定例会

光市立病院について

   医薬分業に対する考え

医療保険の様々な変革の中、先の方向性が定まらない現状の中で、医薬分業に対する位置づけが中途半端なものとなっているように思います。この事については、以前何度も質問として取り上げられた問題だとお聞きしております。私がこの問題をあえて提起しましたのは、方向性を間違わないで前向きに取り組んでいただきたいという強い思いがあったからです。

医療界はお役所と同様「情報公開」の遅れた業種です。薬に関しては特にそうです。インターネットの時代に、自分の飲む薬の名前さえ知らされていないのはちょっとおかしいとは思いませんか。最近は厚生省の保険点数での誘導もあり、薬の名前の開示が徐々に進んできました。もちろん、光市立病院でも薬剤情報として詳しい資料がもらえます。

薬の副作用の説明をすると患者さんはいらぬ心配をし、治療の妨げとなり、結局患者さん自身のためにならないと多くのドクターは言います。確かに一理あります。服薬の不安を与えないための一種の思いやりでしょう。しかし、患者さんのニーズはドクターが考えている以上に確実に変わってきています。薬の名前、効果、副作用を親切に説明することが、今後一層求められてくると思います。薬の効能を追求する医療よりも、万が一の副作用を未然に防ぐことの方が重要な時代がやってくるはずです。もちろん薬の説明はドクター自身がするのもいいでしょう。しかし時間的余裕がないドクターは薬剤師に任せては如何でしょうか。薬剤師はドクター以上に親切に上手に説明します。しかも多くの患者さんは、処方したドクターよりも、第三者の薬剤師の方が質問しやすいという方もおられます。

  また、多くの医院では、医療事務員あるいは看護婦が調剤しているのが現状ではないでしょうか。市立病院でも調剤ミスが今回、大きく問題になりましたが、今まで一度もなかったのでしょうか。患者さんが複数の医療機関にかかっている場合、重複投与や相互作用にも気をつけて処方されていると思います。アレルギーの薬歴管理にも注意されているでしょう。しかし多忙などの理由でなかなか完全にチェックしきれないものです。やはりこれも、薬剤師の力を借りればとても心強いものです。

情報公開と薬の安全性を大切にする分業をすれば、今までとは異なる新しい医療が見えてくるはずです。

年間約18万人の外来患者さんが、光市立病院を利用されています。また、210床のベットは、ほぼ満室の状態です。

また、年間の処方箋の枚数は約12万枚、月にして1万枚、1日平均約300枚の処方箋があるということになります。これに対して、薬剤師が今現在6人おられます。また、1日の処方せん75枚に対して薬剤師1人、入院患者70人に対して薬剤師1人という規定があります。

しかし、町の薬局は法律上、1日40枚の処方せんにつき1人の薬剤師を置かなくてはなりません。40枚以上来れば2人、80枚以上なら3人の薬剤師が必要ということです。厳密に言えば、市立病院では処方せん75枚に対して薬剤師は1人でOK、町の薬局に置き換えると、薬剤師が2人は必要となります。町の薬局の方が患者さんに対して、余裕を持って調剤や薬の説明ができるわけです。その上、町の薬局は、処方ミスを見逃して調剤しただけでも、法的に責任が問われます。そうなれば自分の薬局の存亡にも関わります。そういった面でも慎重にならざるを得ないのです。患者さんにとっては、より安全な薬がもらえるということになります。一方、病院の場合は、先ほど少しふれましたが、薬剤師の人数規定が町の薬局より緩いので、一般に薬剤師不足で服薬指導の余裕がない状態であると思います。しかも、「調剤はドクターの診療の一環である」との認識のため、薬剤師としての主体性が非常に弱く、法的責任は町の薬局よりも小さいということでもあります。

では、なぜ光市で医薬分業が進まないのでしょうか?

それは、1,現実に患者さんが不便(二度手間になり、受け入れる薬局も充実していない) 、2,負担が多くなる(院外の方が割高で、全く同じ薬でも薬局の各病院の集中度によっても点数が違うため金額がまちまちとなる)ということが大きな原因でしょう。厚生省の考える医薬分業への誘導策とは言え、患者さんにしてみれば分かりにくくなっています。しかし薬の安全性、情報公開を考えればとても大切なことだと思います。不便さということだけを考えると、今の状態では難しいかもしれません。しかし、光市の薬剤師会は、早くから医薬分業については前向きに考えておられます。また、実際、徳山中央病院などの院外処方せんを、各薬局で受け入れられ備蓄薬局も置かれて、薬剤師会で充分対応されています。今私たちが考えなければならない一番大切なことは、患者さんにとって一番便利ではなく、一番安全なことなのではないでしょうか。来年4月からスタートする介護保険に関しても、介護相談薬局という町の薬局の力も必要になってくる時代です。

今現在、方向性がはっきりしていない国の政策を待っている問題も多々あると思います。光市立病院が、先を見極めながら、これからの信用回復のためにも、出遅れることなく前向きに検討されることを強くお願いします。

   薬剤情報の充実

今、市立病院では各診療科で、自分の飲む薬の名前と、詳しい効能効果・副作用の注意などが書かれた薬剤情報がもらえます。もちろんどの医療機関でももらえるわけではありません。いち早く、市立病院もこの薬剤情報の提供をする事に対しては、非常に前向きであると高く評価できると思います。この薬剤情報を提供することによって、患者さんに薬の情報を的確に知らせることが出来、他の医療機関にかかるときに、ドクターは患者さんの飲んでいる薬が薬剤情報によってわかりますので、非常に安心して診療、投薬が出来ます。実際に、薬剤情報を出されて患者さんの評判はどうでしょうか?

院外処方をしなかったときの院内薬局の役割

今まで通りの院内薬局では、今の薬剤師の人数で、忙しいときなど充分な薬剤情報を口頭で患者さんに説明して渡すということは、非常に難しいと思います。実際に外来患者さんに対して、また入院患者さんに対する服薬指導は、どのように行っておられるのでしょうか?

   院外処方にしたときの各薬局の役割

光市の各薬局が、徳山中央病院などの院外処方せんを実際に受けられていますので、市立病院が出されても、薬剤師会は充分に対応出来ると思います。市立病院で処方される薬の備蓄センター的な問題、他の病院との連携、各薬局へいち早く知らせるための処方せんのFAXサービス、保険薬局のさらなる充実があげられます。病院サイドから考えると、処方せんの印字の徹底(プリンターでなく手書きの処方せん、表示の略字のない処方せん、要するに誰でも理解できる処方せん)という事があげられますが、どのようにお考えでしょうか?

    保険薬局・介護相談薬局としての役割

将来的には、医薬分業が確立され、町の各薬局が患者さんのかかりつけ薬局として充実し、介護保険の介護相談薬局としても大切な位置づけとなるのではないでしょうか。現実、徳山では医薬分業もかなり進んでおり、各薬局の介護相談薬局としての準備も着々とされております。この介護相談薬局としての役割をどのように考えておられますでしょうか?           

     休日診療所・個人病院との連携

光市立病院は、これから出来る休日診療所・個人病院(これらは1次収容病院)とうまく連携を取り、2次収容病院として役割分担しながら、充実していかなければならないと思います。夜間・救急病院としての役割も担っていますので、今後の課題として、何もかも市立病院という認識ではなく、1次収容病院、2次収容病院としての対応を確立することが非常に重要になってくるのではないでしょうか。この事について、どのようにお考えでしょうか?

  これからの医療機関の役割

今までの事の集約として、これからの医療はインフォームドコンセント(説明と同意)信頼関係の元に成り立ち、また、地域医療の連携による向上が非常に重要だと思います。それにはもちろんドクターのみならず、すべての職員が患者さんを安心させてあげることが一番重要になってきます。それ以上に職員同士の信頼関係も重要です。また、医療機関のみならず、どの職業にも当てはまることですが、正しい情報を確実に伝えるサービスとしても考えていかなければならないと思います。様々な問題の中で、多くの患者さんが毎日光市立病院へ来院されるわけです。その患者さんを、各専門の職員がチームワークで、技術と真心で接していただきたい。一患者さんに成り代わって、心からお願いしたいと思います。また、市立病院独自のサービス、民間のようにはいかないかもしれませんが、新しい情報提供のサービスはどんどんやっていただきたいと思います。その例として、市立病院の産婦人科でお産される方に、来年4月から施行されるチャイルドシートの正しい知識と、様々な情報を提供する資料や指導があるとか、忙しさの中にも、安全と信頼関係を保てるような病院運営をお願いしたいと思います。一例にすぎませんが、チャイルドシートの情報案内など、独自のサービスは、どのようにお考えですか?