定例会

1.これからのまちづくり 

@綾町のまちづくりにヒント
私は、この10月に総務文教委員会で宮崎県の綾町に視察に行ってまいりました。綾町は、山林が総面積の80%を占め、林業によって生み出す雇用によって生計を営んでいました。しかし、戦後の機械化の進展で急速に就労の場を失い、人の住めない町になっていき、朝になると、昨日まであった商店が閉じられ、住民はどこかへ消えている。子供たちは集団就職でみんな町を出ていくという状況でした。夜逃げの町と言われていた綾町が、現在年間120万人もの観光客が訪れるような町になった経過は、一言で言い尽くせないものがありますが、「町づくりとは何か・本物の行政とは何か」行政への寄りかかりを排して、住民一人ひとりの自主自立の心をよび覚ます「自治公民館運動」に基本的な答えが見いだせるような気がします。 
自治公民館運動とは、一言で言えば全町民総参加の町づくりであり、結いの心を取り戻し、議論を重ねて自分たちの町づくりに何らかの形でしっかりと参加することです。
ここで元町長さんの書かれた本の中の文章を少し紹介いたします。 
戦後、農業から無駄を省け、それぞれの地域特性にあった単一作物による大量生産を目指せということで、生活のすみずみまで細やかな知恵を働かせる、工夫をする、物を大切にするといった習慣は失われていくばかりだった。そして、行政への寄りかかりが始まり、あそこをこうしてくれ、ここはどうしてくれるなど、口だけが動く町民となっていった。結いの心は、また自治の心でもある。自分たちのことは、足らないものがあれば互いに足し合って、自分たちで取り組んでいくのでなければ、自治とはいえない。 
昔は上意下達で物事を進めても、結果的によい行政が行われていれば問題はなかったかもしれないが、今の時代はそれが通用しなくなっている。この事実をはっきり意識するかどうかが、行政の側にとっていちばん大事な問題であると言うことができる。 
 何はさておいても必要なのは「議論」であり、その議論の場が自治公民館であるということなのです。
今後光市においても、自分たちの町は自分たちで創るという意識を、少しずつ改革していく努力をするべきだと思います。 
人口を比較しても綾町のようにはいかないかもしれませんが、各自治会単位のまちづくりの参加を、各公民館が集約するといった綾式改革を、少しでも取り入れていけないものでしょうか。お尋ねします。

 

答弁

 本格的な地方分権の時代を迎え、地域の活力を生かした活力あるまちづくりを推進していくためには、自治会活動や公民館活動、各種ボランティア活動など様々な分野で、市民と行政が役割を分担し、自主的・主体的にまちづくりに関わることが重要であります。
 このため、第四次光市総合計画では、「市民参加による自立するまちづくり」を目指し、市民総参加による「クリーン光大作戦」の実施など、これまでのまちづくりの成果等を踏まえながら、「まちづくり輝き戦略」の一つとして、「共創パートナー戦略」を展開することとしております。こうした戦略を具現化し、市民参加を促進するため、各種審議会や市民協議会の設置をはじめとして、ホームページや電子メールを活用した市民への情報の受発信システムの構築、広報ひかりや市民ふれあいトークの開催等による広報広聴活動の充実、さらには、ボランティアセンターや生涯学習サポートバンクを開設するなど、共創・協働のまちづくりの着実な推進に努めているところであります。
 また、その取り組みの一環として、本年9月には、市の施策や制度、事業などについて、職員が市民の元に出向いて講義を行う、出前講座『創(つく)りんぐ光』もスタートさせたところです。
 ただ今、議員さんから、宮崎県綾(あや)町の「自治公民館運動」を例に、市民総参加のまちづくりについてご紹介をいただきました。個性豊かで活力あるまちづくりが求められている今日、従来にも増して、多様で多面的な市民参加が必要となっており、そういった意味において、綾町の取り組みは、これからのまちづくりに大いに参考になりました。
 本市におきましても、自治会や公民館などを中心に、文化体育活動をはじめ青少年の健全育成や地域福祉の推進、さらには、ごみの減量化やリサイクルの推進など様々な取り組みが進められており、このような活動を通して、豊かな地域コミュニティが形成されてきております。今後とも、市民参加システムの更なる充実や市民意識の高揚を図り、市民の皆さんと共に考え、共に知恵を出し合う「共創・協働」のまちづくりを進めてまいる所存であります。
  


A市民発信のまちにするために
市長さんがいつも言われている光り輝くまちとは、市民の皆さん一人ひとりが市政に関心を持ってもらうことだと思ってます。今までに市民協働のまち、NPOの育成等自分達で創っていくという観点から問題提起をしてまいりましたが、NPOに対する光市独自の動きが今、活発になりつつあるように感じています。しかし、まだまだ行政主動のまちづくりから脱していない事も事実ではないでしょうか。イベントひとつにしても、上意下達のイベントではなく、市民の発信するイベントに切り替えていく事。それは、今までやっていたからやる・いままでこうだからという、こなす発想ではなく、楽しみながら新しい事にチャレンジできるシステムは出来ないものかと思います。
ここで市民の方から頂いた情報で、秋田県の鷹巣町を紹介したいと思います。鷹巣町では、住民と行政が共同作業でまちづくりを行う「住民参加のまちづくり」を進めていますが、その代表的な手法として「ワーキンググループ」があります。ワーキンググループとは、「自ら考え、提言し、できるものは自らがボランティアとして実行する」ことを基本とし、福祉をはじめごみのリサイクル、駅前再開発、町営住宅の立て替えなど8つのワーキンググループが活動しています。 今までの成果については、すべて住民のボランティア組織であるワーキンググループによって検討・提案がなされ実現したものだそうです。具体的に駅前の空き店舗を利用して、元気ワールドを開設し、市民の集まる場を提供しています。午前は高齢者、午後は小中学校の生徒が集まり、世代間の交流が行われ、まちの活性化を図っています。
どこの事例も10年近い活動をしている例で、従来の組織に住民が形だけ参加する方式を抜本的に改めて、広く生涯学習活動の観点から住民参加していける、住民主体の計画を策定することにしてはいかがでしょう。
いずれにしても意識改革が必要ですから、この前のNPO講演会のような、光市以外から人を呼んで、活動事例を紹介しながらワークショップを始めることも必要と思います。このあたりは福祉、生涯学習、企画などの関係課にまたがる課題なので、市長さんのの旗振りが大事と思います。
今後のNPO等に対する市民発信のまちづくりに向けた計画を、お聞かせください。

答弁

 平成10年に、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行されたことを契機に、福祉や教育、環境保全などの様々な分野で、主体的・自発的な市民活動が活発化し、地域社会の中で大きな役割を担うようになってまいりました。
 本市におきましても、議員ご承知のとおり、現在、「浜木綿(はまゆう)」さんと「虹のかけ橋」さんがNPO法人として県の認証を受けて、それぞれ事業を展開しておられます。
 また、このほかにも数多くの市民団体が、様々な立場で主体的にまちづくりに取り組まれており、こうした団体が行うイベントやボランティアなどの市民活動は、地域の活性化やまちのイメージアップなど、本市のまちづくりを支える大きな力となっております。
 また、市といたしましても、こうした市民活動の重要性を認識し、本年度、市民活動への今後の支援策を探るため、九州一のボランティア都市を目指している宮崎市への職員の派遣や、市民及び職員を対象としたNPO研修講座の開催などにも取り組んだところであります。
 いずれにいたしましても、「人も 街も 自然も ひかり輝く元気都市」の創造には、市民と行政とが、共に考え、共に知恵を出し合う「共創・協働」のまちづくりが不可欠であります。引き続き、本市の市民活動団体の活動実態や意向の把握など、今後の支援に向けた調査研究を進めるとともに、活動に関する情報の提供や団体間のネットワークづくり、更には、地域のリーダーとして活躍できる人材の育成などにも取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

BI Tへの興味から活用へ

  光市では光地域情報化計画の中で、市民の能力の向上のためのIT講習等が実施され、市民の皆さんがインターネットを理解する事への成果は出ていると思われます。今後は、その一定の成果を、活用できるまでにするための講座へと進展していってほしいものです。
例えば、一律の講座でなく、年齢にあった進め方があってもいいのではないでしょうか。将来の電子自治体の実現のためには、多くの市民が活用できるようになる事が大切です。今後はパソコンの活用のための講座、例えば岩国市や岐阜県各務原市(かがみはらし)でも行われている自主的に学習する井戸端講座の実施等、光市でも活用に向けての講座を取り入れていただきたいと思いますがどのようにお考えでしょうか。
また、現在各公民館に置かれているパソコンの利用状況と、今後の有効な活用についてお聞かせください。

 

答弁
 まず、ITの活用に向けた講座、講習会の実施についてでございます。光地域情報化計画に基づいたIT講習会を、今年度から、教育委員会において、初心者を対象に開催しているところでありますが、最終的には、約400人の市民が受講される見込みとなっております。
 この講習会についての受講者を介したアンケ−ト調査によりますと、ほぼ全員の方から、概ね良好との評価をいただいておりますものの、一部の方からは、受講した後の相談窓口や具体的な活用方法など、ITの活用に向けての要望も出されているところであります。
 このようなITの活用に向けた取り組みとして、岩国市、岐阜県各務ヶ原市(かかみがはら市)の事例のご紹介をいただきましたが、東京都三鷹市においては、高齢者が主体となったNPO法人により、受講者の自主的・自発的な相互学習による「コミュニティ学習」と銘打ったIT講習会が実施されるなど、新機軸による事業が展開され、全国的な注目、評価を受けているところであります。
 こうした先進事例などを十分に研究、参考にいたしまして、情報学習ボランティア関係の市民活動団体との連携も念頭におきながら、来年度のIT講習会の開催内容については、今以上に受講しやすい、わかりやすい講習会となるよう、具体的な検討を行ってみたいと考えております。
 次に、公民館に配置しています40台のパソコンの利用状況と今後の有効活用についてでございますが、現在、小・中・高校生を中心に、1ヶ月平均500名から600名程度の利用があり、インタ−ネットを利用したホ−ムペ−ジの閲覧を中心に、市民サ−クル等の交流の場といたしましても、積極的な活用がなされているところであります。
 しかしながら、こりらの利用におきまして、利用者のモラルなど、若干の問題も含んでいますが、今後とも、市民の皆さんが必要な情報を、手軽に入手できる場の提供を図るために、引続き、公民館報などを通じまして、積極的な呼びかけをしてまいりたいと考えています。ご理解いただきたいと存じます。