誰だったかな




『誰かのために人は生きる』

って馬鹿みたいな甘い言葉













私はその人に云いたい

























誰かってダレですか?



































『 モクシチャクジャク 』


































「おはよう、 。」

あぁこの人は父上。
いつも笑顔でとても優しくてそして強い人。
今日も寝坊した私を笑顔で迎えてくれた。



「あらあら、こんな朝遅くに起きてから。」

あぁこの人は母上。
小煩いがそれは私のコトを想ってくれるから。
不器用だけど本当に優しい人。



「ごめん。昨日遅くまで書物読んでたの。」

私は、手にもっていた【桜華紅貴伝】(おうかこうきでん)を軽く上に掲げて苦笑した。
父は【桜華紅貴伝】を手にしパラパラと捲った。
【桜華紅貴伝】とは、最近配布された天照やスサノウの命など古代の神々が出演する
古代御伽草子だ。



「こんなもの読む暇あったら腕を磨」

「やっぱり【桜華紅貴伝】は面白いなぁ。」

母が悪態がついている言葉を遮って父は
のんびりと【桜華紅貴伝】を読み始めた。
私は更に同意を求めるように父に縋った。



「あなた!」

「お母さんも見てみなよ。
面白いぞ〜。」

「あなたがそぅだから が修行を怠るのよ!」

「毎日修行してたらつまらんじゃないか。
も遊びたい年頃じゃないか。」

はもぅ16歳よ!
早く一人前の忍になってもらわないといけないのよ!」

「『まだ』16歳じゃないか。
ほら、彼の有名な織田 信長を見習え。」

「イイ加減にしろってんだよ、このクソジジイ(怒)」


「ぷっ」





「あはははははははは!!!!」

目の前で繰り広げられている漫才じみた喧嘩に
私はいつも笑っていた。
この笑いで父は私と共に笑い、母は我に返り
顔を真っ赤にさせていた。








そんな 家は、徳川に遣える忍の一族。

忍は、権力者の影の力。

暗殺、偵察、情報収集など表向きには行動はしない。

闇に紛れて行動するのみ。


忍は、常に危険がともなっている。

怪我、毒、貞操の喪失、そして死。


酷いときには、使えている主に犠牲になったり
死んだり、捨てられたり。



しかし、私たち親子が使えている徳川家は違う。

主はちゃんと忍のコトや家臣のコトを常に考えてくださる心優しき方。
だから、私たちは徳川家のために日本のために使えている。























「私たちがですか!?」

お上は大きく頷いた。
仕事の伝令があって私たちは城に行った。
仕事は大きく、最近幕府にたてつく長州の尊皇攘夷派の
行動を調べるコトだった。



「そなた方親子だからこそ頼むのだ。
やってくれるか?」

「もちろんです。
このような重大な任務を我々に任せてくださいまして
本当にありがたき幸せ。」




















帰り道土手の辺を歩いていた。
日は夕焼けになっており夜の支度をしている。
鴉もカーカーといい森へ翼を広げていた。


「此処までお上に信頼されてるって嬉しいなぁ。」

「これも今までがんばった苦労の甲斐あってね。」

「父上がんばろうね!」

「あぁ。お上が俺たちを信頼してくれてるんだからな。
それに答えられるようにがんばろうな。」


「命も恐れずによ。」

「母上ってばまたそんな武士みたいなコトを・・・。」

「いや、そぅでもないぞ。 。」

「人間はな、やっぱり誰かのために生きたり、死んだりするのがいいぞ。」

「どうして?」

「どうしてって・・・そりゃぁ・・・。」









「自分が生きるコトで、誰かの役にたってるって思えば嬉しいだろう?
俺な、大好きな母上と とお上のために生きてるだけで幸せだぞ。」



「・・・フン、またエゴなコト云っちゃって・・・・。」

「・・・母上顔赤いよ。」

「ははは、エゴでもいいさ。





そぅ考えたら・・・少しは嬉しいだろう?」

そぅ云った父上がキラキラ輝いてて綺麗だった。
私も、そんな誰かのために生きる生き方がしたかった。
例え、悲しいと云われた忍でも。

証明してくれた人たちがいたから。
























しかし、任務遂行の日。

内密にやっていた偵察が長州方にバレるのは

遅くはなかった。













































父上と母上と私は・・・




ヤツらをおびき出す餌にされていたのだ。















主が私たちを犠牲にした

主が私たちを捨てた

主が私たちを裏切った

主が私たちを騙した




「父上!!!!母上!!!!」





そんな時代だということは分かっている




「お願い!!!目を覚まして!!!!」






分かっているけど・・・









「・・・ ・・・。」

「母上!!!!生きて、生きてたのね!!!!」
























「生きて。」

「・・・は、・・・母上?」














あの人だけはそんなコトしないって


信じていたんだ








父上も

母上も



私も






馬鹿みたいに





信じていた














「あ・・・あぁあああぁ・・・―――――――――――























コトの結末は後から来た徳川の軍により

長州人はすべて捕まえた。

幕府軍の圧勝だった。

お上は私だけを褒め、褒美を与えた。


お上の言葉の中に父上と母上は
「いざとなったら使えんヤツら。」っと冒涜の言葉を浴びせられた。













私に、何が残った?

名誉?

名声?


家族を失い

信じていた主君に身体も心も裏切られ
















『生きて』





























生きるって何ですか?


その夜

現実が夢に擦れ換わる瞬間を私は見た






その色は


錆びた匂いの赤色

硬くなった黒色

盛り上がった大地の茶色

名の知らぬ小さく咲く白色








其のときよぅやく私は声を上げて泣いた。
















コメント

「モクシチャクジャク」始まりました!
いやぁ、最初っからヘビーですねぇ。
最初は連載の予定はなかったんですけど、とても中途半端だったので
連載に練り治しました。
ヘビーにそしてたまに明るく行こうと思っております!