こう志会・市民クラブ行政視察報告

日  時 2003年2月17日 10:00より

視察先  浦添市

視察内容 浦添市立浦添小学校「国際理解教育」について

対  応 浦添市教育委員会

 

視察の目的

総合的な学習の時間は平成8年に中央教育審議会が「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について」として答申した中に始めて登場し、平成10年の改訂に繋がったのであろうが、教育内容が学校に任されるという画期的な試みであっただけに、現場ではとまどいがあったようであるし、現在でも総合的学習の時間については相当に評価が分かれている。このような状況の中で、浦添市の取り組みを知り、総合的学習の時間の取り扱い、英語教育の実効性、さらには入試の道具になっている英語との関連、国際理解は達成できるのかといったことを調べることを目的とした。

文部科学省は平成10年改訂(平成14年度から実施)の学習指導要領で総合的な学習の取り扱いに触れている。小学校課程の総合的学習の時間の取り扱いについては次の通りである。

  総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,児童の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。

  総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。

(1)  自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。

(2)  学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。

   各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

   各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めるものとする。

   総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

 (1)  自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。

(2)  グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。

(3)  国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは,学校の実態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること。

 

浦添小学校の取り組みの概要研究詳細

1.研究テーマ  国際性豊かな児童の育成

〜「総合的な学習の時間」・生活科の展開を通して〜

2.研究仮説

 英語体験活動や交流活動を継続的に実施しながら、人間尊重・異文化理解・自国文化理解等に関わる国際理解活動を多様に取り入れ、共に学びあう体験活動を多く積ませれば、他者を受け入れる心が育まれ、表現力が豊かで協力・協調などの資質・能力が身につき国際性豊かな児童が育成できるであろう。

3.研究経過

(1)一年次(平成8年度)

 ・「小学校における英会話の機会の充実」に関する開発校として文部省の指定を受け、研究実践をスタート

 ・主に英語の音声に慣れ親しむための体験活動

(2)二年次(平成9年度)〜五年次(平成12年度)省略

(3)五年次(平成13年度)

  ●「総合的な学習の時間」105110時間の実践

 ☆英語体験活動

 ・1.2年生・・・17時間(週1回20分)

 ・3〜6年生・・・35時間(週1回45分)

☆交流活動

 ・KES児童との交流学習(各学年10時間)

☆異文化理解・人間尊重・自国文化理解(ディッカ・ディッカタイム)

 ・3〜6年生・・・50時間

  ・児童の興味・関心に応じた課題の追求・体験活動の重視

 

 4.研究方法

(1)教科、道徳、特別活動のすべての教育活動を通して、研究主題に迫る。

(2)研究を円滑に進めるために、研究組織を5部会に分け全職員所属。

・資料調査部・英語体験活動部・国際理解体験活動部・環境整備部

・学年研究部

(3)研究授業は、全学年が実施する。隣学年1回全体会へ提案する。

(4)ALTやボランティア・ゲストティーチャーとのTTを積極的に導入する。

5.成果と課題

(1)成果

・英語体験活動において、歌やゲーム、身体表現を取り入れた学習方法により、児童は楽しく積極的に学習しながら多くの語彙や表現を覚えた。

・地域人材バンク一覧表を用いて、地域の人材をゲストティーチャーとして活用できた。

・前年度に作成した「総合的な学習の時間」の年間指導計画(105110時間)を活用し、実態に応じ修正できた。

(2)課題

・英語学習の新鮮さを保つための、変化のある学習活動や教材の開発及び指導法の研修。

・地域の人材や教育的資源を活かした「総合的な学習の時間」の実践研究。

・児童の変容を的確に捉えることのできる「総合的な学習の時間」の評価。

 

KESとの交流活動が米国テロ事件の影響で、相互交流が中止になり、残念であった。

 

担当者との話し合い

Q:1・2年生では週20分、3年〜6年生までは週45分程度の授業でコミュニケーション能力の獲得が可能か

A:実際高学年の45分授業は運用が厳しいので、20分と25分のクラスワーク、グループワーク2つに分けて、外国人あるいはボランティアが生の英語を聞かせたり、ゲームをしたりしている。目的の一つである「英語を好きななる」はおおむね達成できていると考えるが、コミュニケーション能力が身に付いているとは思っていない。

Q:中学校に入学すると、小学校での学習が生きていないといわれるがどうか

A:低学年であれば例えば「water」を「ワラー」と発音するが、中学校になると「ウオーター」に戻ってしまう。浦添小学校の卒業生が行く中学校は、このような英語教育を受けていない生徒もいるが、彼らと比べて

・外国人に物怖じしない

・しゃべることに違和感がない

といった点が浦添小学校卒業生には見受けられるという。

そこで浦添市としては全小学校を研究校に指定し、小学校・中学校通じて英語を学ばせることを考えている。

Q:具体的な授業の1例を示して欲しい

A:Thanksgiving Day(勤労感謝の日)について世界に国々はどのようなことをするのか、国旗等を持ってきたり、あるいは身振り手振りで英語をしゃべっていく。通訳なしに同じ単語を多く使う等の工夫をすると、ある程度子供たちは理解するようになる。

Q:コミュニケーションの道具としての英語が、中学校になりそれが試験の道具となったとき、何のために英語体験学習をやったのかということにはならないか

A:これについては入試制度を改革しなければ、根本的解決にはならないと思う。

Q:沖縄には基地があり、多くの米国人が住んでいるので、交流には事欠かないのではないか。

A:昨年の同時多発テロ以来、基地との交流に制限が出ている。例えば基地とのホームステイにしても、非常に厳しい制限があり、結局環境のいい家庭の子供が優遇されることになっている。

A:総括として浦添市は英語をあくまでもコミュニケーションの道具と考え、本事業を推進していく。測定は出来ていないが、効果は上がっていると確信している。中国の天津との子供と浦添小学校の子供が英語を使ってコミュニケーションをしたことが好例であると思っている。

平成15年度からも小学校英語体験活動は継続していく

 

今後の計画

沖縄県教育庁は国際化、情報化に対応できる人材育成のために、強化としての英語教育を推進することを目指しており、小学校における教科として英語科を新設し、特定の市町村内すべての小学校を研究開発学校としてしてする方針を打ち出している。

研究開発学校は一般の研究指定校とは異なり、現行の学習指導要領の枠にとらわれず、時期指導要領の基準を改定するために研究を文部科学大臣の承認を得て行うことが出来るものである。

現在那覇市と浦添市が希望を提出しており、近々文部科学省が結論を出すそうである。

研究開発校に指定されると

@教科として位置づけられる

A年間70時間を設定する

B学校の実態に応じて、総合的な学習の時間や他の教科からとる

C県が英語免許所持教諭の派遣等、人事上の配慮をする

Dカリキュラムは県からの提案がある

E夏休み中の研修計画は、市町村教育委員会が立てる

F英語指導者を2校に1校ほど派遣する

G指導方法改善の加配教師を援護教師として活用できる

H他校種間交流(中学校⇒小学校)が可能となる

というようなことが可能となる。

もし研究開発学校にしてされなかったら、総合的学習の時間の範囲内で国際理解教育の一環として行うこととなる。

 

まとめ

 総合的学習の時間の活用が問題になっている時、浦添市の取り組みは考えなければならない点をいくつか含んでいる。

まず総合的学習の取り組みの前提となる仮説

 「英語体験活動や交流活動を継続的に実施しながら、人間尊重・異文化理解・自国文化理解等に関わる国際理解活動を多様に取り入れ、共に学びあう体験活動を多く積ませれば、他者を受け入れる心が育まれ、表現力が豊かで協力・協調などの資質・能力が身につき国際性豊かな児童が育成できるであろう。」

 これが実証できたかどうかである。

 担当者との質疑の中でわかるように、一番の目的は「英語を好きになること」と捉えており、また仮説を実証する測定手段を予め構築していなかったために、仮説は実証されなかった。しかし様々な活動を体験しており、小学校における英語体験の方法を多く確立しており、英語学習の方法については学ぶものがある。

 また外国人との交流で物怖じしない、あるいは中国の子供たちとの交流を英語で行ったなど、言葉そのものより、気持ちを通じることが出来ることが大きな成果としてあがっている。

 沖縄県教育庁は、希望する市町村を研究開発校の指定を検討しているが、これは英語を「教科」をして扱うもので、国際理解教育とは一線を画すものであり、いわば総合的学習からその一部を抽出して教科として確立していこうとするものである。

総合的な学習とは流れが逆のようであるが、学力低下が問題になっているとき、また英語が世界の共通語になりつつある現在、議論が必要であると考える。

 


 

2003218日沖縄県那覇市行政視察報告

 

視察目的

 

新しい市民社会を実現するためには、分野や地域を越えた民間非営利組織(NPO)の活動基盤の強化と、企業および政府・地方公共団体とのパートナーシップの確立を図ることが今後重要になってきている。NPO法人はまもなく1万団体を突破する勢いだが、サービス事業型NPOや雇用の受け皿としてのNPOに耳目が集中し、NPOの社会変革性はクローズアップされていない現状がある。NPOは、実践を伴う社会提案を通じて、社会の仕組みを組みなおし、市民社会を構築していくところにこそ存在価値があるといえる。      

今回、全国でさまざまな形のNPO支援等の活動を行政サイドから発信する中で、専門的な職員を中心とする取り組みがなされている那覇市に、行政から取り組んでいくべき基本的なNPO支援について研修することとした。

那覇市の市勢

 

沖縄県は、北緯2428度、東経122133度の南北約400km、東西約1,000kmの海上に弧を描いて連なる161の島の内、有人島41からなっている。その中で那覇市は最大の島、沖縄本島の南部に位置している。また、本市は鹿児島と台北のほとんど中間にあり、那覇を中心とする1,500kmの円周域には、東京、ピョンヤン、香港、ソウル、北京、マニラなどの主要な都市があり、交通通信機能の上からも東南アジアの各都市を結ぶ要衝の地点であり、わが国の南の玄関として地理的に好条件の位置にある。

 亜熱帯モンスーン地帯に属する沖縄の気候は、四季を通じて平均気温22℃、平均湿度が77%で、春秋の季節の特徴は、はっきりしてないが、連日、気温30度前後の蒸し暑く長い夏と気温1617℃の暖かく短い冬に分けられる。

春から夏にかけては雨量が比較的多く、夏から秋には熱帯低気圧の通過路となって、毎年数個の台風が来襲する。特に、沖縄近海が台風の進路変更点になっているため、台風通過の際、長時間にわたり強風におそわれることが多くなっている。

 

NPOによる公共施設の管理運営について

 

1、NPO委託までの経緯

@第3次総合計画策定

地域ビジョンづくり・市民参加「ユンタク広場」計画を提案し、地区・長期ビジョンづくりをはじめ、担当である企画部が市民からスタートする計画づくりを提案。

総合計画策定委員会では、はじめは反対多数

・計画づくりはプロの作業で、都市計画が専門でない市職員には無理

・地区の利害関係が前面に出る

・大規模な市民参加に市民は参加しない

・動員される市職員がまじめに取り組むか

様々な議論の末、「ユンタク広場」がスタートし、

・「地区市民への提案」…市民の発想から自立した市民をつくるため

・「行政への提案」 

市民提案に対する課題があったが、これらの事を通じて市民活動の必要性が重要視されその支援をする必要がでてきた。

市民参加の仕組みづくりのため、市民組織にヒアリングを行い課題を解消するために、市民団体と行政のコーディネートをおこなう「まちづくり支援センター」の必要性を感じる。

まず、基本構想の中に「市民がつくる自治都市」、「市民との協働」を位置付けた。

 

A那覇市NPO活動支援センターの設立

協働型まちづくり推進のためのシステムづくり検討委員会を設置し、「資金の支援」「ものの支援」情報の支援」技術の支援」を主に確立する。           

 

B那覇市NPO活動支援センターのサービス

◎2000年1月設立

・資金の支援

 那覇市NPO活動支援基金を創設

 公益信託(東洋信託銀行)

 6千万円を出えん

・ものの支援

 ミーティングルーム

 コピー機

 印刷機

 パソコン

 インターネット

・情報の支援

 市民活動データブック

 掲示板

 ちらし

 NPO関連書籍

 ホームページ

・技術の支援

 研修の開催

 相談

 

NPO委託事例

1、NPOへ段階的に業務を委託していくため、沖縄リサイクル運動市民の会へNPO活動支援センターの研修業務を一部委託。1名の派遣職員を配置し、3年間の委託期間で、NPO人材育成プログラムとして「NPO講座100時間」を開講。全国で活躍している市民活動研究者・実践家を講師に招き、マネジメント、市民参加・協働のあり方等、質の高いプログラムを市民および市職員へ提供できた。

2、リサイクルプラザ4階部分の事業を推進するためより実効性の高い事業を展開する目的で、ごみ減量・リサイクルの活動をしている市民に呼びかけ啓発活動に随意契約(現アースの会)

3、  那覇市立森の家みんみんの運営を、NPO法人エコ・ビジョン沖縄が全面委託。

 

NPO委託の課題

メリット

・専門知識をもった人員を長く配置できるので、市民に意義のあるものとなる

・中間支援組織としての役割・機能をはたしてもらえる

・NPOの自立促進になる

・公共、公益の領域を協働の視点で、役割分担を明確にしていく事が可能

・協働システム構築に向けて、行政へ提言できる

・市民ニーズが反映しやすい

・行政職員より広いネットワークをもっており、タイムリーな企画ができる

・経費節減

デメリット

・委託条件の制約の中で、市民活動団体の独自多様サービスが提供しにくい

・委託に依存したNPOの支援になる恐れがある

・一部委託だと、委託業務と独自業務の線引きが難しい

 

今後の課題と可能性

・市民活動団体の活動基盤の強化やマネジメントのノウハウをさらに高めていく

・全面委託が可能か検討していく

・委託期間をどうするか

・NPOへの委託評価が、経費面にのみ集中されがち

・公民館、児童館、給食センター、窓口業務等へNPO委託が可能ではないかと考えている

・NPOのリーダー育成、人材派遣等ができるネットワークづくりを充実していく

・行政の発信するイベント等での使い捨て食器を廃止し、貸し出し食器を提案

・市内ホテル等、環境に対する強制(ISO取得)を促し、観光の町にふさわしい環境経営を行う。それに対し助成(50万円)を行う

感想

 

 まず驚いたのは、行政にNPOに対するスペシャリストがおられることである。その職員を中心にNPO公共施設管理運営が行われようとしているところに意義を感じた。

まだまだ、欧米に比べて日本のNPOは企業としての確立が薄く、また市民にもNPOに対する意識が確立されていないのが現状だ。

 今後の課題として、まずNPOに対するワークショップでリーダー育成のための研修を繰り返すこと。さらには、業務委託が数年で切れるような短期の委託ではなく、将来に向けたビジョンが描かれるような委託になるような構想を持ってもらう事だと思う。NPOといえども、大事な仕事を委託されるわけだから、責任があり人件費等が各NPOの団体個々に描けるような内容でないと続かないと思う。生活の安定が求められなければ、それなりの環境の人でないと、専門のNPO活動ができないわけである。志が高くても、続かないのがこれらの継続性と安定した雇用でない事に原因があるのではないだろうか。

雇用拡大と、志の高いNPOになるために、継続した契約、そこにはプラン・実行・評価というものが確立されるべきで、その上での継続契約できる環境を整えていく事が、自立したNPOの育成になると信じている。

光市に置き換えると、まずは、専門性の高い職員を育て配置し、そのセクションを充実していく事が先決であると思う。


 

沖縄県平良市

宮古広域圏事務組合

田園地区マルチメディアモデル整備事業

【事業概要】

市町村行政は多様化し、住民の日常生活圏においても広域化をもたらしてきた。市町村の区域を越えた広域行政を積極的に展開すべき必要性が増大し、これに対応するために市町村では相協力して広域的に事務処理を行い、行政の効率的な運営を図るため、一部事務組合制度や協議会制度が活用されている。

宮古圏域においても医療、消防、清掃などの行政事務が一部事務組合によって共同処理されている。昭和543月29日に宮古広域市町村圏協議会1市3町2村(平良市・城辺町・下地町・上野村・伊良部町・多良間村)が設立され、「全日本トライアスロン宮古島大会」開催をはじめ、諸々の事業を開催し、宮古圏域の活性化を着実に進めてきた。

 

広域事業内容には、

テキスト ボックス:  宮古広域市町村圏計画の策定及び当該計画に基づく事業の連絡調整・全日本トライアスロン宮古島大会・観光事業・スポーツ事業・イベント事業・交流事業・文化事業・物産・人材活用、育成事業・救急医療センターの設置、管理及び運営並びに救急患者の診療・宮古島の地下水の保護管理と地下水水質保全対策を図るとともに、地下質水質の適正利用に関する事務(多良間村に係るものを除く)。・移動通信用鉄塔施設設置及び管理・新エネルギー計画の広域的活用事業・保健婦確保促進事業・介護保険法第14条の規定に基づく介護認定審査会の設置及び運営並びに、高度情報基盤の広域的整備及び活用事業に関すること。など、16種の共同処理に取り組んでおり、圏域の特色を生かした広域的地域づくりを進めている。

 

今回視察対象となった田園地区マルチメディアモデル整備事業は、宮古広域情報センターとサブセンター及び、光同軸ハイブリット完全双方向方式で伝送路を整備し、@行政・農業情報総合システムA地域防災システムBテレビの多チャンネル放送システムC住宅健康管理システム・住宅医療支援システムDケーブル電話システムEコンピューターネットワークシステムの6項目をはじめ圏域のあらゆる情報を映像と音声で蓄積したインターネットホームページ「バーチャル宮古タウン」の開設など地域の活性化と都市との情報交換の活発化を図るためのサービスを展開することを目的に、6市町村の農業振興地域と隣接する一部の平良市街化区域を含めた、人口37,799人、13,000戸、総面積21,285haを整備し、平成15年4月スタート予定で準備が進められている。

【質問にて得た情報内容】

対象地域  : 1市3町2村  農業振興地域と平良市の一部の市街化区域

事業形態  : 宮古テレビ(CATV)と共同で事業を推進する。

☆具体的には宮古テレビが所有していたケーブル網を張り替えという形で実施。

        宮古テレビの加入率が60%以上であり、優良企業である。

        コンテンツ作成は宮古テレビが担当。

総事業費  : 43億(地元負担10%) 

(幹線整備:13億 家庭の引き込み整備:4億)

整備全長  : 139Kmの光ファイバー敷設(幹線として海底光ケーブルを含む)

その他   :

       個人負担:  工事費無料(家庭テレビまでの引き込みにかかる全額費用)

対象地域のすべての家庭まで同軸ケーブル敷設(426キロ)

       支援態勢:  電話対応の支援、パソコン講座の開催、など操作にかかわる指導もこまやかに対応  し普及を図る。

     運営体制: 5〜6名のスタッフにて対応。

     使用容量:  同軸ケーブル  上り256キロビット、下り512キロビット

☆宮古島から伊良部島は海底光ファイバー、伊良部島から多良間島までは無線電送。

     料金体系:    ケーブルテレビ      3500円/

ケーブル電話(使い放題) 500円/

インターネット使用料    2000円/月程度(安価に検討中)

       

【感想】

 今回の視察で学んだことは、一つに、時代を見極めた事業を取り組む先見性と決断力が一歩先を行く成果をもたらし、地域の発展に大きく寄与する教訓。二つに、住民サービスの向上を目指した新しい形である官と民の共同事業。三つ目に離島という条件を最大限に活用し、過重とも思える支援を確保できる。現状の国の不合理な制度実態。いずれにしても飽和状態にある行政事業を活性化するには、「時代に柔軟な対応ができる行政能力」と「適切な判断力と決断力をもった即座な実行力」この違いが今後の地方自治体に大きな格差となり現れてくることを改めて予感させられたことである。

 光市においても地域イントラネット基盤整備事業がほぼ同じ時期にスタートするが、今後の維持管理を含め全てが行政負担である光市の事業と違い、多種多様な用途に活用される田園地区マルチメディアモデル整備事業は、民放との共同事業から受益者負担を基本に維持管理に取り組む形態には、参考にすべき多くのことを学んだ。