定例会
1、病院改革は患者の声から

:サービスの向上のヒントは患者の声にあり

 最近、どの新聞を見ても、どこかの項目に必ずと言っていいほど、医療関係の記事を目に致します。その中でも特に感じることは、診療成績の公開や、更には医療事故情報等、様々な病院評価に対して積極的に取り組み、患者さんが正しくしっかりと医療機関を選択できるような情報公開に力を入れる病院が増えているということです。また、患者や市民団体の意見を積極的に活用し、病院自体の改革に取り入れている病院が目立ってきているように感じます。その中には、患者の満足度を医師の収入に反映させるほか、病院関係者には気づきにくい点を市民団体に指摘してもらって、改善につなげる動きもあります。
とかく「身内の論理」で動きがちな病院が、競争激化の中で、「顧客=患者の視点」を重視し始めたということではないでしょうか。
 昨年からの保険制度の大幅な改正、診療報酬・薬価基準の改正等、今まで以上に目まぐるしく変わる医療情勢の中で、これからの自治体病院の生き残りをかけた方向性を、合併もふまえ協議されていることと思いますが、今までとは少し視点を変えた改革に向けて、どのようなお考えをお持ちか、数点に亘ってお伺いいたします。
選ばれる病院として、日本医療機能評価機構の認定を取得することを踏まえ、また身近な改革等を念頭においてお答えいただけたらと思っています。 

@プライバシーの確保・・・最低限のサービスとして、患者さんのプライバシーを確保するための仕切カーテン、衝立、最良は仕切壁で声が外に漏れないことが出来ているのでしょうか
Aセカンドオピニヨンの勧め・・・一つの病院では診断された結果が不安であると言う患者さんに対し、または他の医療機関の意見を求めると言う意味からも医師はセカンドオピニヨンを患者に勧めているのか
B医療相談の充実・・・初めての病気や手術に対する不安を解消、または様々な健康に対する相談窓口として、現在の状況と今後のあり方をどのように考えておられるのか。今後、医療ソーシャルワーカー(MSW)を配置するお考えがあるのか。
C医療行為の標準化・・・医療の量ではなく質の向上を図るために診療行為についての標準化をどのようにされているのか。病院間での入院・治療の差違を解消するための手段をどのようにしているのか
D診療成績・医療事故情報の公開・・・患者との信頼関係、まさしく選ばれる病院としての評価をどのようにお考えか
Eインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)の文書化した規定はあるのか。現状はどうなのか。
F職員の接遇研修(パート・正職員に関わらず、全ての部署での研修はどの程度行われているのか)
G夜間救急診療の医師等スタッフの公開・・・救急で夜間利用するときに、なぜ医師名を公開しないのか。医師のみならず、看護師等スタッフの公開を進めるべき 
H全館禁煙に代わる喫煙場所はどう指導されているのか。救急の入り口付近での入院患者さんの喫煙風景は、あまり好ましくないのでは。(屋上のルーフガーデンは有効利用されているのか)
I問診票の簡素化・・・表裏に記入する問診表は重症患者にとって、苦痛な書き込みであるとお願いしたが、今後どのように対処されるのか。

答弁

 まず1点目のプライバシーの確保についてでございますが、議員ご指摘の外来診察室は、かっては良いとされたレイアウトになっております。プライバシーの確保の必要性が言われる時代に併せた改善をしていかなければならないと思っているところでございます。
 なお、患者さんや家族の方々への手術や検査、病状説明等は、完全に個室化した面談室を使用して患者さんのプライバシーの確保をしているところでございます。

 次に2点目の「セカンドオピニオンの勧め」についてでございますが、患者さんが他の医療機関での診察を希望された場合、患者さんの意思を尊重し、紹介状と共に当院での諸検査の結果等も併せて紹介しているところでございます。

 次に3点目の「医療相談の充実」についてでございますが、現在1階薬局前に医療相談室を設け、看護師長1名を配置して入院及び退院後の療養等について患者さん並びに家族の方々の相談に乗っているところでございます。
 なお、医療相談室の役割は今後、患者さんが安心して療養に専念できるよう、又、地域の医療機関等との連携等も含め、ますます重要性が増大するものと認識しているところでございます。
 
 次に4点目の「医療行為の標準化」についてでございますが、当院では標準化を図るため、学会への出席や大学からのローテーション医師がもたらす新たな知識、インターネットによる情報収集などを通じて全国レベルの医療が行えるよう努めているところでございます。
 また、疾病によってはガイドラインが定められており、これに沿った治療を行うことにより標準化もされているところでございます。
 なお、現在院内において同一疾患の場合、同じような治療を行うためクリニカルパスの導入を図っております。

 5点目の「診療成績、医療事故情報の公開」についてでございますが、市立病院の理念であります「市民に選ばれる魅力ある病院」の実現には患者さんとの信頼関係の構築が不可欠であると考えており、今後、専門医の告示等ホームページの充実や病院会報の発行等検討してまいりたいと考えております。

 6点目の「インフォームド・コンセント」についてでございますが、当院では各診療科において定められた手術同意書あるいは輸血同意書等において患者さんに対し、十分な説明と同意を得て医療の安全性の確保に努めているところでございます。

 7点目の「職員の接遇研修」についてでございますが、昨年度は臨時、正職員を問わず医師を始め看護師、事務職員等病院の全職員を対象に接遇研修の専門講師を外部から招いて2回に分けて実施したところでございます。
 なお、新たに採用された看護職員につきましては、新規採用職員研修のカリキュラムの中に接遇研修を取り入れて職員の質の向上に努めているところでございます。

 8点目の「夜間救急医療の医師の公開」についてでございますが、医師名の公表については支障もあり、担当科名を明かにするようにいたします。

 9点目の「全館禁煙に伴う喫煙場所」についてでございますが、健康増進法の施行に伴い、今年の5月から院内の喫煙場所を全て撤去して全館禁煙を実施しております。
 ついては、1階売店裏の屋外に新たに喫煙場所を設け、屋上のルーフガーデンと併せて喫煙者の便を図っております。
 なお、病院裏口での喫煙につきましては、指定場所で喫煙していただくよう指導してまいりたいと考えます。

 質問最後の10点目「問診票の簡素化」についてお答え申し上げます。
 当院の場合、診療科によっては問診票が裏表に亘っておりますが、医師がより安全な医療の提供を図る面からも現様式の質問項目は必要であると考えております。

 以上10点にわたります質問にお答えいたしましたが、当院ではますます厳しくなる一方の医療環境の中で、「市民に選ばれる魅力ある病院」になるために一層の努力が必要と考えており、ご指摘の点以外にも改善を必要とするものがありますことから、「病院機能評価」を受ける過程で整備をしていきたいと考えております。
 よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。