定例会


1、病院の運営について

 安心安全の医療とは何か!救急医療や災害時医療、地域医療はどう守られるべきなのか!多くの問題が山積している中で、第5次山口県保健医療計画の改定が行われました。その内容を検証しながら、今後の医療が具体的にどのように進められようとしているのか、現状での問題点も確認しながら、私の視点から3点についてお伺いしたいと思います。

@後方支援病院への対応
 2006年度の診療報酬改正、介護保険改正に伴い、急性期病院においては後方支援病院との連携がより重要になってきております。後方支援病院とは、分かりやすくいえば、急性期病院から在宅復帰に向けて「生活」に視点を置いた医療・看護・リハビリテーションを提供する施設であり、周南圏域でも不足していると言われているのが現状です。
 国立、県立、市立、さらには個人病院、診療所等の役割分担として考えるならば、一般病院としての役割から、後方支援病院・急性期医療提供病院・高度医療提供病院へと、その役割を特化していくことが求められ、健全経営を確立しながら、医療レベルを向上していくことが不可欠であると考えます。
 しかしながら現状、急性期病院と後方支援病院との連携が、果たしてうまく機能しているのか疑問を抱かざるを得ません。
 光市においては、後方支援となる市内の医療機関と介護施設等と、どのような連携が取られているのでしょうか。
 近年、入院患者さんにおいては独居の方が多いと聞いていますが、どのような後方支援の相談体制が行われているのか併せてお示しください。


<答弁>
 それでは、磯部議員さんの「病院の運営について」のご質問についてお答えいたします。
 先ず1点目の「後方支援病院とどのような連携が取られているのか」ということについてお答え申し上げます。
 現在、光総合病院では、急性期の治療が終わり、今後も回復期、維持期の入院が必要な場合、地域医療連携室に専任のメディカル・ソーシャルワーカーを配置しており、近隣の療養型等の病院を紹介し、入院が必要ない場合は、かかりつけ医等への紹介を実施しています。また、介護等の必要な場合、相談担当員が、介護、老人福祉施設等の紹介を実施しています。大和総合病院におきましては、急性期、いわゆる一般病床と療養病床を併設している複合病院となっています、そのためある程度の回復期、維持期までの入院治療を継続して行っていますが、在宅療養や介護施設への変更が必要な場合、相談窓口に専任の看護師を配置し、市内の医療機関や介護施設等との窓口を一本化するとともに情報の一元化を図り、患者さん、家族の方、ケアマネージャーさんなどとのスムーズな連携を図っており、また、両病院の医師は全員【光医師会】に加入しており、市内の医療機関とも症例研究を行うなど、連携体制の強化に努めているところであります。
 なお、独居の入院患者さんへの相談体制につきましては、家族や親戚の方への連絡が困難な場合がありますが、相談担当職員が可能な限り連絡をとるとともに、ケアマネージャーさんや地域の民生委員さんなどと連携し、介護施設、老人福祉施設への紹介、連絡、調整など、安心して過ごせる環境作りのお手伝いをしております。


A子育て支援の環境整備
 少子化対策、男女共同参画社会の構築のため、仕事と家庭の調和ということが企業や事業所で見直され、優秀な人材確保のため、働きやすい環境整備が徐々に充実してきております。しかしながらその中で、病院関係は特に整備が遅れているように感じています。
 人手不足と言われている医師の中でも、特に女性の医師・また常に募集がかけられている看護師に、働きやすい環境を整備すれば、もっと優秀な人材として確保できるのではないでしょうか。男性と同様、過酷な労働に加えて子育て等を担わされて両立できずに辞めていく女性の医師や看護師の現場を、今だからこそ整備していく必要があるのではないかと考えます。
 育児中の短時間勤務、残業免除、託児施設の設置等、働きやすい優しい病院となれば、人材不足も解消でき、質の高い医療が確保できるはずです。これこそ、市民の安心に繋がることになるでしょう。安心できる環境整備こそ、人材確保の近道と考えますが、当局のお考えをお示しください。

<答弁>
 次に、「子育て支援の環境整備」についてお答え申し上げます。
 現在、病院局で実施しております医師や看護師等の職員に対する子育て支援措置といたしましては、育児中の短時間勤務制度をこの4月から導入したことや、育児休業が希望どおり取得できるよう常に配慮するとともに、産前休暇取得前の勤務や育児休業明けの勤務における夜勤回数の制限や残業免除等の配慮を行い、子育てに専念できる環境作りに努めているところでございます。しかしながら、議員ご提案の院内での託児施設設置に関しましては、経費面やハード面も含めた安定的運営など多くの課題があり、今後の研究課題とさせて頂きたいと存じます。
 議員ご指摘のとおり、働きやすい安心できる職場環境の整備は人材確保の近道であると考えており、今後もそういった施策を検討してまいりたいと考えております。


B地域医療連携の再確認
 県の医療計画の中で、医療機能の明確化、医療連携体制の構築、在宅医療の推進等、方向性がより明確にされてきました。今までにも、病院局においては、地域のかかりつけ医との連携強化に力を入れてこられたと思いますが、今まで以上の役割分担と連携体制を強化するような計画の改定がなされています。
 光市においては、一次医療のかかりつけ医と二次医療の役割をより明確にするということは、医療関係者だけではなく、市民の皆さんの協力と周知という点にも、力を入れていく必要があるのではないでしょうか。
 「かかりつけ医との更なる信頼関係の構築、今まで以上の効率と患者サイドにたった運営」これらの視点を総合的に捉え、これからの地域医療連携を、病院局としてどのように考えておられるかお聞かせください。


<答弁>
 次に、「地域医療連携の再確認」についてお答え申し上げます。
 この度公表された「第5次山口県保健医療計画」では、近年の疾病構造の中心となっている4疾病(脳卒中、急性心筋梗塞、がん、糖尿病)などの生活習慣病について、一つの医療機関で各疾病の全ての病期をカバーすることは困難であることから、個々の医療機関が専門性を持ち、連携することにより、地域の医療機関全体として、一人ひとりの患者が必要とする医療を提供する体制を構築するとともに、どの医療機関でどのような医療が提供されるのか患者や住民に、わかりやすく伝えることを目指しております。これまでも施設一貫型医療から地域一貫型医療へと転換が図られてきていましたが、この度示された枠組で注目すべきことは「疾患」への着目と、「患者の視点」の導入であるといわれております。
 こうした地域医療連携体制の構築には、県・市などの行政、住民、病院や各種施設などを含めた医療機関が一体となって互いに協力していく必要があります。行政の役割は医療関係機関相互の調整を図り、住民に対して医療機関情報の提供及び医療連携の考え方の普及を図ることなどで、住民の役割は医療連携の考え方を理解するとともに、疾病症状に応じた医療機関の選択することなどが考えられます。そして医療機関の役割は自院で可能な医療機能を明確にするとともに、地域の医療機関相互の機能分担と連携体制を構築し地域の医療機関全体で、患者が一貫した治療方針のもとに切れ目無い医療を受けることができるようにすることであり、今まで以上に医療機関相互の連携強化が必要となってくると考えております。そのため病院局としましては、光市医師会との合同での症例検討会や研修会の開催などを通して情報の交換、共有をはじめ、他市の関係医療機関との連携も密にすることで地域全体での医療連携体制の強化促進に努めてまいりたいと考えております。また、両病院とも地域連携室や相談窓口を設置しておりますので、患者さんに地域でどのような医療が受けられ、また、そうした地域医療が在宅療養まで含めてどのように流れていくかなどについてケースバイケースで情報提供等にも努めるとともに、自院で可能な病院の機能等を疾病ごとに明確にした情報等もホームページなどを通じて公開していくことを検討してまいりたいと考えております。
 これからも、地域における二次医療機関として、地域医療連携の更なる充実を図り、患者さんの視点にたった安全・安心で質の高い医療が受けられる体制を構築するとともに、市民の皆さんにより一層信頼される病院づくりを進めたいと考えております。


2、テーブルフォーツーの取り組みについて


@光市の取り組み姿勢は
 現在、先進国では生活習慣病を引き起こす肥満が蔓延し、社会問題となっている一方、発展途上国では飢餓や栄養不足に苦しむ人々が大勢います。
 日本のヤンググローバルリーダーの有志で、この問題の解決に向けて始めたのが、「テーブル・フォー・ツー」プロジェクトです。
 先進国の社員食堂等で、カロリーや栄養バランスに配慮した食事を提供し、その売り上げの一部(約20円)を途上国の学校給食1食分として寄付するというプロジェクトです。
 先進国の私たちが1食を食べる時に、途上国の誰かに1食を贈ることができる、つまり2人で食べていることになり、「テーブル・フォー・ツー」と名づけられた。
一部の企業や自治体でも、このプロジェクトに参加していると聞いていますが、 始まったばかりのプロジェクトとはいえ、光市でも委託業者と協力して、食堂メニューに取り入れていくことも考えられるのではないでしょうか。
 小さなことから始まった取り組みが、多くの仲間をつくり、世界の子ども達を救うことができるという、人にやさしいまちづくりとして発信していけるでしょう。
 今年からメタボ対策として特定検診も始り、食生活の改善や健康指導、食べ物を大切にするもったいない文化等、夢は大きく広がります。光市独自の取り組みとしても、大きな視点で考えれば、非常に面白いものとなるでしょう。
 当局のお考えをお聞かせください。


<答弁>
 それでは、2番の「テーブル・フォー・ツーの取り組みについて」お答え申し上げます。
 先進国においては、4億人以上が肥満で、およそ16億人が太りすぎと診断され、開発途上国では、8億5千万人以上が飢餓あるいは栄養不良の状態で、5秒に1人の子どもが飢えで命を落としているといわれています。
 このような中、ご紹介いただきました「テーブル・フォー・ツー」は、南北問題の象徴である開発途上国の飢餓と栄養不足。先進国の飽食とメタボリック・シンドローム。この2つの問題を一度に解決しようとする取り組みであり、日常的な市民レベルの国際貢献活動であると認識させていただきました。
 さて、本庁地下の食堂でございますが、本庁勤務職員(正職員221人)の減少や食の多様化等に伴い、現在、1日の利用者数は、約40人から50人程度の利用に留まっており、年々、減少傾向にあります。
 また、「テーブル・フォー・ツー」では、NPO法人「テーブル・フォー・ツー」が示すヘルシーガイドラインを達成したメニューの提供が求められていることもあり、今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
 今日、日本社会が抱える食料問題や地産地消、食育など「食」を取り巻く諸問題は、21世紀の大きな社会問題であり、ご提言いただきました「テーブル・フォー・ツー」が提起している世界的な食の不均衡をはじめとして、世界的なさまざまな問題を、市の職員は常に認識しながら、それぞれの行政分野でテーブル・フォー・ツーの精神である「人へのやさしさ」をまちづくりに活かしてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


3、室積海岸の侵食問題について


@市民意見交換会となぎさ研修会との検証
 室積海岸における海岸侵食の要因を調査し、自然景観を維持・保全するための工法として、昨年から本格的な研修・調査が始められました。地域住民にとって、また光市の貴重な自然海岸の保全対策として、大いに期待されております。
 その中で、昨年行われたなぎさ研修会と、今回の市民意見交換会の内容を検証してみましたが、疑問に残ることがあります。
 地元の皆さんは、自然環境を残し、近隣の住民の安全を守る方法がないのか知りたいと思っておられました。昨年のなぎさ研修会では、宇多先生が「過去の技術では解明できなかったが、現在では必要なデータが揃えば完璧にコンピュータで砂の移動を計算でき、技術的に自然に近い砂浜を取り戻すことが可能である」と言われました。
 そして、3つの具体案を示されましたが、第3案の「安定汀線を予測し、これに平行して砂を入れ砂浜を広くする。砂は島田川より運び、戸仲漁港を少し改善する必要がある。」という案が、構造物を必要とせず一番良い方法であると示されました。
 昨年参加された方々は、今回の市民意見交換会での構造物前提の議論に危惧されておられます。漁港の改良が可能なのか、予算的なものも示されるべきではないでしょうか。
 当局のご見解をお伺いします。


<答弁>
 それでは、ご質問の3番目、室積海岸の侵食問題についてお答え申し上げます。
 まず、1点目の「市民意見交換会となぎさ研修会との検証」についてでございますが、昨年5月26日に財団法人 土木研究センターより、なぎさ総合研究室長の宇多高明先生を講師としてお招きし、室積海岸の現状について、行政と市民が同じ目線で学習したところでございます。
 この研修会では、具体的な対策として3つの案が提案され、その中で、第3案の「安定汀線」すなわち、西ノ浜側では砂が侵食され、汀線が後退しようとしており、戸仲側では砂が堆積し、汀線が前進しようとしているので、最終的に落ち着こうとする汀線の位置を算出し、それより沖合いに養浜を行おうとする案が、構造物を必要としないことから、景観を損なうことなく最も適した案と紹介をされました。しかしながら、この対策案では、養(よう)浜(ひん)砂(ずな)の確保や戸仲漁港への砂の堆積に対する改良等の課題もあるとの指摘もされたところであります。
 その後に、室積海岸の抜本的な対策を見出すため、海岸の調査設計業務を専門的に行っております、農林水産大臣所管の財団法人 漁港(ぎょこう)漁場(ぎょじょう)漁村(ぎょそん)技術研究所に委託しまして、今日まで2回の検討委員会と、去る5月31日には、市民ホールにおきまして、検討委員会の概要報告と市民との意見交換会を行ったところでございます。
 市民意見交換会では、これまでの2回の検討委員会で協議してまいりました、自然状況の特性、現況での海浜形状の変化や汀線変化シミュレーションの結果に基づく侵食対策の方向性として、4つの対策案を報告いたしました。
 この中の対策案には、「なぎさ研修会」で提案された「安定汀線」に共通する対策案として、「安定する海浜形状の構築」が示されておりますが、2回目の検討委員会では、汀線変化の解析方法の難しさ、養浜砂の確保、事業費の増大などが指摘されたところでございます。
 この「安定汀線」と「安定する海浜形状の構築」につきましては、今後は、これまでの検討委員会での協議を踏まえ、戸仲地区の漁港改良の可能性や、安定汀線に対して「前浜・後浜」を含めて、更なる検討を行ってまいりたいと考えております。


A今後のスケジュールと対応
 今年度までに、市民意見交換会と検討委員会等を開催し、方向性を決定すると伺っていますが、今後の具体的なスケジュールと対応をお示しください。

<答弁>
 続きまして、2点目の「今後のスケジュールと対応」についてお答えいたします。
 意見交換会の中でも申し上げておりますように、今年8月頃に第3回目の検討委員会を、10月頃に第2回目の市民意見交換会を、そして11月には第4回の検討委員会を開催する予定でございます。
 今後の検討委員会では、より具体的な対策工法案を検討する中で、それぞれの効果を予測し、有効性や国立公園内での規制などの問題点を整理するとともに、工法の総合評価として維持管理の方針や経済性及び自然環境への影響などを検討してまいります。
 また、改めて市民の皆さまとの意見交換の場をもつことで、市民の合意形成が整った対策工法案の決定と保全計画の策定を目指したいと考えております。
 いずれにしましても、市民の皆様の声を十分お聞きするとともに、国・県をはじめとする関係機関との協議・調整や検討委員会での検討を十分行った上で、光市が誇る白砂青松の自然景観を維持・保全できる最良の工法案を決定し、保全計画を策定したいと思いますので、ご理解賜りますよう宜しくお願い申し上げます。