「 make wish  願いはー・・・
うーん・・・何か違うんだよなぁ・・・。」

カリカリと頭を掻いた。
何かとうまくいかないときにする の癖だった。
脚を組んで欠伸して紅茶を啜り、息を吐く。

テーマを平和にした私が馬鹿だったよ。
ってか、平和って具体的にどーとかわっかんないし。
・・・妄想とかならいくらでも走らせれるけどさー。



やっぱ戦争に対しての方がイイね。
妄想しただけで何も変わる筈もない。
そう判断し、もう一枚の紙にペンを滑らしたとき
後ろで甲高い声が噴火した。



「シャニ、テメェー!!!!
僕の御菓子勝手に食うなよ!!!」

「別に食ったってイイだろ。」

「僕がどれだけ楽しみにしてると思ってたんだよ!!?」

「なら、もっかい貰いにいけば?」

あららら、あの御菓子クロトの好物なのに、シャニ食べちゃったんだ。
そうやって目をシャニに注ぐと、シャニが座っているソファーの下に
御菓子の袋が無残に捨てられていた。もちろん中身は空っぽ。
ちょっと哀れかも・・・。



「クロト、テメェー菓子ぐれぇでそんなに
ガタガタ騒ぐんじゃねーよ!!!」

黙って本を読んでたオルガまで参戦。
たしかにこの中じゃ、読むに読めないだろうな。
しかし、これでこの部屋の中は更に騒音を増した。


「五月蝿ぇんだよ、触角!!!
黙ってろ、ヴァーカ!!!」


「何が触角だと、この野朗!!!
五月蝿いのはテメェーだろうが!!!」

「・・・うざい。静かにしてよね。」

「うざいのはテメェーだ、シャニ!!!」

「僕の御菓子イイ加減なんとかしてよね!!!」

「うっさい、お前ら。」

「うるせぇーのはお前だ!!!」


ドン



「アンタたちが五月蝿ぇんだよ!!!
オチオチ作詞もできないじゃない!!!どーしてくれんのよっ!!」

遂には、 も参戦。短気な だ、こうなることは日常茶飯事。
先ほどまで作詞していた紙は情けなくぐしゃぐしゃに握られていた。

しかし、 の口から出た作詞と云う単語がでたら
今まで暴れていた3人が一気に落ち着くのだ。
その理由は・・・。



「また超音波作ってんのかよ。
音痴が音痴作って何になんだよ。」

「やめてよねー、まだ僕死にたくないんだし。」

「同感。」

イチャもん。
出逢って数日後、 が洗濯しているときに自分が作った歌を歌っているのを
3人に目撃されてからこうなのだ。

小さい頃から歌を歌えば、上手いと育ての親に褒められたこの私を
未来の歌姫のこの私に向かって・・・
ワールド イン グランプリ歌姫の私に向かって・・・
いずれは、第二のラクス・クラインと云われる私に・・・
音痴・・・超音波・・・死ぬ・・・ですってぇぇぇぇぇーーー





「そんなこと云うと此処で最大音量マイクで歌うわよ。」

「そんなことしたらカラミティブチ込むぞ!!!」

「僕も!!!」

「俺も。」

「いやいや、私死ぬからさ。」

「お前は何回殺しても死ななそーだし、余裕だろ?」

フフンと鼻で笑うオルガを見て の理性を保っていた の線が大きな音を立ててブチ切れた。



「この忌々しい触角を今すぐブチ抜きたいんですけど。」

先ほどの礼といわんばかりにフフフと怪しい笑みをオルガに送ってやった。
さりげない(?)がある意味恐ろしい発言にオルガは我が耳を疑った。
しかし、それは夢ではなく現実で、あろうことかクロトとシャニを
それを手伝わせようと「クロトー、シャニー、ちょっと手伝ってくれないー?」と誘っている。
冗談じゃない!!と思ったオルガであるが、儚い願いは叶う筈がなかった。



「イイよー、ちょうどゲーム終わったしー。」

「ってかオルガのソレ、触角だったんだね。」

「そうそう。もしかしたら、この目はフェイクかもしれないよねー。」

怪しい笑みを浮かべ、にじりにじりとオルガを追い詰めるクロト、シャニ、
先ほどの余裕さが見えません、オルガ。
背中から冷や汗も出、壁と肩が触れ合った・・・
もう逃げ場などない。



「ま、待てよ・・・・お前ら・・・冗談は・・・

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」























「あー、面白かったー。」

「ンー。」と背伸びをし、 は、ベッドにダイブした。
アレから10分、オルガは前髪(気づけば髪全体も)を3人に好き勝手にいじられっぱなしだ。
クロトにしては、十八番の「撃滅!!」を耳元で騒がれ引っ張られ
シャニにしては、一動作するごとに「ふーん」と云われ、「外見から判断しても
わからない」と結果を出し、「やっぱ解剖(?)しないとわからない」と云って
何処から持ってきたのかポケットから鋏を持ち出した。
にしてはシャニの手伝い。
兎に角、シュミレーションよりオルガは疲れた。



「何が面白いんだ、人の髪勝手に切ろうとしやがって。」

「オホホ、こんな立派なものを持ってるとこうなるんですぞ。」

「はぁ!!?お前頭おかしいんじゃねーの?」

がおかしいのはいつものことだし。」

「何ですってーーー!!?」

「あーーー、五月蝿い!!!
ゲーム負けちゃったじゃん!!!」

「何よ、ゲームぐらいでガタガタ云わないでよね!!!
あーーーーーー!!!せっかくシーツ綺麗にしたのに!!!!」

「何だよ、シーツぐらいでガタガタ云うなよな。」

「キィー!!!シーツを馬鹿にしないでよ!」

「ゲームを馬鹿にすんなよな!」

「オイ、五月蝿せーぞ。
もぅ、就寝時間なんだ、そろそろ寝るぞ。」

戦闘態勢に入った、クロトと をオルガは心底五月蝿そうに云った。
まぁ、アレだけ騒がれた上にコレ以騒がれては
オルガの胃がキナリを上げそうだ。

それに、オルガの云うとおり規定の就寝時間になっている。



「はっ、命拾いしたな、 !」

「そのセリフそっくりそのまま返すわよ。」

オルガは、二人のやり取りをみてまだまだ子供だな。と思い
ソファで一人、気楽に寝ていたシャニに声をかけ、ベッドで寝るように身体を揺さぶった。









「じゃ、電気消すぞー。」

全員ベッドに入ったことを確認したオルガは電灯スイッチを消した。
明るかった部屋が一気に無音の闇に包まれた。
闇は厭だ。
さっきまで見えてたものまで消えてしまうから。

親に捨てられたときもそうだった。
さっきまで見えていたものが段々小さくなって最後には、消えた。
そして声を張り上げても帰ってくるのは無音な孤独だけだった。



「・・・起きてる?」

「・・・起きてる。」

「なんだよ、起こすなよなー。」

「トイレ行きそびれたのか?」

3人がいるのはわかっているけど声をかけると当たり前に返事は返ってきた。
馬鹿だと思われるかもしれないが自分の声で反応が返るとは
は嬉しかった。
例え、それがクロトのような悪態としても。



「いや、そうじゃないんだけど・・・

ちょっと思ったことなんだけど、訊いてイイ?」

「何?」

「あのさ、将来夢とかある?」

「夢ぇ?」

「それって大人になったらなりたいもののこと?」

「うん、それ。」

「とりあえず読書家ってとこだな。」

「じゃぁ、僕はゲーム家!!」

「・・・音楽鑑賞家。」

「働けよ。」

は、何になりたいの?」


「私はねー、歌手になりたいんだ!!!」





「訊いたヤツ皆くたばるだろーな。」

「超怪音波殺人犯。」

「あはははっはははははは!!!!
シャニ、イイこと云うじゃん!!!」

間が空いた後には相変わらずの3人の反応。
そして も相変わらずキレ、反応を返す。



「お前らズラにチクるぞ、ズラに。」

「大丈夫だもんねー。 がおっさんの額に肉って書いたのバラすからさ。」

「クロトくん、漢は過去にこだわってはいかんですよ。」

「ってか、 お前何やってんだよ。」

「いやー、アレ結構勇気いるよ。
ホラーに似たドキドキ感あったし。」


「へーっ、お前すっげーじゃん!!」

「中々やるじゃん。」

「いや、やるなよな。」

奮闘を熱く話す の声を訊いて、オルガがツッコんだ。
クロトとシャニにいたっては、気づいたらやってそうだし。
にいたっては、褒めると調子に乗りそうだし。



「やっぱ俺らが訊いてあげるしかないよね。」

「「「は?」」」

シャニのいきなりの言葉に3人は固まった。



「・・・え、 の歌。」


シャニの言葉に は己の耳を疑った。





「あぁー、たしかに。ってか僕らしか訊けないんじゃないの?」





「しゃーねーなぁ。
ってことで、お前の最初の御客様は俺たちだかんな、忘れんなよ。」





「シカトすんじゃねーぞ、 !!」



「でもちゃんと耳栓はいるね。」



「音痴には変わりないしねー。」

好き勝手に云って3人はゲラゲラと笑った。
しかし、この話題ならいつも の雷が3人に落ちる筈、
なのに雷の「か」の字も降りてこない。
意外な展開に、オルガがすかさず声をかけた。




「あ?オイ、 ?」

「何だよ、嬉しくて声も出ねーのか?」

何だか、目の奥が熱くて変なんだよ。



?」

「オイ、 何か云えよな。」

声がでないんだよ。
喉がヒクヒク云って声が出ないんだよ。



「大丈夫だって、誰一人客がこなくても、俺たちは絶対行くから。」

オルガとクロトとシャニの馬鹿野朗。
歌姫になる私になんて失礼なコトを云いやがる。
初出場で満員オンレーなんだぞ、クソ。

それでも、こみ上げるこも想いはもう を抑えられず感情は声となり、涙と化した。



「・・・っう、わぁぁぁぁぁん!!!」

「オ、オイ!!?」


何処か不安だったのかもしれなかった。
うまくいくのか。
むいているのか。
本当に自分の歌を訊きにきてくれる人はいるのだろうか。
日常に云われる「音痴」や「超音波」は密かに の夢を眩ましていた。


それの原因はコイツらなのに、どうして…
こんなに優しいことを、自分が今ほしい言葉をくれるのだろう。

嬉しい。



「ひっ、っく・・・あぁぁぁぁん!!!」

「何だよそれ!!?逆ギレかよ!!?」

「ってか、泣いてるし。」

「オイオイオイ、何で泣くんだよ。
シャニ、テメェーが耳栓とか云うからだろ!!?」

「はっ?オルガだって賛成してたクセに。」

「うあぁぁぁぁん、あぁぁぁぁん!!」

「オイオイオイ、どーすりゃイイんだよ!!!」

「僕に訊かないでよね!!」

「ってか、早くしないと、おっさん来るし。」

「オイ、泣き止めよな!!僕のゲーム5分ぐらいやらしてあげるから!!」

「あぁぁぁぁん、うあぁぁぁぁん!!」



毎日戦争戦争の毎日で

人が死ぬところなんて当たり前で

私には怖くて怖くて

耳を塞ぎ 身体を丸くし 暗闇で一人泣いていたのです


終わるはずの無い戦争なのに

そんな中でアンタたちのその一言一言はガザツで乱暴なんだけど

不思議に何処か優しくて、暖かいのです

私の心にぽっと灯がともるのです。


戦争が終わって

平和になって

ナチュラルとかコーディネーターとか関係なくて

休日とか

馬鹿みたいに4人で

遊んで

話して

笑って

喧嘩して

馬鹿して

ずっとずっと一緒にいて

何気ない毎日が当たり前のように続いてほしいのです



エゴとか自分勝手とか無責任とか思われるかもしれませんが、

オルガもクロトもシャニも

幸せに、なってほしいのです























誰かの願いが叶うころ

























「・・・。」

は窓の外に流れ広がる宇宙空間をボケーっと見つめていた。
且つ周りには見慣れる様々な機械にボタンに狭い空間。

覚えているのは、あの3人がついて来てほしいと云われて
暗い部屋に招かれたところだった。
突然、シューという音と共に急に眠くなってから記憶という記憶がない。


も、もしやコレは仕返しか?
最近、オルガの小説を官能小説(しかも男色の)に摩り替えたりしてるし
最近、クロトのゲームをマリオのゲームに摩り替えたりしてるし
最近、シャニのMDを御経に摩り替えたりしてるし

ヤバい・・・。バレたかなぁ・・・。
どーしよ、アズラエル風に云うと御仕置きだよねぇ。

運がイイことに戦闘は一時停止している。
しかし、いつ再戦されるか分からない。
何とかして、ドミニオンに連絡を取るために連絡ボタンを押した。


「コチラ、
ドミニオン、応答してください。」

『・・・』

「コチラ、
ドミニオン、応答してください。」

『・・・』

「コチラ、
ドミニオン、応答してください。」

『・・・』

「もっしもしー、ドーミニオンーサーン。
くやーしかったら応答してみろー。バーカ、バーカ。
アズラエル様の髪ってヅラなんだよ、あっはっ『ヴァカはお前だ、 !!!』

「!!?ク、クロト!!?」

『やっと目ぇ覚ましたみたいだな。』


「オルガ!!?」

『ってか、うるさいし変な歌だし寒いし。』

「シャニ!!?ってか、皆勢ぞろい!!?」

スピーカーからは、アズラエルでもなく、ナタル艦長でもなく、
オルガ、クロト、シャニの3人からの応答だった。
シャニめ失礼な、さっきのは歌じゃないし、そして寒くないし、素直に笑えよ。



『何ともねーか?』

「うん。ってかさー、起きてビックリだよ!!
何かに乗ってるし!!
あ、もしかしてこれMS!!?」

戦う歌姫なんて云ったらクロトから「ありえねー」っというブーイングをもらった。
ムカツクやつめ。
私だってMSぐらい運転できるよ。それを云ったらオルガから
お前射撃の成績どーだったっけ?って云われた。
ちなみに射撃の成績は無残にもビリから数えた方が早い。


。』

「ん?なーに?」

が乗っているのさ・・・脱出ポッド。』



脱 出 ポ ッ ド ?

脱出ポッドって・・・脱出用のポッド、だよね・・・?




『・・・シャ、シャニったら、冗談きっついなー。
まだ戦争は終わってないんだよ?私らだけ逃げるなんて、そんな

「私らじゃねぇよ、お前一人だけだよ。」

オルガが云った言葉で頭が真っ白になった。
何?どういうこと?
どうして、私がいつ脱出ポッドに乗ったの?
数時間前までは、まだドミニオンに乗っていた筈なのに。

そういえば、あの3人が私を呼んだとき…



『なーに?この部屋?』

『いいから、この部屋に入れよ。』

『もしかして、愛の告白!!?キャー!!!』

『『『ありえねー』』』


あの部屋…!!!?


『何か暗くて、狭いね。何、此処?』



まさか!!?

パズルのピースが嵌った。















「戻りなさいよ!!!ほら、バック アンド リターン ゴー!!!」

はスピーカーに向かって大声で訴えた。
どうやら、この脱出ポッドには私運転は装着していないみたいだ。
(っというか、私機械弱いんだよ)何とかして、帰らなければ。
アズラエルも、ナタル艦長も、そして3人も戦っている。
逃げるなんて、もってものほかだ。



『心配すんなよ。落ちたりしねぇからよ。』

「そういうことじゃないよ!!」

『だーかーら、お前の体重で落ちたりしないって。
安心しろよな。』

「ちょっとクロト!!!
乙女の前で体重はタブーよ、タブー!!!」

『自分で乙女とかありえねぇーこと云うな、ヴァーカ!!!』

『たしかにそれ云えるよな。』

『本当本当。』

「キィー、本当にムカツくよ、コイツら!!!」

そういって4人は笑った。





「最初逢ったこと覚えてる?」

『あぁ、こんなチビが俺たちの世話役とかありえねーって思った。』


『そぅそぅ、しかも一人で逆ギレしてたし。』

『あははは!!!アレ傑作だったよなー!!!』

「お前ら一発ずつ殴りてぇー。」




『そーいえば、海にも行った。』

『あんときゃ、暑かったなー。』

「ってか、オルガ日陰で小説読んでただけじゃん。」

『お前らみたいにあそこまではしゃげるわけねぇーだろうが。』

『といいつつ最後には交じってたし。』

「そーいやぁ、クロトがスイカ割りに行くはずなのに
海に行ったよねー。」

『あんなんできるワケねーだろうが!!』

『後さー、おっさんが保護者に見られたのにウケた。』

『あははははっははははは!!!!
あの顔ぜってー忘れられないよ!!!』

『いつもの貫禄ナシだよな。』

『そうそう、後よー ―――――――――



甦る思い出。

今思えば、本当に色んなコトがあった。
クリスマスパーティーもした、正月も大晦日も4人でずっと一緒にいた、
そして、海にも行った、買い物にも行った、射撃訓練もした、大掃除もした
星空も見た、朝日も拝んだ。
喧嘩もした。
ひっぱたいたり、ひっぱたかれたりもした。
泣いたりもした。
怒ったり、怒られたりもした。
例え、楽しいだけのことばかりじゃなかったけど

瞳を閉じると沢山、沢山両手に抱えきれないほどの・・・
愛しい思い出ばかり。
そして傍にはいつも、オルガ、クロト、シャニがいた。
楽しみも怒りも悲しみも苦痛も全部とは云えないが4人で共にした。



「ひっ・・・っ・・・。」

・・・?』

「ずっと・・・ずっと・・・
こういうのが・・・続いてっ・・・ほしいっ・・・のにっ・・・。
ど、して・・・無理なの?
どうして・・・駄目なの?」

「私、だけが逃げて・・・
生きるなんて、おかしい、よ・・・。
ど、して・・・」



『・・・僕たちだって、生きていたいよ。だけどよぉ・・・。』

クロトが口を篭った。
この世に生きることを否定された人間はどれだけいるのだろう。
どうして、生きちゃ駄目なんだろう。
誰が、そんなクソみたいなコト決めたんだろう。



『ずっとさ、黙ってたんだけど、俺たち薬ナシじゃ生きていけないんだよ。
頭じゃ否定してるけど、身体は常に求めているんだ。』

『例えこの戦争に勝ったとしても、オッサンに用済みって云われて
消されるだろうし。』

『結局俺たちは死ぬんだ。』

オルガが苦しそうに喉から声を搾り出した。


何だよ、それ。
私の何処かで今までになく大きく何かがブチキレた。
気づいたら私は叫んでいた。



「そんなこと、私がさせないよ!!!私が皆を守るよ!!!
それに私の育ての親のバァーちゃん、名医なんだ!!
だから、大丈夫、大丈夫だよっ!!!薬ナシで生きていけるよ!!!」

・・・。』

「大丈夫・・・大丈夫だよ・・・。」

大丈夫だよ。
なんて哀しく、なんて保障のない残酷で儚い言葉。
「守りたい」という想いだけで、結局は何も救えやしない。
どうして、私はこんなに無力で弱い。


『いいんだ・・・。
・・・もぅ・・・。』

「どうして・・・?
何がいいの?
どこもよくないよ!!!」


薬を投与した強化人間だから関係ない。


「どうして・・・アンタたちが死ななきゃいけないの?
どうして幸せになっちゃいけないの?
不公平だよ・・・そんなの・・・っっ!!!!

生きて、幸せになってほしいのは
アンタたちなのにっっっ!!!!」


化物と見る世間のクソの声なんて関係ない。


・・・。』

「生きてよ。死ぬなんて、お願いだから云わないで。
生きてっっ・・・。」

生きていてほしい。
心からそう願ってしまう。

オルガとクロトとシャニは、暗い人生しか送ってない私に
生きる支えをくれた。
哀しくて、淋しいときは、泣き止むまで傍にいてくれて。
嬉しくてしょうがないときは、最初は厭々ながらも最後は一緒に喜んでくれた。

育ての親以外に、初めて私を必要としてくれて、傍にいてくれた。



・・・。』

「離れたくない・・・っ。傍にいるっ、傍にいるよっっ」

『ヴァカ!!!お前まで死んでどーすんだよ!!!
僕たちが・・・何のためにここまでお前を連れてきたと思ってんだよ!!?』

クロトが・・・泣いてる?
うそ・・・一度も泣いたことだって見たことないのに。


『僕たちだっ前方ヨリMS2機接近中 前方ヨリMS2機接近中

3人は一斉に顔を上げた。
そこには、3人を苦しめている白い機体のフリーダムに赤い機体のジャスティス。



『ちっ、何でこんな時に!!!』

『ぜってー、かえりうちにしてやるよ!!!』

『大丈夫、ちゃんと無事に地球に送るから。』

ポッドの窓からもフリーダムにジャスティスが接近するのが見えた。
スピーカーから耳に入るのは、カラミティ、レイダー、フォビドゥンから聴こえる
警告音に、別れを思わせる言葉。




ま た 私 は 置 い て い か れ る の ?


『 おかーさん!! おかーさん!! 』


暗い暗い闇の中へ


『 私を置いていかないで!!!行かないで!!! 』 


遠く遠く離れる私と母へ


『 おかーさん、おかーさぁぁぁぁぁ・・・んっっ!!! 』

離れて
置き去りにして
孤独が心の痕となって
そして、病んでいく。

例え、どんな理由があったとしても、
離れることが本当に幸せになる方法なのですか?


『 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!! 』








そんなの、間違ってる!!
大切な人と離れたからといって、たとえそれがどんなに過酷な現実だろうと

別れることで、幸せになることなどありえないから!!!




「お願い!!!今なら、まだ間に合う!!!
私をドミニオンに帰して!!!」

スピーカーに向かって更に叫び
辺りを手が赤くなって血が溢れても手当たり次第叩き続けた。

離れなくない。
ずっとずっと傍にいるの。
死ぬときも一緒。
アンタたちが生きてないと、私が生きる意味などないもの。





スピーカーから流れた冷静なオルガの声。
不思議に周りの雑音は総て消えていた。















『じゃあな。』

雑音は戻った。
そして、カラミティとレイダーとフォビドゥンは私が乗っている脱出ポッドを
攻撃されないように盾になり、ポッドを地球へ押した。
一瞬に3機が小さくなっていった。



「厭!!!厭あぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・!!!
オルガ、クロト、シャニ・・・っ!!!!
待って、いや、お願い!!!!
お願い待っ   ――――――――






ブチ



3人が目を閉じ、歯をかみ締めポッドとの回線を切った。
そうするとカラミティとレイダーとフォビドゥンの機内に の声が木霊した。
振り返れば、気がつけば3人の傍にはいつも がいた。
それが、今はもういない。
そして、目の前には目前に忍び寄る憎き2機。
絶対邪魔はさせない。自然に3人の想いは重なった。



「オイ。」

「何だよ。」 「何?」

「しくんなよ、お前ら。」

「はっ、誰にもの云ってんの?
オルガこそしくんなよ。」

「そーだよ。」

「それじゃぁ、1、2、3で行くぞ。」

「「了解」」

「1・・・





『お世話役の です。
まだ慣れないところもありますけど、がんばりますのでよろしくお願いします。』

『何だ?このチビ?』

『あのさー、此処子供が来るところじゃないの。
分かる?』

『・・・俺たちの世話役?

ウザい。』

『君たちー、そんなこと云っちゃーいけませんよ。
まぁ、こんなヤツらですけど、よろしくた『んだと、このクソガキどもが!!!』

『『『『!!?』』」』

『今成長期なんだから伸びるんだよ!!!
チビチビ、子供子供、うっせーんだよ!!!
猫被って優しくしてるからって調子乗るんじゃねーよ、阿呆!!!』



「2・・・




『シュミレーションあったの?』

『あぁ、だから食事いらねぇー。』

『僕も。』

『俺も。』

『お疲れ。
シーツ引いてたし、御風呂もちゃんと入れてるから。』

どっか行くの?』

『うん、おっさんに呼ばれてさー。
あー、めんどくさい。』

『ま、がんばれよー。』





『今何時?』

『夜中の2時だ。』

『僕腹減ったんだけど。』

『食堂あるだろ?』

『開いてるワケねーだろ。
今何時と思ってんだよ。』

『ねぇ・・・。』

『『?』』

【御腹すいたらレンジで暖めて食べてね。未来の歌姫  より】



ゴォォォォォォォォ・・・・





『お前さ俺たちが怖くねぇのか?』

『は?』

『俺たち、薬で人体強化されてるんだ。
化物なんだよ・・・。』

『だから何よ。
そんなんで化物とか云ったらみーんな化物じゃない。
どうみたって、普通の何処にでもいる人間じゃない。
薬とかで強化されて化物だなんて、思わないよ。』

『・・・お、お前にそんなん云われたくねぇよ!!!
ヴァーカ!!!歌下手なんだよ!!!』

『んなっ!!!?』

『音痴、音痴、ヴァーカ!!!』

『な、なんですってクロトー!!!
未来の歌姫を侮辱するなんて許さないわよ!!!』


ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・




『御腹すいたし、食堂行こうよ。』

『・・・イイのかよ?
本当に俺たちと行って。他のヤツらに何か云われるぞ。』

『・・・たとえね、アンタたちが薬を使った強化人間でも
世界中のヤツらがアンタたちを化物だって云っても
関係ないの。私には、関係ないのよ。


さ、行こう。』


ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・




『オルガー、クロトー、シャニー、


大好きだよー。』





「俺・・・生きててよかった。
に逢えてよかった・・・。」

「・・・そぅだね。」

「・・・ッ・・・・・・・・・・・・ っ・・・・・ 3―――――――――――











































数十分後、私は無事、地球に辿り着けた。
空はまだあちこちまだキラキラ輝いている。
あの中には、もぅ彼らはいない。
いくら通信ボタンを押しても、拒否反応すらしない。
さっきまで、拒否反応してたのに・・・。
さっきまで、話して・・・生きて、たのに・・・。



「あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。」

額が砂だらけになっても、その姿が馬鹿みたいでも、何度も地に唸り、何度も涙を流した。
胸が容赦なく潰れた。
身が引き裂かれた。



ザ、ザザーーーー・・・ン


『テ、・・・ザザーーー・・・スト・・・
マイ・・・ザザーーーー・・・。』

波音と一緒に流れる雑音。
これは一体。



「・・・な、何?」


『マイ、テス、と・・・。

マイクテスト、マイク・・・ト。』

「オル、ガ・・・?」

私が乗ってきた脱出ポッドからオルガの声が流れてきた。

まさか、生きて、た?

顔がぐしゃぐしゃになっても、服が肌蹴ていても私は
一目散にポッドのスピーカーへ駆け込んだ。



「オルガ、オルガ!!!
よかった、生きてた『あー、あー。ねぇ、コレちゃんと録音できてんの?
滅殺!!!撃滅!!!瞬殺!!!』


クロ、ト・・・?


『五月蝿ぇぞ、クロト!!!
集中できねぇーじゃねぇか!!!』

『お前らウザい。』


シャ、ニ・・・?


『『ウザいのはお前だ!!!』』

いつもの会話。
そう、これは録音機だったのだ。


やはり、3人は、死んだのだ。

身体の力が抜けまた涙が目の奥からとどめもなく溢れ出てきた。
それでも、録音機は止まることがなく、流れていっている。
訊きたくない。
もぅ、厭だ。
どうせ、また独りにされるんでしょ?
怖くなった私は手を耳に押し付けた。



『それより、早く云おうよ。』

『だね。』

首を振った。
何度も何度も振った。




『じゃぁ、僕が云うねー!!!

オーイ、 誕生日おめでとう!!!』






・・・今日、私・・・誕生日・・・っ?






『今年でえーっと・・・15?14?』

『お前馬鹿じゃねーの!!?
18だ、18。』

『えぇーーー!!?そんなに歳行ってたワケ!!?』

『信じられないけど、本当みたい。』



馬鹿じゃない、アンタたち。
私・・・自分の誕生日今日だってことすっかり忘れてたよ。




『オイ、早くしねぇーと、オッサン来るぞ。』

『あー、何かこーゆーのマジ恥ずかしいんだけど・・・。
ま、おめでとな。
、お前今笑ってるだろ!!?笑うなよ、クソ!!!』

オルガが照れてる。
照れるオルガって可愛いもんだ。
へへっと自然に笑みが零れる。
数時間前までは、この中に私もいた。
クロトとシャニが笑ってって、オルガがうるせーって2人を殴ってた。



『あのさ、・・・オッサンの御仕置き受けてるときにまさか助けに
来てくれるなんて・・・思わなかった・・・。
俺たち、狂って、何するかわかんないのに・・・
そのせいでお前オッサンに御仕置きされてたのに・・・』



嘘・・・何で・・・

何で、アンタたちがそれを知ってんの?






『今お前、「何で知ってんの?」っと思っただろ?』

『僕たちをあんまり甘くみないでよね。』

『はっ、クロトだけ気づくの遅かったクセに。』

『バ、バラすなよ!!!』

『最初知ったときは、何でコイツ馬鹿みてぇなことしてんだろと思ったぜ。
俺たち助けても、何にも得も、利益もねぇのに・・・。

なんで、俺たちを助けようとするんだって理解できなかった。』











あれは、そう私がたまたまアズラエルに用事があってヤツに逢いに行っていたときだった。
アズラエルが何かを見下ろしていたので、何かと思って見たら、そこには、
薬がきれて、苦痛に悶えている3人の姿。
無意識のうちに私はアズラエルに吼えていた。



「アズラエル様!!!」

「あぁ、 さん。
どうかしたんですか?」

それでもすましているアズラエルに私は更に怒りを増し、
ヤツに食ってかかった。
けれど、ヤツのすまし顔とイヤミったらしい笑みは変化することはなかった。



「なんてことするんですか!!!
早く彼らに薬を与えてください!!!」

「何云ってんの?
今、御仕置き中なんですよ。
本当に、アレだけやっておいて全然役に立ちゃぁしない。

あの化物どもが。」



バチーン




気づいたら、私はアズラエルをぶっていた。
アズラエルは何が起こったか瞬時で理解はできなかったようだった。
周りにいた軍人たちは、どう対処していいか分からずオロオロしていたのを覚えている。

それでも、私の怒りは収まることはなく、ブルーコスモスの盟主の胸倉を掴んでまた吼えた。



「フザケンナよ、この野朗!!!
アンタ、人間として今何してるかわかってるのかよ!!?」

「えぇ、御仕置きですよ。
悪い子は御仕置きってよく云うじゃない?」

しかし、ヤツには罪の意識はなかった。
私はまた、吼えた。




「何?そんなにアイツら助けたいの?」

「当たり前でしょ!!!」

「それで、御金も名声も、何も貴女にとって得になるものなんて、ありゃしないのに?」

「そんなクソみたいなものほしくも貰いたくもないわ!!!」

アズラエルの吐く言葉に耐え切れず、私はアズラエルの趣味の悪いスーツから手を離した。
こんな最低なヤツにアイツらを苦しめる権利なんてあるの!!?
怒りを通り越して、涙が出てきた。



「そう。
じゃあ、アイツら助けるために・・・

さんが変わりに御仕置き受けることになりますけど、いいんですか?」

他人のためなら自己犠牲になっても構わないんでしょ?
アズラエルは私を馬鹿にしたように嘲笑った。
可哀相な人。
ヌクヌク育ったおぼっちゃまには、そういうの、知らないのね。
私の心は変わらない。

オルガ、クロト、シャニ、アイツ等を助けたい。




「えぇ。」

「じゃあ、それが例え・・・――――――――








目が霞んできやがった。

もぅ、何時間薬を与えてもらってないか覚えがない。
しかし、痛みはそれを知らないようにどんどん湧いてくる。
クロトにしては、仰向けになって苦痛を味わっており
シャニにしては、座って自分を犯し続ける痛みに耐え忍んでいた。

クソっ!!!
いつになったら薬がもらえるんだ!!!

3人の頭の中には「薬」という単語と脳と身体全身で薬を欲していた。





ドンドンドンドン


誰かがドアを思い切り叩いていた。
研究員にしては、おかしい行動だ。

苦しまぎれにふいにドアを見上げた。
思い切り登場してきたのは、この光景を一番見られたくない、 であった。







「オルガ、クロト、シャニ!!!」


「ハァ ハァ・・・何でテメェーがいるんだ!!!?
アァァァァアアア!!!?」

「薬貰ってきたの。
もぅ、大丈夫だよ。」

が薬を出す行動があの胸糞悪い研究員と重なった。



化物
気味が悪い
人間じゃない
役立たず
薬物強化人間
同情の眼差し
畏怖を思わせる視線


ぼ く た ち は 人 間 じ ゃ な い の で す か




「出て行け!!!
テメェーには何も関係ねぇだろーが!!!!
怖いんだろーが!!!
僕たちが!!!」

「同情なんてまっぴらだ!!!
ウゼぇからさっさと出て行きやがれ!!!」

「うざっっっいぃぃぃぃぃーーーーーーー!!!!
うざい、うざ、いっっぃぃぃーーー!!!」

俺たちは苦痛の中叫んだ。
今思えば、怖かったんだと思う。いや、怖かったんだ。
こんな俺たちでも、傍にいてくれて、笑ってくれる がいて。
嫌われたくない。
ずっと傍にいてほしい。
アイツらと同じ目になって、離れてほしくなかった。
だから、知られたくなかったんだ。



すると自分の身体が何か温かいものに包まれた。
ふと、目を開けると、 に抱きしめられ、 は泣いていた。
そして、馬鹿みたいに、必死で云った。

「ごめ、・・・ごめん・・・ごめんね。」












『薬切れで、自分の意思とは関係なくて罵倒もした、殴ったし、叩いたし、投げ飛ばしたし、
首も絞めたし、強姦までしそうになった・・・。

でも、 は何も云わずに抱きしめてくれた。
笑顔で俺たちに「おかえり」って云ってくれた。
嬉しかった・・・。

すごく嬉しかった。』

違う。私は何もできなかった。
薬で苦しんでいるアンタたちを
私の身体をアイツに売ってでしか、薬からの苦痛を取り除けなかった。
なのに、どうしてお礼なんか云うのよ!!!
いつも私ばかりが救われてばかりで、
一度も私は・・・アンタたちに何もしてやれなかったのに!!!
卑怯な人間なのに!!!



『最初よ、お前が来てメンドクセーって思ったけどよ・・・。
お前に逢えて、面白かったぜ。ありがとな。』


どうして・・・。


『お前は生きろ。俺たちの分までな。
歌手になんのが夢なんだろ?
今までよ、散々下手とか音痴とか云って、アレ嘘だからな。』


どうして・・・。


『お前の歌、中々なんだぜ。
僕たちが死んだからって、後追わないでよね。
そーゆーの困るからさ。
せめて本物の歌手になれよな。』


どうして・・・っっ!!!


『死んでも、ずっと のこと見てるから。
傍にいるから。』


アンタたちはこんなに優しいの!!?



『あーーーーー!!!』

『んだよ、クロト、でけぇ声出すな!!!』

『プレゼントの説明してなかった!!!』

『あっ・・・。』

『げっ・・・ヤッベ、忘れてた!!!』

『脱出ポッドの中のバーあるじゃん?
アレひねって。』

シャニの云われたレバーは意外にも簡単に見つかった。
そして、レバーをひねった。
そこには・・・


「これ、は・・・?」



純白の白いドレス





『これ、俺らが選んだドレス。
もしよかったら歌手になったときの衣装で使って。』

『フリフリのドレスなんか着るなよな!!
ぜってぇー似合わねぇーからよ!!!』

『これどうしたかって?
オッサンにゃぁ、内緒だぜ。
3人で小遣い出し合って買ったんだよ。』

『それに、パーティーしたときの写真も。』

『げっ、いつこんなの撮ったんだよ!!!』

『お前は、酒に酔ってって覚えてねーんじゃねーか?』

『僕がいつ酔ったっていうんだよ!!?』

心が痛くて温かかった。
何故、こんなに優しいアンタたちが死ななきゃならないの?
神様がいるなら尋ねてみたいよ。

写真には、本当に幸せそうな3人の姿。
何故、この小さな幸せは消えるのですか?



『“オルガ・ザブナック、クロト・ブエル、シャニ・アンドラス
15分後にシュミレーションを行います。
直ちに用意してください。繰り返します。”』

『ちっ。』

『あー、うざー。』

『まだ云ってないことあるし、それ云っとこうよ。』

『だな。』






『『『幸せになれよ。』』』


ブツッッゥゥ――――――






「あた、しは・・・何にも・・・何にもして、
あげられなかった・・・っ!!!」


私は短気で馬鹿でそして我儘で本当に役に立たない。
いつも、アンタたちに助けて、支えてもらってきた。
それなのに、私ったら、「ありがとう」の一つもアンタたちに云えなかった。


「なんで、アンタたち・・・
アンタたちだって・・・幸、せ・・・なっ・・・っ!!!」


私なんて、幸せになる資格ない。
私が今生きているのだって、アンタたち3人の命を犠牲にしたから生きているようなもの。
私は、アンタたちに幸せになってもらいたかったのに。


「オルガ・・・・クロ、トォォ・・・シャ・・ニィィィ・・・。」

瞳を閉じて想うのはアンタたちのことばかり。
どうして、死んじゃったのよ。
どうして、私を置いていったのよ。



「うぅぅあぁぁぁあ・・・っく・・・ひっ・・・

あぁぁぁぁぁぁぁ・・・っつ・・・。」



「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

















そして戦争停止から4年後



「すごい人だなー。」

キラはきょろきょろと辺りを見渡していた。
たしか、このドームはだいたい10万人は入るぐらいなのに
見渡す限り人、人、人だ。


戦争停止からもぅ4年が経過した。
コーディネーターとナチュラルとの間にはもはや亀裂はなくなり、
どちらも協力し共存している。
A.Aをはじめ、クサナギ、エターナル、ザフト軍は、戦後の復興を主にしている。
4年という大きな月日が経っても、まだ終わらない。
しかし、少なくともキラはそれがとても生きがいになっていた。

幸せそうな人々の顔
そして、自分の傍には大切な人々



「なぁ、キラ。」

「ん?何?」

「アスランのヤツ寝坊しやがって30分も待たせたんだぞ。」

「だから、それは悪いって云ってるだろ!!!
もー、いいだろう、カガリ!!!」

「レディーを待たせるなんてどうかと思うぞ。」

「レディーならもっとおしとやかにしろよな。」

「何だと、この野

「しぃー、そろそろ始まるよ。」

アスランとカガリの痴話喧嘩を遮ってキラは口を挟む。
グッドタイミング。
ステージにはラクスが登場していた。
観客がラクスの登場に黄色い声を上げた。

中央まで来たラクスは、ペコりと御辞儀をして、マイクのスイッチを入れた。



「皆さん、こんにちわ。ラクス・クラインです。
今日は、来ていただき本当にありがとうございました。」

「戦争が終結してちょうど3年が経ちました。
私たちは、傷つき、傷つけあい、奪い、奪い合い・・・
例え、正当防衛であったとしても
沢山の命を失いました。」

「もぅ二度とこのような悲しいことを私たちは起こしてはなりません。」

ラクスの言葉に皆相槌を打つ。
この戦争で人々はこのような戦争を起こしてはならないと気づいたのであった。
遅い気づきであったが、それは人類にとって大きな一歩だと思うと
ラクスは云った。その言葉にキラは深く相槌を打った。



「今日のフォーエバー・ピースで素敵なゲストがいらっしゃってくださいました。
皆さんも知っている、今、注目を浴びている・・・




軋轢(アツレキ)カタルシス“ ”さんです。」




「皆さんこんにちわ、 です。」

ドームの中に更に黄色い声が上がった。
デビューから2年、 は独自のセンスを生かし歌手として大きな注目を浴びた。
そして今にいたっては、ラクスと並ぶ世界の歌姫に抜粋される歌力と認められた。

そう、 は、夢を実現させたのだ。




「今日は、このような歴史的イベントにゲストとして呼んでいただき
本当にありがとうございました。
本日は、友人のキラ、アスラン、カガリ、ディアッカ、ミリィ、そして・・・




夫のイザークと三つ子の息子たちもかけつけてくれました。」

視線を落とすとそこには、自分の愛する夫と3つ子の息子たち。
照れながらも、がんばれよと笑む夫を見て手を軽く振り、私はマイクの力いっぱい持った。



「ラクスが云った通り、私たちは多くのものを奪い、そして失いました。
それで、平和になるという言葉を信じて。
真の平和とは何でしょうか?
愛する人が傍にいない世を誰が平和だと、云うでしょうか?
私は、愛する人たちと共に生きることが少なくとも平和だと思います。」


「これは、私の大切な人へ贈る歌です。
訊いてください。“Please my prayers were heard,go to you ”」






オルガ、クロト、シャニ、見てる?訊いてる?


私、生きるよ。

アンタたちの分まで精一杯。

私、歌うよ。

アンタたちのいるところまで歌が届くように。






拝啓

オルガ・ザブナック
クロト・ブエル
シャニ・アンドラス

心より永遠の幸せと安らぎを込めて追悼夢とさせていただきます。
あなたたちに逢えて私は幸せでした。大好きです。
ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
来世、生まれるときはどうか、誰よりも幸せになってください。

敬具 雨風 慎粋


コメント

この作品を見て、
この3年の間ヒロインは何が起こったわけ?
どうやって歌手になったわけ?
どうしてイザ様とくっついたわけ?
様々な疑問が生まれると思います。
いちをその番外編も書く予定です。
もしよろしければ御賞味ください。
軋轢(アツレキ)カタルシス=不和の浄化
Please my prayers were heard,go to you=どうか私の祈りが届いてほしい、あなたのところへ