり方

 今様々な場面で、学童保育のあり方が問われています。こどもの健やかな成長を願う気持ちは、誰しも同じです。そもそも「学童保育」は留守家庭の親にとって、下校時間の早い低学年を中心とした子どもを一人にしてしまうには、あまりに不安が大きく、その解決策のひとつとしてスタ−トしました。
しかし、当の子どもたちにとってはどうなのでしょうか。
特別な条件のもとで保護・管理されるのではなく、学校の友達、近所の友達、あるいは公園でいっしょになる友達を含めて、自由な放課後の時間を地域の中で、思う存分に遊び切れることが何よりのことと思います。「あずけておく」「あずけられてる」だけの場ではなく、子ども達が「ただいま!」と元気よく帰ってこれる第二の家庭として、いきいきと毎日を過ごせるような、友達や近所の子ども達が気軽に遊びに来れるようなそんな学童保育であれば、どんなにすばらしいでしょう。
「働きながらの子育てが尊重され、公的に充分な資金援助を受けながらも行政の介入は少なく、親たちの意見が子育ての現場に充分反映され、指導員が働きやすく、その専門性が正当に評価されており、そうした条件の下で子どもたちが元気いっぱいにのびのびしている学童保育」このような施設像は、どのような制度の下で実現可能なのでしょうか。今後は委託制度や公立公営に代わる、新しい学童保育のあり方が模索されなければならないでしょう。
 光市においては、合併に向けて確認された学童保育の件で、多くの議論が出されてきました。金額の問題・時間の問題・定員の問題・指導員の資質の問題・福祉と教育委員会の問題等。要するに、今の学童保育のあり方に根本的なメスを入れるべき時ではないかと思っています。
 今の光市に足りないもの、それは多様なニーズに応えるための改革だと思っています。例えば、サンホームだけでなく、公民館でのサポート、地域の方の協力を最大限に考え、昔の遊びや楽しい英会話教室など、趣向を凝らした選べる放課後教室を展開していくことも可能です。また、サンホーム自体が選ばれる施設となるために、指導員のやる気が出せるような環境づくり、一律いくらで何時までという決まりではなく、遅くまで見てもらいたい人、早くお迎えに行ける人等、様々な条件で区別をしていき、料金設定等、時間もサービスも選べることが必要ではないでしょうか。そこには、親・地域・行政のしっかりとしたコミュニケーションや協力体制が必要です。まずは、どのようなことができるか、現場の声・親の声をしっかり聞いて、できることからはじめる努力をしていただきたいと思っています。当局のご見解をお伺いします。

答弁
 これまでにも申し上げております様に、学童保育は、児童福祉法による放課後児童健全育成事業として小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童を対象に、その保護者が労働等により昼間家庭にいない場合に、授業の終了後に児童を保育し、その健全な育成を図る事業として各小学校の校庭の一部や空教室借用し、昭和50年度浅江サンホームを皮切りに、平成10年度周防サンホームを最後に、全小学校区で学童保育事業をスタートした訳でございます。その間、指導員につきましては、個人と委託契約し、各サンホーム毎に運営をしてきましたが、平成13年度から市直営で運営することとなり、今日に至っているところでございます。
議員仰せの様に学童保育の種々な受け皿を準備し、多様なニーズに対応できる事業展開が理想とは思いますが、「働きながらの子育てが尊重されること」に対し「在宅での子育てへの評価と支援も」との声があるのも又、事実でございまして、いずれにせよ、子育ての基本は、何よりも家庭であり、行政は、そのサポート役であるという原点を見失ってはならないと考えております。その上で、行政や地域そして学校で何がなし得るのか行政内部の一層の連携を深めながら、行政と市民との協働体制をどう構築していくのか、さらには事業所やNPOなどの民間活力をどう生かしていくのか、まさしく、まちづくり全般にかかわる重要な課題と考えております。特に行政のみの対応にはおのずと限界があるわけでございますので、サンホームの充実と世代間交流などの活動展開の工夫を図りながら、学校をはじめ既存の種々な生涯学習関係施設や教室、スポーツ団体、子育て支援グループなど多くの官民の社会資源のさらなる有効活用や活動の助長と支援などが今後、益々求められてくるものと考えております。 
こうしたことを踏まえながら、先行議員にもお答え申し上げておりますように、来年度策定いたします次世代育成支援計画の中で、市民ニーズを踏まえながら、また、庁内の関係所管からなるプロジェクト的なものも立ち上げ、その方向性を定めてまいりたいと考えております。



A窓口の一本化
 全国の自治体で、「こども」を名称に取り入れた部・課が急速に広がっています。児童福祉や青少年育成など、これまで複数の部局にまたがっていた子ども施策部門を、一つに統合するのが狙いで、自治体関係者は「縦割り行政を改め、子どもの視点で考えていこうという取り組み」と話しています。
 子どもを取り巻く環境は、核家族の増加や地域社会の崩壊、少子化の波を背景に、児童虐待や不登校、引きこもりなどの問題が深刻化し、孤立しがちな母親支援の重要性も高まっています。
 これに対して、児童福祉や学校教育、青少年育成を軸に進められる自治体の子ども施策は、妊娠から出産は「母子保健」、保育所は「児童福祉」、幼稚園や小中高校は「教育委員会」。さらに、問題行動に対処する場合は「青少年対策」や「児童相談所」などと窓口が分散し、有効な施策を打ち出せなくなってきています。市民からは「分かりにくい」との声も上がっています。
 こうした市民ニーズに応えるため、光市も窓口の一本化で、市民に分かりやすい一貫性のある行政サービスを提供する必要があるのではないでしょうか。これこそ、子育てにやさしいまちなのではないかと考えますが、当局のご見解をお尋ねします。

答弁
  それでは、3番の(2)点目「窓口の一本化」についてお答え申し上げます。
 議員仰せのとおり、全国の自治体の一部におきましては、就学前の時期を見通し、どの時期にどのようなねらいで、どのような保育・教育を行えばよいかが、全体として明らかになるように編成した幼保一元カリキュラムを策定し、実践に取り組んでいる先進自治体がございます。
 これは、就学前の児童を包括的に捉え、子育て施策の推進を図るとの観点から、幼稚園の事務を市長部局が補助執行し、保育所と幼稚園を所管する「こども課」を新設したものであり、子育て支援事業等を一元的に推進していると伺っており、子育てにやさしいまちづくりを推進していく上では、議員仰せのように有効な方策の一つであると考えております。
 しかしながら、現状におきましては、保育所は児童福祉法、幼稚園は学校教育法に定められ、それぞれ厚生労働省、文部科学省の所管に分かれており、さらに青少年対策なども含めますと、一元化によって福祉的な要素と教育的な要素が混在し、それぞれ独自の体系・枠組みが崩れるといった懸念等もありますことから、慎重に対応する必要もあると考えております。
 一方、国におきましても、経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針第3弾が閣議決定され、規制改革の最重要項目の一つとして幼稚園・保育所の一元化が打ち出されているところでございます。
 今後、こうした動向に注視しつつ、幼保一元化等に関する窓口の一本化等につきましては、他市の先進事例等を調査研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願いいたします。