建設委員会行政視察報告

会派行政視察報告

 

平成11824日〜26日の2泊3日で古川市、石巻市、白石市を訪れた。今回は古川市の保健福祉プラザ、石巻市の健康相談センター、田代島自然教育センター、白石市の総合福祉センター、市情報センター等を視察し、これから建設される総合福祉センターの充実、さらに光市政のパワーアップに資することを視察目的とした。

 

824日(火)古川市

市の概要

 古川市は宮城県北部のほぼ中央、日本有数の穀倉地帯に位置する自然豊かな田園都市で、「ササニシキ」「ひとめぼれ」「ささろまん」誕生の地でもある。

東北縦貫自動車道や東北新幹線、さらには複数の国県道が走る東北中部の交通の要衝で、平成6913日に古川市を中心とした大崎地方113町が、地方拠点都市に指定された。近年は徐々にではあるが、人口増が見られ、圏域の教育・文化・産業の中心都市として躍進している。

調査事項

1.保健福祉プラザ

 市民からの強い要望と、また既存の施設の老朽化ということもあり、市民の立場に立った、保健と福祉の連携施設を設立する計画が、平成63月古川市高齢者保健福祉計画の中で策定され、愛称『fプラザ』の古川市保健福祉プラザが、平成103月に竣工された。

『fプラザ』の“f”は、“ふれあい”・“福祉”・“古川市”共通の頭文字であり、この施設をより良いものにするために、老人会他、多くの市民の願いを取り入れたものである。

  ・ 事業費   3.481.288千円                   

         (うち用地取得費1.243.110千円)

  ・ 財源内容  起  債                        3.052.500千円

                    県補助金                        100.000千円

                                              一般財源                       328.788千円

 施設内用  

 ○保健施設 ・保健センター

 ○福祉施設 ・老人福祉センター

       ・中央デイサービスセンター

       ・中央在宅介護支援センター

 ○交流施設 ・多目的ホール

運営方法

 ○保健施設・・・市直営

 ○福祉施設・・・社会福祉法人・古川市社会福祉協議会へ委託

 ○交流施設・・・市直営

 

1階には保健センター機能として、民生部健康推進課が入っており、診察室、保健指導室、調理実習室があり各種の乳幼児検診、保健指導、健康診査、栄養指導などを行い、市民の健康維持・推進をする。なお、室内は各階ともバリアフリーの思想を取り入れ、障害者や赤ちゃんからお年寄りまで、帽広い年代の皆さんに総合的な保健、福祉サービスを提供している。

 2階は、高齢者の趣味の教室や学習活動で使用する教養娯楽室、ボランティアの方々が利用するボランティア交流室を配置し、また、多目的ホールは市民に開放され、世代間交流や地域活動の場として利用されている。なお、このフロアには老人センターやデイサービスセンターなどの事業運営をしている古川市社会福祉協議会が入居している。

 3階の中央デイサービスセンターでは、病気やけがで歩行、食事、入浴などに障害がある高齢者の為の日常生活動作訓練を行っており、また、中央在宅介護支援センターでは、痴呆や寝たきりの方を介護している家族の相談、各種福祉サービスの利用手続きの指導などを行い、さらには在宅介護の支援活動や介護に必要な用具の展示説明もしている。

この施設には、駐車場80台があるが、勤務する職員は自己責任において自分の駐車場を確保し、施設の駐車場は利用していない。リフト付きバスや大型バスを所有し、水・木には交通の便の悪いところの送迎を行っている。

 平成911月からは24時間対応のホームヘルプサービスを開始しており、平成6年には救急救命センターを372床の市立病院に設置している。土曜、休日、夜間は医師会の輪番制で救急医療体制を組んでおり、医師会との連携の良さを感じさせられた。特に、歯科部門で歯科衛生士を2名、このような施設に従事させているということは、あまり例がないということである。

 サービス内容などを聞くと、子供の虫歯予防、お年よりのボケ防止など、病気にならないための予防に力を入れているように思われた。

今後の課題として、介護保険制度のサービス提供事業者となる社会福祉協議会に対する施設の貸与条件の整備、あるいは年間4千万かかる維持管理費(冷暖房費2千万・保守管理費2千万)の節減が必要であるという。また、医療・保健・福祉を一体化させ、連携を取りながら各事務所を併設すること、またヘルパーの部屋の確保も課題であるという。

 

8月25日(水)石巻市

市の概要

宮城県東部,旧北上川の河口にある市。 1933年市制。南に仙台湾の支湾,石巻湾をかかえる。中心市街地の石巻は鎌倉時代に,葛西氏が日和山(ひよりやま)を居城としてから,城下町として発達。伊達政宗時代の北上川河道改修以来,石巻は藩内随一の港町となった。米の積出港として繁栄したが,明治時代になってからは衰退し,代りに漁港および工業都市として発展した。 67年西方 3kmの釜入江に工業港が新設され,木材,製紙,食品,機械金属などの工場が操業している。また河口の東の長浜地区に新漁港が 73年完成,背後には水産加工の工業団地ができ,臨海工業地域が形成されている。東部の万石浦西岸には渡波漁港があり,ノリやカキの養殖が行われる。南東部の牡鹿半島地域は南三陸金華山国定公園に,万石浦(まんごくうら)一帯は硯上山万石浦県立自然公園に指定されている。日和山公園は桜,ツツジの名所で,牡鹿半島や松島を望むことができる。牡鹿半島北西部の荻浜の月ノ浦は,慶長 18(1613),伊達正宗の遣欧使節支倉常長がローマへ向って出帆したところ。市街地は交通の要所で, JR石巻線が通り,仙台市と結ぶ仙石線を分岐。国道 45号線から, 108号線(石巻別街道), 398号線を分岐。面積 136.73km2。人口12 1208(1999.8.1)

調査事項

1.保健相談センター

概要

敷地面積 1,745.63  u

建物面積 2,597.616 u

建築年 昭和57年3月

平成10年度の利用者数 40,912

建設費 約2億2600万円

目的は市民に密着した健康相談・健康教室・健康診査等を総合的に行い、市民の健康づくりの拠点とする、とあるがこれはだいたいどこの市でも同様であろう。

以下の表は、石巻市と光市の平成10年度保健事業の市民利用状況の概略である。

統計方法の差があり、正確な比較は出来ないが、12万の人口を持つ石巻市と比較しても、光市は決して引けを取らない事業展開をしていると思う。

 

石巻市

 

光市

 

 

延べ人数

 

延べ人数

乳幼児健診

3390

 

2461

各種教育

4385

育児・母親・栄養学級等

7107

各種健診

15840

 

19127

食生活改善指導

927

 

22147

保健推進委員会

967

 

4801

講座・研究会

2682

遊びリテーション

1207

各種研究会

1318

看護研究会・学校保健会

 

予防接種

4803

 

7330

各種相談

397

 

6098

その他

6203

 

 

 

 

 

 

 

石巻市保健相談センターの一つの特色は、医師会の所有地に市の所有物となる建物を建設し、1階及び2階の一部を医師会に無償貸与し、4階は石巻市医師会付属準看護学校の所有となることである。そして年間の光熱費、700万円のうち220万円を医師会が、残りを市が支払うという。

医師会と市の連携が大変うまくいっているように思えた。

また、センターの隣には、206床の市立病院がオープン。夜間の救急センターも充実しており、医師会、東北大の先生方の協力があるとのこと。

ちなみに、この施設の中には、石巻市医師会、附属准看護学校、附属臨床検査センター、石巻地区地域産業保健センター、訪問看護ステーションなどが入っている。

講座研修会の中に遊びリテーション研修会があり、光市の内容とどう違うか伺ったところ、光市の内容とはまったく違って、独居老人の方など、痴呆にならないための予防を目的とした研修会であり、様々な事業内容は、健康を維持していくための予防事業が中心となっている。

 

 

 

2.田代島自然教育センター

@ センターの歴史

離島共通の現象、過疎化の波を受け、平成元年に田代小中学校が閉校。しかしながら島民の切なる願い、「島の活性化を」の声を受け、学校施設を利用して自然教育センター設置を決定。6000万円をかけ学校を改装し、平成3年に「石巻市田代島自然教育センター」としてオープンする。

A 目指すもの

豊かな自然がそのまま息づく離島田代島で、人間らしい多様な生活体験や学習体験等の諸活動を通じて、知識力では計り知れない自然の美しさ、雄大さ、神秘性等自然への理解を深め感性や知的好奇心を育て、他者への思いやり、自主性や協調性を培うなど生きるたくましさを育んでいく。

B 施設概要

屋内施設

宿泊棟     8棟(9人〜26人)計130人収容

研修棟     音楽室、図書室、工作室、研究室、資料室

体育館     (404u)

食事ホール120席

屋外施設

集いの広場          2面

野外炊飯場          かまど8基

野外食卓          130席

キャンプファイヤー場

C 施設運営

開設期間5月〜10月

職員所長1名、指導員2名(いずれも臨時職員)、管理人1名(年間を通じて)

食堂運営市内の民間業者に委託(委託料900万円)

使用料市内と市外の区別あり(減免制度あり)。食費は食堂に支払う。

運営経費約2000万円(食堂委託料を含む)

D 活動メニュー

ハイキングやオリエンテーリング、あるいは海を素材にしたメニューが15種類用意されており、自主的な運営が望まれている。

E その他

b利用できるのは学校関係と、石巻市教育委員会が認めた団体。

b水は石巻市から海中送水管で送水。

b船便は1日3便(夏季は増便)。船賃1200円(市内団体は半額補助)

F 光市への教訓と課題

光翔クラブでは牛島小学校休校以来、その利用方法あるいは島全体の活性化について、話し合ってきたが、今回たまたま同様な歴史を持つ田代島について話を聞くことができた。私たちはぜひ島に渡ってみたかったのであるが、片道約50分必要と聞き、時間の制約があり断念した。しかしビデオを見ながら、所長さん、教育委員会担当者の方の懇切丁寧なお話を聞くことができた。

センター開設には島民の方の理解と、行政サイドの熱意があったことはいうまでもない。さらに行政サイドは、このセンター開設をきっかけに大きなプロジェクトを進めている。「マンガアイランド構想」である。田代島に関係あるマンガ家ちばてつや氏、そして里中満智子氏に協力を仰ぎ、自然を生かしたキャンプサイトと、マンガロッジを2000年4月にオープン予定である。

さてセンターは島のほぼ中間に位置している。かっては1000名余りの島民の子女のための学校として、各部落から等距離に配置したのであろう。そのために周りには民家がなく、野外活動には最適である。この点牛島は近くに民家があり、野外活動には一定の制約が出てこよう。

改装費6000万円は別として、運営経費に2000万円かかるのは、約半分が食堂の委託費である。これは工夫次第でもっと安くなるし、島の活性化に繋がるのではないか。たとえば、島の方に食事の世話をしてもらえば、一挙両得にならないか。

プログラムについては、光市には、周防の森ロッジ、県立青年の家、あるいはスポーツ交流村があるので、自然の海に特化したものを提供すれば、市内を問わず、市外からも訪問者が増えるのではないか。そこで牛島特産の海の幸を安く提供すれば、島も活性化するのではないだろうか。

今後検討に値する課題であると思う。

 

8月26日(木)白石市

市の概要

宮城県南部,阿武隈川の支流白石川の白石盆地に位置する市。 1954年市制。仙台藩家老片倉氏の旧城下町。中心市街地の白石は近隣農村の商業,行政,教育の中心地。製粉,製めん,和紙製造,こけしなどの小工場が立地する。南部の越河(こすごう),斎川はかつて奥州街道の宿駅。西部の上戸沢,下戸沢は七ヶ宿街道の宿場で,古い景観がよく残る。市内に小原,鎌先などの温泉や,みやぎ蔵王白石スキー場がある。北西部は蔵王国定公園に属し,中・西部は蔵王連峰県立自然公園に属する。七ヶ宿街道沿いの小原のコツブガヤ,サイカチ,ヒダリマキガヤなどは天然記念物で北限帯。小原温泉の南西約 5kmの白石川上流左岸にある材木岩,市域東部の白川犬卒都婆にある球状閃緑岩は,いずれも天然記念物。国道4号線, 113号線,東北自動車道, JR東北本線,東北新幹線が集中する。面積 285.85km2。人口41505 

調査事項

1. 白石福祉の里  

「白石福祉の里」に「総合福祉センター」をはじめ、特別養護老人ホーム「えんじゅ」、ケアハウス「やまぶき」、デイサービスセンター「茶園」、「朋の里」、在宅介護支援センター「茶園」、精神障害者小規模作業所「ポプラ」があり、総合福祉センターは「白石版ゴールドプラン」及び福祉の里の中心的役割を担っている。総合福祉センターは、建設面積は2731uと広くはないが、特別養護老人ホーム、ケアハウスを併設し、さらには近い将来すぐそばに市立病院が建設され、文字通り「保健」、「医療」、「福祉」が一体となる総合福祉の完成に一歩近づく。

施設のそのものは高名な設計者の手になり、自然の地形をそのまま生かした、極めて珍しい外観となっている。中は必要最小限の機能に押さえ、デイサービスセンターや、在宅介護支援センターは特別養護老人ホーム、ケアハウスを運営する社会福祉法人が運営している。特別養護老人ホームには、いずこも同じであるが、待機者がおり、ケアハウスはほぼ満室の状況である。

このように、市当局は多くの部分を民間の力を借りて、必要最小限の施設運営をしている。

これは見習うべきである。

さて福祉の里は、市の中心街から2q位離れており、やはり交通の便の問題があるようだ。現在は路線バスが1時間に1本の割合で運行されているが、市立病院のオープンにあわせて、運営主体は決まっていないが、15分に1本のバス運行が出来るそうである。

完成は平成10年4月。総事業費約12億円。

 

2.白石市情報センター建設事業について

 @事業着手に至る経緯

昭和61年、グリーントピア構想の指定(仙南地域)を受けてパソコン通信ネットワーク「アグネス」を実験稼働。昭和63年に白石第二小学校で算数の授業におけるコンピュータ活用の研究に取り組み始めるなどの中、高齢化、少子化を背景に、身近な場所で市民一人一人の二一ズにもっともふさわしい保健・福祉サービスを提供することを目指し、平成8年に自治体ネットワーク施設整備事業の採択を受ける。

A事業の概要

平成8年に郵政省の自治体ネットワーク施設整備事業の採択を受け、平成9年度までの2カ年で保健・福祉情報の愛発信拠点となる施設として整備すると共に、公共施設、学校等へのネットワークを整備し、インターネットやビデオ・オン・デマンド、TV会議、TV相談等を活用して保健・福祉に関するシステムを提供する。

また、情報センターは広く市民に開放し、マルチメディアの世界を体験するコーナーや、自らが情報を生産・加工する事ができる場所を提供し、白石の情報化の底辺拡大を目指すと共に情報化のための人材養成の場にする。

 B取り組み現状

情報センターと総合福祉センター、健康センター、農林振興センター、市役所、その他公民館(地区公民館)、各小・中学校を光ファイバまたはINSデジタル回線で結び、インドラネットや公共施設ネットワーク網を形成し、各種システムを提供する。

・保健・福祉相談システム

市役所や情報センター、市内公民館に設置されたTV相談装置を利用し、市民が自由に健康センターや総合福祉センターの保健婦などと対面しながら健康や福祉に関する相談を行うことができる。

・保健・福祉学習システム

市役所や情報センター、総合福祉センターなどに設置されたテレビ会議装置を利用し、各種講習会、講演会、パネルディスカッションを多地点間で行う。

・保健・福祉情報提供システム

インターネットを利用し、講習会の案内、施設案内、各種検診情報等の情報提供を行う。また、市役所、総合福祉センター、情報センターなどの施設ではビデオ・オン・デマンドを利用した、保健・福祉施設案内、介護情報などを提供する。

C 視察の感想

実際に保健センターと回線を通じて、デモを行ってみたが、パソコンが使えない高齢者にとっては、使いこなすことは出来ないであろう。必ず補助者必要である。

全体としてみると、現在は子供、マニアの言うならば「遊び場」になっている。小中学校には殆どパソコンが導入されている現在、こういう施設はむしろ高齢者のためでなければならないのではないか。

相当の機種が導入されていたが、ここでは入札によって機種を選定するようである。メーカーにこだわらない姿勢は、好感が持てた。

 

3. その他

 その他に白石城、白石市文化体育活動センター(キューブ)を見学したが、あまりに規模の大きさに驚いた。白石市はこの10年間にさまざまな大きないわゆる箱ものを建設してきているが、双璧は白石城復元(21億円)、キューブ建設(83億円)であろう。白石城は木造三階建てで、建設面積は414u、高さ17mの立派なもので、当時の技法を駆使し、鉄筋建てが多い中、木造にこだわった逸物である。キューブは文化体育施設を備えた複合施設で、延べ床面積13000uの巨大な建物で、アリーナは4分割でき、2000人〜5000人が収容できるメッセ機能を持つ。コンサートホールは610席の内壁・外壁ともにガラス張りで、残音響が3.9秒と日本一である。

 なぜ人口4万そこそこの町にこのようなビッグプロジェクトが可能になったのか。その秘密は地域総合整備事業債にありそうだ。白石城の75%、キューブの90%が地域総合整備事

業債でまかなわれている。地域総合整備事業債は最大で約40%が交付税措置され、箱もの以外の事業費の15%も交付税措置される。1996年の白石市の経常収支比率は自主財源が5割を下回っているにもかかわらず、71%で健全といえる。キューブは新幹線の白石蔵王駅から徒歩1分の立地条件等、諸々のことが勘案されたのであろう。

それにしても交付税については、国も見直しの時期にきているのではないだろうか。