定例会

4、光市立病院について

 末岡市長が施政方針で触れられているように、自治体病院を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増しております。本州最北端のむつ市のむつ総合病院には、1日平均1800人の外来患者が訪れ21の診療科を抱える待合室は、連日ごった返しております。待合室の賑わいとは裏腹に、病院経営は逼迫し、いわば自治体の再建団体といえる経営健全化団体に指定されました。理由は様々ですが、全国に約1000ある自治体病院で15の自治体病院が経営再建団体に指定されており、今後も増加するのではないかと懸念されております。こういう中で市立病院の新年度予算を見てみますと、入院・外来患者とも大きな減少を見込んでおり、病院業務収入は前年比でマイナス12.9%と落ち込みが大きく、根拠は昨年の実績見込みと薬の院外処方ということですが、1人でも多くの患者さんが、市立病院を利用していただくような努力は惜しんではならないと私は思っております。
どのようなことが考えられるかまずお答え願いたいと思います。
東京都の石原知事は、今日の医療の問題を次の3つに大きく整理しています。
1.患者への情報提供の不足や医療機関の情報の不足などの透明性の不足 
2.救急医療体制が不十分、医療事故の発生などの信頼性の不足 
3.医療資源の偏在や硬直化した病床規制などの効率性の不足 
これは全国にある公立病院に共通する問題点とも言えます。
 しかし全国の自治体病院が抱える大きな悩みは、不採算部門をどうするかということではないでしょうか。先ほども申しましたように、病院を取り巻く環境が変化する中、病院間競争も熾烈になり、不採算部門問題は病院経営を考える上で避けて通れない問題であると思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。病院経営の将来の方向性と併せてお考えをお伺いしたいと思います。
 先日、有志の議員さんたちと市立病院の施設設備を見学させていただきました。他の病院と比べて改善をお願いしなければならない点はたくさんありましたが、今回は旧管理棟の老朽化対策に絞ってお尋ねいたしたいと思います。旧管理棟の老朽化は大変深刻であり、雨漏り等で備品等の管理にも支障があるとのことです。私たちはこれを早くに建て替えるべきであると考えております。
 備品や資料等の管理の問題もさることながら、市立病院で働く職員の方々の環境が劣悪であり、休憩所や更衣室あるいは研修の場所等がほとんどないことは、究極的には患者さんの利益に反することだと思うからです。
 また病院が目指している高度医療にも、その場所を提供することも出来るのではないでしょうか。財政の厳しいときではありますが、体力ある内に出来るだけの手を打っておくべきだと思うのですがお考えをお聞かせ下さい。

答弁
 平成15年度光市病院事業会計予算は、前年度当初予算と比較して、4億8,378万円、12.9%の減と大幅な予算規模の縮小となっている。
 これは、平成14年度診療報酬のマイナス改定による医療収益の減による影響や平成15年度の患者数を前年度実績から入院で2.4%の減、外来で8.2%の減と見込み、年間総患者数を前年度対比6.5%減の227,010人とし、15,800人の減少を見込んだもの。
 また、平成14年10月から薬剤の院外処方を開始したが、その実施率は、90%を上回っており、患者さんの薬に対する安全性の確保や副作用による薬害防止を目指した医薬分業の一定の成果は、出ているのではないかと考えている。こうしたことから、外来患者さんへの投薬収入が大幅に減少するとともに、支出におきましても薬品費が前年度対比4億2,211万1千円の減額となり、予算規模の縮小となった。
 医療費総枠を削減しようとする医療制度改革や診療報酬のマイナス改定など医療を取り巻く経営環境は、一段と厳しいものとなっている。特に、国の示す医療提供体制の改革においては、質の高い効率的な医療提供体制を構築することが要求され、良質な医療を提供できない医療機関は、これからは生き残ることさえ許さない、まさにその流れは「選択・競争・淘汰の時代」と言われている。病院経営革新による変化は、予想外に激しく早い流れであり、この流れを乗り切るためには、市立病院の医療従事者全員参加のもと、患者さんに選ばれる病院に生まれ変わるための素早い柔軟な行動が求められているものと認識している。
 次に、不採算部門問題ですが、自治体病院の使命と役割として、地域医療の中核病院としての救急医療や高度・特殊医療など一定の不採算部門を担う責任があるものの現在直面している経済不況や診療報酬のマイナス改定など医療制度改革の影響から患者の減少傾向は一時的なものでなく、公共性と経済性のバランスのとれた病院運営を維持していくことには、非常な困難を強いられていくものと考えられる。
 このような状況を打開するためにも地域医療の現状把握・分析に努め、公立病院としての機能・役割分担を見出すとともに、政策医療として実施してきた不採算医療部門についても見直しを検討したい。
 次に、老朽化病院施設の建替えについてですが、ご指摘の管理棟は、昭和45年に入院病棟として建築され、昭和58年病院施設の全面増改築工事に伴い一部改修工事を施工し、現在に至るまで医局・図書室・機能回復室・カルテ保管室・更衣室などとして使用されているものす。
 これまでにも病院内部において、管理棟の施設改善について検討されてきたものの患者サービス優先の観点や過去の財政再建などの苦い経験から健全運営を維持するため積極的な施設設備投資意欲は抑制され続けてきた。
 しかしながら、病院職員の働く環境としては、あまりにも老朽化と狭隘化が著しく、職員の就労意欲をけっして満足させるものではない。高度で良質かつ安全な医療を提供していくためにも働きやすく機能的な環境の整備は、必要不可欠であることは十分認識している。
 さらに、医療法改正による病床区分の選択や施設の新構造基準の設定など今後の病院経営を考えれば、疾病構造の変化や医療ニーズに適切に対応していくためにも思い切った病院施設の建替えを実施する時期にきているのではないかと考えている。