この世はどうせ 弱肉強食


強いものが生き 弱いものが死ぬ


いくらあがいても
それをねじまげることはできない











生きたければ、強くなるしかない








そう、例え・・・人間をやめることになったとしても




























『 W I N G 』



























宵はとっくにすぎ月は空高く上っていた。


「・・・ふぅ〜。」

此処は帝国軍「インセクトピア」の城の裏門である。

そこには、長いマントを着て、顔を見られないように深くフードを被っていた男がいた。
男は、辺りを注意深く凝視していた。
それは、見るからに怪しかった。
そして、誰もいないことを確認すると音を立てないように裏門を閉めた。





「どこに行ってたんだ?」

「ぬおっ!?」

いきなり声をかけられたので、フードの男は肩をビクっとさせた。
ちゃんと確認したのに、男からは死角になっていたところに、もう一人の男がいたのだ。

名を渋沢 克郎と言う。帝国軍「インセクトピア」の将軍でもあった。




「こんな遅くまでどこをほっつき歩いていたんだ?
 風祭や水野が心配していたぞ。」

渋沢は、フードの男を困ったようにため息をついた。
今は皆寝静まっているので、そこまで大声で話さなかった。



「お〜、そら悪いことしたわ。」

フード越しに男はニカっと笑った。
反省しているのかよくその笑みからは分からなかった。




「あんまり心配させることはするなよ。」

渋沢は、フードの男が気まぐれさをよく知っているためこれ以上は言わなかった。



「ダンナ、俺城下町に行っとったんや。
 今ちょ〜ど、酒場にごっつええ姉ちゃんおってな〜。今度ダンナもどうや?」

フードの男は、ニカっと笑い小指を立てた。




「いや、遠慮させてもらう。」

渋沢は、フードの男につられ手を振りながら笑った。




「そら、残念やわ。ダンナ好みの姉ちゃんもいはるのに。」

残念そうにフードの男は言った。



「戦乱の世だ。民が苦しんでるのに、俺だけが楽しいことをしてもどうも乗らない。」

フードの男から視線をそらして渋沢は空高く浮かんでいる月を見上げた。




「藤村・・・。」

渋沢は視線を月から離さずポツリとフードの男の名を呼んだ。
紹介が遅れたがフードの男の名前を、藤村 成樹という。
城内や城下町からは「シゲ」という愛称で呼ばれている。

















「何や?」

「月は変わらないのにどうして俺達人間は変わるのだろうな。」
























月は毎日変わらず 夜の闇を照らす


人間は毎日変わる いつ敵 味方になるかさえ分からないほどに



















「いつになったら『平和』という当たり前の日々が来るのだろうか。」

「この戦乱の世を終わらすしかないんやろ?
そんなん当たり前やろ、ちっこいガキでも知っとるがな。」






「ずっと思ってるんだが、どうやったらこの戦乱の世を終わらす?
 戦って戦って傷ついて傷ついて・・・結局、一度でも『平和』をつかんだことはあったか?
 結局何もかも振り出しじゃないか。」

月からようやく視線をそらせた渋沢が、シゲに移った。





シゲは歩き出して、渋沢とすれ違ったときにこう言った。

「ダンナ、どうせこの世は弱肉強食なんや。
 そんな甘ったれ言うとると、いつか足元すくわれるで?」




















この世はどうせ 弱肉強食

強いものが生き 弱いものが死ぬ

いくらあがいても
それをねじまげることはできない








生きたければ、強くなるしかない





例え、味方を裏切ることになっても・・・











「かんにんな、ダンナ。俺、まだ死にたくないねん。」

そうポツリというと、シゲは城内へ入って行った。
それは、渋沢の耳には届いていなかった。







シゲがさっきまで行っていたところは、『悪魔軍 デビアドロセイヤ』だったのだ。



















どうせこの世は弱肉強食

強ければ生き 弱ければ死ぬ

これは、所詮この世の「理」

人間の本能的欲望









コメント
天使軍でました〜。
っといってもシゲさんと渋沢さんだけですけど・・・。
すみません、ヒロインの名前でませんでした(涙)
次は、悪魔軍でます。
みかみーんv(注 三上ん中毒者