環境民生委員会行政視察報告書

平成12年10月18日〜20日

伊達市 


「地勢」

  伊達市は北海道の南西部に位置し、東は重化学工業都市室蘭市と登別温泉を有する登別市に隣接、北は昭和新山のある壮瞥町、西は風致を誇る洞爺湖を有する虻町、南は噴火湾に面し駒ヶ岳を望むことができる。また、北西部に位置する有珠山は昭和52年に33年ぶりに大爆発を起こし、近隣市町村に未曾有の被害を与えた。気象は日本海から津軽海峡を通過する対馬海流の影響を受けて温暖なため「北海道の湘南」と呼ばれる。

1.健康福祉都市づくりについて

プライム・ヘルシータウン計画

  伊達市は、温暖な気候風土や豊かな自然環境、北海道一の快適居住地としても知られており、退職後の生活を求め毎年多数の方が移り住んできていることから、高齢者比率は全道・全国に比べ、2〜3%高く推移してきている。本市は、これらの自然的、社会的特性を踏まえ発展させつつ、将来の社会動向やニーズに対応するためのまちづくりとして、「プライム・ヘルシータウン構想」を推進しており、その実施モデル地区が「プライム・ヘルシータウン地区」である。
なお、本構想は「第4次伊達市総合計画」の最重点施策であるとともに、「北海道新総合計画」においても、地域プロジェクトのなかで、シルバーライフヘルシーゾーンのプロジェクトとして位置づけされている。 「プライム・ヘルシータウン地区」は、昭和58年度に策定した「伊達市運動公園基本計画」をはじめとし、昭和63年度に策定した「伊達生涯学習のむら整備計画」さらには、平成元年度に策定した「伊達市健康長寿のまちづくり整備計画」の区域に、今回新たに市街化区域に隣接する約35haと北海道縦貫自動車道隣接部約9haを加えた、約89haである。


<プライム・ヘルシータウン事業一覧>

1.宅地開発
2.老人保健施設
3.老人福祉施設
4.軽費老人ホーム(ケアハウス)
5.健康増進・宿泊保養施設
6.総合運動公園
7.公営住宅(高齢者向け低層タイプ60戸)
8.タウンセンター(集会及び生涯学習施設)
9.福祉工場
10.都市基盤整備(道道・都市計画道路・河川等)

  宅地開発では、第一期約200区画を分譲し、現在91%の達成率である。市内の方は50%以下で後は道内・本州の方の購入だそうだが、そのほとんどが、定年された方によるものである。坪約8万〜9万で、平均90坪の宅地。ゴミステーションの位置がはじめからセットされており、道路・歩道の段差がないように配慮されている。
また、老人福祉施設(サポートセンターひまわり)では、特別養護老人ホーム50床・デイサービスセンター・在宅介護支援センター・ヘルパーステーション・地域交流スペースなどがある。特色は、非常にトイレの数が多く(その代わり男女の区別をしていない)利用しやすいことと、在宅介護の方のための介護用品器具体験コーナーがある。廊下には腰をかけられる畳の移動フロア−が使われ、リハビリになるような軽い運動設備もある。

<感想>

  高齢化率22%という地域だけあって、非常に高齢者福祉施策が充実している。例えば老人福祉施設・生きがい対策・在宅老人福祉などがあるが、生きがい対策の中でも、敬老会補助金が光市の約4倍であるように、細かい部分に伊達市独自の福祉施策がとられている。ちなみに介護保険料の基準額は3.350円と高い。プライム・ヘルシータウン事業では、まだ未定の部分もあるが、福祉の街づくりモデル事業は、非常に充実したものとなっている。また、駅前商店街の整備が進んでおり、北海道では珍しい瓦屋根が一部使われ、まとまりのある町並みとなっている。人口35.000人であるが、分譲宅地に人が流れているとはいえ、あまり人口が増えていないのに、非常に整備された町並みと施設には驚かされた。

 


三笠市


「地勢」


  北海道のほぼ中央部、石狩平野の東端に位置している。東・南・北の三方を緑豊かな山岳丘陵に囲まれた東高西低の地形であり、西方に行くにしたがって平坦で、その中央を貫流する幾春別川の流域は、地味豊かな農耕地となっている。東側山岳地には、国道452号線が、平坦な西側には、国道12号線と道央自動車道がほぼ平行に走り、三笠インターチェンジがある等、交通体系が整備されている。

1.道央油化センターについて

  通産省の呼びかけで道央油化センターが三笠市に誘致され、この春から開始された。空知産炭地域5市1町の産業の再構築と広域的振興を目的として策定された「空知地域振興基本構想」に基づく広域プロジェクトにもりこまれており、その一環として当市への立地が決定となった。平成元年9月の北炭幌内炭鉱の閉山に伴い、炭鉱離職者の発生、地域経済活動の沈滞、地方財政の窮迫等重大な影響を受け、基幹産業であった石炭鉱業の構造調整による疲弊を色濃く残している。このため、このような疲弊を解消し、地域経済の活性化を促進するため、関係機関との連携を図りながら、石炭鉱業に代わる新たな産業の創出に努めてきた。「廃プラスチック油化事業」は、容器包装リサイクル法のスキームに基づき、広域収集を基本にシステム化されるモデルリサイクル事業として位置づけされ、三笠市における新たな産業の構築の一端として、自治体・民間企業が連携して進めているプロジェクトである。

事業概要
平成12年4月の容器包装リサイクル法の完全施行に対応し、三笠市及び周辺市町村で分別収集される「その他プラスチック容器包装」を回収し、油化処理するもので、生成油は、公共施設の燃料等の用途に還元する。

事業主体
第三セクター「鞄ケ央油化センター」(潟Nボタを中心とする民間会社、地域振興整備公団、三笠市等が出資、平成10年4月設立)

事業規模
@廃プラスチック処理量約6.000トン/年
A生成油製造能力約3.000kl/年

施設設備
設備投資額約27億円

<感想>

  この事業を開始するにあたって、とにかく住民対応に充分時間をかけ、納得してもらった状態で運営されていることがポイントである。施設の環境面においても、住民が不安に思う数値もなく、ほとんど影響がないという結果が出ているように、搬入車の出入り口異臭対策(エアー)など、環境に非常に配慮した施設である。事故として考えられることは、火災くらいということで、その点には充分注意されたものとなっている。発泡スチロールなどの油化還元施設はよく耳にするが、ペットボトル以外のプラスチック全てを油化する施設としては珍しく、とても充実している。しかし、まだ施設の受け入れに対して収集する量が少ないため、将来的にもっと広域収集で効率の良い施設稼動をしたら良いのではと思う。

2.リサイクルプラザ

  この施設は1日20t(一般ごみ19t、粗大ゴミ1t)の処理能力を有する破砕処理施設と資源物1日2t(缶類0.6t、ビン類0.6t、紙類0.6t、ペットボトル0.2t)の処理能力を有するリサイクル施設によって構成されている。

施設規模      リサイクル施設 2t/5h
                   破砕処理施設   20t/5h
処理方式      破砕処理
選別設備      手選別装置
                   磁性物選別装置
処理対象物   一般ごみ、粗大ゴミ
                   資源物(缶類、びん類、紙類、ペットボトル)
選別種類      スチール缶、アルミ缶、ガラスびん(3種)
敷地面積      7200u
建築面積      1047.187u
総事業費      832,800千円
事業年度      平成9年度〜平成10年度
                     (2年継続国庫補助事業)

  資源のリサイクルとごみの減容施設を兼ね備えたリサイクルプラザが完成し、平成8年から供用開始している埋め立て処分場、浸出水処理施設と併せ、三笠市みどりが丘環境センターとしてのごみ処理施設が全て整った。特にこの施設の中に使われている破砕機によって同じごみの量が半分にコンパクトにできる。それによって埋め立て処分場の寿命も、倍になったということになる。なお、紙類は古紙回収業者へ、また、ペットボトルは容器包装協会へ搬出され、じゅうたんとしてリサイクルされている。

<感想>

  人口約15.000の三笠市であるが、非常に充実した環境施設があることに驚いた。特に光市でも埋め立て処分場の延命に頭を抱えているところであるが、ここでは非常に強力な破砕機の導入によって、倍の埋め立て処分場の延命が可能になったというところに興味を持たされた。以前、岩国のリサイクルプラザを視察したことがあるが、そこでは間違ったごみの混入などで、故障が多い事に頭を悩ませておられたが、ここでは殆ど故障はないということである。それは市民の方の協力なしには考えられないことである。ごみの分別においては、職員全員がまず理解した上で何百回も市民への協力と説明を行ったという経緯がある。私達も、もっとこういった意識改革を見習わなくてはならないのではないだろうか。

 

 

滝川市


「地勢」

  北海道のほぼ中央部、石狩川と空知川の合流点にあり、札幌と旭川を結ぶ空知の中心部に位置し、土地は概ね平坦で、河岸段丘の平盤な大地が東部の山岳部へ続いている。また、気候は内陸性気候で、年間を通じ南西の風が多く、気温は4月から10月までが平均が14℃、11月から3月までが平均―5℃で湿度は年平均79%で夏は過ごしやすい。雪は11月末から降り始め4月の始めまで続き、最深積雪は110cm前後である。


1.虹のかけ橋公園(ノーマライゼーション・モデル公園)

  昭和60年に高齢者を主とした健康づくりとリハビリテーション、さらにはふれあいを重視した、小体育館を備えた多目的施設として「地域ふれあいセンター」を建設し、1階の「身体障害者福祉センター」は障害者の活動拠点として、また重度の障害者や虚弱な高齢者が快適な暮らしを送ることができるように、これらの施設と隣接して「障害者公営住宅」も建設するなど、3施設を合築させ、今後の高齢者社会へ向けた、総合的なノーマライゼーションの理念を啓発・普及させるために地域設定を行い、市民参加を得て、「ノーマライゼーションエリア推進事業」を継続実施し、この理念の全市的展開を目指している。
本事業は、上記施設の活動と連動して、本市初めての試みである、高齢化社会に対応したノーマライゼーションモデル公園として、軽スポーツや散策をとおし機能回復訓練を図る園路整備や広場、花や木々、芝生に包まれた築山、池や谷などからなる「ふれあいの杜パーク」を整備し、「ふれあいの郷」整備促進プロジェクトの構築を図るものである。


園路・・・実際の生活環境に近い歩行環境を再現し、戸外での散策による健康づくりと機能回復訓練に活用する。


・ウレタン舗装の道
・砂・玉砂利
・坂道・階段
・手すり付園路

 

 

 

 

 

ベンチ・・・散策・歩行訓練等の休憩、手すりの 役割、腹筋ベンチ及び背のばしが可能な設備
遊具・・・健康遊具とリハビリテーションのための歩行訓練遊具
多目的芝生公園・・・パークゴルフ・ペタンクなどの軽スポーツ

 

 

 

シェルター・・・リハビリスペース及び音楽と憩いの空間


障害者用設備の整ったトイレ等が設置


専門の医師の指導のもとで、この公園が整備されたが、屋外でのリハビリは、屋内より3倍の運動量があるといわれる。また、公園管理は、すべて障害者団体へ任せ、年間270万円で委託している。おかげで、とても清掃が行き届いている。

 

 

<感想>

  人口約48.000人、庁舎も、2年前に新築されたもので、非常に整っている。玄関フロアーは、ミニコンサートのできるスペースが取られ、市民に開かれた庁舎というイメージがある。
  光市においても、平成13年に一部開園する冠山総合公園等の何かの参考になればと思い、公園整備に至るまでのポイントをお聞きしたところ、とにかく計画段階で障害者・高齢者の声、全ての市民の声をしっかり聞くことだと言われた。そうすることで、時間はかかってもより良いものになり、市民の社会参加意識が促せるとの事。また、公園設備では、手すりが一番利用されていているそうだ。別の場所には、昔話をなぞった山など、3世代交流公園もあるそうだが、今後の課題は、子供・高齢者が使える公園がテーマで、休む場所や木陰を有効利用したものをつくっていきたいとの事。
  今後光市も、何かテーマを具体的にできるような公園づくりを真似て頂きたい。何よりも、障害者・高齢者など全ての市民の方の声を反映していただけるものを、地道につくっていって欲しい。