定例会

2.地域医療について

@自治体病院の役割

自治体病院は、全国に千を越える施設を持ち、実に約6割が赤字経営にあえいでいるということです。国の低医療費政策や地方における医師確保の難しさ、自治体の財政悪化による一般会計繰り入れの見直しなど、取り巻く環境は激しさを増すばかりです。

現状では、規模の差こそあれ、それぞれが自治体病院の使命に沿って地域医療の中核として機能していますが、公的病院の見直しに対して、明確な道筋を立て、存続できる機能発揮を見せなければ、現状での存続は難しくなってくるでしょう。この差し迫った現状を職員全員が認識し敏感に反応する姿勢、心構えを磨かなければなりません。この医療環境の激変は、15年の急性、療養区分申請、18年の病院構造規制の施行に向けて一気に加速することは確実です。生き残りを賭けて、内部改革、機能転換するとしても時間はそれほど残されていないのです。

光市立病院も、今後の体制等十分検討されているとは思いますが、私は、立地条件、周辺の医療機関等のことを考えると、専門性の高い急性期の病院として確立していく事が的確であり重要ではないかと考えます。また、何よりも大切な事は、中身の濃い人材、それは、患者さんの立場に立った信頼関係のもてるスタッフであり、スタッフ同士のチームワークが濃くなければ成り立ちません。一言で意識改革といっても、今までの空気を変えることは相当時間もかかりますし、はっきり言って不可能かもしれません。今だからこそ、光市立病院経営に、民間からのスペシャリストの必要性を考えなければ、思い切った改革はできないのではないかと考えます。

自治体病院存続にかけて、どのようなお考えをお持ちかお聞かせください。 

 

A連携ネットワークの確立

さらに、今後大きな枠組みの中で「地域医療連携ネットワーク」を立ち上げることが重要なのではないかと考えます。自治体病院、休日診療所、各診療所等それぞれの施設が医療の役割を明確にし、(1次・2次・3次診療の役割分担)地域住民の安心と安全を確保するための連携を強化することで、総合的な管理ができ、そこから正しい情報提供を発信することが出来ます。

 勿論、このネットワークには、各地域のかかりつけ医、訪問看護センター、特養、老健、療養型等様々な施設が一緒になって、医療保険と介護保険の関わり、トータル的な福祉の質の高度化を図る狙いもあります。総ての患者情報の核となる場所を中心に、共に助け合い、各専門分野の業務の標準化を図ることも重要になってきます。

 救急医療、急性期医療から在宅医療まで一貫した連携ネットワークの構築により、地域医療の複合体機能を整備し充実する事は、21世紀地域医療の理想ではないでしょうか。

将来的なビジョンをお聞かせください。

 

 

 

答弁

 

 それでは、磯部議員さんの2番目の地域医療についての1点目「自治体病院の役割」についてお答え申し上げます。

医療を取り巻く環境は、議員も仰せの通り相次ぐ医療制度改革により病院自体の存在をも危うくするほどの厳しさで実施され、特に自治体病院においては、長引く景気の低迷の中で地方自治体の財政運営の困難さも加わり、その経営環境は、以前にもまして厳しいものと強く認識しているところでございます。

 そうした中、光市立病院の平成13年度決算におきましては、おかげをもちまして黒字決算となり、入院・外来患者数がともに減少するなどさまざまな問題を抱えながらも昭和62年度以来15年連続して、健全経営を維持することができました。

 しかしながら、議員ご指摘の病床種別の届出や新たな施設構造設備基準の設定などこれからの自治体病院経営にとっては、その選択や施設設備の更新による施設基準への取組みは、避けて通れない大きな課題となっており、まさに生き残りをかけた重要事項と捉え、現在、院内で検討中でございます。患者さんのニーズに応え、地域医療の中核病院としての機能を発揮するためには、立地、地域二一ズ、病院資源などを踏まえ、公立病院としての機能を明確にした医療供給体制や戦略を構築していくこと、また医療提供者としての原点に立ち返り、光市立病院を利用してくださる患者さんをいかに大切にしていくことの努力が必要かを念頭に、今一度見直しに努めていきたいとかんがえております。

 ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 それでは、磯部議員さんの2番目の2点目の「連携ネットワークの確立」についてお答え申し上げます。

 「地域医療連携ネットワーク」の将来的なビジョンのご質問でございますが、地域医療連携ネットワークの整備によって、病院と診療所、又各施設の持つそれぞれの特色が、一層発揮できると共に、高度医療機器の配置や利用の効率化、あるいは必要な情報の提供・交換や連絡調整組織の教化、さらには医療機関相互が役割を分担して有効的な病床利用が図られるなど、多くのメリットがあるものと考えております。

この場合、医療、保健、福祉のトータルネットワークの中核となる病院には、医療分野、特に救急医療・急性期医療のトップレベルを確立し、「人にやさしく、信頼され、迅速な対応がとれる病院」が必要となりますし、地域の各医療機関、各福祉機関との連携を深め、地域社会に最大限貢献できる地域の立場に立ったトータルサービスの提供が不可欠となってまいります。

 そのため、情報共有化を目的にした、地域医療連携ネットワーク化の構築には、何よりも中核となる医療機関、医師会、各診療所をはじめ関係機関が役割分担など十分な理解のもと、一体となって推進する必要がございますし、例えばカルテの共有化につながる病院と診療所を結ぶ先進的IT情報技術といった技術知識の向上、連絡体制の整備、費用の問題等クリアしなければならない課題が数多くあろうかと考えております。

 いずれにいたしましても、市立病院のあり方を含め県や医師会、各関係機関の調整が必要でございますので、議員ご提案の趣旨を踏まえ、それぞれの関係者と協議するなど、今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。

 以上、ご理解賜りたいと存じます。