定例会

1、「子育て支援日本一」の光に

 2005年の合計特殊出生率1.25!出生数が死亡数を始めて下回った統計が先日発表されました。安心して子供を産める社会とは、いったいどうすれば確立できるのでしょうか。財源は限られていますが、仕事と子育て両立の負担感、経済的な負担感、子育てそのものの負担感を緩和する施策が求められています。

光市においては、昨年の6月議会で、新おっぱい都市宣言が採択されました。全国的にもこの発信が着実に広がっている中で、昨年17年度中における他市からの視察は、おっぱい都市宣言に関わる子育て支援、障害児支援関係の調査が7件もあったと聞いております。まさに光市の福祉行政が、全国から注目されているということではないでしょうか。

今後の光市の取り組みにあたり、大きく3点についてお聞きしてみたいと思います。

@おっぱいプロジェクト構想

まず1点目、おっぱいプロジェクト構想についてですが、旧おっぱい都市宣言から約12年間にわたる様々な取り組みは、あいぱーく光内の健康増進課を中心に、社会課、教育委員会の一部の部署で地道な活動として進められてきました。しかし、現状から考えるとおっぱい都市宣言の取り組みというのは、もっと大きな視点で捉えるべきであり、今後は光市全所管が関わりながら、まちづくりの一環として進めるべきではないでしょうか。

3月議会で自然敬愛都市宣言を決議いたしましたが、このときはすでに基本構想が出来上がっておりました。私はこれを拝見して、「おっぱい都市基本構想」が是非必要であると感じました。議員提出の都市宣言にもこういう基本構想をつけて提出すべきであるという人もいますが、私はこれは執行権の範疇に大きく踏み込む虞が出てくると思います。

 そこで、このような構想を出来るだけ早く、多くの人の思いを勘案されて是非策定していただきたいと思っています。総合計画との関係もあると思いますし、昨年12月議会での私の質問に、市長が「おっぱいプロジェクト構想」について発言をされたことがありますので、そのあたりを含めてお考えをお聞かせください。

<答弁>

ご承知のように、わが国は いよいよ人口減少社会に突入し、また、先の新聞報道にもありましたように2005年の合計特殊出生率は1.25へと低下するなど、少子高齢化は加速度的に進行しております。このことは、若い世代が高齢者を支えるという、従来の社会保障制度の枠組みからの転換を余儀なくされているものであり、少子化対策は、国・地方を挙げて取り組むべき最重要の課題の一つとなっております。

そうした中、本市では、子育て支援対策の柱として、母乳育児を通して、子どもの健康面のみならず、母と子のふれあいや家族の絆を深めていくため、いわゆる「おっぱい育児」による総合的な子育て支援策を展開してきたところであります。

昨年6月、光市議会におきましても、全国に例のない「おっぱい都市宣言」が採択されたところでございます。私といたしましても、この「おっぱい都市宣言」の理念のもと、母乳育児にとどまらず、恵まれた環境や温かいふるさとの人情にはぐくまれ、健やかな子どもを生み、育て、人に優しいまちづくりに向けて、地域社会と一体となった取組みを進める必要があるものと考えております。

この「おっぱい都市宣言」は、本市で生まれ育ち、学び、働き、憩い、長寿を全うするという、まさに人の営みを象徴するものであると考えておりまして、議員仰せのように、福祉や教育といった分野に限らず、全庁的・横断的な取組みが必要であろうかと思っております。

現在本市では、平成17年3月、社会全体で子どもと子育てを支えられるやさしいまちづくりを目指して、「光市 次世代育成支援 行動計画」を策定し、主として福祉・教育の分野を中心に、ライフスタイル全体にかかる子育て支援策に取り組んでおりますが、子育て支援や少子化対策は、本市のまちづくりの最重要課題の一つでありますことから、こうした取組みをさらに進めるため、「おっぱい都市宣言」を柱とする 総合的な子育て支援対策を展開してまいりたいと考えております。

このため、今後、庁内関係各課による「連絡調整会議」を設置し、議員からご提言のありました基本構想について検討を進めるとともに、現在策定中の総合計画におきましても、「おっぱい都市宣言」の趣旨を踏まえた戦略的プロジェクトの立案に向け取り組んでまいりたいと考えております。

<要望>

 光市に住んでもらえる施策、光市で産まれた子ども達をみんなで育て、全国に、また世界に羽ばたけるような大人にしていきたい。そして、どんな時にも、ふるさと光市を自慢に思える愛着が育つ環境づくりは、基本的な計画が最も重要であると思う。

 総合計画の中に重点施策として取り入れられるという事に、大いに期待し、光市独自施策となるようお願いしたい。


A子供達のサポート体制は学校開放から

2点目、子供たちのサポート体制は学校開放からという点です。

前回、平成16年度から18年度の3ヵ年事業である地域子ども教室を例に挙げ、子ども達のサポート体制について質問させていただきました。その後国においても、地域子ども教室事業から子どもの居場所づくりに充実していこうとする構想が発表されております。まさに、学校の教室や図書室、運動場等、学校敷地内をうまく利用しながら、子ども達の安心安全を確立していくことが進められようとしているのではないかと考えています。

 例えば、放課後、土日、夏休みの長期休暇に学校図書館を開放し、図書指導員を充実させ、読み聞かせや、本と親しめる仕掛け、興味を持たせる勉強の場としても大いに活用できるのではないでしょうか。現在小学校1年生から3年生までの学童保育の拡大、特に4年生に対するサポートが叫ばれている中で、仕事と子育ての両立支援として期待できるものと考えます。福祉、教育委員会の大きな壁を取り払っていただき、来年度から早速取り組んでいただけるよう願っていますが、ご見解をお伺いいたします。


<答弁>

 少子化や核家族化、都市化、人間関係の希薄化等により、地域や家庭の教育力の低下が指摘されている現在、「子どもの居場所づくり」については重要な課題の中の一つであるととらえているところでございます。

 まず、議員御提言の、放課後の学校図書館の開放についてでございますが、現在、各小学校おきましては、児童の安全な下校の対応等への配慮などから、放課後における開放は特に実施しておりません。子どもを取り巻く環境の悪化により、今後も、引き続き子どもの安全を優先した対応が必要だと考えております。

 次に、長期休業中の学校図書館の活用についてでございますが、本年度、登校日を中心に図書の貸出の開放を予定、あるいは検討している学校がございます。二学期制導入により、長期休業等の効果的な活用という面からも、学校の実態、あるいは地域・保護者の方からのニーズなども視野に入れながら、取組みを進めているところでございます。また、土日の開放につきましては、学校施設の管理の面におきまして、現在のところ難しい状況にあるととらえております。

 いずれにいたしましても、学校図書館の開放につきましては、各学校の実情や課題、地域のニーズ等を十分に踏まえるとともに、子どもたちの安全・安心を確立しながら、施設の管理等も含めた多面的な視点による議論を重ねてまいりたいと存じます。

<要望>

国においても、6月に提案された少子化対策の中に、小学期放課後子どもプランが掲げられている。共働きの家庭が多い中、仕事と子育ての両立支援は喫緊の課題である。来年度に向けた予算的なものも、今年度中には国から発表されるのではと期待している。

福祉の分野では、学童保育は1年生から3年生まで預かれる施策として取り組まれているが、その延長として4年生から6年までの施策を早急に取り入れて欲しい。ただ預かるのではなく、学校図書館を利用した読書習慣、楽しい放課後教室といったアイディアを盛り込んだものとして欲しい。そのためには、保護者の方、地域の皆さんの協力無しにはできないことである。学校、保護者、地域の皆さんでしっかり協議できる機会をつくり、放課後・長期休暇を有意義な学校図書館利用となるようお願いしたい。

 少子化対策においては、文科省・厚労省の協働施策となる動きが活発になってきている。光市においても、福祉所管と教育委員会との壁を取り払い、子ども達のための重点施策となることを大いに期待している。

B独自な乳幼児医療制度を

3点目、若い保護者の方からの切なる声に、乳幼児医療費の問題があります。

病気がちな子どもを持つ親として、医療費は現実問題として大きな負担になっています。現在、医療費の窓口負担割合は、3歳未満児については2割となっていますが、国は、平成204月から、これを拡大し、就学前までの児童について2割負担とする案を示しております。

山口県では、福祉医療費助成事業として、この自己負担部分について全額を助成する措置を講じているところですが、所得要件が父母の市町村民税所得割額が合計82,300円以下の世帯に制限されています。

こうした福祉施策には、一定のラインが設けられることはある程度やむを得ないところがあるのかもしれませんが、たとえば、16年度から配偶者控除に上乗せされていた配偶者特別控除の廃止により、かなりの数の世帯が対象外となるなど、税金は増える一方で、大幅な医療費負担が生じるという現象がおこっています。

社会保障改革・税制改正に伴い、今後さらに個人の負担が増えていくことが予想される中、子育て中の保護者にとって、医療費の経済的支援は非常にありがたいものです。少子化対策の一環として、光市独自の支援策も求められる状況ですが、こうした方々を救済するためにも、所得制限の撤廃も一つの方策であると考えます。

かりに、所得制限を廃止するとした場合、どの程度の財政負担が生じるのか、さらに、光市独自の制度として当局のお考えをお聞かせください。

<答弁>

 乳幼児医療助成制度は、県と市町が一体となって行う福祉医療制度の一環として、子どもを安心して生み育てられるよう、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ることを目的に、昭和48年から実施しているものでございます。当時は、1歳未満の児童を対象として、所得税4,800円以下の世帯からスタートいたしましたが、その後、時代の要請に合わせ対象範囲を拡大、平成16年に、ほぼ現在の基準に緩和され、おおむね対象児童の75%程度がこの助成制度を受けられる状況にございます。

 ちなみに、本市の17年度の状況を申し上げますと、年間平均受給者数は、2,146人、医療費助成額は約9,600万円となっております。なお、この制度は単県事業でございますので、この事業に要する事務的経費も含め、県から所要額の2分の1の補助がございます。

 お尋ねの所得制限を撤廃した場合の財政負担についてでございますが、17年度実績を基に算定いたしますと、受給者数は約750人増加し、助成額は約3,500万円程度増加するものと推計されます。このほか、システム改修経費等についても、相当額が必要になるものと思われますが、こうした新たな財政負担は、現在の厳しい財政状況からすると非常に難しいものであると考えております。

 しかしながら、今後国において抜本的な医療制度改革が行われようとしていること、また、これを受け、県においても福祉医療制度の見直しの中で何らかの子育て支援策を盛り込むことが予想されるなど、制度が大きく変わることが予測されることから、市といたしましても、こうした制度改正を踏まえたうえで検討する方が効果的であろうと考えております。

 いずれにいたしましても、議員仰せのように、経済的な面からの子育て支援策としては一つの有効な支援であると考えており、市長答弁にもございましたように、どのような方策が考えられるのか、国・県等の動向を注視しながら、今後は庁内関係各課による「連絡調整会議」などで研究・検討してまいりたいと考えております。

 (配偶者特別控除の廃止に伴う影響)

議員ご質問の乳幼児医療の対象者ですが、小学校未修学前までの児童数は、約2800人で助成対象者は、2150人と約7割強でございます。平成16年度に配偶者控除に上乗せされていた配偶者特別控除が廃止されたところでございますが、この影響が17年度に現れ、約190人の受給者数が減少したところでございます。

 しかしながら、助成額は小児科の開設等の影響により、17年度は約650万円、7.3%の増加を示しております。

<要望>

平成18年4月の診療報酬改定により、かなりの医療現場の診療点数が下げられた。しかし、医師不足で全国各地において休診に追い込まれている産婦人科・小児科等は、過酷な医療現場の改善、さらには医師確保のため診療点数は上げられた。その影響で、子どもを取り巻く医療施設では、個人負担は増加している。

光市においては、民間の産婦人科・小児科等の施設が充実しているため、本当に安心できる環境にある。さらに、医療費の個人の負担減があれば、乳幼児期については、さらなる安心感がおけるであろう。

 今後、国や県との制度改正に伴う現状をすばやく反映できるよう、予算を確立していただきたい。