総務文教委員会行政視察報告
 
平成15年10月15日(水)〜10月17日(金)
 
 埼玉県川口市
  @学校長と公募制に伴う市教育委員会の取り組みと成果について
  Aサイエンスワールド(科学館)について
 
 東京都杉並区
  @教育改革アクションプランについて
  A学校長公募制に伴う区教育委員会の取り組みと成果について
 
 神奈川県小田原市
  @行財政改革について
  ・市税滞納者の公表制度について
  A静かなる教育論議の推進について
 
 
 
埼玉県川口市
 
概要
川口市は埼玉県の南端に位置する県内有数の都市です。荒川を隔てて東京都に接し、江戸時代から鋳物や植木などの産業が発達。その後、住宅都市化が進みました。今日では、人口48万人を超え、首都東京と隣接しているという利便性を活かしながら、固有の伝統ある“ものづくり”のまちとして、活力あるまちづくり・人づくりを目指している。
 
@学校長と公募制に伴う市教育委員会の取り組みと成果について
・民間人校長の登用について
 
 これからの学校がより自主性・自立性を持って、校長のリーダーシップのもと、組織的・機動的に運営され、地域の実績に応じた特色ある学校づくりを展開するために、幅広い人材を確保できるようにしたものである。これにより、教員免許状を持たない学校外の人材の任期が可能となる。
 
民間人校長に期待するもの
 1、民間企業等で培った経営感覚、渉外能力、発想を生かした組織的・機能 的な学校運営が行われ、地域に信頼される学校づくりが期待される。
 2、経営目標や成果の確認、説明責任という経営意識による学校運営が、透 明性を高め開かれた学校づくりを推進すると期待される。
埼玉県教育委員会の施策
 この制度を活用し、独自の基準を設け平成13年度から実施(団体からの推 薦方式、選考委員会、面接等)現在小学校1名、中学校1名、高校2名の登 用。
川口市の対応
 県教育委員会に配置希望を提出し、平成14年4月に、幸並中学校に配属さ れた。
配属された校長
 石黒 雅明 51歳(当時) 元富士写真光機梶@医療機器部担当部長
配属先の学校概要
 川口市立幸並中学校 西青木2丁目3-53
 平成15年度 生徒数 467人  学級数 15(特学含む)
 教員 18人  給食員等 4人  スクールカウンセラー等 3人
 
・民間人校長登用の目的、意義等について
 
1、背景
 子供の個性・能力に応じた教育が軽視されがちだった画一的な教育から脱却し、子供の個性を伸ばし、豊な心を育む教育を実施するためには、自主性・自立性を確立し、特色ある学校づくりを展開する教育改革が必要となった。これを実現するためには、地域や学校の状況・課題を的確に把握しながらリーダーシップを発揮するとともに、教職員の意欲を引き出し、組織的・機能的な学校運営を行う資質を持った人材を確保することが重要となった。(また、長年の慣習が漫然と続き、職場が沈滞し、新たな試みなどを受け付けない硬直化した雰囲気を持っていた。時代の変化、市民の教育ニーズに敏感に対応する職場体験にする必要があった。)
 
2、目的・ねらい
 企業には、目標を定めて主体的に取り組む姿勢などが優れている。
 新しい発想と民間の経営感覚による学校運営を通して、学校の活性化と特色ある学校づくりの実現を図る。
 組織的、機能的な学校運営を行うことができる資質を持つ優れた人材を幅広く確保する。
 
3、意義
(1)学校外からも教育に対する高い職見や管理能力のある人材を任用することが可能となる。
(2)民間企業等で培った経営感覚や発想を生かして、組織的、機能的な学校運営を行い得る人材を広く求めることができる。
(3)民間企業等で培った優れた渉外能力や人脈を学校運営に生かすことにより、特色ある学校づくりを一層推進することができる。
(4)経営目標や成果の確認、説明責任という経営意識がより一層高まり、開かれた学校づくりを推進することができる。
 
4、川口市における成果
 平成14年度は初年度のため、学校の責任者として、現場の状況、課題、教職員の考え、保護者・生徒・地域の考え方の把握につとめ、今後の学校運営の方向性について協議を進めてきた。
 15年度は、前年度の検討を踏まえ、学校行事・校務のスリム化、読書活動の充実、社会に通用する人材となるよう礼儀作法の習得、地域との交流の充実を重点項目として取り組む。
一般社会的な視点からの教育のあり方を示し、実行されることに期待している。教職員には、民間企業的な発想になれがたい一面を感じているが、コミュニケーションを重ねる中に、徐々に理解されるようになってきている。
 
<感想>
 過去に起きた広島での民間人校長の悲惨な事件から、今回の民間人校長の採用がどのような成果になっているのか、問題点をどのように改善しているのか非常に興味があった。特に、その問題に対しては、川口市においては県との充分なコミュニケーションで関係は良好であると言われる。
 民間人校長が採用されている幸並中学校では、管理職に対して、自己申告制度をもうけ、1年間何をやるという目標を掲げさせ、その成果に対して何らかの差別化・区別化を行っているという。今までは、何となく目標を掲げていたことが多かったが、一つの具体的な目標を掲げることで、確実に成果を上げるようになってきたとのこと。また、初めは専門職である教師の反発等もかなりあったようだが、校長との充分なコミュニケーションで、随分緩和改革され、理解されてきているようだ。
川口市は、市内全部の小中学校の校区を決めていない。全て通学区域とし、自分で選択できる状況を作っている。区域外の学校を希望する生徒は全体の12%で、主な理由は・自宅から近いから・友達が行くから・希望する部活動があるから・先生に魅力があるから等である。ちなみに、全体の8%〜9%は私立の中学校へ進学している。
このことから考えても、川口市のコンセプトに、選ばれるということの発想が、学校選択制を生み、最終的には教師の選択ということが込められているのだろう。それは、教師としてのやる気を起こさせることに必ず繋がるのではないだろうか。
 今、特色ある学校づくりということが、全国各地で掲げられているが、まさに一人一人の教師のやる気が、学校の魅力になり、特色を生むことになる。光市においても、今後ぜひ様々な角度から協議していただき、まちづくりの基本である人づくりの観点から、早急に学校教育現場にやる気を作り出して欲しい。そのための県へのアプローチを、しっかりとお願いしたい。
 
Aサイエンスワールド(川口市立科学館)について
 
概 要
 川口市立科学館 サイエンスワールドは、平成15年5月3日(祝)にオープンした、子どもから大人まで楽しめる参加体験型の科学館。科学展示・プラネタリウム・天文台の3施設から構成され、相互にネットワークによる情報のやりとりが可能になっている。毎月さまざまなテーマのサイエンスショーや科学体験教室、プラネタリウム一般投影や天文台の開放など、楽しい催しがたくさんある。 
 
●開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
●休 館 日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌日)・ 祝日の翌日 ・年末年始(12月28日〜1月4日)・館内整理日
●入 館 料: 科学展示入場料 大人: 200円  小中学生: 100円
プラネタリウム観覧料 大人: 400円  小中学生・未就学児: 200円(未就学児で座席を使用しない場合は無料)
 
<感想>
 サイエンスワールドは、科学展示室、プラネタリウム、天文台の3施設によって構成され、ネットワークで結び相互の情報のやり取りができる参加体験型の施設である。私たちの身のまわりのものごとの中には、深い化学が潜んでいるが、それをみんなが見つけられるようお手伝いをする科学館である。いろいろなことを発見し、またその発見する力を高めることも大きな目的としている。科学の原理は世界中どこでも同じように働くということを考えると、科学という共通の言語を使えば、世界中の人たちと会話ができるようになるということかもしれない。まさしく、現場で疑似体験しながら学ぶことのできる施設という点では、うらやましいかぎりである。光市内の子供達にも、少しでも楽しみながら学べる環境をつくってあげて欲しい。川口市と同じような環境づくりは難しいとしても、楽しみながら学べるということからも、興味をもつきっかけ作りになるような施設利用、人材(エデュケーターと呼ばれる専門家の登用)を考えていただきたい。
 

東京都杉並区

 
概要
 武蔵野台地の上、東京23区の西端に位置し、おおむね方形で面積は34.02平方キロメートルと23区中8番目の広さを持っている。杉並区は東京の発展とともに、比較的自然に恵まれた住宅都市としての性格をもちながら成長してきた。人口は昭和52年をピークに横ばい状態だったが、現在は総人口52万4,278人で、わずかに減少の兆しを見せている。
 
@教育改革アクションプランについて
 
 教育委員会では、未来を担う子どもたちが、楽しく学び、思いやりの心とたくましく生きる力をはぐくむことのできる教育の推進と、区民一人一人の生涯にわたる学習、文化、スポーツ活動に推進をめざして「杉並区教育改革アクションプラン」を平成14年2月に策定しました。この計画に基づき、様々な施策を学校や地域の実情に合わせて段階的に進めています。
以下、ピックアップしたものを紹介する。
 
・教科に応じた教員加配
 学級の枠を越え、2学級を3つのグループに分けて指導するなど、きめ細やかな少人数指導の具体的な取り組みや実施計画を精査して、教員加配を行う。
 
・民間教師による授業の実施
 塾や予備校の講師を招き、学校の授業の時間において講義を提供していく。実践的な解法をを学ぶことによって、子供たちの学習意欲の向上につながる。また、子供たちをひきつける工夫、考えようとする力や意欲の引き出し方など、指導方法を実践的に学ぶことによって、教員の指導力向上をはかる。
 
・環境教育の充実・Kids ISO 14000sの実施
 済美教育研究所で発信する「環境学習支援ホームページ」を活用した環境学習や専門教材(Kids ISO 14000s)を使用しながら、家族と一緒に環境への関心を高め、実生活を通じた省エネ省資源実践学習を実施する。
 
・校長の経営能力の向上と権限強化
 学校の状況・課題を把握しながら、特色ある学校づくりをすすめるには、校長の適切な指導力の発揮が欠かせない。それを十分に発揮することができるよう、財政や人事上の側面から支援する。
 
・「説明責任」をより果たす学校
 各学校が、それぞれの教育目標や教育計画の策定の趣旨、指導方法、実施状況、自己評価や保護者、学校評議員による外部評価などについて保護者や地域に対し、学校の状況、考え方などを発信し、説明責任を果たしていく。そして、学校で何ができるか、何を行っているのか、家庭や地域で何を行うべきなのかなどを保護者や地域とともに考えながら、学校と保護者・地域との新たな関係を築いていく。
 
・民間人校長の登用
 児童・生徒及び保護者のニーズを反映した「特色ある学校づくり」「地域に開かれ、地域の中にある学び舎としての学校づくり」をすすめる。そのため、教育について高い見識と意欲を持ちつつ、企業経営に求められる専門知識や教養、学校の経営者としての企画力・行動力を備え、実際に民間企業において、組織改革の実績や海外派遣などの経験と実績のある人を校長として登用する。
 教員出身の校長と民間人校長とが、互いの特性を活かしながら、ともに刺激しあい、それぞれ特色ある学校づくりに取り組んでいく。さらに、企業で培われた幅広い社会体験、組織運営の発想を学校内に新たに取り入れることにより、教育の専門家である教員の力を十分に発揮させ、学校全体の活力を高めていくことも期待する。 
 
・学校希望制度の実施
 学校教育に対するニーズの多様化に対応するとともに、学校教育の質を高めるためには、各学校が切磋琢磨しあいながら特色ある教育活動に取り組み、保護者や子どもによって学校が選ばれるようにすることが必要。そのため、子どもや保護者が指定された学校以外に、隣接する通学区域の学校からも入学を希望できる制度を導入し、推進する。
 また、子どもや保護者の学校選択に際して、保護者などが単なる評判や風評などで選択することのないように、学校の教育目標、教育方針、学校の特色など十分な情報提供をしていく。「選ばれる」ことによって、さらに各学校は、教育内容の充実に向け工夫を重ね、地域に開かれ魅力ある学校づくりをすすめることにつながる。
 
・コーディネーターの配置
 学校と地域との掛け橋になるように、企画・調整力があり、人脈を豊富に有した人材をコーディネーター(調整担当者)として試行的に配置し、学校の求めに応じ、外部の人材を活用した各種事業が円滑に行われるよう支援していく。
 
・保護者や学校の意向にもとづく「土曜日学校」の開設
 学校週5日制の実施にあわせ、土曜日の学校を舞台に、子供たちが地域の中で広く様々なことに挑戦・体験できるよう、保護者や学校の意見をもとに学習やスポーツの機会を提供していく。
 
・現場の声を重視した活動
 教育委員と語る会、教育フォーラム、児童・生徒などとの懇談会を実施するとともに、現場に足を運び、教育に対する区民の生の声を聞いていく。また、教育施設の利用者に対してアンケート調査を行うなど、区民の希望を的確に把握し、区民満足度の向上を図る。
 
 以上紹介したものは、私が興味をもった計画についてであるが、教育改革アクションプランにはその他にも、多種多様な計画が盛り込まれたものとなっている。
 
A学校長公募制に伴う区教育委員会の取り組みと成果について
 
 民間人校長の登用の取り組みは、教育改革アクションプランのEに計画としてあげてあるように、今年4月にリクルート社出身の藤原和博さん(47)が杉並区立和田中に民間人校長として赴任した。和田中は和田小学校と同一の敷地にある中学校である。藤原さんは民間の会社を退社し校長として採用されたが、3年間の期間限定付きで都に雇われ杉並区に配属された。その後の公務員としての保証はない。5月からは、3年生の選択家庭科の時間に、以前から公立の中学校でゲストティーチャーとして実施していた「よのなか」科を始めた。学校で習う知識を、「世の中で実際に使えるコミュニケーション技術」に変える授業だ。1年の総合学習の時間にも2学期からは、「情報技術」を中心とした講座を受け持つ。
 藤原校長の取り組みは、1,校長室の開放 2,「よのなか」科の実施 3,評議員制度の役割明確化 4,公的でないコミュニティー教育基金創設 など思い切った発想で、教育現場を改革していこうとしている。現場の状況を自分の目で確認し、変えていかなければならないことに一つずつ疑問を投げかけながら、メスを入れている。
 学校希望制度も取り入れている中で、教師に危機感を求めながら、選ばれる教師としてまたは学校としての目的が、少しずつではあるが成果として結びついているのではないだろうか。今後のすべての教育機関に対する課題としては、各学校間での協力体制の強化と教育目標の具体化があげられる。
 
<感想>
 杉並区の和田中学校校長(藤原先生)の新聞記事(連載)を読んでいると、驚くことが多い。このような校長先生がいたら、教育の世界は本当に変わるのではないのか?と思えるほどの現状が書かれている。企業=学校現場というわけにはいかないが、おかしいと思うことを変えていく勇気を持つことが、今の教育現場に求められているのではないかと感じた。
まちづくりは人づくりからということを考えると、教育現場がいかに重要であるか周知のことである。家庭・地域のコミュニケーションの機能が不完全な今、教育現場に求められているのは、学力向上ではなく、基本的な生活習慣を身につけるさせることなのではないのだろうか。基本的は生活習慣(生活指導)こそ、道徳心が養われ、協調性、集中力、忍耐力のある子どもに育ち、それが学力に結びつくのと確信している。
 
 
神奈川県小田原市
 
概要
 小田原市は、神奈川の西の玄関口にある都市です。東西17.5km、南北16.9kmで、南西部は真鶴町、湯河原町、箱根町と、北部は南足柄市、開成町、大井町と、東部は中井町、二宮町とそれぞれ境を接しています。面積は神奈川県の面積の4.7%を占め、県内の市としては、横浜市、川崎市に次いで3番目の広さを有しています。平成15年7月1日現在の人口は 199,396人。市の南西部は箱根連山につながる山地であり、また東部は曽我丘陵と呼ばれる丘陵地帯になっています。市の中央を酒匂川が南北に流れて足柄平野を形成し、南部は相模湾に面しています。
生活圏としては、鉄道5路線が集中する小田原駅周辺に近隣都市を商圏とする商業が古くから集積する一方、全国的な生活拠点の郊外化の波に漏れず、鴨宮を中心とした川東地区に複数の郊外型大規模ショッピング施設ができ、商圏の二極化が進んでいます。
恵まれた自然立地と温暖な気候を背景に、後北條氏以来小田原城を中心に商業・文化が栄えてきたイメージのある小田原市ですが、市内外の遺跡や古文書などにより歴史をさかのぼると、実は1000年都市、あるいは富士箱根伊豆という国際的な観光地の広域交流拠点都市と呼ぶにふさわしいまちづくりの歴史があることが分かります。
 古くから人、もの、情報などが行き交う要衝である小田原市は、平成12年4月に特例市に指定され、ひとつの自治体として行政の質を高めることはもちろん、歴史的にもつながりの深い箱根町、真鶴町、湯河原町の3町と、今後どのように協働して「まちづくり」を進めていくかの方策を探るため、平成14年3月に「西さがみ連邦共和国」を建国し、研究を始めています。
今後も広域的な交流・連携をさらに進めて、21世紀の都市間競争を勝ち抜く都市に成長していくことを目指します。
 
@行財政改革について(市税滞納者の公表制度について)
 
1,収納課の目標
 収納率は経済情勢に多分に左右される傾向があるが、納税者・市民が求める租税負担の公平性維持のために、収納率の向上を目指さなければならない。
 収納課としては、目標を明確にした年間スケジュールを策定し、その上で担当主査を通じて職員全員の意識統一を図り、収納課が一丸となって滞納整理を推進する。その過程で必要により、他の部局からの応援による滞納整理を実施する。市税滞納整理は、専門的知識・技術を求められる仕事なので、職員育成に配慮した推進体制を整理する。
 
2,収納率向上のための対応策
 
(1)職員養成
 
収納課職員の意識付け
 管理担当、収納担当の事務内容から、目標である「収納率向上」に対して認識が希薄になりがちであることから、昨年度の市税収納状況を比較しての検討を随時行い、時宜に応じた対策を講じ、滞納整理月間には職員一丸となって当たる。
 管理担当は「軽自動車税関係」、「口座振替関係」、「還付」、「市税等の収納管理(収納率の算出等)」及び「課内庶務・税3課の調整」の事務を取り扱っているが、事務量が多く事務内容も独立色が強い。収納率を算出しているが、直接、滞納整理をしていないことから、収納率向上に対し、何がポイントなのか意識していない。
 一方、収納担当の「市税等の滞納整理」に係わる事務は、滞納処分までにいくつもの手順を踏まなければならず、その交渉過程で神経を使うことが求められる。その上、職員一人当たりの滞納者数が非常に多い。そのことから、ただ滞納整理だけにとらわれ過ぎる傾向があり、全体的な収納率向上に対する意識が薄い。
 
マニュアル見直しによる事務のレベルアップ
 担当ごとに事務マニュアルの見直し・作成を行い、相互補完的に事務が引き継がれるようにする。
 特に徴収吏員には、滞納処分に付き多大な権限が付与されているが、各々の吏員の考え方によって滞納処分の方法が異なることが多分にある。租税の公平性から、滞納整理の仕法は統一する必要がある。その流れや実例を踏まえて、職員が共同して滞納整理マニュアルを作成することにより、滞納整理のノウハウを取得し、レベルの向上とともに、処分方法の統一化を図る。
 
各種研修への参加
 国・県・市等の主催する各種税務研修を受講させることにより、職員の資質向上を図る。今年度の主なものは、徴収事務のマネジメント力を修得する自治大学校主催の第1回税務専門課程徴収事務コースである。
 
徴収指導員による滞納整理実務研修の実施 
 現下の経済状況における滞納整理は、ますます複雑化し、専門性を増している。毎年の人事異動を考慮して、滞納整理のノウハウを修得させ、徴収吏員として自立させるために、国税局OB職員(12.8.1付けで採用)による臨場での実務を含めた研修を15年度も継続する。
・市税等の滞納処分に関する職場研修の実施
臨場での調査・差押などの実務指導(財産調査、帳簿の見方、対応方法等)
 (特に給料・保険・売掛金)
・市税等の徴収及び市に係わる国税等、税全般に関する適切な助言、指導
・滞納審査会での委員に対する適切な回答
 
県の人事交流による公売(換価)のノウハウの取得
 納税意欲の認められない滞納者には差押などの処分を実施しているが、換価(公売等による現金化)をしていないのが現状であることから、こままでは、租税公平性を失することとなる。公売のノウハウを取得することを目的に、今年度県と人事交流を行う。
 電話加入権のみならず、換価するに見合う物件(土地等)の換価のため、県税事務所との共同売価に積極的に参画する。
 また、県交流職員の地方税に対する姿勢・ノウハウも取得する。
 
徴収補助職員の養成
 徴収吏員が臨戸・電話催告に専念できるように、窓口、電話対応や簡単な徴収事務を処理するため、平成15年度から徴収補助職員を採用した。徴収吏員でないため、滞納者の納付指導はできないが、できる限り独り立ちできるよう経験させ、研修を行う。 
 
(2)滞納整理システムによる滞納整理の推進
 滞納者の折衝記録の管理、各種滞納処分の日限管理、催告書の一括送付などができる滞納整理システムの導入(13年11月)により、財産調査などが進展し、分割納付、差押、執行停止などの滞納整理が進行し、滞納件数も徐々に減少している。特に、昨年度の執行停止マニュアル策定により、昨年度の不能欠損額3.6億円は13年度の2倍であった。
 しかし、5年の時効削減の存在、13年度以前の特別徴収未納額の存在、県外・市外の滞納者の存在、差押執行日等が相当古い処分等についての未整理、軽自動車税賦課後の処理の徹底など、まだまだ課題が多いため、調査を進め、執行停止をさらに推進する。
 また、この電算システム導入により、定時の時間外でも臨戸・電話催告などによる滞納整理や窓口延長・開設が可能となった。14年度に引き続き、15年度も窓口延長・開設を拡充していく。
 *平成14年度
・14年7月〜15年1月 スライド勤務による毎月末の1週間19:00まで窓口延長
・15年2月〜3月(滞納整理強化月間)
  スライド勤務による水曜日を除く平日19:00まで窓口延長
  土・日(祝日除く)9:00〜15:00の窓口開設
   注・・・スライド勤務(平日10時半〜19時・土日出勤)
 
(3)小田原市市税滞納審査会の開催
 小田原市市税の滞納に対する特別措置に関する条例(12年3月31日制定、12年7月1日施行)は、悪質滞納者に対する「行政サービスの停止」及び「氏名公表」を規定した全国初の条例であり、その条例にあわせ、市長の諮問に応じ調査審議を行う小田原市市税滞納審査会を設置した。審査会では、12年度、13年度に条例の運用に係わる弁明書の様式や手続き等の整備を行い、14年度は悪質滞納者の実案件に対して付議・研究を行った。
 収納課は審査会の意見を参考にしながら、審査会に付議したことも伝えるなどして滞納整理を進めた結果、これらの案件については分納などの動きがあった。
 条例は氏名公表のみを目的とするのではなく、第一義的には納税させることであるが、今年度も引き続いて、氏名公表及び行政サービス停止の実施に向け、悪質滞納案件の府議・研究を続ける。審査会の意見をも参考にしながら、滞納整理を進めるとともに、市広報への審査会開催状況の掲載など行い、悪質滞納者等に周知する。
 
(4)滞納整理に伴うトラブル
 滞納する理由に、病気、会社の倒産による生活困窮や市の施策・制度に不満があるが、中には、職員の態度に言い掛かりを付け、市の誠意を見せろという少数の滞納者もいる。その場合、組織として毅然たる態度で対応することが肝要であるとされており、組織の対応次第で徴税職員の意欲も失せてしまう。時には警察(地方課)との連携も考慮する必要がある。そこで、15年度には暴対マニュアルを作成し、関係機関との連絡体制を整える。
 
(5)収納課経営会議の開催
 課長が主催する収納課経営会議を設置。毎月末に開催し、担当毎にヒヤリングを実施。
・時宜に応じた滞納整理方法等の決定
・滞納処分の決定(特に大口、悪質など、問題のある滞納関係者の対応策)
・50万円以上滞納者の滞納整理状況の確認・指示
 
3,収納課の体制
 職員26人
課長1人ー課長補佐1人ー管理担当8人
ー収納担当16人 1班(現年課税分)5人
         2班(滞納繰越分)3人 
         3班(滞納繰越分)4人
         4班(滞納繰越分)4人
・その他職員5人(徴収指導員1人、県交流職員1人、徴収補助職員3人)
年間、8ヶ月は滞納整理強化月間と決めているが、当月の職員出勤はフレックス制を取っている。
 
<感想>
 どこの自治体においても、税滞納者に対する問題には頭を抱えているのが現実であろう。今回視察した小田原市では、全国に先駆けて税滞納者に対する氏名公表の条例制定がなされた。賛否両論あろうかと思うが、悪質な滞納者に関しては断固戦うべきではないかと思う。そのためには、市民に理解を深めることはもちろんであるが、担当職員の研修を深め専門的な対応ができ、どんな悪質滞納者にも冷静に対応できる人材を育てること、さらには行政内の他の部署との連携を密にし、協力体制が取られることが重要であると思う。具体的な例をあげれば、市税が滞納されていても、福祉のサービスとして補助金を受け取っているというケースがあるということだ。
 光市においても、貴重な税収をよりよいまちづくりに反映することが課せられているだけに、悪質滞納者の徹底的な対処方法をこの際、小田原市に見習って協議していくべきではなかろうか。
 
A静かなる教育論議の推進について
 
 小田原市は「まちづくりは人づくり」の観点から、「教育」を大きな柱の一つとして市政を進めている。日々、マスコミによって報道される青少年の犯罪、いじめ・校内暴力などは、エスカレートするばかりで、人間社会の存立基盤である「教育」が、今大きく揺れ動いている。そのような中、学習指導要領が改正され、平成14年度から新しい学校教育が始まっている。小田原市では学校週5日制のもと、「豊かな心」と「生きる力」を育むため、各学校が創意工夫し、特色ある教育、学校づくりに取り組んでおり、学校は確実に変わってきている。しかしながら、「教育」は学校教育だけの問題ではない。家庭・学校・地域、そして行政が連携して守り育てていく必要がある。
 まちづくりとひとづくりは一体のもの。小田原のまちづくりには、小田原のひとづくりが必要。教育は議論したからといって、すぐに変わるものではないが、議論しなければ何も変わらない。未来を見据えて一歩一歩着実に変わっていくために、小田原市は「静かなる教育論議」を推進している。
「静かなる教育論議」では、市民社会をあげて、様々な立場から様々な場所で自由に議論(井戸端会議と名づけた。)していただくことを中心に取り組みを行っている。井戸端会義では、既に8,000件を超える意見が寄せられている。その一部は広報おだわら(毎月1日号に掲載)や、このホームページでも公開している。
 また、小田原の地域特性を生かしながら21世紀を担う子どもたちの「生きる力」を育むための、将来を見据えた教育計画である、「小田原市学校教育推進計画・おだわらっこ教育プラン〜きらめく子どもの未来のために〜」を策定いたした。これは、平成12年11月以来続けられている井戸端会議に参加された2万人の方々から出された意見と、平成13年12月に提出された小田原市学校教育懇話会からの提言書を受け、平成14年3月から、有識者・市民からなる小田原市学校教育推進計画策定委員会で検討してきたもの。平成15年度から平成24年度までの10年間にわたる長期的な計画で、家庭・地域・学校・行政が協働しながら「教育の行き届いたまちおだわら」の実現を目指す。
 現在、小田原市では学校教育分野に限らず、家庭教育や社会教育など、生涯の全てにわたる教育を対象とし、人間としての自己のあり方、社会や自然との関わり方など、小田原市の教育の基本理念を示す“小田原らしい教育の目標”の作成を、平成15年度中の作成に向けて取り組んでいる。
 
<感想>
 教育井戸端会議は、すべての市民が対象で市民主役の事業である。多くの市民の意見を教育の現場に届けようとするのは素晴らしいことだと思う。しかし、特に結論を出す必要もなく、提言、解決に触れることなく言い放しでよいということになると、どうなのだろうか?多くの市民が話し合う姿を子供たちに見せることによる教育効果を生み出すという目的から見れば、有意義であるのかもしれない。地域のコミュニケーションを活発にし、輪を広げることには大きな効果が見られるだろう。
 教育現場の現状や、民間人公募の校長が誕生している中で、一番大切なことは、教育現場サイドの多くの意見を教育現場に反映していくことの方が大切なのではないかと感じる。組織の下からの意見(現場)が上に吸い上げられていない現実を、多くの市民がどれだけ理解しているのだろうか?