おいでませ

PFIを活用した高知医療センターの取り組み



 県庁所在地の高知市には県立中央病院と市立高知市民病院の二つの病院があった。両病院の施設の老朽化や経営問題などから統合した病院をつくろうとの計画が起こった。
 そこで、高度専門医療を提供する基幹病院としての整備が検討され、県・市病院組合を設立し建設をすすめ、平成17年3月に5万2000uの土地に地上12階建て延べ面積6万7000u、ベッド数648床、47の診療科をもつ「高知医療センター」が開院した。
 そして、経営の効率化と良質なサービスを提供するために民間の資金やノウハウを活用するPFI事業を全国で始めて導入した。高知医療センターの医療行為や財務管理などは病院組合が行い、その他の事業については民間会社に任せたものである。その概要は次の通りである。

 高知医療センターPFI事業の概要
  @ 名称      高知医療センター整備運営事業PFI事業契約
  A 契約の相手先  高知医療ピーエフアイ株式会社
  B 契約期間    平成14年12月8日〜平成44年3月31日
  C 契約金額    213,189,718,350円
  D 契約業務内容
   ア 病院本館施設、職員宿舎などその他施設整備業務
   イ 病院本館施設維持管理業務
    ○ 建築物保全業務
    ○ 建設設備保守管理業務
    ○ 環境衛生管理業務
    ○ 保安警備業務
    ○ ビルマネジメント業務
   ウ 医療関連サービス業務
    ○ 検体検査業務
    ○ 滅菌消毒業務
    ○ 食事の提供業務
    ○ 患者などの搬送業務
    ○ 医療機器の保守点検業務
    ○ 洗濯・清掃業務
   エ その他医療関連サービス業務
    ○ 診療報酬請求などの事務
    ○ 物品管理・物流管理業務
    ○ 看護補助業務
    ○ 医療機器類の整備・管理更新業務
    ○ 一般管理支援業務
   オ その他の業務
    ○ 食堂・売店などの運営管理
    ○ 職員宿舎などその他の施設の維持管理業務

 高知医療センターは高知県と高知市で委員をだしあって病院組合を組織して経営をしており、その事業の一部にPFI事業をとりこんだもので、経営全体を取り込んだ形態でなかったというところに当初描いていた内容と違った面もあったが、いろいろな側面を知らされ、メリットデメリットの多い事業形態であることを知った。
 特にPFI事業会社との契約形態が、30年間と長く2000億円に及ぶ契約に問題はないか、さらに病院組合の事務執行者とPFI事業会社の責任者との間において、指揮命令系統や仕事についての問題点がいろいろと発生しており、検討が必要とのことである。
 病院経営側と経営に付帯する事業を行う側との考え方の違い、とくにサービスについての違いなどが顕著に現れていることは、この制度の生命線に係ることといっても過言ではあるまい。PFI事業とは、病院経営を含むすべての分野と思っていたが現実は違っていることを教えられた。
 光市においても、新しい急性期病院建設構想にPFI事業の導入の検討と計画されているが、果たして光市の規模で、PFI事業導入にメリットがあるのか、もっと深く検討すべきであると考える。