定例会
2、子供たちのための教育環境

@選ばれる学校になるために 
 先日、総務文教委員会で民間人校長が採用されている埼玉県川口市を視察しました。その校長先生は非常に行動力のある方で、学校現場の課題を一つひとつ改革されておられます。その中で、今回の質問には選ばれる学校というテーマで問題提起をしていきたいと思っています。
川口市の幸並中学校での様々な取り組みの中で、まず興味を持ったのは、管理職に対して自己申告制度を設け、1年間何をやるという目標を掲げさせ、その成果に対して何らかの差別化・区別化を行っていることです。今までは、何となく目標を掲げていたことが多かったのですが、一つの具体的な目標を掲げることで、確実にその成果を上げるようになってきたといわれます。また、初めは専門職である教師の反発等もかなりあったようですが、校長との充分なコミュニケーションで、随分理解されてきているようです。 
 また川口市は、市内全部の小中学校の校区を決めていません。全てを通学区域とし、自分で選択できる状況を作っているのです。従来の区域外の学校を希望する生徒は全体の12%で、主な理由は・自宅から近いから・友達が行くから・希望する部活動があるから・先生に魅力があるから等です。ちなみに、全体の8%〜9%は私立の中学校へ進学しています。 
このことから考えても、川口市のコンセプトに、選ばれるということの発想が、学校選択制を生み、最終的には教師の選択ということがその中に込められているのでしょう。それは、教師としてのやる気を起こさせることに必ず繋がるのではないでしょうか。 
 今、特色ある学校づくりということが、全国各地で掲げられていますが、まさにひとり一人の教師のやる気が、学校の魅力になり、特色を生むことになります。光市においても、今後ぜひ様々な角度から協議していただき、まちづくりの基本である人づくりの観点から、早急に学校教育現場にやる気を作り出していただき、そのための県へのアプローチを、しっかりとお願いしたいと思っています。
民間人校長についてのお考えと学校選択性について、さらに公立の幼稚園についても、選ばれる幼稚園として通学区域を取り払うお考えはないのかお答えください。

答弁
 1点目の「選ばれる学校になるため」について、数項目の問題提起をいただきましたので、教育長としての見解を述べさせていただきます。
 先ず、民間人校長についてでございますが、平成15年4月1日現在の実績総数として、全国で58名が公立学校の校長として任用されております。
 このような運用状況の中、15年3月、尾道市立高須小学校の校長が自殺されるという痛ましい事件がおこりましたことは、御案内のとおりであります。
 山口県におきましては、管理職の資質向上プロジェクト会議の中で、採用の可否を継続審議している中でありますので、任命権者の異なる市教委といたしましては、その動向を注視している現状であります。
 ある時点がまいりましたら、企業経営感覚の導入による学校の活性化が図られる民間人校長の導入について、前向きに研究してまいりたいと存じます。
 次に、学校選択制についてでございます。
 現行の小中学校の通学区域につきましては、就学校の指定が、恣意的に行われたり、保護者にいたずらに不公平感を与えたりすることがないよう、市があらかじめ「通学区域」を設定し、この通学区域に基づいて就学校の指定を行っているものでございます。
 議員仰せのとおり、学校を選択する制度は、特色ある学校づくりや、教職員の切磋琢磨など長所として期待できる反面、義務教育の市場原理による学校の序列化や、子どもの学習や生活の場が地域から切り離されるといった、懸念される点も考えられます。
 いずれにいたしましても、合併を控えてもおりますことから、その長所・短所、実践されている市町村の実態把握等、今後の課題として調査・研究させていただきたく存じます。
 続いて、通園区域の自由化につきましては、民間幼稚園との兼ね合いもありますことから、当面は現行のまま、と考えておりますが、将来的には、園児数の実態を踏まえ、行革を基本とした検討を進める必要もあるものと思っております。



A基本的な生活習慣と性教育
 東京都杉並区でも、民間からの校長先生を採用されています。その和田中学校校長(藤原先生)の新聞記事(連載)を読んでいると、現場の生々しい状況にかなり驚かされました。このような校長先生がいたら、教育の世界は本当に変わるのではないのか?と思えるほどの現状が書かれています。企業=学校現場というわけにはいきませんが、おかしいと思うことを変えていく勇気を持つことが、今の教育現場に求められているのではないかと感じました。 
 まちづくりは人づくりからということを考えると、教育現場がいかに重要であるか周知のことでしょう。家庭・地域のコミュニケーション機能が不完全な今、教育現場に求められているのは、学力向上だけではなく、基本的な生活習慣を身につけるさせることなのではないでしょうか。基本的な生活習慣(生活指導)こそ、道徳心が養われ、協調性、集中力、忍耐力のある子どもに育ち、それが学力に結びつくものと確信しています。
 また、性に関する過激な情報の氾濫、性的虐待の加害者になる何も知らない子供、教師によるわいせつ事件など、子供が巻き込まれる性犯罪が相次いでいます。 だからこそ、早い時期からきちんと知識を身につけさせることが重要だと思っています。生活指導及び性教育に対する現状を踏まえ、当局のご見解をお尋ねいたします。

答弁
 議員仰せのとおり、基本的生活習慣を身につけることは、体力向上や学力向上を目指す上においても非常に重要なことであると認識しております。早ね早起きができず、朝食も食べずに学校に登校し、授業に集中できない児童生徒がいるという報告も受けており、大変危惧しているところでもあります。
 そのような現状の中で、各校に置きましては、朝学活や全校集会など、折にふれて、基本的生活習慣確立のための指導が、児童生徒の実態に応じて行われております。また、週1回の衛生検査等の実施や、学年便りや保健便り等の発行などを通して、家庭とともに生活指導に取り組んでいる学校もあります。
 次に性教育についでございますが、私も、早い時期からきちんとした知識を見につけさせることが重要であると考えております。
 各校では、小学1年生から、学級指導及び体育の保健指導の年間計画の中にきちんと「性教育の時間」位置づけ、児童生徒の発達段階に応じた指導が行われており、人形等使っての「生命の誕生」やビデオを使っての「エイズ教育」など、児童生徒に分かりやすい教材を活用した具体的な指導がなされているという報告も受けております。また、参観日に全学年で性教育の授業を行い、保護者と一緒になって性教育を進めている小学校や全校生徒を対象とした「性に関する講演会」を行った中学校もあると聞いております。
 このような着実な教育実践が、問題行動・性非行の抑制、性被害防止に必ずや役立つものと確信いたしております。
 今後とも、各校において適切な生活指導や性教育がなされるよう、指導してまいりますので御理解賜りますようお願いいたします。


 
B通学路の安全確保
 今回、子供を持つ多くのお母さんからの通学路に対する意見がありましたので、私なりに市内の小中学校の通学路を確認してみました。現状は、通勤時間で車の多い時間帯に通学する子供の安全が、これで大丈夫なのかと思えるような現場も見受けられ、少し驚いています。特に島田地区の県道の状況を見ると、歩道は狭く、なだらかでなく、ガードレールも一部付けられているだけで、全く改善されていない状況が続いている部分があります。子供のみならず、自転車での走行、車椅子を利用する人にとっても非常に危険な現状です。今、数年前から交通安全事業として、徐々に県道の改修工事が行なわれていますが、年次的な工事とはいえ、まだ数年かかるということをお聞きしています。完成するまでの一時的な安全対策等も必要と思いますが、今後の改修計画をお聞かせください。なお、事業計画の中に入っていない場所も一部あるようですが、全体的な計画等もあわせてお聞かせください。また、県道のみならず、通学時間と通勤時間とが重なる時に、狭くて非常に危険な道もあります。通学路の安全対策として、当局がどのように考えておられるのかお聞かせください。

答弁
2番目、子供たちのための教育環境についての3点目、通学路の安全確保についての内、県道関係についてお答えいたします。
島田地区の県道は、島田市交差点から島田駅前を通り、玖珂町まで延びる一般県道光玖珂線であり、また島田市交差点から上島田六丁目までは、島田市島田駅前線として計画決定をしている都市計画道路でもございます。
県道の状況でございますが、議員ご指摘のように、歩道が狭い箇所や、マウンドアップされている箇所、また縁石の変わりにガードレールが設置されている箇所などがございますが、通学路として指定している区間については、一応の歩道の設置はなされているところでございます。
現在、島田市交差点から島田小学校前の領家交差点までを県事業の都市計画街路事業として、また、中島田の田中鋼材前から上島田小学校前までを交通安全事業として、主に歩道整備を重点に整備を進めているところでございます。
交通安全事業は、上島田の山近、石田地区など、歩道のなかった区域を優先的に整備を行い、中島田公民館から山近まで、ほぼ歩道の設置を終えたことから、今後、山近から上島田小学校前の歩道の狭い区間、また中島田公民館から田中鋼材前までの歩道整備に、移行するとのことでございます。
事業の実施に当たっては、予算の確保や、事業用地の土地や家屋の土地所有者のご協力をいただかなければ、事業が進まないものでございますが、いずれにいたしましても、交通弱者に対する安全性の確保は最優先になされるべきものであり、現在整備計画のない、田中鋼材前から領家交差点までの区間等、歩道としての一定の幅員はありますが、この区間も併せ、道路管理者であります山口県に対し、早期に道路整備が進捗するよう、引き続き要望を行って参りたいと考えております。



C学校図書館の充実
 学校図書館は様々な資料・情報の活用を通して子どもたちの「自ら学ぶ力」をはぐくむ活動の拠点、読書を通して子どもたちの豊かな人間性をはぐくむ活動の拠点として、その役割が大いに期待されています。学校図書館は、学校のすべての子どもたち、教職員が必要とする資料を迅速・的確に提供しなければなりません。それには、日々新たに生まれる資料・メディアを幅広く知ること、利用者の立場に立った資料組織化ができること、利用者と資料を確実に結び付けられる技術と方法論をもった司書としての専門性が不可欠です。「資料を知り、利用者を知った」司書による日常的なサービスが、子どもたちの「知りたい、学びたい」気持ちを育て、教育をより豊かに広げることにつながるのです。
光市は、県内でも早くから司書の免許を持つ指導員を小中学校へ掛持ちとはいえ4名採用しており、非常に効果を上げています。合併法定協でも図書指導員全校配置の早期実現に向けて要望が出されておりますように、早急な対応がなされるようお願いしていきたいと思っています。
当局は合併を踏まえ、年次的に市内小中学校への図書指導員の充実を実現するとおっしゃいましたが、では来年度はどのように考えておられるのかまずお答えください。また、図書指導員を全校へ配置することで、いったい予算はいくらかかるのでしょうか。まちづくりの基本である人づくりの観点から、非常に効果のあがっている司書配置に、なぜ年次的といわず、すぐに全校配置できないのでしょうか。お答えください。

答弁
 学校図書館の充実の一環である、図書指導員の配置についてのお尋ねでございますが、議員仰せのとおり、現在の小学校3名、中学校1名の配置によって、学校図書館の整備はもちろんのこと、きめ細かな指導と関わりの中で、児童・生徒は、朝の読書活動に励むなど、子どもの読書に対する関心は年々高くなっていると認識しております。
 学校図書館がその機能を発揮するためには、まず現在の図書指導員等を継続する必要があることについては言うに及ばず、さらなる充実を図るため、現在小学校6校で、例えば「読み聞かせの会」と呼ばれるボランティアグループが発足しております。読み聞かせ・語り・朗読など、朝や昼休みの時間を利用して活動していただいており、図書指導員の方からアドバイスを受けることもあると聞いております。そうしたボランティアグループの中には、市立図書館による「読み聞かせの会」「語りの会」へ参加し、学校でその成果を生かしたいとの申し入れからスタートした学校もあったようでございます。
 いずれにいたしましても、学校図書館における図書指導員等の果たす役割は大きいものがございますことから、引き続き、来年度も司書教諭や学校図書館担当教員との連携のもとで、ボランティアグループの支援もいただきながら、図書館整備や図書指導にあたっていきたいと考えております。
 なお、予算的なお尋ねがございましたが、図書指導員を全校配置すれば、約900万円の予算が必要になります。以上、御理解を賜りますようお願いいたします。