「まちづくり一緒にやろうや条例」を制定した

高知市の取り組み



 高知市は高知県の県庁所在地であり人口33万人、14万8千所帯を抱える大都市である。この都市が分権時代を拓く新しいシステムづくりとして「市民との協働」を掲げ、行政と市民のパートナーシップをさらに強め、市民主導型の地方自治をめざしたユニークな取り組みをしている。
 高知市は早くから市民主導型市政の推進に取り組み、昭和51年度には光市における「地域づくり推進室」にあたる「自治活動課」を設置して、市民みずからの手でまちづくりを進めるという考えのもと積極的な市民参加と真の地域づくりの実現をめざした。
 さらに平成2年度には「高知市総合計画1990」の基本理念に「市民がつくる都市」を掲げ、さらに平成5年度には、住民の手による地域計画「コミュニティ計画の策定」を実施。そして平成13年度には「高知市総合計画」の基本理念に「自立の精神と行動性を発揮」し「市民主導のまちづくり」を進めることを掲げた。
また、あわせてまちづくり条例の制定を位置づけて「条例制定委員会を発足させ、19回に渡る委員会を実施して条例の制定へむけて検討を続けた。
 そして、平成15年4月に「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」(愛称まちづくり一緒にやろうや条例)が制定された。この条例は、市民・NPO・事業者・市の役割分担とハートなーシップのもとすみよい市実現するための必要な基本ルールを定め、市民のニーズに柔軟に対応できる行政のシステムやまちづくり活動を支えていくための仕組みづくりをめざして制定されたものである。
 条例は6章にわたって作られている。まず第1章は総則で条例制定の目的である。
第2章は、「パートナーシップによるまちづくりの基本原則」
第3章は、「市民などの役割」
第4章は、「市の役割」
第5章は、「市民活動への支援」
第6章は、「条例見守り委員会」
 以上の6章で構成されているが、注目したいのは第5章の市民活動の支援である。誰もが気軽に集まることができて、知りたい情報やアドバイスが受けられる活動場所拠点の整備や、「公益信託高知市まちづくりファンド」を造って助成金を出し、まちづくり活動を応援する制度を設置して条例で定めたことである。市民は「こんなことをしたい」とプレゼンテーションすると、公開審査会で助成をきめ、助成金を支給して活動を支援する。
 そして、6章は、この条例がうまく機能し運営されているかを市民参加の「見守り委員会」で見守る。そして改善すべき点や日常的に気がついたことなどを市長に提言するようにしている。
 高知市は、この「まちづくり一緒にやろうや条例」にもとづいて理想的な「自分のできることをやろうとする自主性や誰もが参加しやすいきっかけづくり」のしかけをつくり活動を展開し成果をあげている。

感想
 条例を作って協働のまちづくりに挑戦している高知市の取り組みは多いに参考になった。高知市の公民館活動や自治会活動はそれほど活発でなく、市民活動の支援策を中心にして、市と市民とのかかわりをめざしているとの印象を感じた。
 公民館や連合自治会を中心として市と市民とのかかわりを続けている光にとつて、公民館や連合自治会といった組織的なつながりと同時に、ボランティア活動などの協創協働の組織を強めていくことを考えねばならないと思った。
そうした上で、条例などの制定でさらに徹底したパートナーシップによるまちづくりが強固になると感じた。