定例会
2、観光で地域ブランド化

:選ばれ続ける戦略

 1年を通して、光市内では様々なイベントが行われ、交流人口を増加させるべく努力をされていると思いますが、今一光市の観光という面で考えてみても、不完全燃焼の部分が多いのではと感じています。光市といえば、海と山に囲まれた温暖な地域というイメージですが、これからの観光は投資効果をねらったリゾート地ではなく、リピーターを呼べるような選ばれ続ける観光地でなければいけないのではないでしょうか。
 ここで7月に視察した、豊後高田市の昭和の町のまちおこしをご紹介したいと思います。視察前日の夜、昭和の町を散策してみましたが、ただ寂れた商店街としか思えなかったのですが、翌日、説明を受け、商店街を廻ってみると、全く違った印象を受けました。 
 「昭和30年代の商店街の街並みの再生を」という多くの人の願いの中、「豊後高田市総合計画」の中で、商店街の活性化の施策に「レトロをテーマにした街づくり」が示され今に至ります。 
豊後高田市の商店街が最も栄え、華やかな時代であった「昭和30年代」をテーマに改修、修復し、商店街の魅力を高め、商店街の活性化を目指す目的で進められた事業です。「昭和のお宝まちかど博物館」として登録してあるお店は17店舗で、どこを訪ねても、店の人たちが親切であり、来店した地域の人あるいは観光客がガッカリしないような気配りを感じました。 
 市民や観光客のために、自慢の家宝や珍しい品を展示する「一店一宝」についても、それぞれの店が工夫をしており、お店によっては、昭和の町にマッチしたオリジナル商品、例えば人形、手ぬぐいを販売しているところもあり、非常に懐かしさと興味を誘う仕掛けではないかと感心しました。 
 何と言っても圧巻は「昭和ロマン蔵」で、説明なしに展示される圧倒的な「駄菓子屋おもちゃ」を嬉しそうに、懐かしそうに眺める観光客は、もしこの施設がなかったら、こんなには多くの人が訪れることはないと思います。 
 月に10000人程度訪れる観光客の対応に嬉しい悲鳴を上げているオーナーの小宮さんは、早くも次の構想を温めておられるようです。 
 今でも心に残っていることは、小宮さんがここに出店するに至ったのは、行政をはじめとして、町全体の熱心な勧誘があったからだということばです。また商工会議所にはもう一人のキーマンが精力的に活動していると聞き、街づくりには「キーマン」「それを支えるグループ」「行政とのタイアップ」が必要であると心から感じました。 
このことから考えても、多くの費用をかけなくても、光市の素晴らしい自然をたくさんの人に味わってもらい、また来てみたいと思われるようなそんなまちづくりを、大きな視点で捉えることが大切なのではないのでしょうか。例えばまずは光市といえば、海・・・と言われるような一つのコンセプトを創り、まち全体の取り組みとして市民の皆さん、地元商店街、企業に協力してもらえるような、地道な努力が行政の役割であると思います。そして、新しいアイディア、問題点の改善を大きなプロジェクトで、光の海または自然をブランド化できるような企画に取り組む必要を感じています。当局の今後の構想をお聞かせください。

答弁

 現在、市内の観光イベントと呼ばれる主要な行事は、年間20件ばかり開催されておりまして、市内外からの集客の確保に向け、主催団体が多彩な趣向を凝らしながら行事に取り組まれております。
 中でも、夏の「海水浴」や「花火大会」、早春の「梅まつり」には、毎年多くの観光客が訪れ、光市を代表するイベントとして定着しており、今後一層の集客向上と地域経済への波及効果の促進に力を入れていく必要があるものと考えております。
 又、四季を通じた神社やお寺の祭礼も伝統的な人々の営みとして、近頃では漸次(ぜんじ)盛んとなり、その他、農林水産物を媒体とした都市住民と農漁村の人々との交流、商店街における売り出しフェア−など様々な動機付けの中、車社会の伸展と相俟って、交流人口が飛躍的に拡大しつつあることは多いに歓迎すべきものと考えます。又、こうした催し物のステージでもある、たとえば「日本の渚100選・日本の名松100選・森林浴の森100選更には日本の水浴場88選など数々の推奨を受けております、虹ケ浜・室積の両海岸」「冠山総合公園に象徴される市内各所の都市公園」「千坊・大峯に至るコバルトライン」「室積海商通り」「峨嵋山・象鼻ケ岬」など、多くの観光スポットとしての資源につきまして、その有効活用を図るため、一層の整備も年次的に推進しているところでございます。
 こうした本市における観光資源は、全国に抜きんじて特色あるものではございませんが、最近の観光動態調査をみますと、その認知度も相当進んでいるものと思っておる次第であります。
 言うまでもございませんが、議員ご案内のとおり、平成12年度に策定されました「光市観光基本構想」には、観光拠点の整備や観光資源の掘り起こし、関連した文化・芸術資源などの複合的な結びつきを進め、点から面への広がりの中で全市を観光エリアと捉えて事業の振興を図ることを提起しております。
 そうした中で、議員仰せの「地域としてのブランド化」がこれからのテーマであり、個々にブランド化された「イベント」や「観光スポット」を特化し、大事に育て発展させることが課題であると認識をいたしております。
 いずれに致しましても、この「光市観基本構想」は本市観光の指針となるものであり、議員のご示唆を契機に今一度精査し、取り組んで参りたいと考えます。
 先に、議員が見聞されました豊後高田市の「昭和の町」は市民のみなさんが一体となっての「町おこしの取り組み」と伺い、熱心な「キーパーソン」と「組織」と「市民参加のしくみ」、そして「行政」の三位一体のタイアップが必要不可欠である旨のご教示でございます。
 本市におきましても、かって10年前に、店舗集積度が必ずしも十分でない本市商業振興の起死回生を図るべく、市内各商店会で取り組まれた様々な活動が思い起こされます。とりわけ、浅江商店会の「一店一品運動」は、キャラクターの「ひかるちゃん」を誕生させ、今も生き生きとした活躍が続いおり、「春のさくらまつり」は今や恒例のイベントとして多くの集客を見ておりますし、商店会の熱い意気込みが示されているところでもございます。
 又、本市の場合「海」をテ−マにとのご提言であり、今後、「地域ぐるみでの観光地づくり」の実践が観光地活性化の基本課題と言う視点に立ちテーマの厳選も含め、今後更なる努力をして参りたいと考えます。
 「地域プロデューサ−」としての役割を担う人材と、生活の中から活動を進める住民と地域経営を先導する信念と能力をもった「行政」、この3者の有無が、これからの本市観光振興のキーポイントであることを認識し、「選ばれ続ける光市観光」を目指し、鋭意邁進したいと考えます。議員の常日頃の地域における「こだわりのある活動」にはあらためて敬意を表しますと共に、今後とものご支援、ご協力をお願い申し上げる次第でございます。