総務文教委員会行政視察

 

視察日程  平成14年10月23日(水)〜10月25日(金)

 

視察先   宮崎県綾町・宮崎市

     

宮崎県綾町(手づくりの里としてのまちづくりについて)

 

綾町の概要

 綾町は、宮崎県のほぼ中央に位置しており、宮崎市の後背地として西方に20q、総面積は95.21kuで、国富町、高岡町、須木村、西米良村に隣接している。

 地勢は、東部が一部平坦地をなしており、西北部は広大な森林が広がり、九州山脈に連なっている。

 大淀川水系の綾南川、綾北川に囲まれた地域は、全国でも貴重な照葉樹林を形成しており、昭和57年にはこの一帯を九州中央山地国定公園として指定を受け、また58年には日本の自然百選、60年名水百選、61年森林浴の森百選、青空百選、62年星空100選の町、平成3年ふるさとづくり大賞、平成4年まちづくりコンクール最優秀賞、平成5年朝日森林文化省、平成7年「水の郷」認定、冬の星空日本一等の指定及び賞を受けたところであり、広大で緑深い森林や清き流れの綾川、澄みきった青空、星空は綾町の誇りでもあり、また大きな財産でもある。

 これらの多くの自然を背景に、町の基本理念として、照葉樹林都市・綾「大自然の中で生活文化を楽しむ町づくり」を掲げ、本ものをつくる町、手作りの町、有機農業の町として、綾町を全国に広く知っていただき、そして選んで頂ける産業観光の町づくりを推進している。

 農業は、土からの文化を追求し、化学肥料、農薬にたよらない健康で安全な自然生態系による農畜産物の生産。

 工業は、使う人の身になり、心のこもった手づくり工芸品づくりを進めている。

 照葉樹林のおい繁る国定公園内に世界一の歩道吊橋や照葉文化館をつくり、また660年前の山城の復元、手づくり工芸の殿堂としての国際クラフトの城、酒泉の杜、馬事公苑、ふれあい公園など、さまざまな施設をつくり、年間約120万人が訪れていただく産業観光の町として脚光を浴びるまでになった。

 現在の人口は約7600人、町の花はイワツツジ・町の木は照葉樹。 

 

●照葉樹林都市

 照葉樹林の自然林が広大な面積で残っている。種類は、カシ・シイ・タブ(高木)やヤブツバキ・モッコク(中間木)やサザンカ・サカキ(低木)など常緑広葉樹。

 照葉樹林は新鮮な空気や豊富な水を生み出し多様な動物を育てる。イノシシ・ニホンシカ・ニホンカモシカ・野鳥では豊かな森を象徴するクマタカをはじめ、ヤイロチョウ・オオルリ・ヤマセミ・バンなど、100種類以上が共存共栄し、森の恵みを分かち合う自然界の秩序が営まれている。

●自然生態系農業の町

 本来機能すべき土の自然生態系をとりもどし、化学肥料や農薬などの合成化学物質の利用を排除し、健康保持遺伝毒性を除去する農法で、食の安全と消費者に信頼され愛される農業を確立し、長期安定的発展を図るため、昭和63年7月に自然生態系農業の推進に関する条例を制定、自然生態系の町づくりに生産者・農協・町が一体となって取り組んでいる。

 有機農産物等の一般的流通は、これまで安全で味の良い農産物を作る生産者と、安全な食べ物を求める消費者との産直提携を中心に行われてきた。しかし最近では、一般消費者の安全・健康志向の高まりを受けて、その形態も多様化し、スーパー・デパート・町の八百屋さんの店舗や宅配便など、さまざまな流通手段が開発されている。

●手づくりの里

 照葉樹林が育んだ文化のひとつが手づくり工芸品。陶芸・木工芸・竹細工・ガラス工芸・染織物など約40の手づくり工房があり、作品の一つひとつが丹誠込めて作られ、使えば使うほど馴れ親しみ温かみのある品々ばかり。作る人は使う人の身になって、また使う人は作った人の心が通じる手づくり製品を生産するため工芸コミュニティ協議会を設立し、工芸まつりをはじめ、全国の展示即売会などに積極的に参加している。

●農村と都市との交流共生の町

 綾町ならではの自然資源・地域資源を活用した「農村と都市との交流共生」(都市住民が農村の自然・文化・生活を味わい理解してもらう旅、グリーンツーリズム)を推進している。交流人口を増加させることにより、自然豊かな本町の価値を再認識し、総合的な産業の振興と教育・文化の振興を図っている。

●教育交流・スポーツ合宿の里

 綾町では郷土に愛着を持ち国際感覚を持って世界に大きくはばたく青少年を育てるために、国際交流・教育文化交流・スポーツ交流に力を入れている。国際ふれあい合宿をはじめ、教育文化の合宿交流やまた一流のプロスポーツ選手の合宿トレーニングも年間を通して行われ、一流のプレーヤーが直接指導も行い、出会いふれあいの中で青少年に夢と希望を与えている。

 

 山林が総面積の80%を占める綾町は、林業によって生み出す雇用によって生計を営んでいた。しかし、戦後の機械化の進展で急速に就労の場を失い、人の住めない町になっていた。朝になると、昨日まであった商店が閉じられ、住民はどこかへ消えている。子供たちは集団就職でみんな町を出ていく。夜逃げの町と言われていた綾町が今日までに至る経過は、一言で言い尽くせないものがあるが、「町づくりとは何か・本物の行政とは何か」行政へ寄りかかりを排して、住民一人ひとりの自主自立の心をよび覚ます「自治公民館運動」に基本的な答えが見いだせるような気がする。

自治公民館運動とは、一言で言えば全町民総参加の町づくりであり、結いの心を取り戻し議論を重ねて自分たちの町づくりに何らかの形でしっかりと参加することである。

戦後、農業から無駄を省け、それぞれの地域特性にあった単一作物による大量生産を目指せということで、生活のすみずみまで細やかな知恵を働かせる、工夫をする、物を大切にするといった習慣は失われていくばかりだった。そして、行政への寄りかかりが始まり、あそこをこうしてくれ、ここはどうしてくれるなど、口だけが動く町民となっていった。結いの心は、また自治の心でもある。自分たちのことは、足らないものあれば互いに足し合って自分たちで取り組んでいくのでなければ、自治とはいえない。

昔は上意下達で物事を進めても、結果的によい行政が行われていれば問題なかったかもしれないが、今の時代はそれが通用しなくなっている。この事実をはっきり意識するかどうかが、行政の側にとっていちばん大事な問題であると言うことができる。

 日本の行政は、先進諸国と違って、提案者に対して意見が出されるような議論を喜ばない。むしろ迷惑視するのです。開会から形通りの手順と段取りで閉会にもっていく。行政ばかりでなく企業も同じようです。その結果、提案者のみが理解しており、そこで一般住民の理解は乏しいものとなり、またよく知らないまま行政が進められ、自治とはかけはなれた行政になっていってしまう。

 何はさておいても必要なのは「議論」であり、その議論の場が自治公民館であるということであろう。今後光市においても、自分たちの町は自分たちで創るという意識を、少しずつ改革していく努力をするべきだ。

人口を比較しても綾町のようにはいかないかもしれないが、各自治会単位のまちづくりの参加を、各公民館が集約するといった綾式改革を少しでも取り入れていけるよう、努力していきたい。 

 

 

宮崎市(図書館運営について・NPO委託)

 

宮崎市立図書館の概要

 市制70周年を記念し、福祉・文化・アメニティーをテーマとした福祉文化公園の中に、総合福祉保健センター・市民文化ホールと一体となった施設の一つとして平成6年5月に開館した。図書や視聴覚資料の充実はもとより、文化活動や図書普及活動の推進に努め、高度情報化社会における地域情報センターとしての機能を果たすとともに、コンピュータを導入し利便性の高い機能を備えた、誰もが、気軽に、身近に利用できる施設。

蔵書数

・図書     252,831冊

・AV資料    13,173点

    ・その他     54,616点(新聞・雑誌等)

開館日・時間

   ・平成13年度年間開館日数   290日(休館日は毎週火曜日、年末年始、祝日の一部及び特別整理期間)

   ・開館時間   午前9時から午後7時(日曜日、祝日の開館日は午後5時まで)

   ・利用状況(平成13年度)

        ・入館者 314,711人   ・貸出冊数 517,484冊

職員体制(平成14年度)市正職員 5人  嘱託 16人  NPO職員 8人

 

NPO導入目的

 宮崎市は「九州一のボランティア都市」を目指し、ボランティア活動支援のための基本方針を定め、さまざまな施策を展開している。

 その中で、自ら進んで、地域における様々なニーズや課題に取り組むボランティア活動等の公益的な市民の活動を広く支援していくことが重要と考えられ、その場として誰もが気軽に身近に利用でき、直接運営に参画できる施設として市立図書館が考えられた。

 市とボランティア団体とが対等なパートナーシップに基づいた協働関係をつくり、市民への良質なサービスを提供して市民に開かれた親しみやすい図書館づくりを目指す。

 

NPO法人への委託業務

●委託業務

@窓口業務

児童コーナーの図書の貸出、返却及び相談事務

館内の図書の貸出、返却事務、書架整理、破損図書の補修等

A図書館諸行事

土曜シアター(人形劇、ペープサート、腹話術等)日曜映画会、お話会等の実施

B図書館事業

  読書講座、自作紙芝居絵本コンクール、各種講演会、図書館まつり等の企画運営、

  図書館だよりの発行等広報業務

●業務時間等

@窓口業務

図書館開館日には午前9時から午後5時までの間、常時3名(土、日曜日、祝日、夏休み等は常時4名)のボランティアの配置を行う。

A行事関係等

事業を実施する日時に応じて必要なボランティアの配置を行う。

 

  以上のように、宮崎市の図書館は環境もよく、図書館内は非常に明るく整備されている。しかしNPOに業務委託といっても一部委託であり、市の主導でNPOを立ち上げ、これからボランティアをどんどん募集して充実してもらうという方向であり、本来のNPOへの業務委託とは中身が違っている。

私が考える業務委託とは、志の高い実績のあるNPO組織に、全て業務を委託運営することにあるので、結局は行政主導型の図書館運営である。その一部をボランティアで補っているという感じをうけた。

貸出名簿等のプライバシーに関することが載っている貸出伝票等の管理は責任を持って行うこと等、一定のルールを守りサービスの向上と財政支出を考えたら、一部委託というのはあまり意味がないような気がする。

民営の子供図書館の誕生、新館建設からNPOと最初から連携する図書館等、取り組みは様々であるが、行政主導ではなく、協働の働きが必要なのではないかと思う。

 今後光市の図書館運営にあたっては、是非こういった事を念頭に、市民主導型の町づくりの施設として、生まれ変わっていって欲しい。