身体を這うこの鎖は

私が空へ熱望すると想いと比例して

増え、這い、締め付け

私を“血”という枷で繋ぎ止める

空は青い

その青さに眩暈がしたのを今でも覚えている

逆に

手を伸ばせども

遠くなっていくその楽園に

泣いた私がいたのも覚えている

あの青が遠くなっていくのを無力な私は止められなかった






























籠の鳥が見る夢

























「辰伶。」

「・・・何だ?」

壬生一族一の問題児と云われている に声をかけられた。
しかし、いつもの活気さがなく心なしか暗い。
それにいつも辰伶に話し掛けるときは、喧嘩越しか
背中を叩くなど煩い登場をする。



「相談があるの。外で待ってるから、来てね。
待ってるから。」

「・・・あ、あぁ。」

状態を心配かける言葉を与える暇なく が言葉を続けて外へ出た。
それを、辰伶は応答するだけで の背中を見送った。




・・・。」

「ねぇねぇ、もしかして、コレって告白ですかぁ!!?」

柱からひょこっと現れたのは同じ五曜星が一人の歳子だ。
どうやらさっきの会話を訊かれていたらしい。



「なっ、歳子貴様いつの間に!!?」

「ほぅ、あのような娘が趣味だったのだな。」

更に柱から現れたのは、同じ五曜星が一人の歳世だ。
しかも、ものすごい怒気が周囲を覆っており
いつもより怖かった。



「さ、歳世!!?
ち、違う!!!断じて違う!!!」

「見た目は、固いどすけど・・・
中々隅におけまへんなー!!!」

「まぁ、仲がイイことはイイことだ。」

「やっぱ、皆もそう思いますかぁー!!?」

「うん。っていうか趣味悪いよね。
よりにもよってコイツなんて。」

「螢惑はんそんな酷いコト云ったらアカンどす。
世界は、愛どす。愛。」

「ま、ちゃんとすべきことやってからやってよね。」




「お前ら、ちゃんと持ち場につけぇーーーーーーー!!!!!」

好き勝手に仲間から云われて、辰伶はブチキレた。























辰伶は、力任せに扉を閉めた。
外に出た瞬間、優しい風が辰伶を撫ぜた。

季節は春。
暖かく、花の香りを風は運ぶ。
棘っていた辰伶もこれによって、突っ張っていた顔が緩む。
その先には、 の姿があった。



「相談とは、何だ?
仕事があるんだ、急げ。」

「あのね、ずっと悩んでたことがあったの。
それを考えると夜も寝られなくて・・・。」

声もたじたじで元気がなかった。
ますます心配になってきた。



「そんな深刻な悩み、俺が訊いてもイイのか?」

「うん、辰伶じゃないと駄目なの。」

「なっ・・・。」

「辰伶じゃないと駄目なの。」という言葉を訊いて
辰伶の心臓は大きく高鳴った。
このようなコトを云われると、歳子が云ったような結果なのだろうか。
無意識のうちに辰伶の声はどもる。

「そ、それは・・・、その・・・こ




「あのね、吹雪様の髪カツラだと思わない?」

「!!?」

「ねぇ、思う?思わない?
私本当に悩んでるの!!
だってあのブロッコリー森林は絶対カツ

「この・・・

「ん?」




「無礼者がーーーーーーーーーーーー!!!!!」

辰伶は、壬生中に響くぐらいの声を張り上げた。








「な、何よ。
いきなり?」

いきなり辰伶が逆(?)ギレして、 は意味不明だった。



「吹雪様の悪口を云うでない!!」

「えー、悪口じゃないよー。
思ったコトを云っただけだもん。」

「それが無礼だと云うのだ!!!
もっと上の方々を敬うコトができんのかお前は!!!」

「チャランポランでうつけなんでできませーん。」

反省の色一つもない を見て、怒っても無駄だと思った辰伶は
を背にし建物の中へ入って仕事をしようと足を進めた。
もちろん、説教に近いイヤミ(?)も込めながら。



「・・・全く、悩みがあるというのだから心配して来てやったものがこれだ!!
そんな人を馬鹿にするようなコトを考える暇が
あったら少しでも修行を積ん



キィィ・・・ン

刹那遅かったら辰伶は によって斬られていただろう。
戦いなれた身体は、反射的に刀を受け止めていた。
チャランポランでうつけな だが、意外にそこそこの実力は持っている。
その実力は、五曜星と同格だとか。

ガチガチと刃から独特な音が鳴る。
刃の先から楽しそうに笑む の表情が見えた。



「何のつもりだ?」

「修行積めって云ったの辰伶でしょ?
付き合ってよ、相手してくれる人いないし。」

「フッ、よかろう。
日々怠っているお前を反省させるイイ機会だ。」

全身の力を込め倒そうとする を読んで、
辰伶はスっと瞬間的に後ろへ戻り に応えるように構えた。


「やってみなさいよ。
ひねり潰してあげるわ。」

そういうと は辰伶に飛び掛った。




























数時間後、全身傷だらけの二人は仰向けになり荒い息が空間を支配した。
疲労と怪我で起き上がる力はすでになかった。



「ハァ ハァ ハァ・・・
汚いぞ、 ・・・ハァ ハァ。」

「ハァ ハァ 喧嘩に・・・汚いもクソも、ないわよ。」

「あそこで・・・蹴り、を・・・ハァ ハァ
入れる、馬鹿が何処にいる・・・。」

「ハァ ハァ それなら、辰伶のあの水の龍も・・・
汚い、じゃない・・・。」

「お前こそ・・・あの技を、使い・・・おって・・・。」

「何よ・・・。」

「何だ・・・。」

二人は顔を見合わせた。
そのときに、ふと、上を見上げた。

そこには、視界いっぱいの青い空。
自然と二人の口は止まった。
そして、目の前に広がる空を見入っていた。



「辰伶・・・空はどうして流れるんだろうね。」

「そんなこと、私が知ったことか。」

「空はどうして綺麗なんだろうね。」

「それは・・・。」

「空はどうして青いんだろうね。」

辰伶に向けられた言葉なのにどうも会話が噛み合っていない。
先ほどの戦いで何処かぶつけたのだろうか。



「・・・大丈夫か?打ち所が悪


「空は、自由なのに
どうして誰もつかめないんだろうね。」


・・・。」

「どうして、私たちは・・・自ら自分で選んだものさえ
掴めないんだろうね。」

その言葉で蘇る辰伶の幼い日の感情。
雲と空は違うが
求めているのは二人とも同じ。


雲のようになりたい
形にとらわれず
色にとらわれず
何者にも縛られず生きることに


しかし、それは、今の辰伶にとっては
汚物そのもの。
がその汚物を云うことに対して
辰伶の心の中に激しい怒りが込み上げてきた。




「云うな・・・。」


「どうして、私たちは


「コレ以上云うな!!!!!」

辰伶は蘇る幼き日の夢を潰すように
叫んだ。

夢を抱いては駄目なんだ。
忘れてしまわなければならないのだ。

オレは、壬生一族のために
壬生一族を守るために
生まれてきたのだから。


一つの風が、吹いた。



「・・・辰伶。


・・・私、忘れられないの。
あの青の綺麗さが。
あの雄大な自由さが。
眩暈が起こるような、あの空が。」



「辰伶、私・・・“外”に出たい。」

「・・・駄目だ・・・。」

「辰伶、私・・・生きたいの。
あの空で。」

「お前は、壬生一族。

吹雪様の娘だ。」

辰伶は、千切れない鎖で を縛った。
は、壬生一族で太四老の長、吹雪の娘。

千切れない鎖。
それは、血。
いくら、“外”の人間のように振舞えど、一族とは無関係のように
振舞えど、いくら、“外”に憧れようど、千切れない。


所詮夢は幻想。
“外”の人間は夢を抱け、夢を掴むコトはできるかもしれない。
しかし、辰伶と が住んでいるのは、壬生一族という
何もかもが“神”によって定まっている籠の中。

の瞳の奥から熱いものがこみ上げ頬を濡らした。



「辰伶・・・私・・・もぅ厭なの・・・。
もぅ、誰も殺したくないの。
誰とも戦いたくないの。
もぅ、誰も・・・傷つけたくないの。」



バっ



瞬間的に何が起こったかわからなかった。
しかし、見ると辰伶の腕の中に自分がいた。



「辰

「お前がもぅ誰も殺したくないのなら
お前の代わりにオレが殺すから

お前がもぅ誰とも戦いたくないのなら
お前の代わりにオレが戦うから

お前が誰も傷つけたくないのなら
お前の代わりにその痛みを受けるから

お前が、傷つかないように
もう誰かを殺めて苦しまないように
私がお前を守るから。


だから、頼むから泣くな。」

胸の中に抱かれているから、辰伶の表情は分からなかった。
言葉通りになれば、 の代わりに辰伶は
2倍、いや何倍もの痛みや苦しみを味わうに違いない。
こみ上げる勇気が言葉に変わった。



「でも、そうなったら
辰伶が私の分、いやもっと苦しむコトになるんだよ!!?
そんなの厭だよ!!!私だけ、楽になんてなりたくない!!!」


殺したくない。
戦いたくない。
傷つけたくない。
苦しめたくない。
傷つきたくない。
苦しみたくない。

しかし、辰伶もそうなってほしくない。



これでは、只の我儘にすぎない。
こんなエゴが通るワケがない。

わかっている。
それは、痛い程分かっている。

でも、 には壬生一族を“否定”するしか
このように耳を塞ぎ、拒むことしかできなかった。


こんな無力で我儘しか云えない自分がすごく厭だ。
喚くことしかできず、反発することしかできず・・・
本当にそこから一歩も動けず座り込んだままで・・・

そう思うと涙がまた零れ落ちた。




は、優しいな。」

頭上から、辰伶の声が降り注いだ。
いつものように怒気を含んだ声ではなく、
暖かく包むような優しい声。



「辰伶・・・。」

「俺は、大丈夫だ。
大丈夫だから。」

気のせいか辰伶の声は、震えていた。
それでも、大丈夫だなんて云う彼の声が何処かとても儚くて、優しくて
涙がとどめもなく流れ続けた。










鳥たちは、もがくしか術を知らない。

大丈夫だなんて、いっちょまえに鳴くけれども

本当は、泣きたくて仕方がないんだ

いつか誰かが

籠から出してくれて

あの空へ飛び立つことをいつも夢を見ている














コメント

ギャグ(?)だったんですが、見事なシリアスモードに入っちゃいました。
っというか、構成めちゃくちゃ。
何が云いたいのやらさっぱりです。
本当に意味不明ですみません。
吹雪様ファンの方々本当に申し訳ありません。
コレを見て「てめぇ、雨風死ねや。」っと思ったら本当にすみません。
苦情は、24時間営業なのでいつでもください。
辰伶の純粋無垢なところが大好きです。
相談ということで、歳子が云った「告白」と思ってましたし(笑)
可愛い、ヤツです。ハイ(ポッ)