「けどよ、ヤマトナデシコになるにゃぁ
どーすりゃイイんだ?」
男勝りで無鉄砲で単純で馬鹿で短気で
喧嘩っぱやくて下品で涙もろくてダチにはごっつ人情厚くて
そして・・・
一途すぎる程の俺の幼馴染
ヤマトナデシコ育成記
雀の囀(サエズ)りと共に朝日が障子の紙越しに淡い光を部屋の中の
主を優しく照らしていた。
いつもなら、まで寝ている部屋の主、土方は珍しく起床していた。
「・・・もぉ、朝か。」
自分が起きたときには、バタバタと自分の小姓の鉄之助が廊下を賑わせていて
隊士の声が飛び交い、沖田のささやかな嫌がらせ、
そして が照れくさそうに自分のところへ来る。
そぉいえば、最近全然あいつこねぇな・・・。
の顔を思い浮かべると同時に
昨晩での近藤と沖田とのやりとりを思い出した。
『 土方さんが相手にしないからじゃないんですかー? 』
『 歳、ちゃんと構ってあげないと くんは淋しがるんじゃないのか? 』
『 馬鹿云えってんでぇ。
はんなこと気にするたまじゃねぇーよ。
気にしてたらとっくに終わってらぁ。 』
『 でも、土方さんが遊郭さんとやらしぃことしてるの知ったら
さんどうなるでしょうかねー? 』
注:もぅ知ってます。
『 ・・・俺ぁな――――――
・・・寝るか。
どうせ、まだ早ぇんだ。
土方は昨晩己自身が云ったことを忘れようとするために
再度眠りにつくために瞳を閉じた。
バタバタバタバタ
「・・・」
バタバタバタバタ
「・・・」
バタバタバタバタ
「・・・」
先ほどから廊下をバタバタと豪快に鳴っているのと比例して
土方の怒りのパーセンテージも増えていた。
しかも、そのバタバタ音は段々けたましくなっているではないか。
「・・・五月蝿ぇ。」
バタバタバタバタ
「(ブチ)」
バタバタバタバタ
「五月蝿ぇてんが、判らねぇのか!!!」
怒鳴ると同時に土方は障子に手をかけた。
そこには――――――――
「朝ですぜ、土方さん!!!
今日も、張り切って行こうぜです!!!」
今まで、仕事、私用などが重なって久しぶりに見た 。
相変わらず、元気で明るい。
そぅ、相変わらず。
構ってないから、拗ねていると思ってたが
よかった。
この場に、近藤と沖田がいたらどんな顔をするだろう。
きっと近藤は「すまんすまん」と頭を下げ、
沖田は面白くないと頬を膨らませるだろう。
土方は、 にわからないように微笑した。
「・・・ 。」
「何だ、ですか?」
「
「この馬鹿タレが!!」
云おうとした、ちょうどイイタイミングで
烝の厳しい声とチョップが の頭上に命中した。
「いでっ!!
何すんだよ、烝!!!」
しばかれた後頭部に手を抑え
自分の頭上に立っている烝を睨んだ。
「上司(恋人)にんな無礼な起こし方あるか、阿呆!!!」
「知るかよ!!!じゃぁ、どう起こせっつーんだよ、眉ナシ!!!」
が食ってかかろうとしたときに、
烝が土方の部屋に向かって指を刺した。
その指の先には―――――――
「あ・な・た・お・き・て・ぇ」
「・・・やめねぇか、総司。」
いつもの夫婦劇を送っている
土方と沖田の姿。
「悪ぃ、無理。」
「・・・やろうな。」
即座に は答えた。
あんなの(?)やってみろ、イイ恥さらしにされてしまうのがオチだ。
でも、あの二人を見ると
なんだか、羨ましい。
「せやったら、一緒に添い寝とかどうや?」
添い寝
そいね
そひね
そ・い・ね
「今日、一緒に寝てよろしぃどすか?」
「お情けほしぃどすえ。」
「御背中流すどすえ。」(これは違う)
「借金しかないどす。
あんた、もぅ賭博すんのやめてくだはれ。」(もっと違う)
添い寝ですとーーーーーーーーー!!!!?(///)
「そ、そそそそそそんなこと
で、ででででででできるか!!!!!!(///)」
考え事をしていた に突然爆裂的な発言をした烝。
は、顔を真っ赤にして身を振り乱して不可能を表した。
烝が面白そうにニヤニヤと を見た。
「ほーか?
せやけど、顔にゃ『出来れば是非』って書いとるで。」
「書いてねぇーよ、阿呆!!!(///)」
「 ー、山崎くーん。」
奥の部屋から、永倉の声が と烝の耳に飛び込んだ。
どうやら計画の準備ができたらしい。
「ほら、隊長も呼んどるやろぉが、行くで。」
「おぉー。」
「 。」
「はい?」
「俺に何か用じゃねぇのか?」
土方の部屋を後にしようとしたとき沖田にベッタリと抱きつかれている
土方に声をかけられた。
用事は特にないんだけどよ・・・
何だよ、云わなきゃいけねぇのか?????
・・・言い訳を言うとなれば・・・
その抱きつき具合なんかやらしぃっすよ。
なんて云えるワケがねぇーし・・・
ってか云いたくねぇーし。
ど、どどどどど、どうしよっかねぇ・・・
「・・・え、と・・・あの、・・・。」
どもっている(言い訳を悩んでいる) を見て
沖田は、何か閃いたようで、ニヤリと笑い
土方の寝巻きの裾を引っ張った。
「あ?んだ、総司?」
「 “浮気しちゃったら私も浮気しちゃうー。”
でしょ? さん?」
間
「・・・そーーーーーおーーーーーーー
「キャーーーーーーー!!!!」
後は日常茶飯事の土方と沖田の鬼ごっこが始まりましたとさ。
今日も屯所は大賑わい。
「やっぱまずは、口調からだよねぇー。」
「最初は化粧とか礼儀作法とかじゃねぇのか?」
「阿呆。見た目よくても、口悪ぃとあかんやろ。
雰囲気ブチ壊しやで。」
「でもよぉ、この口調ガキん頃からだぜ?
どぅ、直しゃぁいいんだよ。」
「まず俺が云うの真似してよ。」
「おう。」
「『おはようございます、歳はん。
今日も私を可愛がってくれやす。』さんはい!」
「・・・お、おおお・・・はよ・・・
云えるか、んな遊郭語!!!!!!!(///)
し、しししししかもよ!!!!
か、かかかあっかかかか・・・・
「可愛がるがどうかしたんや?」
「性行為してくださいって云ってんじゃねーかよ!!!!(///)」
「え?いけないの?」
「早ぇーんだよ、隊長!!!(///)」
「我儘だなぁ、 ちゃんは。」
「平助隊長、クナイと手裏剣どっちがほしいですか?」
「新八ー、日常会話からやってみようかー。」
「俺、平助、山崎クンの順番で行くからさ、
は俺たちが云う真似してね。」
「うーっす。」
バシっ
「そないな口調あかんやろぉが!!!
女子なら、「はい。」やろうが!!!」
「んだと、この眉ナシ!!!
偉そうに命令すんじゃねー!!!」
「なんやと、この性別サバ読み野朗が!!!」
暗転
「おはようございます。」
「・・・あー、おはようございまっす。」
「今日も天気がよろしいどすなぁ。」
「・・・今日も天気イイ・・・どっすな・・・ぁ?」
「・・・この簪可愛えぇやん。」
「このクナイよく斬れそう(ウットリ)」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
真似っちゃー真似だが、何処か違う(特に最後はかなり違う)
その何とも云えない沈黙を破ったのは、烝だった。
「全然ちゃうやろうが!!!」
「だって、簪なんて役に立たねぇもん。」
「文句ぬかす暇あったらちゃんと隊長等の真似せぃっ!!!
せっかくの非番に失礼やろうが!!!」
「別に気にしてないよ。」
「そうそう。昨日、島原行ったしね。
今日は休養ってことで。」
そういって、永倉は団子に手を伸ばして食べた。
つられて藤堂も団子に手を伸ばした。
少し疑問に満ちた表情で は声を出した。
「よぉ、隊長。
何で休養しねぇーといけねぇんだ?」
「 は、まだまだおこちゃまだから知らなくてイイんだよ。」
「そうそう。」
「えー、なんだよ。それー!!!」
(お前散々普通にぬかしとるくせに)
「さ、続き続きやろーか。」
永倉+藤堂+烝が1時間稽古をつけても
の口調は全く変わっていない。
流石の永倉と藤堂も参った。
「やっぱ上手くいかないねー。」
「元がアレですから。」
「アレって云うな、この眉ナシ毒舌野朗!!!」
シレっと云う烝に対し、 がまた食ってかかった。
後はいつものように、口喧嘩。
その中で、永倉と藤堂は新たなる作戦を構想していた。
「やっぱさー、男の俺たちより、女に見てもらった方がよくね?」
「あ、それ賛成。たまには、イイ事云うじゃん、平助。」
「そりゃねぇぜ、新八っつぁん。
で、誰に頼むかだよな、問題は・・・。」
「お困りのようだね。」
間
「「さ、ささささ・・・山南さん!!!?」」
「やぁ。」
いつの間に現れたのか、新撰組副長 山南 敬介登場。
は、山南と話したり、子供に混ざって一緒に遊んだり、
酒を飲み交わしたこともある。
つまり結構仲がイイのである。
「山南」という名前を訊いてすぐにそっちへ向かった。
「山南さん!ちぃーっす!!」
「やぁ、 。
今日も元気だね。」
「あったりまえですよ!!!
俺が風邪なんて引くときは、日本が滅ぶときだけだぜ!!!」
「阿呆か。」
「んだと、烝!!!」
「ははは、子供は元気が一番だ。」
その姿を微笑んで見守る山南。
まさに、新撰組での の父親役だ。
その優しさと慈悲深さは、誰に対しても代わらない。
藤堂も永倉もその一部だ。
「で、何をそんなに困っていたんだい?」
「実はですねー――――
「なるほど、要するに を、ヤマトナデシコに教育するということだね。」
「まぁ、簡単に云うと、女らしくなりたい、そういうことです。」
「分かった、此処は私が一肌脱ごう。」
「さ、山南さん。たくましい。」
「ははは、あの くんが女らしくなりたいっていうんだ。
嬉しいことじゃないか。」
初めて に出逢ったときに
山南は、鉄之助の年齢を間違えた程同じ間違いを犯してしまったのだ。
つまり、女を男と間違えたのである。
以前の失態をようやく此処で直すときがきた。
山南さんはちょっと間違えていた。
「やっぱ、俺たちイイ人に出逢えてよかったなー。」
「なぁ。」
永倉と藤堂が安堵の声を上げたと思いきや・・・
「 くん。」
「お?」
「今日、島原へ行こう。」
――――――っということなんだ。」
「なんや、そないなことやったらいつでも
うちに云うてぇな。」
「すまないね、明里。」
「何云うはってん、山南はんとうちの仲やないの。」
「明里。」
「山南はん。」
二人が寄せ合って唇を重ねようとしたそのとき
ゴホンという現実からの音が響き渡った。
そうだ、今日は連れがいたんだ。
山南は、頭を掻いた。
「あのー、イイ雰囲気のところ申し訳ないんですが・・・。」
「あぁ、す、すまないね。」
山南のヤマトナデシコ教育計画とはこういうものだった。
:明里にヤマトナデシコたる女子の教育をまかせる。
:一通りの教育が終わったら、此処で実践。
:そして、ヤマトナデシコの完成。
何とも簡単な計画だった。
しかし、男よりこういうのは女にまかせた方がいい。
しかも、美人看板娘の明里に任せたら
ヤマトナデシコなんて一朝一夕でさせてしまうだろう。
「でも本当に山南さん頭イイよなー。」
「やっぱり女は女に任せたほうがいいね。」
「っていっといて、本当は明里さんに逢いたかったからだったりしてー。」
「ははははは、バレちゃぁ、仕方ないねー。」
「何だよ、それー。」
バターーーーン
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁーーーーーー!!!!
もぉ、厭だ!!!!!
こんな重っ苦しくて、くっさいもんつけれるか!!!!」
「小梅はん、 ちゃん止めてぇな!!!」
「はい!!!」
「離せーーーーー!!!!
俺は、こんなもん着たくねーーーーー!!!!」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
4人の安堵は、その一瞬(?)の出来事によって
ことごとく崩れ去っていった。
山南は、これ以上最悪な結末を考えないように云った。
「は、ははははは、子供は元気だなぁ。」
「「元気ですむもんですか!!?」」
3人(正確には2人)が、ギャーギャー云っている中、
烝は席を立ち、隣の部屋にいると思われる襖(フスマ)
の前に立った。
「山崎クン?」
「オイ、 。
せっかくお前のために副長が連れてきてくれはったんやで?
迷惑かけてどないすんや、この阿呆。
ちゃんとその辺わきまぇぇや。」
「・・・。」
「 ?」
「 ちゃんは、ちょいとしろしぃんで
睡眠草かがせて今別室におりやす。」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
おれ・・・おまえすき
くんじゃねーよ、このおとこおんな!!!
おまえみたいなおとこおんなきもちわりぃんだよ!!!
ちかづくな、バーカ!!!
俺だって好きでこんなんに生まれたんじゃない。
たしかにそりゃ、男にしか見えないかもしんねぇーけどよ、
でも、これが俺なんだ。
なんだよ。
俺が
誰かを、誰かを愛しちゃいけねぇのかよ?
「・・・ ちゃん。」
優しい声によって目覚めた の視界には
山南と恋仲の明里だった。
たしか・・・
暴れているとき急に眠くなって・・・
「かんにんなぁ。あそこまで慣れてないななんて思わへんかったから。」
思考しているときに、頭上から明里の声が降ってきた。
目覚めたばかりの額に明里の冷たい手が触れてとても気持ちよかった。
そして、自分がさっきやったことを深く反省した。
「いや、俺こそ、すいません。
暴れちゃって・・・。
ほんと・・・すんません。」
「うふふ。」
「・・・?」
「可愛えぇなぁ。」
「そ、そんな俺可愛くねぇ、ですよ!!!
髪だって散切りだし、
顔だって手入れしてねぇし、
身体は刀傷だらけだし、
言葉汚ねぇし、
礼儀知らねぇし、
色気もねぇし、
胸もねぇし、
綺麗くないし、
それに・・・俺・・・
こんなんだし。」
そういうと は黙った。
此処へ来て自分がどんなに甘いかよくわかった。
礼儀、化粧、簪、着物、口調、色・・・
とても煌びやかで、自分とは正反対の女性。
自分が惨めに見えてしょうがなかった。
「そぅかいな?うちはそんなかんじ思わんよ。」
「え?」
明里の言葉に我が耳を疑った。
それが明里に伝わったのだろうか、
明里は柔らかく微笑んだ。
「可愛えぇいうのは、
こういう着物、化粧、紅、簪、顔、礼儀、もあるかもしれへん。
けどなぁ・・・
好きな男性がおるんやろ?
その人のために必死にやってんその顔。
ものすごく可愛えぇ、女や。」
「・・・」
「 ちゃん?」
「なれるかなぁ・・・?
俺・・・大丈夫か、なぁ?」
明里の優しさが嬉しくて自然に零れた涙。
明里は の頭を撫ぜた。
「大丈夫。うちが ちゃんを立派な女にしたる。
せやから、一歩一歩でえぇ。
がんばろうや。」
「・・・うん。」
ガラ
「「!!?」」
何の前触れもなく、障子が開いた。
そこには、客であろうか、男が一人いた。
そして明里を見て、手を掴んだ。
「こんなとこにおったんだな、明里。
先生が呼んじょるぞ。」
「すまんどすけど、今うちは営業中どす。
時間終わり次第そちらに向かわせていただきやす。」
相手が強情にぐいぐいと明里を引っ張るが
明里は冷静になだめるように云った。
「・・・へー、そうかよ。
なら、その代わりにこの女を貸してもらうぞ。」
明里の態度が気に入らない男は、明里を離し
を舐めるように見て、そして腕を掴んだ。
「 ちゃん!!?」
「な、何す、る・・・ですか!!?」
掴まれた腕は、放されていて気づいたら男の腕の中にいた。
必死に抵抗しても、普段全く着ない着物へのとまどいと
自分を抱いている男は、口調からして長人の可能性がある。
今此処で騒ぎなど起こしてみろ、切腹ではすまされない。
「お、わ、私は・・・今日初めて来たんだ・・・どす!!
離して、ください!!!」
「ほぉ、初めてか、そりゃぁ食べ応えあるな。
安心しな、俺が優しく可愛がっちゃるけぇ。」
拘束を解こうと云った言葉が逆に
初めてと訊いた男は興奮したのだろうか、
の着物に手をかけ、手を忍ばせた。
ブチ
「汚ねぇ手で俺に触んじゃねーぞ、このクソッタレが!!!」
「 ちゃん!!?」
がヤマトナデシコになる道は、険しい。
コメント
夢小説更新希望1位に輝きましたヤマトナデシコ育成記。
御愛読いただきましてありがとうございます。
さてさてヒロインはこんな調子で
本当にヤマトナデシコになれるのでしょうか!!?
結構心配かも・・・・(汗)
しかし、山南さんと明里さんのラブラブぷりは書いてて楽しかったです。
きっとこれからも書くでしょう(笑)
ってか、本命の土方さんの出番かなり少なっ