定例会

1、さらなる学校運営の向上について

@ 教師の能力向上が図れる、質の高い環境整備を
 2009年度から始まる教員免許更新制について、その具体的な内容が示されましたが、この制度導入が、本当に教師の質の向上に繋がるのでしょうか。教師としての仕事に十分専念できる環境を整備することこそ、今一番求められていることではないのかと私は感じています。
 これらのことも踏まえ市内の現状をお聞きしますと、小中学校において、教師の教材研究時間、つまり授業に対する準備時間は、基本的に1〜2時間程度、しかし、実際にはその他の煩雑な業務に追われ、ほとんど取れていないというのが現状です。また専門的な研修等も年々経費削減されている状況とお聞きしています。
 子ども達に良い指導、良い授業を進めるための教師の教材研究時間、専門的な研修への参加等、教育委員会としてはどう捉えておられるのでしょうか。
 また、文科省が「授業時数を増やす」と言っていますが、今の子どもたちの様子を見てみれば、増やさなければならないのは授業時数ではなく、教師の数という声も聞きます。現場から見た環境整備として、当局の御所見をお伺いいたします。

<答弁>
 1点目は、「教師の能力向上が図られる、質の高い環境整備を」についてのお尋ねであります。
 ご指摘のように、教員の業務は広範囲にわたり、授業やその教材研究だけでなく、校務分掌上の業務、児童生徒と向き合うための生活ノートや日記の加筆や指導、保護者との連絡、教育相談、登下校の安全指導、また、中学校においては、部活動の指導など、寸暇を惜しんで業務に励んでおり、業務は夜間や週末までに及んでいる実態もあります。
 このような現状の中で、教育委員会といたしましては、業務内容等の改善を図るよう指導、助言を重ね、ゆとりをもって、教材研究などの個々の努力による資質向上はもとより、専門的な研修への参加が積極的になされるよう支援してまいっております。
 次に、教員の能力向上が図れる、質の高い環境整備といたしましては、議員仰せのとおり、人的教育環境の整備が最大のものであり、これが達成されれば、教育の成果も一段と上がるものと確信いたしております。
 定数改善が見送られております時、文部科学省は、平成20年度予算において、教員定数の増を強く要求するとの報道もあり、注視し期待しているところでもございます。
 教員数の増員につきましては、これまでどおり、国や県に対しまして、加配措置や定数改善など、人的環境の整備に向けて、都市教育長会などを通じて、強く要望してまいりたいと考えております。


A 地域の力と学校教育との融合を
 学校運営に関する問題は、今までにも多くの場面で議論されてきましたが、教師にゆとりがない状況を改善すれば、質と心の向上が図られ、生徒としっかり向き合えることができると私は確信しています。そのためには、地域力をうまく学校運営に取り入れることが重要であり、学校教育と社会教育(地域の力)の融合こそが、今後の教育環境を改善するポイントとなると思っています。
 学校の活動と、家庭・地域の活動とを重ね合わせ、それぞれ単独では成し得ない活動を新たに生み出していく学社融合、いわゆる学校教育と社会教育の融合という取り組みは、学校運営における新しい風として注目されています。
 光市ではまだまだ馴染みのないことばですが、まずは私たち自身が理解を深めるために、愛光会と市民グラブで、学社融合の実践教室を視察してきました。さらにその内容を理解し進めていくために、7月22.23日の二日間、体験型講座ワークショップを開催したところ、行事の多い時期にもかかわらず、市内校長・教頭、PTA、地域で活躍されている方々に多数ご参加いただき、関係者の意識の高さを実感いたしました。
 学社融合の具体的な成功事例を聞き、身近な問題解決に至るまでのきっかけを、それぞれに掴んで帰ってくださったことと思っています。この取り組みは、教育開発研究所での新たな部会としても進められていると聞いています。
 今までに行われてきた取り組み、例えば、専門的知識を生かした教育活動として地域の方を招くゲストティーチャーや、登下校の見守りとは少し違うもので、光市の小・中・高全体を視野にいれた取り組みとして考えていく必要があります。さらに、人とのかかわりを大切にする社会教育として確立できるよう、単発のものでなく連続性のあるものとして捉えることが重要です。
 まずは、具体的な提案として、学校の図書室・家庭科室等、常時使われていない教室の空き時間を地域に開放!学校内での放課後子ども教室の取り組み!等、様々なことが考えられますが、学校はコーディネート役であり、信頼できる地域の力を、各学校の運営に積極的に取り入れていただきたいと思っています。当局のご所見をお伺いいたします。

<答弁>
 次に2点目の、「地域の力と学校教育の融合を」について、お答え申し上げます。
 学習指導要領には、学校は、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階や特性などを十分考慮して、適切な教育課程を編成することとし、創意工夫を生かし、特色ある教育課程を編成すると明記されております。
 各学校では、この趣旨を生かし、「総合的な学習の時間」や「特別活動」において、地域の人材を積極的に活用し、創意工夫を凝らした学習活動を展開しておりますし、これからの学校運営においても、さらに地域を巻き込んだ運営が必要であると考えております。
 こうした中、議員のご提唱により、7月22日と23日の両日に開催されました体験型ワークショップは、「子どもを育てる目標の共有化と、子どもを育てる活動の協働化」や「学校教育の充実・スリム化と、地域の活動の活性化・教育力の向上」を目指した、学社融合を模索する会であったとお聞きしております。参加した校長や教頭、教育委員会職員からは、「たいへん参考になった。」「今後の学校運営に生かしていきたい」などといった、高い評価の声を聞いております。
 こうした活動により、地域を巻き込んだ実践を踏まえた議員のお考えが、市内各校の校長や現場においても、着実に広がっているものと考えております。
 このような学社融合という取組みは、学社連携からさらに一歩進んだ考え方であり、教育委員会といたしましても、今後、真剣に取り組むべく課題であると認識いたしております。
一例としてご提案のありました、学校施設の活用につきましては、施設の管理面において、一定の制約や限界もありますが、現在、取り組んでいます「放課後子ども教室」事業における検討課題、調整事項の一つとしております。
 学校が、今まで以上に地域との良好な信頼関係を築き、各校の運営に、地域の力、いわゆる「地域力」を導入することにより、学校教育のさらなる充実、学校運営の一層の向上に努めてまいりたいと考えておりますまので、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

<要望>
 光市では、学社連携から融合に向けて、今始まったばかりといった状況と認識しています。教育開発研究所においても、新たな部会として学社融合について4月から協議されておりますし、来年度から少しずつでも動きがあるものと確信しております。
 加配については、なかなか国からの新年度予算配分は期待されない数字となっていますが、山口県では、単市において教師の加配に取り組んでいるところもあります。予算的なものは必要ですが、教師にゆとりが持てることは、教師の質の向上にも繋がるものです。さらに地域の力を重ね合わせることで、教育環境は大きく改善されるでしょう。まさに学社融合の取り組みを進めることこそ、全ての問題解決に繋がると信じています。
 今後の教育委員会の取り組みに、大いに期待いたします。


2、確かな災害への備えについて

@ 地域の助け合いがカギ
 9月2日、山口県総合防災訓練が、光市で開催されました。大規模な訓練だけあって、非常に緊張感高まるシーンもあり、多くの皆さんに防災意識の高揚と防災訓練を身近に感じてもらえたのではないでしょうか。
 今後このような訓練が、市民の皆さん一人ひとりの確実な意識向上に繋がるよう、光市としてどう取り組まれるのでしょうか。あいさつをかけあう町は災害に強い町といわれるように、いざという時は、隣近所の助け合いが大きな力となります。その具体例として地域力を生かせる自主防災組織の機能は、いざという時に本当に機能するのか等、自治会単位の意識を向上させる対策として、当局はどう進めていかれるのかお聞かせください。

A 弱者対策の充実を
 全国各地で発生している地震・台風被害等々、いざという時の避難や救助に対し、テレビ報道等から伝えられる状況を見て、地域による温度差を強く感じる場面がよくあります。特に、お年寄りや障害のある方、乳幼児等、弱者に対する対策は、完璧なのだろうかと不安がよぎります。
 光市では、災害時における食料や生活物資等の供給に関し、災害協定が企業と交わされており、平成18年度から年次的に備蓄等にも力を入れようと計画実行されています。
今後の課題として、最低限のプライバシーに対する配慮を考えるとき、簡易トイレの充実や心のケアに対する対応も欠くことのできないものとして捉え、弱者に対する備えを再点検していただきたいと思っています。今後の取り組みの中で弱者対策をどう進められるのか、当局のお考えをお示しください。

<答弁>
 「確かな災害への備えについて」お答え申し上げます。
 1点目の「地域の助け合いがカギ」についてでありますか、最初に、9月2日(日曜日)に開催しました「2007年総合防災訓練in光」についてであります。この訓練は、毎年、県内各市持ち回りで開催されているもので、本市にとりましては、今回は、平成元年以来で2回目の引き受けとなりました。開催目的は、訓練のサブタイトルであります「備えて安心 防災意識と地域の輪」で表現しておりますように、「地域防災力の向上」を目指したもので、参加規模は、県内の各防災関係機関や防災ボランテイァ団体など、69団体、約1,700人で、市内からは、医師会や自主防災組織、また、多くの個人ボランティアの参加もありました。議員の皆様にも、ご参加ご観覧をいただきまして誠に有難うございました。
 訓練は、高潮・洪水被害を想定したもので、光井のスポーツ交流村及び島田川河川敷、勤労者総合福祉センター周辺での訓練には、多くの市民に観覧いただき、防災に対する市民への意識付けや、意識向上の観点からも貴重で有意義な訓練であったともの考えております。
 さて、自主防災組織についてのお尋ねでございますが、現在、35の組織が設立されており、中には、活発に活動しておられる組織もありますが、半数以上の組織が平成18年度以降の設立で、日も浅いことから、組織体制や活動内容について、まだ十分とは言えないのが実情であります。
 こうしたことをから、市では消防の協力を得て、昨年度から自主防災組織のリーダー研修会を開催しており、昨年7月に山口大学から講師に招き、自主防災組織の活動の仕方や地域の防災マップづくりの研修会を行い、今年も7月に自主防災組織の活動の事例発表や災害時の応急手当の実習を行いました。
 現段階では、「自分たちの地域は、自分たちで守る」という地域意識を醸成していく時期と考えており、すべての自主防災組織の気運が高まり、「共助」の精神が機能できるよう、引き続き、取り組みの進んだ組織の先進事例を紹介するなど、自主防災組織の活動を支援してまいりたいと考えております。
 次に、2点目の「弱者対策の充実」についてでありますが、まず、災害時の応援協定等の締結状況でありますが、医師会などの医療関係をはじめとして、建設業の協会や組合、避難所確保のための高等学校などと合計17の協定を締結しております。 議員仰せのように、災害時の食料や生活物資等の供給に関しては、平成18年7月にイオン株式会社西日本カンパニーと協定を締結し、市内に災害が発生した場合に食料品や生活必需品を供給していただくことになっております。なお、今回、同社には防災訓練にもご参加いただき、大型避難所シェルターを光井会場のバス衝突事故での救護用テントとして設営していただくなどのご協力をいただきましたが、これも協定に基づくものであります。
 次に、食料の備蓄でありますが、これまで牛島の公民館のみにしか食糧の備蓄をしておりませんでしたが、平成18年度から3箇年計画で、毎年、備蓄用食料600食と飲料水600本を備蓄しており、十分とは言えませんが、非常時に備えていこうと計画をスタートさせたところであります。
 ご心配をいただいております高齢者や障害者、乳幼児等の弱者、つまり災害時要援護者に対する対策につきましては、先行議員にもお答え申し上げましたように、まずは、要援護者支援マニュアの作成を行っていきたいと考えております。また、合わせて、避難所でのプライバシーへの配慮や心のケアなどきめ細かい対応などについても十分検討してまいりますので、ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

<再質>
 自主防災組織が現在35設立されています。その中でも平成18年度以降が半分以上と聞いています。今後、いざという時の活動が生きたものとなるよう、具体的な指導が必要と思いますが、どうお考えでしょうか。

<答弁>
 宇部市では、要援護者に対する対策として・手上げ方式・同意方式を取られ進められています。今後は、福祉との連携を密にし、民生委員さんの協力と、各自治会の方との連携を具体的なものとして整理していく予定としています。
 また、水道局としては、災害に強い水道のあり方として、光市の水道ビジョンを今年度中にはお示しする予定です。


3、室積地区の下水道整備について

@ 二重投資を防ぐ救済措置
 遅れている室積地区の下水道整備について、計画区域内であっても、当面計画が未定の地域においては、合併浄化槽の一定の補助があるのだろうかという質問を良く受けます。光市においては計画区域でないところは、一定の補助がなされていますが、計画区域内では補助はありません。
 自宅や事務所の改築や新築をしようとする場合、いつ下水道が通るか否かによって、工事の時期を考える方もおられますが、二重投資をできれば避けたいと思うのは当然であろうと考えます。合併浄化槽の設置に対する補助がある一定の条件で少しでもあれば、下水道が供用開始になっても、早期に協力していただけるのではないでしょうか。
 今後の取り組みとして大いに期待したいところですが、当局のお考えをお示しください。

<答弁>
 平成18年度末における下水道整備の状況は、光市全体の整備率が65.7%であるのに対し、室積地区は30.9%であり整備が大きく遅れており、現在、整備率の向上に向け努力しているところでございます。
 こうした中、浄化槽設置に関する補助制度等についてのお尋ねでございますが、現行の制度は、「光市浄化槽設置整備事業補助金交付要綱」に基づき、下水道事業計画認可区域外の地域において、専用住宅等に対して、浄化槽の設置に係る費用の一部として補助金を交付しております。
 また、下水道事業認可区域内における浄化槽設置に対する市独自の補助制度につきましては、厳しい財政見通しの状況、及び、循環型社会形成推進交付金を国から交付を受けるにあたって、循環型社会形成推進地域計画として承認を受けていること、並びに山口県汚水処理施設整備構想の趣旨を踏まえ、生活排水処理基本計画を策定していることなどから、現状では困難であると考えております。
 なお、議員仰せの認可区域内の地域において発生する二重投資の問題でございますが、下水道への接続時にはこれら設備のうち使用しない浄化槽設備が発生しますが、宅地内排水設備等を継続し、利用できる設備もあります。また、下水道への接続が容易になりますことから、排水設備は相当分生かされることになると思われます。
 いずれにしても、平成19年度の室積地区の下水道整備の状況は、予算ベースでは全体の76%を投入し、19年度末の整備率は33.2%となる見込みです。
 近年、本市の下水道事業を取り巻く環境は非常に厳しいものがある訳でございますが、今後とも引き続き室積地区を整備重点地区と位置づけ、整備の促進に努めてまいる所存でございますので、ご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。


4、病院問題について

@ 短期改善計画等で経営体質向上を
 昨日先行議員さんにおいて、短期改善計画の質問があげられましたが、6月議会で示された計画案は、その後着々と進められていると考えています。具体的なものとして、すでに光総合は、10月から土曜日の外来診療を救急患者診療に限定するために、全ての診療科を休診すると公表されています。お示しされた改善計画は、収益確保のため、すぐにでも行う必要性があります。そのあたりを含め、まだ周知徹底されていない状況も加味し、進捗状況をお聞かせください。

<答弁>
 短期改善計画の実施状況でございますが、光総合病院では、急性期医療の機能強化に努めながら入院診療単価の向上を図るため、本年7月に看護配置基準7対1を取得。また、6月にはDPC調査協力病院として登録するとともに、DPC対象病院に向けて院内での円滑な導入を図るための体制の整備に努めております。さらに、10月から土曜日の外来診療を取り止めます。これは、医師や看護師、とりわけ勤務医の働く環境を整備することにより、人的資源を集約し、医療スタッフの連携を密にし、効率的なチーム医療の充実に努めるものです。
 大和総合病院では、病床の効率的運用に向けて6人室を4人室に変更すること、病棟再編を行い、人材を効率的に有効活用することなど、早期実行に向けて協議中であります。

<再質問>
 世間では医師確保が困難といった情報がありますが、山口県においては、現状はどうなのでしょうか。さらに今後の状況はどうなると思われるでしょうか。
 また、2004年から変わった研修医制度の影響もありますが、勤務医の劣悪な環境が医局離れとも問題視されています。現状と併せて今後の影響についてお答えください。

<答弁>
 1990年において、10万人に150人の医師といわれ、その後180人と増加したときから、医師の過剰が批判され削減されてきました。現状から考えますと、光市においては約80人と見ていますが、この数字は全国的にも普通であろうと考えます。地域によっては医師が減って、閉院する病院(氷結病院という)もありますが、そのような氷結病院は山口県ではなく、診療科目の減少はあるもののバランスよくいっていると思います。
 患者さんは、専門医志向が強くなりつつありますので、それだけでも医師不足となるのは今後も続くと思われます。
 また、国は病院のあり方を、1時間以内及び30キロ圏内に1病院という考え方で進めようとしています。足りないとされている状況でも医師は大事にされず、酷使されている以上に、医療事故問題等に疲弊している現状もあります。
 さらに、患者さん(市民)はコンビニ感覚で、1軒に一人の医師が必要というくらいの要求が強くなっているのも事実で、これらのことが大きな問題なのではないでしょうか。

<市長答弁>
 全国の自治体病院で、7割が赤字経営となっています。今後総務省のガイドライン@経営の効率化A再編ネットワーク化B経営計画の見直しについての指針が、10月にも示されます。これらのことも踏まえ、二つの自治体病院の短期改善計画を進めながら、光市に必要な医療の確保について、方向性を確立していくことが急務となっている現状を理解していただきますようお願いします。

<要望>
 光市に必要な医療の確保(光市で急性期病院を残す)を確実なものとするために、早期に一定の方向性を示すことが、職員の士気を高めることになるのではないでしょうか。どうなるのか分からないといった状況が続くことは決して良いことではなく、市民の感情論が悪化する要素にもなるでしょう。
 総務省のガイドラインが通達されたあと、速やかに議論され方向性を示されるよう、政治的判断を強くお願いしたい。