定例会
3、独自性のある教育環境を
 

@教員採用権の拡大について
 文部科学省は来年度から、市町村による教職員の独自採用を全国に広げることを決めました。すでに学校が独自に学級編成できるようになりつつあり、今回の独自採用と併用すれば、不足している教員を自由に補うことができ、より柔軟な学級編成が可能になるでしょう。
 現行では、公立小中学校の教職員は、原則として都道府県・政令指定都市が採用し、給与を国と都道府県が半分ずつ負担しています。しかし、2003年度からは構造改革特区に認定されれば、市町村が給与を負担することによって、独自に教職員を採用できる制度が始まりました。7月現在、全国で26の市町村が特区に認められ、計200人の教職員が採用されています。独自採用の教員は、少人数教育や英語教育、不登校対策などにあたっており、地域がそれぞれの実情に応じて活用しているのです。 光市においても、独自に採用し柔軟な学級編成をしていく考えがあるかどうかご見解をお伺いいたします。

答弁
 まず1点目の「教員採用権の拡大」についてでございますが、現在、県費負担教職員の給与負担と人事権は、基本的に都道府県にありますが、例外的に政令指定都市につきましては人事権が移譲されておりますし、中核市につきましても人事権のうち研修に関する実施義務のみが、都道府県から移譲されております。
 また、学級編制につきましても、平成13年度から都道府県が児童生徒や地域・学校の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、40人を下回る学級編制基準の設定が可能となっておりまして、山口県教育委員会においても、現在適用しており、小・中学校で35人学級が実現しているところであります。
 このような中、議員仰せのとおり、文部科学省の「教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議」は、「今後の学級編制及び教職員の配置について」公表しております。 学級編制の仕組みの改善につきましては、今後は学校現場の判断により地域や学校の実情に合わせた指導形態・指導方法や指導組織とする必要があるため、現行制度を見直し、学級編制に係る学校や市町村教育委員会の権限や責任を強化する必要があるとしております。
  また、教職員定数の改善の方向性としましては、児童生徒の「生きる力」を育むため、これまで進めてきた少人数指導をはじめとして少人数教育を充実させる必要があるとし、各地域が抱える課題に効果的に対応できるよう、専門的な教職員を配置し、学校間を巡回するなど学校を超えた取組みが可能となる仕組みや各学校はもとより各地域ごとに抱える課題や取組みの進度などが異なることを踏まえ、これまでと同様に、教職員の加配定数の改善を基本とすることが適当であるとしております。
  議員仰せの「本市において、独自に教職員を採用し柔軟な学級編成をしていく考えがあるかどうか」についてでございますが、教職員の人事権移譲については、財源措置の十分な裏付けがなければ形だけの人事権の移譲に終わる心配もあり、国が責任を持って財源の確保をした上で、弾力的な運用が可能となる人事権移譲が必要であると考えておりますことから、今後、義務教育に係る費用負担の在り方等について議論する中で、慎重に対処していく必要があると考えております。




A総合学習の一部を委託、専門教員の配置を
 先日新聞に、文部科学省に総合的な学習の時間の企画・調整など、課題ごとに専門教職員を追加配置するべきという提言がなされていました。多様化した学校現場において、教員のこなす現状から、ゆとりある教育現場にするためには、非常にありがたい提言であると考えます。
 またさらに、総合学習の一部を専門的な民間企業に年間委託している学校もあります。現実を踏まえ光市は今後、どのような方向を採用していこうとしておられるのか、ご見解をお伺いいたします。

答弁
 「ゆとり教育」を柱とする現学習指導要領の目玉として平成14年度から「総合的な学習の時間」いわゆる「総合学習」が小・中学校に導入されたのは御案内のとおりでございます。  この学習は、ゆとり教育の中で、これからの社会で子どもたちが「生きる力」を培うため、各学校が地域や子どもの実態に応じて、創意工夫を生かした教育活動を行う時間として、創設されたものであることから、目標や内容、授業時数等についても、各学校が子どもの発達段階や学習活動の特質を考慮して、それぞれの実態に応じた特色ある教育活動が展開されているところでございます。
 しかしながら、創意工夫あふれる取組が増加する一方で、中には目標や内容が明確でなく、検証・評価が不十分な実態や、教員の必要かつ適切な指導を欠き教育的な効果が充分あがっていない取組が指摘されたり、総合学習で身につけさせたい資質や能力等が不明確なままで実施している事例やねらいを十分に踏まえた指導がなされていない事例も見受けられたりして、平成15年12月に学習指導要領の一部改正をみたところでございます。
 そのような中で、先の中央教育審議会の義務教育特別部会で報告された「義務教育に関する意識調査」では、小中学生の保護者69%が肯定的に評価する一方で、小中学校教員は83%が「負担が大きい」と感じ、さらに小・中学校教員の46%が「なくした方がいい」と回答しているという結果の公表でございました。
 特に中学校教員の総合学習に負担感が強いことが伺え、6割近くの中学校担任が「総合学習専門の先生を置くべきだ」と回答しているという実態でございます。  これらのことから、議員仰せのとおり、総合学習の時間をより充実した時間として構築するためにも、社会体験実施に向けた調査や、渉外を伴う準備作業などに当たる専門教員の配置や民間企業の専門家等によるカリキュラム開発の援助等、学校現場における支援の必要性が問われているところでございます。
 現在、光市の総合学習の実施状況でございますが、各学校とも福祉教育や環境教育、国際理解教育など様々な分野での地域の達人の方を講師としてお招きしたり、官公庁や企業の出前講座などを行っていただいたりと御指導をいただきながら学習活動を行っております。  
 今後、さらなる総合学習の充実を図るよう、議員御紹介の提言を十分研究させていただき、学校とも十分協議しながら、必要な措置を総合的に判断してまいりたいと存じます。