建設委員会行政視察報告

建設委員会行政視察報告書

 

  私たち建設委員会は、平成11年10月21日〜22日の1泊2日で、高知と今治を視察した。今回の目的は、都市基盤整備事業の公園整備事業・公共下水道事業で、特に公園整備事業については冠山総合公園における今後の展開で、より充実したものにするための重要な課題として取り組んだ。

  10月21日(木)高知市

「市の概要」

  明治22年(1889年)に高知市が誕生した。昭和20年7月の空襲と21年12月の南海大地震で、高知市はほとんど壊滅状態に陥ったが、市民と行政の復興への目覚ましい努力と取り組みによって、現在は32万市民の住む地方中核都市として発展してきている。平成という新しい時代の4月1日には記念すべき市制施行100周年を迎えた。

  平成6年11月に就任した松尾市長は、光市出身の方で、本四3架橋開通等による高度開放化の時代を目前に控え、産業の振興、都市基盤の整備とともに、人間性を大切にし、人の心に潤いと安らぎをもたらす優しさを基調としたまちづくりに取り組んできた。

  平成7年4月には産業活性化条例を制定し、ソフトウエア団地を整備。8年4月には都市美条例を制定し、都市景観の形成を目指した取り組みを展開してきた。

10年3月には、高知インターチェンジの開通、高知新港の一部開港など、高度開放化時代の本格的な到来を迎え、4月には四国で初めて「中核市」に移行した。しかし、同年9月に高知豪雨による未曾有(みぞう)の水害が発生し、市民生活に大きな傷跡を残し、総合的な防災対策が今後の課題となった。

 平成10年11月には松尾市長が再選され、引き続き市民の立場に立った施策が展開されることとなり、高知駅周辺・潮江西部土地区画整理事業の進展を図り、また市民総合文化プラザ、国体関連施設や新清掃工場の建設など、社会資本整備に積極的に取り組み、14年高知国体開催に向けた体制の強化を図りながら、21世紀に向けた「やさしさと龍馬に会える元気都市・高知」を目指している。

  また、地勢として高知は四国南部のほぼ中央に位置し、西方と北方には山岳が巡り、東方には美田が続き、南方は浦戸湾を経て太平洋に臨んでいる。土地は総合的に低く、東・南部の湿地地帯は−1.0m、市中心部の県庁前が3.0m、西部の旭駅前が6.2m、筆山117.9m、正蓮寺330〜350m、北方山岳地帯が400〜600mという現状で、約10kuがゼロメートル地帯であり、雨量が多く、殊に毎年夏から秋にかけて台風の襲来がたびたびあるが、北に四国山地、南に黒潮の暖流が巡る南国的な明るい都市である。

 

  「都市緑化」

  都市の緑に対する市民の関心と期待は、単に量的な緑の確保にとどまらず、安らぎ、ゆとりなど、質的内容を伴うものへと高まりつつある。こうした点を踏まえ、現在の緑の確保と併せ、不足している区域には新しく緑を創出し、自然状況と緑を生かした都市景観の向上等を都市緑化の最重点課題として、「緑のまちづくり行政」を推進している。特に、公園、街路樹をベースにして市中心部に緑の循環道路を形成し、快適な環境を創出することを目標にした取り組みを進める。

 

  「公 園」

  公園整備状況は、都市基幹公園、住区基幹公園、都市緑地など合計528ヶ所であるが、配置バランスを考慮しながら、近隣公園など住区基幹公園を中心とした整備を進めており、街区公園も適宜配置していくとのこと。施設整備についても市民利用の面から再検討し、画一化を排除して、親しみの持てる施設内容にするため、ユニークな公園づくりや市民の森づくりなどに取り組んでいる。

 一方、公園を快適で安全に利用できることの実現も大切な課題となっており、公園の管理体制を充実させていかなくてはならない。そのため、地域住民や市民団体等で構成される公園愛護会の拡充・発展を図り、財団法人高知市都市整備公団に管理を委託するなど、きめ細かな管理を目指した取り組を進めている。ちなみに現在、公園愛護会の団体は286団体あり、453ヶ所の公園の整備・除草・日常の管理をお願いしている。これらの団体に対し、市からの助成金が出されている。

また、家庭緑化の促進により町並み景観を向上させるとともに、防音・防災等都市災害防止意識の高揚を図る趣旨で生垣設置奨励制度があり、5万円が限度で助成がある。平成10年度の実績は4件である。

  しかし、126ヶ所のトイレの清掃費・委託料など維持管理費が約10億円かかり、樹木の手入れが充分できていないのが現状。

 

 (わんぱーくこうち)

  競艇場の跡地の1/2を利用して、子どもたちの夢と冒険の心を育もうと、平成2年から市制100周年記念施設として建設を進めてきた「わんぱーくこうち」が5年4月2日に開園した。園内は池を中心に、庭園広場、水辺散策広場、アニマルランドなど7つの施設に分かれており、来園者が 水とみどりの環境の中でゆったりと過ごせるようにしている。入園料は無料で、プレイランドの遊戯施設・民間業者のレストランは有料となっている。去年の入園者は19万人と、非常に人気のある施設となっている。ちなみに、ここの管理費は年間約300万円かかるとのこと。

 

  <感想>

  現地を視察させていただいたが、遊んで、見て、食べてと非常にバランスのとれた一日ゆっくり家族で遊べる施設である。特に水とのふれあい、動物とのふれあいなど子どもたちの楽しめる内容が充実している。食べる場所があるということも、条件として必要なポイントではないかと考える。

 

  「下水道事業」

  急速な都市化の中で、昭和44年に全市的な計画が必要と考え「高知市下水道基本計画」を策定し、本格的な取り組みを開始した。その後、分流式の導入や計画雨量の変更、汚水量の変化への対応など3度にわたって計画を見直し、処理区域拡大にむけて全力を挙げている。ちなみに、平成10年度末の下水道普及率は39%。  下水道計画区域外については、現在まで事業実施はしておらない。しかし、処理区域に隣接する計画区域外(市街化調整区域の集落)の下水道整備をする計画があり、下水道区域として都市計画に位置付け、国の採択基準にそって、流域関連特定環境保全公共下水道事業の事業認可を取得するよう作業を進めている。

  また、戸数に関係なく、自然流下を基本としており、区域内の最も地盤高の低い土地を基準に自然に流下できるように計画している。このため、汚水中継ポンプ場としてのマンホールポンプ以外の実施例はない。

なお、幅員が狭小な道路であっても、公道(農道を含む)であれば、人力施工等により整備を行なっている。

  浸水対策については、年間降雨量が平均約2700oと多く、昭和45年、昭和50・51年等重なる浸水災害を経験したことから、周辺部の16ヶ所に都市下水路事業を導入し、集中的な投資を行なうことによって10ヶ所が概成した状況である。

 

  10月22日(金)今治市

  「市の概要」

  人口約12万人、瀬戸内海のほぼ中央、愛媛県の北端に突出する高縄半島の先端部に位置し、商工港湾都市である。市域の大部分は、沖積低地で良質な水は農耕と繊維産業の発展をもたらした。四国山脈と中国山脈に囲まれて、自然災害は少なく、気候温和で風光明媚な地である。

  古くから海上交通の要衝で、地味豊かなところから伊予の国府が置かれ、国分寺、国分尼寺が建立される等、伊予の政治、経済、文化の中心地として栄えてきた。

来島をはじめとする芸予諸島は中世の伊予水軍活動の舞台として有名である。慶長5年に藤堂高虎が20万石で当地方を領し、今治城を築いて町割を行った。後に久松家の所領となり維新まで続いた城下町である。明治4年の廃藩置県で今治藩は今治県となり、松山県、石鉄県を経て愛媛県となった。市町村制の公布により、今治村と旧城下の本町のほか7町が合併して明治22年に今治町となり、大正9年には今治町と日吉村が合併して今治市となった。更に、昭和8年に近見村、同15年に立花村と合併し、同30年には6ヶ町村を合併してほぼ現在の今治市の姿がつくられた。同20年8月の戦災により、市街地の大半を焼失したが、商工業の復旧はめざましく、タオル、縫製、造船など、地場産業のまち、県都に次ぐ商業都市、そして西瀬戸内圏の流通拠点として発展を続けている。また、瀬戸内海の恵まれた自然気候風土、架橋を生かして観光リゾート基地の整備を進めている。

 

  「公園整備業及び緑化事業」

 私たちの生活の中で、憩いの場、休養の場、スポーツ、レクリエーションの場として親しまれている公園は、都市におけるオープンスペースとして、環境保全・景観・防災など都市環境を形成する上で、きわめて重要な施設。

 今治市における最初の公園は、大正3年、借地により開設された吹揚公園だが都市計画公園としては昭和23年3月31日、建設院告示第230号「今治特別都市計画公園・緑地及び墓苑」により公園12ヶ所・緑地1ヶ所・墓園1ヶ所が、はじめて計画決定された。その後国体開催を機に昭和28年に整備された大新田公園の追加、また昭和51年3月には、全国に先がけて今治市独自の「緑のマスタープラン」を策定するとともに都市計画公園の見直しを行い、桜井総合公園、鹿ノ子池公園、市制50周年記念公園及び多数の街区公園を追加するなど、現在都市計画公園は、公園47ヶ所・緑地3ヶ所・墓園1ヶ所・広場1ヶ所、合計52ヶ所・面積約251.haとなっている。このうち供用されているものは、公園43ヶ所・緑地3ヶ所・墓園1ヶ所・広場1ヶ所・合計48ヶ所、約63.47haあり、市民一人当たり5.3uの都市計画開設公園面積となっている。また、都市計画決定されていない都市公園を含めると、市民一人あたりの公園面積は、6.5uになる。

 

  (桜井総合公園)

  国有林の払い下げを受け、自由公園・日本庭園・園路・修景施設等を整備し、昭和53年3月供用開始。

 

開園面積  15.ha

事業費 第1期    350,190千円(野球場・テニスコート・日本庭園ほか)

        第2期   414,283千円(あずまや・園路ほか)

        第3期 1,694,329千円(管理棟・駐車場・トイレ・遊具・モノレールカー・芝生公園・遊水池・メイン園路・テニスコート・パークゴルフ広場)遊具の中にはボブスレー・芝生すべり・ネット遊具がある。

有料施設はボブスレーとモノレールカー。

利用者数 年間約10万人

利用状況 有料施設使用料 約7,500千円

維持管理費 財団法人に委託 約50,000千円

 

  今後の課題として、昭和53年当時に供用した施設の老朽化が進み、改修に多大の経費が見込まれる。同地区内にあるクアハウスや民間のホテルとの連携を深め、滞在して一日ゆっくり楽しめるような施設にしていく予定。

 

  <感想>

  大変人気の公園だけあって、お年寄りから子供まで幅広く遊べる遊具がそろっている。たとえば芝生すべり・ボブスレー・家族で楽しめるパークゴルフなど、公園の中に遊びの施設をうまく取り入れていて、光市の冠山総合公園にも取り入れてほしいものばかりである。特に、今注目されているパークゴルフは、家族で楽しめることもありぜひ検討していただきたい。また、施設のお世話はシルバー人材センターの方で、雇用促進にもなっている。時代の流れとともに、光市の計画をさらに見直していけるところは、十分検討に値する施設である。

 

  (今治総合福祉センター)

  今治総合福祉センター「愛らんど今治」は、高齢社会の到来と福祉ニーズの複雑化、多様化等に対応するため、老人、障害者、ボランティア活動など各種福祉活動を総合的に展開する中核的施設の機能を備えるとともに、広く一般市民の交流の場として、開かれた施設。

 

  敷地面積  3,186.79u

  延面積      5,203.96u

  建物構造  鉄筋コンクリート、一部鉄骨造地上5階建

 工 期      平成8年9月〜平成9年9月

  総事業費    25億5千万円(用地費込)

  開館時間    午前8時30分〜午後9時30分

       (夕方からシルバーの方にお願いする)

  休館日   年末年始(12月29日〜1月3日)

 

  主な事業

      1、24時間ホームヘルプサービス事業

      2、在宅介護支援センター

      3、老人デイサービス事業

      4、高齢者センター事業

      5、障害者生活支援事業

      6、障害者等健康増進事業

      7、親子交流事業

      8、ボランティア育成活用事業

 

  <感想>

  とにかく、便利な場所にあり、非常に内容の充実した施設である。特に障害者のための配慮があらゆるところに見うけられ、災害に対する避難も充分に考えられた施設。特に驚いたのは、総事業費である。これだけの設備でありながら、備品なども入れて総事業費が光市と随分違うところに驚いた。完全に比較はできないが、もう一度検討の余地がありそう。

 

  「下水道事業」

  下水道は、戦災復興土地区画整理事業の進行に合わせ、昭和28年から下水道計画による幹線下水道管及び流末の排水ポンプ場の建設に着手し、昭和33年2月には都市計画下水道の決定をみた。

  昭和45年12月、下水道法の改正に伴い既計画の大幅な見直しを行い、昭和47年2月、新しい計画を樹立し、日本下水道事業団に今治市下水浄化センターの設計・建設を委託、昭和51年5月、一部地域について本格的な公共下水道の処理を開始した。その後逐次処理区域を拡大し、現在、公共・小規模を含めて57.7%の普及率である。

 今のところ、下水道認可区域外の事業は実施していない。区域内における低い土地にある宅地の下水道つなぎ込みは、自然流下でつなげるよう努力している。経済比較して、自然流下よりもマンホールポンプを設置する方が有利な場合には、マンホールポンプを設置している。そのため、建設及び維持管理に必要な経費は、全額公費である。また、国有地しかない道路については、埋設深度をできるだけ浅くする等して施工している。

 

  <視察を終えて>

  今回は、大変有意義な視察であったように思う。特に、冠山総合公園の完成に向けて、より今からのニーズに合った施設への計画変更、ならびに特徴をもった総合公園に、市内外の多くのみなさんに利用していただけるような環境整備に役立つような情報を得ることが出来たのではないかと思う。また、総合福祉センターに対する要望はきりがないが、改善すべきところは着工を急がずに、じっくり計画を練り直し、事業費に関する見直しを早急にすべきではないか提案したい。