定例会

少子化問題について

   昨年1年間に生まれた新生児の数は117万5千人。今年の新成人が164万人だから、いかに少子化が進んでいるか理解していただけると思います。ところで、みなさんは、少子化問題をどうお考えですか? ただ単に出生率が低下し、子供の数が減少することですまされない時代にきています。大きなテーマですが、核家族化、自己中心、地域の希薄化、豊かさ、学校崩壊、いじめ、しつけ、高齢化社会、社会保障など、どの言葉をとっても少子化に関係してくる問題ではないでしょうか。この問題にどう取り組んでいかなくてはならないのか、どこからメスを入れなければならないのか。今、世界で日本でそして各地域で、様々な取り組みがなされています。表面的な問題ではなく、内面からの意識改革が必要なだけに時間がかかることかもしれません。しかし、手遅れにならないためにも、今からできることを私たち一人一人が自覚し、行政、企業と一緒になって取り組んでいかなくてはならない事を提案していきたいと思います。

@少子化の原因と影響

  全国的に考えても、少子化の原因は未婚率の上昇が考えられます。しかしその9割はいずれ結婚するつもりと考えています。未婚率上昇の要因は、仕事と育児の両立に対する負担感や結婚に対する世間の圧力がなくなるなど、個人の結婚観や価値観の変化などが考えられます。また、子供の数の減少は、経済、家族、地域社会に大きな変化をもたらし、社会経済そして私たち一人一人の生活に大きな影響を与えると考えられます。例えば社会保障の分野でも、負担の増加で、働くことが生活水準の向上に結びつかなくなる意識が出てくること、これはこの問題の典型であると思います。そして「家族」というものが大きく変化してしまう。子供の社会性が育まれなくなる。市の基本的サービスが困難になるなど、その影響は計り知れないものがあります。

A増える35歳からの出産・育児

  先日、非常に興味のあるTV番組を見ることができました。見られた方もいらしゃると思いますが、みなさんにご紹介しておきたいと思います。

  働く女性は今まで、「子供を産みたい」と思ったら退職するか、そのまま今のペースで働くか、そして生まないかの選択肢しか持っていませんでした。少子化が女性の社会進出によりさらに進むとしたら、企業が女性に優しさを持つことがそれに歯止めをかける1つの要因となる、ということができるのではないでしょうか。現在、業種に関係なく11%の女性が35歳を超えてから出産に踏み切っている状況です。育児休業中も40%の給料を保証する「育児休業法」の成立と強まる雇用機会均等の動きもその背景にあります。企業の対応に恵まれた人・恵まれない人と様々ですが、リストラが急ピッチで進むこのご時世に、妊娠してしまった女性は合理化の対象になる場合が多いと思います。女性社員には文句を言わせないだけのキャリアを築きあげる努力も必要になってくるようです。

  また、育児先進国といわれるイギリスでは、NWW(新勤務制度推進会)が育休制度の整備を企業に求め続けています。「ジョブシェアリング」という制度で、賃金は半分になるものの、今まで1人でやってきた仕事を2人で分担しようとするもの。たとえばAさんは月曜日から水曜日まで出勤。Bさんは水曜日から金曜日まで。両方が出勤する水曜日に仕事を引き継ぐ。また、分からないことがあればEメールなどで連絡を取り合う。

育児が一段落すれば毎日働くことを選択することも可能だし、朝早く出勤して、午後3時には退社し子供とのんびり過ごす時間を作ることも可能。このように、イギリスには日本には見あたらない、かなり自由になる育休制度が存在します。大企業の50%、公務員の係長級以上の500人がこの制度を利用しているということです。

  また、イギリスでは12月から「親の休暇制度」が始まりました。子供が5歳になるまで夏休みや病気の時に限って13週までの休暇が取れます。

イギリスは、「社員=親」と認める風土があります。残念ながら日本はまだまだ「社員=やっぱり社員」という意識が根強いようです。少子化に歯止めをかけ、女性の社会進出を促進するためにも、全員の気持ちを変えていかなければなりません。

制度を整えるのは会社だけではなく、夜遅くまで見てくれる保育園や、残業で迎えに行けないときに代わりにいってくれるネットワークを作るなど、会社外での育児制度も重要になってきます。

B光市のこれまでの取り組み

  光市では、第3次総合計画の元、あるいは政府の政策の一翼を担い、例えば平成10年に平成12度までの3年間を期間として、光市エンゼルプランが策定されました。その中には、子どもと子育てにやさしいひかりをめざして様々なプランが作られています。もちろん身近なところでは、おっぱい都市宣言としての様々な取り組み、環境づくりがあげられますが、今までの取り組みの成果とその反省及び課題点をお教え願いたいと思います。

Cこれからの取り組み

  少子化の背景には、「男は仕事、女は家庭」という男女の固定的な役割分業、仕事優先の雇用慣行など社会全体の状況が深く関連していると考えられます。個人の多用な生き方、日本全体を覆う閉塞感、老後に対する不安感、いじめ問題や地域の治安の悪化などをもたらすストレス社会に対する不安感など、何から手をつけていいのか、もっと奥深い人間の意識改革から始めなければならないように思います。

 新聞でもご覧になられたと思いますが、全高校での保育体験、また小・中・高の子育てへの理解をカリキュラムに入れる、幼稚園・地域社会の協力など、これからかなりの分野で子育て支援が進むと思われます。それと同時に光市でも今まで以上に、独自の子育て支援計画を実施していただきたいと思います。

第四次光市総合計画案を見てみると、少子化問題については2ページにわたり簡単に書かれてありますが、どのようなことに重点を置かれて取り組まれるのかお教え願います。