定例会
1、患者サイドに立った病院改革

@ジェネリック医薬品の効果
医療用医薬品には同じ成分、同じ効き目で、高い薬と安い薬があるのをみなさんご存じでしょうか。高い方は、日本で最初に発売された薬(新薬)で先発品と呼ばれており、安い方は、新薬の特許が切れた後に厚生労働省の承認を得て発売される薬で、後発品と呼ばれます。後発品は欧米では一般名(generic name)(※成分名のこと)で処方されることが多いためにジェネリック医薬品とも呼ばれています。
新薬は、特許を出願してから20〜25年間、開発メーカーが独占的に製造販売することができます。しかし、その特許が切れれば、その有効成分や製法等は共有の財産になり、ジェネリック医薬品メーカーから同じ成分、同じ効き目の医薬品をより安価で国民に提供できるようになります。また、新薬の特許期間が満了するまでには、発売されてから長期間を経ていますので、その期間中の多くの使用実績や安全性の定期報告等により、その薬は発売されてまもない新薬と比べて効き目や安全性が十分確認されたものといえるでしょう。
 予期できない新しい病気や、今まで治療できなかった病気を治療するために、新薬の開発はとても大切です。しかし、保険制度の大幅な改正で、これからは新薬とジェネリック医薬品をバランスよく用いることにより、高騰する患者さんの医療費の自己負担を和らげることを考えていかなければならないのではないでしょうか。
現在光市立病院では、ジェネリック医薬品の採用がありませんが、大和病院では、上位200品目が既に採用されております。近隣の国公立病院でも採用が増えているという現状の中で、今後のジェネリック医薬品使用に対する当局のお考えをお伺いします。
さらに、自治体事業に対して、地元企業を優先した配慮が多くの分野でなされている中で、光市立病院の医薬品購入に関しては全くその配慮がないのは何故なのでしょうか。光市に貢献する企業を優先した医薬品購入がなされるべきではないのでしょうか。
患者サイドに立った医薬品選択、及び医薬品購入という観点から、当局のご見解をお伺いいたします。

答弁
 まず1点目の「ジェネリック医薬品の効果」についてでございますが、医薬品の採用につきましては、「品揃え」「安定供給」「品質保証」「情報提供」の4つの点が確保され、しかも的確に入手できることが求められておりますので、ジェネリック医薬品については中々医療機関での採用が進んでおりませんでしたが、近年これらの課題が解消されるにつれ、価格の安さもあって国公立病院を始め、各医療機関におきまして徐々に採用が増加の傾向にあります。
 因みに当院では、純然たるジェネリック医薬品は採用しておりませんが、特許期間が切れた価格の安い、いわゆる後発品扱いの医薬品につきましては約60品目採用しており、現在医局長をトップに、医師、薬剤師等8名で構成する「後発医薬品検討委員会」を立ち上げ、その採用について検討しているところでございます。
 なお、医薬品関係に関して地元企業への配慮が足りないとのご指摘でございますが、医薬品の採用にあたっては、医師が治療をする上で必要とするものについて、薬事委員会の中で「品揃え」「安定供給」「情報提供」等の視点から検討し、導入をしているものでございます。今後は、議員の言われる主旨も踏まえて検討してまいりたいと考えます。



A2次医療体制の役割
 医療を的確かつ効率的に確保していくためには、病院、診療所、薬局等の医療関係施設間の機能分担と連携を図りつつ、住民の日常的な疾病を対象とする1次医療から、比較的専門性の高い外来医療や一般的な入院医療を対象とする2次医療、さらに、高度、特殊、専門的な医療を対象とする3次医療に至る地域医療のシステム化を推進する必要があるといわれています。
 光市立病院としては、2次医療の役割を果たしていくために、より専門性の高いスタッフと内容が求められるでしょう。そのための各部署の研修、並びに専門的な部門をどのように考えておられるのでしょうか。
 また、医療の中でも特に不足しているといわれている小児医療は、以前から24時間体制のネットワークをとお願いしてまいりましたが、小児科医の確保の問題が解決しないまま、地元や近隣の小児科医が必死に救急体制を補っているというのが現状です。ならば、2次医療の役割として、地域の1次医療に代わるものを市立病院が担うべきではないでしょうか。
例えば、小児科の診療を18時から9時までと考えると、診察件数は少なくても、市内の医療機関が閉院している時間帯を補うことができ、通常の診察が24時間体制になることになります。常勤の医師の負担を補うために、さらに臨時でも小児科医を派遣していただけるような努力は出来ないのでしょうか。
また、以前から提案している土曜閉院も、地域医療との連携という意味からも、同じことではなく専門的な中核病院としての役割に変えていくことが必要なのではないでしょうか。当局のご見解をお尋ねします。

答弁
 次に2点目の「2次医療体制の役割」についてでございますが、当院が2次医療機関としての役割を果すには、光市医師会をはじめ地域医療機関との密なる連携はもとより、専門職員としてより高度な知識の習得と技能の向上は不可欠であると認識しております。
 そのため、当院では職員の各種学会への出席及び研究発表、また各部門での専門研修会への出席等あらゆる機会を捉えて積極的に職員の資質の向上に努めているところでございます。
 次に小児の医療体制についてでございますが、当院では、平成14年度から小児科の常勤医師が2名から1名となり、その補充について関係機関に強く要望してまいりましたが、1名のままで現在に至っております。
 現行は一人の小児科医が外来も入院患者も診ながら、月数回の当直並びに小児救急患者へは呼出しにより対応しているところでございます。
 このようなハードな状況を見るに見かねて、加えて二次医療機関の体制維持を図って欲しいとの考えから、市内の小児科医のご協力の下、月1回ではございますが、土曜日の午後7時から翌日曜日の午後7時までの24時間体制で病院内に待機してもらって小児の救急患者さんの診察にあたっております。
 なお、議員ご提案の小児科の診療体制につきましては、検診業務や予防接種業務の問題、現行医師の勤務体制、また代替医師の確保等クリアすべき課題があり、今後の検討課題とさせていただきたいと考えます。
 土曜閉院の問題につきましては、現在合併に向けて二つの病院を活かした今後の病院のあり方について調整しており、その中で検討しているところでございます。

B情報発信基地としての役割
 前回、メディカルソーシャルワーカーの重要性を指摘してまいりましたが、医療・福祉・健康の情報発信、さらには心のケアにかわる情報発信基地としての役割が光市立病院には必要なのではないかと考えます。
 私は、今まで様々な医療に係わる会や講演会に参加してきました。そのたびに、いかに医療関係のネットワークが充実していないか、手術前後の患者に対する医療機関の対応、本人や家族の病気に対する精神的なケアが不足しているかということを肌で感じてきました。医療スタッフの質の向上と共に正しい情報の発信基地としての役割を、当局はどのように考えておられるのかお聞かせください。

答弁
 次に3点目の「情報発信基地としての役割」についてでございますが、議員ご指揮のとおり、患者さんが安心して入院生活を送り、また退院後の不安を解消し療養生活に専念できるよう適確なアドバイスを行うメディカルソシャルワーカーの配置は、重要な課題であると認識しているところでございます。
 現在当院では、1階薬局前に医療相談室を設置し、係長級の看護師1名を配置して医療費の支払い、福祉制度の手続き、また退院後の療養等について患者さんや家族の方々のご相談にのっているところでございます。
 いずれにいたしましても、医療相談室の業務の範囲では少々困難な状況にあることに加え、地域医療連携を強化する必要がありますことから、専門職であるメディカルソシャルワーカーの導入を考えております。



C心の救急箱の現状と効果
 心の救急箱に入れられた様々な意見は、掲示板に一部掲載され、それを誰でも見る事ができますが、トラブルに対する対処と改善は、各部署で徹底した指導が行なわれているのでしょうか。医療等のミスに対する、誠心誠意の対応がなされているのでしょうか。担当者の責任として、誠意ある対応がなされているのでしょうか。多くの優秀な医療スタッフの名誉にかけて、一部の無責任スタッフにメスを入れるべき必要もあるのではないでしょうか。現状をお答えください。

答弁
 次に4点目の「心の救急箱の現状と効果」についてでございますが、現在当院では、院内9ケ所に心の救急箱を設置して、患者さんやご家族の方々からのご意見・ご要望をお聞きしておりますが、そのご意見等につきましては各部門ごとに現状の把握と解決策を検討後、その回答を1階小児科横の掲示板に掲示するとともに、2階の談話コーナー及び外来食堂、3階から5階の患者食堂にファイルして置いています。又、住所・氏名の記載があるものにつきましては、文書でもって回答しております。
 因みに、今年度4月から9月までの半年間に137件のご意見・ご要望が寄せられております。
 その内容をご紹介いたしますと、設備に関するものが26件、食事に関するものが23件、入院中の規則等に関するものが30件、職員の接遇・対応に関するものが30件、その他28件となっております。
 これらのご意見等につきましては、すぐに対応できるものは即実施し、又、即実施が困難なものにつきましても極力ご意見・ご要望の趣旨に沿った方向で検討しているところでございます。
 また、名前が明らかなものにつきましては、該当の職員に文書を見せ、反省すべき点や改善すべきものがあれば善処方指導を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、これらのご意見・ご要望に対し、真摯に耳を傾け、患者さんから信頼される病院を目指し努力してまいる所存でございます。