気づいてよ
君のこと大好きだってこと
『 バスの中での 』
今日は、武蔵野森中等部サッカー部の遠征の帰りの日だ。
2泊3日と長い夏休みでなく平日を利用して行ったので、
普段の部活や学園生活の疲れや遠征での試合や練習で部員は疲れがたまってくたくただ。
次の日には、いつも通りの毎日が待っている。
それを考えるだけで、ウンザリだ。
バスの中は、部員の疲労オーラが漂っていた。
その中で、バスの入り口で一人の女子のけたましい声が響いた。
「はいはい、皆早く座って!点呼とるから!」
けたましい声を張り上げたのは、3年マネージャーの だ。
赤色のジャージを腕までまくりあげ、肩まである黒い髪は一つに括り、全体的に汗を
かき、泥まみれになっている。それに、目の下のクマが一層に堀が深かった。
それもそのはずだ。
朝は4時起床で、遠征のマネージャーと一緒に両監督および両部員の
朝食を作り、シーツの洗濯、練習着の洗濯、タオルの洗濯、休憩時間の
ドリンクを作り、記録、記録整理、毎日が部活内容だ。
就寝は、12時だ。
「藤代くん〜。藤代くんいますか〜?」
「はいはい、いますいます!!!」
バスの中に藤代の元気のよい声が響いた。
周りの部員が一人元気な藤代を見てドっと笑った。
隣りに座っている同級生の笠井 竹巳は左耳を抑えてた。
「誠二・・・頼むからもう少し静かにしてくれない?」
疲労感たっぷりの声を上げながら、竹巳は手を左耳から離した。
疲労感たっぷりの声を上げた竹巳の顔は、めったい見られない
クマもあり、全体的にだるそうだった。
からの点呼の時の返事だって弱弱しい声を上げた。
「ゴメン竹巳。」
今にも泣きそうな子犬の表情をして藤代は竹巳に謝った。
「キャプテン。」
「どうした、笠井?」
笠井は自分の右斜め前に座っている守護神の渋沢に声をかけた。
渋沢は愛する(?)部員に何かあったのかと思い、疲れている中でも
いつも通りの力(何の?)を発揮した。
「僕と席を代わってくれないでしょうか?
誠二が五月蝿そうなんで。」
「竹巳!五月蝿いって何だよ!!」
「本当のことだろ。」
二人の不毛な口論を見て、渋沢はさっき言った
笠井の言い分を納得した。
そして「分かった。」っと自分の席を立った。
「ありがとうございます、キャプテン。」
「いや、俺も寝たかったからな。気にするな。」
笠井は、(眠りを妨げる)藤代から離れてご満足のようだ。
渋沢と笠井はのほほんと会話をしている。
しかし・・・
「・・・バカ代・・・何でてめーが此処にいんだよ(怒)」
「怒らないでくださいよ、ね!仲良くいきましょーよ!」
「何で俺がてめーと仲良くしなきゃいけないんだよっ!
眠りの邪魔だ!(しっしっ)」
「何スか、それ!!酷すぎますよ!!!」
三上と藤代は、終わること無い不毛な会話をしていた。
「ちょっと後ろ!うるさい!!!」
「すみません。」
「けっ。」
(((((((お見事です、 マネージャ―様)))))))
の一声で、二人の不毛な会話に終わりが告げた。
他の部員は、やっと寝られると思い心から に感謝した。
そしてバスは動き出した。
3日前、武蔵森を出発したときにはバスの中は部員の話し声で五月蝿いほど賑やかだったのに
今では、普段では見られない可愛い寝顔でスヤスヤと眠っている。
規則的な寝息もあれば、イビキをかいたりするものもいれば、ゴニョゴニョと
寝言を言うものもいた。
普段憎らしいヤツもいるのに、静かなら可愛いのにっと後ろにズラっと並ぶ
シートを見て は微笑した。
しかし、一人程皆と違う行動をとっていたヤツがいた。
「よ〜、 。」
「三上起きてたの?」
先ほどまで、大声で寝ると隣りに座っている藤代やこのバスに乗っている皆に宣言している
のに関わらず、三上は起きていた。
自分の席から離れ、 が座っている席へと来た。
「ああ、他のヤツらとは鍛え方が違うんだよ。
あんぐらいで、ヘコたれねーって。」
「っといいつつ目の下が黒い三上クンでした。」
は三上のタレ目の下の黒く窪んだ所を笑いながら指差した。
「うるせぇ!そんなん見んじゃねー!」
ガタン
「ぅおっ!」
いきなりガタンとバスが大きく揺れた。
三上は、座らずシートとシートの間の通路に立っていたので揺れの被害者となった。
がくっとまるで強い力に押された感覚だった。三上は、転ばないように
手すりを思いっきり押される力に反抗するように揺れに耐えた。
日頃から鍛えられたサッカーのおかげで、転ばないですんだ。
「大丈夫、三上!?」
いつもは綺麗なU字の眉毛が、今では、逆U字になっている。
三上を本気で心配したように思われる。
「あぁ、何とかな。」
体勢を立て直しながら三上はいつもの余裕の笑みを に向けた。
「なぁ、アイツうるせーから俺を此処にいさせろ。」
「アイツって?」
「バカ代。」
「え、でも藤代くん起きてるんじゃない?」
「これが寝てるんだよ、見てみろよ。」
組んでた腕を片方だけ上げて親指をずっと後ろのシートの方で大イビキをかいている
藤代を指した。
イビキをかいている藤代本人は気持ちよさそうに眠っているが、
周りにいる部員達は苦しそうな寝顔になっていた。
その姿を見て、 はプっと思わず笑ってしまった。
「な、だからいいだろ。」
「うん、いいよ。座って座って。」
は、窓側に寄った。
その空いた隣りに三上が座った。
「オイ。」
「何?」
「もうちょっと向こういけよ、狭ぇ。」
「これ以上いかないよ。」
「ケツでけーんだよっ!」
「んなっ!失礼なっっっ!!!」
「そういえばさ、向こうのサッカー部強かったね。」
「あぁ、たしかにそうだったな。」
は、遠征に行ったときの向こうの相手チームを思い出した。
相手チームは、ディフェンスもフォワードもミッドフィルダーも
武蔵森と同じぐらいの強さだった。
いくら武蔵森が強いからといって、相手は全国へ毎年行くほどの実力を持っている。
そう簡単には勝たせてくれなかった。
結果、1勝2敗だったが武蔵森の部員たちは何かを得たに違いない。
そうやって三上と は、話しまくった。
「オイ。」
コックリ コックリ
「オイ!」
コックリ コックリ
「起きろっっっ!!!!バカっっっっ!!!」
「はいっっっっ!!!!!」
「・・・え?」
「やっと起きたか。」
周りをキョロキョロ見回す を見て、三上はため息をついた。
食べるときの2倍の口を開け、 は大きな欠伸をした。
目は、あいかわらずしょぼしょぼしている。
「ごめん・・・寝てたね。」
「後、30分ぐらいで着くらしいぜ。」
つい数分前に運転手が言っていたことを三上は に伝えた。
バスの中に設置している時計を見ると、遠征プリントに書かれている時刻と
ほぼ変わらなかった。
部員もぽつりぽつりと起きはじめている人がいた。
「やっと着くんだね。」
「早く外の空気吸いてぇな。」
「窓開けようか?」
「お、悪ぃ。頼む。」
バスの窓を開けるためにつけられているつまみに力を入れ
5センチ程開けた。
外の清々しい風が、密閉状態のバスの中に入りこんでいった。
風が入るだけで少し気分が違った。
「やっぱり外の空気はいいな。」
「そうだね。」
外の風にあてられて三上はご機嫌だった。
こと
「あ?」
ふいに三上の肩に何かがのっかってきた。
見ると、 が三上の肩を枕がわりにして寝ていたのだ。
さっきまで起きていたのに、何て寝つきの早いヤツだと三上は心の中で
思った。
しかも規則的な寝息まで聴こえる。
三上は、それを黙って見つめていた。
ふと冷房が効いているのに は半袖だったのに三上は気づいた。
そして自分が羽織っているウインドブレーカーの上着を脱いで
にかけてやった。
「ったく、面倒なヤツ。でも、俺が此処までやるのは
お前だけだからな、 。」
三上は、寝ている に向かって言った。
もちろん、 は寝ているため返事はない。
そして武蔵野森まで着くまで三上は寝ようと思ってもう一度目を閉じた。
君が好きだから
君のためなら 何でもしたいんだ
君よ気づいてくれ
僕のこの気持ちに
コメント
雨:久しぶり、三上先輩ドリーム!
三:俺こんなに奥手じゃねーよ。
雨:(シカト)今度から、何をネタにドリームができたかを
説明します。今回のは、6月に総文の帰りもバスだったので、
それをネタにしました。
三:お前、俺のこと無視しやがっただろう。
雨:・・・プーン
三:いっぺん逝きやがれ(怒)