行政視察報告

平成19年7月5日(木)〜7月7日(土)


7月5日(木)午後
長野県松本市 観光ホスピタリティカレッジ運営事業について

7月6日(金)午後
長野県上田市 地域づくり支援事業について
*午前中、東御市の町並み保存地区「海野宿」を見学

7月7日(土)午前・午後
長野県東御市 「学校と地域」生涯学習フォーラム

 

長野県松本市(観光ホスピタリティカレッジ事業)

 

松本市は、本州及び長野県のほぼ中央に位置している。平成12年11月1日には特例市の指定を受け、地方分権の推進と個性豊かなまちづくりを進め、平成17年4月1日には、近隣の四賀村安曇村奈川村梓川村と合併し、新松本市としての一歩を踏み出した。人口は約22万8千人。光市と人口の面では、比較にならない地域ではあるが、今の時代に非常に興味の持てる取り組みとして「観光ホスピタリティカレッジ事業」を進めている。光市においても、観光のみならずおもてなしの心を育てる事業として、今後のまちづくりに必要なことと感じ視察対象とした。

 

 長野県松本市は、平成17年4月1日、多くの観光資源に恵まれた近隣4村との合併によって上高地や乗鞍高原など、素晴らしい観光資源を有する都市となった。また、同時に、この恵まれた観光資源をどう生かしていくかという大きな課題を抱えることになった。合併後、観光の見込み数も減となり、何とかしなければという機運が上がり、満足を超えるホスピタリティを目指して観光戦略本部が置かれた。さらに松本大学の新設学科「ホスピタリティ学科」とのタイミングも合い、観光ホスピタリティ事業は進められることになった。

 リピーターを獲得する・受け入れ体制の整備・声掛け運動を柱に、観光ホスピタリティカレッジは、「おもてなしの心あふれる」人づくりをすることが、豊な資源を最大限生かすことに繋がるものと考え、松本市、松本商工会議所、松本大学、松本観光協会、松本コンベンションビューローが協力して開催するおもてなし講座が始まった。

 松本大学観光ホスピタリティ学科の講師陣をはじめ、様々なジャンルの第1線で活躍されている講師陣も充実しており、単発的に開催される同様の講座とは違い、ホスピタリティについて体系的に学ぶことができる機会として貴重な講座となっている。

参加者は多種多様な職種の方で、「会社の研修として」、「個人的なスキルアップ」、「観光ボランティアをやりたい」など、理由も様々である。

講座を受講することで多くのことを学び、多くの仲間をつくり、参加者の熱意が、必ず松本市の観光に磨きをかけてくれ、さらには、自発的な市民発信のアイディアとしての機運が高まってくるだろうという想いは、確実に結果として表れてきている。

 

<事業内容>

★観光ホスピタリティカレッジ(平成17年9月開始)

 *事業費200万円

18年度事業は、講座が基本講座(14講座)に加え、記念講演、シンポジウムを開催

講座内容は、外国人旅行者の受け入れ能力向上、観光たな卸し、体験旅行のつくり方等内容が充実。さらに、講師も専門的・有名な方も起用。

 *対象者

市内在住か市内に通勤通学されている方・市外在住で市外在勤の方

 *受講料
 「市内在住か市内に通勤通学されている方」 10,000
 「市外在住で市外在勤の方」 20,000

 

★観光とまちづくり関連団体連携促進事業(平成18年度から展開)

 *事業費200万円

 18年度事業の主なものは、食をテーマにしたシンポジウム、料理教室、記念講演ほか 

 

<今後の取り組みとして>

・今後の課題として、食と宿泊の連携がまだ不足しているので、市内・県外等広域での連携を強化していく工夫をしていきたい。

・講座等の受講卒業生から出てきた、自発的なアイディアも受け入れ、計画に取り入れていきたい。

・卒業生の中には、NPO法人を立ち上げ旅行業務の免許も取り、仕事としても役立てている人も出てきているので、やる気のある気運を引き続き繋げていきたい。

・現場にあったプラン、として、二次交通をどうするかといった問題を考え、周遊コースを他県とも連携してつくり、また、一日バス乗り放題3000円といった新たなプランも考案中。

 

<感想>

 観光ホスピタリティの心得は

@    まちづくり⇒人づくり

きれいな町があっても、そこに住む人の気持を高めないと効果がない

A    継続性があるかどうか

B    満足度(来てくださる方だけでなく、運営する人達も満足する)

そう言ってくださった担当者の説明には、一貫した熱い想いがあった。

一般的に委託して行う行政の計画づくりも、松本市では、観光戦略・観光戦略アクションプラン集、すべて職員の手作りで作成している。

光市では、残念ながらすべてをコンサルに委託しているが、現場や地元をよく知る人が作らなければ意味がない、とはっきり言われたのも心に響いた。まさに、職員のやる気が、まちを動かしているという雰囲気を感じた。

また、行政が仕掛けたものは、市民を巻き込んだものとして進め、そこで独り立ちできる人を育て、いずれは市民主導のものとして確立するよう後押しすることが大切だということも感じた。

 具体的なものとして、この事業で関わった市民が核となり、その人の周りに様々な人が集まり、松本市観光ホームページのサイトページ(新まつもと物語)は、市が指導するまでもなく自発的に更新されている。

また松本市に年間12000人転入される方がおられるので、転居案内はがきも、企業広告を募集して、オリジナルはがきとして無償配布(10枚セット)するなど、企業・市民そして行政が一体となって観光に取り組んでいる現状が伺える。

 さらに、ご当地検定に合格した人やホスピタリティカレッジ修了者は、観光施設に入る時、無料となる特典もある。

今後も年次的に新たな取り組みと、今までの取り組みの充実等考えておられるようだが、いずれは、この事業を市民に任せていく方向へ進めたいとのことだ。

 光市においても、行政・観光協会・商工会議所・各事業所等の協力の下、松本市の掲げる観光に磨きをかけるまちづくりを参考に、まずは今の取り組みを線で結んでもらえるようなアイディアを見つけてもらいたい。そのための人づくりは、楽しみながら自分たちの町を学び知ることから始まるだろう。滞在時間をいかに長くするかも、周辺地域との連携が重要なポイントになる。

 大きなまちだからできるのではなく、小さなまちだからできること、自然・人すべてを活かせるまちづくりに、ホスピタリティ事業は重要だと感じた。 

 

 

長野県上田市(地域づくり支援事業について)

 

上田市は、平成1836日に上田市丸子町真田町武石村が新設合併して誕生し、人口164千人を擁する長野県東部の中核都市である。「日本のまん中 人がまん中 生活快適都市 〜水跳ね 緑かがやき 空 こころ 晴れわたるまち〜」をキャッチフレーズに、「様々な分野で国内外に影響を与え、発信し続けるまち」、「住民が主人公であるまち」、「住む人、訪れる人が豊かで快適な時間を過ごすことができるまち」を目指している。

 

【事業の内容】

市民の皆さんの「地域をもっとよくしよう」「住みよい地域にしよう」という思いから、自らの熱意と創意工夫による地域づくりの取り組みが広がっている。市ではこうした機運の高まりを背景に市民の方が新たに取り組む地域づくり活動を応援している。

補助対象となる活動事例(活動だけではなく、計画の策定も含む)
 1
地域固有の文化、伝統、産業等を活かした地域づくり
 2
中心市街地に活気を取り戻すための地域づくり
 3
地域資源を掘り起こすための地域づくり
 4
暮らしやすい社会を実現するための地域づくり
 5
その他魅力ある地域づくりを推進するための地域づくり

事業対象区域
 事業の対象区域は、旧上田市、旧武石村地域で、原則として複数自治会の区域程度の広がりを有すること。 

補助対象経費
 活動に必要な経費(飲食代、構成員に係る人件費などを除く)

補助対象団体
 市民団体やグループ
 ・ 5人以上で構成され、市から他の補助金や財政上の支援を受けていない団体に限る。

補助率
 補助対象経費の10分の6以内
 ・ 「話し合い等により地域づくりの計画を策定する場合」は10万円が補助金の上限。
 ・ 「計画に基づいて活動を実践する場合」は100万円が補助金の上限。

採択事業の決定
 審査委員会でヒアリングを行い補助する事業を決定。

平成18年度採択事業

No

実施団体名

事業名

事業内容

1

NPO法人うえだ地域創造支援機構

楽しくパソコン交流 By情報専攻学生サポート

1 パソコン研修会
小グループを対象としたパソコン技術指導を上田地域の大学で情報専攻している大学生がサポートして実施する。
2
 コミュニティーサイト開設
各参加グループ及び学生サポーター間によるお互いの情報発信や意見交換の場となるコミュニティーサイトを開設する。

2

シニア・ときめき会

シニアの暮らしやすい地域社会づくり事業

1 明るく楽しい「フラダンス教室」
2
 シニア男の料理教室
3
 陶工芸・焼き物教室in真田
4
 子ども万華鏡づくり教室in武石 他

3

西塩田地区振興会

信州うえだ「信州の鎌倉文化」紹介事業

1 文化を紹介するための調査、研究、学習会を56回開催。
2
 文化遺産を紹介するための案内板2箇所設置。

4

柳町まちづくり協議会+NPO法人ルーバンデザイン研究所

サインによるまちづくり

柳町の歴史や家屋の特徴などを説明するサインの設計。サインのテーマ・形・設置場所について柳町まちづくり協議会で研究する。

5

柳町まちづくり協議会+NPO法人ルーバンデザイン研究所

川によるまちづくり1(保命水によるせせらぎづくり)

1 保命水の埋設管状況を調査。
2
 景観水路をせせらぎとすること、及び枡の復活についての課題や実現方法についてまとめる。

6

柳町まちづくり協議会+NPO法人ルーバンデザイン研究所

川によるまちづくり2(蛭沢川の改修計画づくり)

1 蛭沢川の景観調査
2
 改修、修景、探勝場と遊歩道の整備等についての計画と実現方法を検討する。

No

実施団体名

事業名

事業内容

7

原町の明日をつくる会

原町商店街に山野草の名所をつくるプロジェクト

1 原町商店街を山野草による花の名所にするため、育成試験を行う。
2
 試験にあたり研究会を設け、本植栽に備え記録と報告書を残す。

8

原町の明日をつくる会

原町の歴史と商店を徹底的に訪ね歩くプロジェクト

1 原町商店街とその周辺を講師とともに訪ね歩くウォッチングを2回開催。
2
 原町商店街とその周囲の歴史や歴史的な事象を徹底的に紹介し、各商店の自慢・特徴を掲載するパンフレットを作成する。

19年度申請事業

No

実施団体名

事業名

事業内容

1

西武活性化組合

都市と農村の交流事業

:チロリンの森つくり 

森林整備と間伐材利用により、「きのこ園」をつくり、山全体に自然(天然)のきのこや山栗、山くるみ、山菜や山野草の咲く豊かな森をつくる。このことにより、都市住民が里山の自然や景観に親しむ機会をつくり、併せて地域住民の親睦と連帯を高める。

2

武石音頭・武石小唄を愛し保存する会

武石音頭次世代継承事業

:武石音頭よさこい風アレンジ 

武石音頭を末永く残していくための活動の一環として、よさこい風にアレンジした「武石音頭CD」を制作、振り付け、踊りの発表を行う。このことにより、若い世代への浸透を図り、関心を高める。

3

鳥屋知ろ(城)う会

地域の歴史再発見・伝承事業:武石鳥屋史跡歴史巡り

武石鳥屋地区の歴史や史跡を知り、後世に継承するため、地域の歴史を知るための講演会の開催、史跡を巡るための遊歩道の整備を行う。

4

上田原古戦場祭り実行委員会

地域の歴史再発見・活用事業:「上田原古戦場祭り」の開催

NHK大河ドラマ「風林火山」放映に合わせ、「上田原古戦場祭り」を開催する。上田原地域の歴史と文化を知り、「ふれあい」を通じて連帯と交流を図る。さらに、上田原古戦場の地を広く知ってもらい、「地域おこし」の一助とする。

5

染屋の森の会

地域の自然再発見・活用事業:「菅平の花」ガイドブック作成と講座の開催

菅平の高原・湿原に生育する植物約100種をカラー写真と解説によるハンディな冊子にまとめる。作成した冊子は、市民をはじめ菅平を訪れる人たちに活用してもらうため、上田市内の小中学校等に贈呈、書店にて販売する。また、公民館講座等で冊子を活用しながら、地域の自然について紹介する。

6

上田市元気プロジェクト

地域間・世代間スポーツ交流事業:「上田市アレッ?トゴルフ大会」の開催

マレットゴルフという子どもからお年寄りまで手軽に楽しめるスポーツをアレンジしたレクレーションイベントを通じて、「地域間交流」「世代間交流」を促進する。また、プレイ後は「ふれあい真田館」で全体交流会を開き、新しい仲間づくりを行う。

7

上田のすてき会

地域の宝再発見・活用事業:上田の「すてき」マップ制作と町歩きイベントの開催

4回上田の「すてき」発見ウォッチングを開催し、その際発見した「すてき」を表彰する。また、第1回と第2回の受賞場所を巡り歩くイベントを広く市民の参加を募り、開催する。さらに、第1回から第4回までの受賞場所をまとめて知らせる統合マップを制作する。

8

塩田平民話研究所

後継者育成事業:「松谷みよ子氏民話講演会」の開催

民話の大家の講演会を開催し、それを題材に話し合うことで、民話の読み聞かせを行っている団体の活動の活性化と技術の向上を図る。また、一般の親子にも参加を呼びかけ、民話の読み聞かせの裾野を広げる。

9

柳町夏祭り実行委員会

歴史的まち並活用事業:「北国街道柳町夏祭り」の開催

柳町夏の夜祭は、口コミ等により来場者数が年々増加しているが、本年度から将来の上田市を担う子どもたちの参加を促すため、規模を拡大し、日中から開催する。新たに行う催しとして、子ども達の参加による鮎のつかみ取り、大道芸の実演、落語、演劇、ストリートコンサート等を予定している。

10

別所温泉地区自治会連合会

別所温泉地域活性化事業

:ハイキングコース拠点整備

別所温泉駅から野倉までのハイキングコースにあるポケットパーク内にシンボル的な樹木の植木を行い、ハイキングコースの拠点を整備する。このことにより、地域住民と観光客とのコミュニケーションの場づくりと、維持管理を地域住民が共同で行うことにより連帯意識の醸成を図る。

 

<感想>

 光市では、今年の10月から地域づくり支援センターが立ち上がる。それに向けて、今後は単なる補助金ではなく、頑張る団体に補助していく制度が確立していく計画だ。いわゆる、市民の自立、自治意識を育てる施策が重要となってくる。その中で、上田市では、早くから元気な地域づくり支援事業を立ち上げ、市民のやる気を地域の活性化に生かしている。合併後、従来の事業を一本化するための調整は、今後の課題としているが、NPOを育てる意味においても、一定の成果は出ている。

しかし、光市と公民館との位置づけがかなり違うことがわかり、今後自主運営にされようとしている光市とは、少し内容が違った。

とはいえ、住民の意識改革においては、組織の違いはともかく、まちづくりに参加する意欲を高めるためには、やる気のある団体に実績と計画等も審査され、行政の一部を担える人づくりや組織づくりに、参考にしたい。

 

長野県東御市(「学校と地域」生涯学習フォーラム)

 

 東御市は、小県郡東部町北佐久郡北御牧村の2町村が合併して、平成1641日に誕生した。発足時の人口は約32,000人で、地理的には長野県の東部に位置している。古くから馬の産地として知られ、日本の道百選に選ばれた北国街道海野宿は江戸時代の面影を残し、現在では観光の要所となっている。

市の北部にかかる上信越高原国立公園の「湯の丸高原」は、高山植物の宝庫で、フラワートレッキングに最適の”花高原”として親しまれている。

 

人口規模からいえば、光市より小さな自治体であるが、学社融合を全市的に取り組んでいる先進地だ。以前光市に来られた越田先生のご紹介で、非常に珍しい学社融合の実践教室が研修できると勧められ、この生涯学習フォーラムに参加することにした。学社融合の取り組みをどうすすめたらよいか〜というテーマで、午前は各小中高での学習活動・講座の参観・研究会などが行われ、午後からは実践発表・パネルディスカッションがあり、一日かけた参加となった。

学社融合とは、学校教育と社会教育の融合であるが、光市では学社融合ということばすら理解できない現状ではないだろうか。

光市はおっぱい都市宣言のまちでもある。子育て支援は、全国いたるところで行われているが、親育ち支援という観点からは、まだまだ充実していないのが現状だ。今の親を指導するということは非常に無理があるが、その子供たちを大人になるまで、または親になるまで見守り育てるという親育ち支援は、これから非常に大切になってくる問題と捉えている。そのためには学校現場が、その重要な拠点とならなければならない。

 子供が大人になるまで、親となるまでの親育ち支援、まさしく社会教育の分野であり、学校本来の学校教育のプラスとして社会教育の充実が、今の社会を必ず変えてくれると信じている。

今回のフォーラム参加は、おっぱい都市宣言の施策の中で一番重要なポイントとして位置づけられるだろうと考えている。

 

<午前>学習活動・講座の参観・研修会・・・9か所

@    保育園と高校 異世代授業〜高校生と一緒に遊ぼう〜

A    田中小学校 挑戦!発見! 地域の人といっしょに遊ぼう

B    滋野小学校 一緒につくろうよ。滋野のおいしい巨峰とそば!

C    津小学校 津の自然・文化・人に学ぼう!

D    和小学校 みんなでチャレンジ「ドリームかのう」

E    北御牧小学校 ふるさとの活動に学ぼう!

F    東部中学校 『らぶり−東御』〜地域を知り、地域に学び、貢献しよう!〜

G    北御牧中学校 生徒、先生、保護者、そして地域の方々、みんなで学ぶキャリア教育!

H    中央公民館 楽しく学ぼう!体験しよう!「いきいき子ども講座」

 

<午後>実践発表・パネルディスカッション

    「オオルリシジミを守る取り組み」

    パネルディスカッション

「学社融合の取り組みをどうすすめたらよいか」

パネリストに、教育長・小学校校長・PTA会長・公民館長

コーディネーター 学社融合研究所代表 : 総評 信濃教育会会長 

 

<感想>

 今回の実践教室9か所すべてを参観することはできなかったが、お勧めの@・D・Gの3か所を二人ずつ参加した。

 私が参加したのは、@の高校生と保育園児との教室だ。スポーツコースでは、お兄さん、お姉さんと体育館でミニ運動会をする。福祉コースでは、高校生の紙芝居、パネルシアター、家族の皆さんと一緒に工作をする。

 小さな子どもと一緒に関わることのない高校生にとって、幼児の気持ちになって指導しなければならないこと、自分の意思をきちんと伝えること、難しい状況でも諦めずに集中させていくことが問われる。

 幼児にとって、日頃関わることの少ない高校生のお兄さん、お姉さんと遊んでもらえる嬉しさ、親でもない先生でもないお兄さんお姉さんとの関わりに、わくわくどきどきする。

 当日は一日だけの参観だが、年間通したカリキュラムで高校生と保育園児が関わる授業を設けている。回数を重ねるうちに、お互いの気持ちが打ち解け、うまく関係をつくれるようになる。さらに、高校生にとって、大人には見せない幼児に対する優しい態度や言葉、笑顔には驚くものがある。

 これらの継続した授業によって、高校生・保育園児のみならず、保護者も家庭においてコミュニケーションが増え、親子関係も良くなっているという。

 先生においても、根気よく状況を把握し、時間をかけて解決していく方向性を見つけ、たまには、うまくコミュニケーションが取れないでいる高校生に対して、きっかけになる言葉をかける等、高校教師・保育士との連携も重要と言える。

 今の子供たちに欠けている思いやり、我慢、協調性、表現力といった人間関係づくりにおいては、非常に大切な社会教育の授業といえるだろう。

今後光市の学校運営の中に、学社融合の取り組みをぜひ進めていただき、二学期制の最大の効果として確立されることを願う。