ひとり言

日本母乳哺育学会での発表

 

  「おっぱい都市宣言」光市の取り組み

皆様こんにちは。今、梅田先生から身に余る紹介をしていただいて、少し緊張してしまいました。議会のようにはいかないと思いますが、何分にも初めての経験ですので不穏当な発言がありましたら、その時はすぐに訂正させていただきますのでよろしくお願いします。前日からのすばらしい発表を聞いて、今回のこの学会に参加させていただけることを、改めて心から感謝いたします。私は、5年前に世界初のおっぱい都市宣言をいたしました光市から参加させていただきました磯部登志恵です。
私は、この11月半ばでちょうど1年になります新人市会議員です。とにかく今、一女性として、母として、やれることは何かを考えながら、がむしゃらにがんばっております。
 光市といえば、今年何かとお騒がせいたしましたが、さめ騒動もすっかり落ち着いて今は何事もなかったように静まり返っております。ここで、皆様にスライドで光市の全景を観ていただきましょう。光市は自然環境に優れ、西日本随一の砂浜と松林を誇るマリンスポーツのメッカです。こちらの象の鼻のように見えるところは象鼻ヶ崎というところです。くさふぐの産卵でも有名です。この夕日を見ながらプロポーズされるのが私の青春時代の夢でした。それくらいロマンチストになれるすばらしい夕日を見ることができます。しかし、今年は、さめのおかげで例年より少し寂しい夏でした。とにかく自然環境に恵まれたとても住みやすいところですので、皆さんも一度は足を運んでいただきたいなと思っています。今日は光市が5年前に採択した「おっぱい都市宣言」母と子と父、そして人にやさしい町光市と梅田病院が一体となって取り組んでいる様々な様子をお話していきたいと思います。
このおっぱい都市宣言に至るまでにあたっては、簡単な道のりではなかったようです。
梅田先生はじめスタッフの方が、市議会議員の方々に(当時は男性ばかりでした)おっぱい都市宣言の意味や意義について、何度も足を運ばれ話し合いの場をもたれました。母乳都市宣言ならすぐにでもOKという意見、おっぱいというやわらかであたたかな響きは理解されず、卑わいだという頭の固い議員もいたなどと大変ないきさつをお聞きしています。
おっぱいとは、母乳だけはでなく胸というポジションだということ、母乳だろうとなかろうと、子どもは抱いてアイコンタクトをしながら育てて欲しい、そんなやさしい梅田先生の願いから光市の「おっぱい都市宣言」が生まれたのです。
お恥ずかしい話ですが、私自身市議になるまで、あまりおっぱい都市宣言についてよく理解していなかった市民のひとりです。また、子育てにも反省と不安で、何とか子どもをひとり育て上げたかなという、あまりお手本になるような親ではありません。もちろん母乳で育てましたと言いたいところですが、当時1ヶ月やっとミルクとの混合で母乳を飲ませただけという有様で、あとはずっとミルクにお世話になりました。今考えると、母乳で育てなくてはという気持ちがあまりなく、今でも思い出す言葉が「お産したのを忘れたのかな」と言う先生の言葉です。
反省だらけの母なのですが、とにかくよく子どもを抱き、よく一緒に遊びました。小学校の高学年までだったでしょうか、私より背が高くなったような時期でもよく膝に座ってくるし、とうとう中学3年まで一緒にお風呂にも入り、よくいっしょに寝ておりました。まことに子離れしていない親、親離れしていない子どもでした。それを自立できないよと友人によく指摘されたものです。でも、梅田先生に、抱き癖大いに結構、甘えたいときにはしっかり甘えさせてあげることが大切だよと言われたとき、どんなにうれしかったことか。自分の子育ては間違っていなかったと、今やっと安心し、なおかつ自信がつきました。そして光市のすばらしいおっぱい都市宣言の意義を知り、自分の経験を元に、女性の立場をしっかり助け、梅田病院の皆さんとすばらしい行政の子育て支援構想を実現させていかなくてはと強く感じました。
前置が長くなってしまいましたが、光市はスローペースですが、梅田病院の協力をいただきながら、着実に市民の皆さんにおっぱい都市宣言が浸透するよう努力しております。このなかで一番のメインイベントは、おっぱいまつりです。このおまつりの予算は光市の厳しい財政状況で、一律カットされる中、唯一増額されました。また、おまつりを通して、「おっぱい」の持つ意味を多くの市民に理解してもらうよう努めております。私は今年初めての参加ですが、内容も少しずつ充実しているようです。スライドで、今年の8月1日に行われた様子をご紹介していきましょう。
(市長紹介) まずこの方が、光市の若い元気な末岡市長さんです。本当にアットホームで同じ目線に立って下さる市長さんなので、私たちの強い味方です。しかし最近、ちょっとご安全になりすぎていらっしゃるようなので、もっとみんなではっぱをかけなくてはと意気込んでおります。
(おっぱい体操) これは保健婦さんたちが考えた、おっぱい体操の様子です。ちょっと恥ずかしかったようですけれど、男性の市議の方(いつもは一人か二人の参加だったそうです。今年は15人の市議の方の参加がありました。22人中15人ですから、私のしつこいくらいの訴えが、皆さんに理解していただけたのかなと満足しております。)他多く参加者と一緒に気持ちよく体操ができました。
(オープニングの園児) これは保育園の子どもたちが、まつりのオープニングを盛り上げてくれました。とても好評でした。
(風船パフォーマンス) 一番人気だった風船パフォーマンスの様子で、ボランティアの高校生とピエロが、色々な場所で人気を独占しておりました。

また、その他に、シートベルトコンビンサー、時速5kmの衝撃体験で改めてシートベルトの大切さチャイルドシートの大切さを実感してもらいました。子どもには楽しい子ども免許書が作ってもらえたようです。
フリーマーケットも、今年は36店応募があり、所狭しと並び、面白い買い物ができたのではないかと思います。
中学生と赤ちゃんのふれあいコーナーでは、一番心の敏感な中学生に、命の大切さを実感してもらえたのではないかと思います。
そして今年の新企画で、おっぱいをイメージしたお菓子コンテストを行ないました前もってコンテストが行われ、当日は表彰と展示のみでしたが、試食コーナーがあっても良かったかなと思っています。若いお母さんから年配の方まで幅広い参加があり、面白い作品が出ました。
今、今回の優勝作品を市のおっぱいお菓子として商品化できないか検討中です。
 その他、様々な相談コーナー、手作りおもちゃの展示、ふれあい写真展、元気っこ広場、体力測定、水遊び、歯のコーナーなどなど、若い方から年配の方まで見て遊んでお買い物と、午前中だけのイベントですが、今年は1500人の参加がありました。

また、保健センターでは、おっぱい相談など様々な相談・健診・教室を行っておりますが、2年半前から5回コースの母親教室では、1回から3回までは初めての妊婦さん向けの基礎コース、4回目は家族で赤ちゃんを向かえるための講座、5回目は同じ時期に出産される方の交流会ということで、リーダー的存在に呼びかけて、自主グループ活動のお手伝いをしています。
今では、母親学級で知り合った仲間、約16グループができ、月1回、週1回のペースで自主的に保健センターの部屋へ集まったり公園へ遊びに出かけたり、お互いの交流を深めています。たまには、保健婦からの指導など要望があれば、いつでも協力しています。
来年着工される総合福祉センターには、子育てサポーターが常勤し、育児相談、子育てサロン、子育てライブラリーの機能を持つ子育て支援センターを設置する予定です。
また、地道な活動ですが、様々な年代の方にアンケートを取り、少しでも行政として子育ての環境など改善しなければならないことを、探っています。

これらの活動は、おっぱい都市宣言に始まり、光市が10年に策定したエンゼルプランに基づき行われております。しかしまだまだ机上のプランにしか見えないのは私だけではないと思います。徐々に行政の財政状況を考えながら、できるところから実行されているといった状況です。このエンゼルプランは、どの市町村でも策定されているものだと思いますが、国、県の指導のもと、それはすばらしい指針として作られております。しかし、それを確実に実行している行政は少ないのではないでしょうか。
 エンゼルプランには直接関係ないかもしれませんが、来年4月から義務付けられるチャイルドシートのことでも、今のところ行政側の対応はまったくなしで、これは個人でやらなければならないことで、ここまで行政が入るのはどうか?といわれました。確かにそうかもしれませんが、梅田病院では様々なサービスを考えれおられると思います。同時に光市にも市立病院があるのですからそこでお産された方へのチャイルドシートの様々な情報を提供するサービスは、最低限度必要なのではと考えます。なぜかと申しますと、私は、年4回行われる議会のあと、自分の議会だよりを発行しております。簡単な紙面なのですが、印象に残った問題でこのチャイルドシートのことを載せました。意外と、色々な世代の方から質問があり、がんばってという言葉をいただきました。今のところ、警察が交通安全協会と8台チャイルドシートのみの短期貸し出しを行っているという状況です。では、全国的にどうなのか一部をインターネットで探ってみると、なんと行政と警察の助けで交通安全協会がレンタル・リサイクル事業を始めたことを行政のHPで紹介してる所がありました。
こういった部分にはまだまだ遅れている光市ですが、これからの子育て支援の一環として、少しずつ積極的な対応をしていただかなければと思っています。もちろん、行政ばかりに頼らず市民一人一人が行動を起こし、できない部分を行政が手伝うという考えで進めていこうと思います。しかし、これらのことはいくら行政ががんばっても、民間の先生のご協力がなければ絶対にうまくいきません。おかげさまで光市は、おっぱい先生であります梅田先生が病院を上げて全面協力してくださっています。梅田病院のすばらしいアイディアと、母乳育児に対する熱い思いを、これからも様々な場面で私自身、行政に嫌われながらも根気よく進めていきたいと思っています。
まだまだ活動状況はこれからより充実させなくてはならないと思っていますが、もっと大きな視野から考えると、今は福祉行政の充実が一番大切なのではないでしょうか。なぜなら、今、日本全国、新聞、テレビでも介護保険のことでパニック状態です。国の一部の方針がまだ決まっていない状態で、各市町村も来年4月に向けてフル稼働だと思います。しかし、今、なぜ高齢者ばかりの福祉なのでしょうか。私たちはこれから来るべき高齢化社会を担う、健全な子どもたちを育てる義務があるのではないでしょうか。
ちなみに、光市の人口はこの3年間で若干の増加、しかし将来的には確実に減少するだろうと予測されています。出生は若干の減少です。それに比べて、65歳以上の人口は500人も増加しております。 老人福祉も、もちろん大切です。でも新しい命の子どもたちにかかわる福祉行政が、一番重要視されなければならないと思います。お年寄りを大切にする多くの子どもたちを育てなくてはいけません。子どもが育てやすい環境で、市民みんなで育てていけるような、地域密着型子育て支援を考えていかなくてはならないと思っています。
 最後にもう一枚スライドを見ていただきましょう。人間が忘れかけている抱くことの大切さやお互いを理解し助け合うことを教えてくれたのが、この絵と「ハグ」という絵本です。残念ながら今年は受け入れてもらえませんでしたが、この絵を光市のおっぱい都市宣言のシンボルマークとして、様々な場面で使って欲しいと思っています。人間誰もがやさしさを与える心地よさ、そしてやさしさを与えられる心地よさを知っています。この絵を見ていると、自然と心が和みます。
今、私は、最高の子育てができるような気がします。実際の子育てはもう不可能ですが今までの知識を、より多くの人の手助けとして発揮できるよう、これからもがんばりたいと思っています。この私に、今日の日を快く受け入れてくださった皆様に心から感謝をいたします。
これからも梅田先生に助けていただきながら、市議としてがんばってまいりたいと思っております。皆様、ありがとうございました。