誰にだって生きるうえで支えが有ると思う。
家族、友達、仕事仲間、近所、ペット、場所。
それはきっと人それぞれ違うと思う。
誰にだってそれが有るのが当たり前なら、あたしにだってあってもいいよね?
オルガ、クロト、シャニ
ア イ デ ン テ ィ テ ィ
アタシニダッテアッテモイイヨネ?
此処は控え室。
先程から、 とネオが向き合ったまま静止している。
静止しているのはネオだけであって、 の怒りは渦を巻いてネオを絡んでいた。
「何で、止めたの?」
「そりゃあ、どっちかって云えば落としていた方がいいよ。
だけど、他にMSが来たらヤバいし、三機が時間がかかったのはザフトのあの新型と他のMS。
僕のを出しても数的には不利だろ?相手は未知数だ。それに、これで作戦は終わりじゃないんだからさ。」
「……そうね。」
「それに、グラシアラボラスだって完全装備じゃないしさ。」
「ヘルンズだってば」
「いいじゃん、どっちでも。」
「…で、どうなの?」
「まあ、上々って処。でも、もうしばらく時間はかかるよ。」
「無論よ、宜しく。」
久しぶりにMSを扱うというのは結構疲労するものだ。
しかし、速度も攻撃も総て の理想通りだった。
なのに、後少しでザフト軍の者たちを亡き者にできたというのにネオに撤収するように云われた。
「………はあ、気持ちいい…。」
コックを捻ると全身に暖かい御湯が降ってきた。そのときネオとの先程の会話も一緒に降ってきた。
たしかに頭を冷やしてみると自分はあのときは感情で動いていた。
ネオはそれを言葉にしないけれどネオも馬鹿ではない、それは分かっている。
だからあえて云わずに、作戦を重視するように言葉を選んだ。
でも別に罪悪感なんて微塵にも感じない。
あのMSもあの艦も落としたいと思ったいたのは事実。
此処で躓いているようでは、オルガたちの仇なんてとれるわけがない。
きっと敵は巨大でこの上なく強いから。
それならば、もっともっと実戦を積んで更に強くならなければならない。
たとえ、それが自分の足元にも及ばない実力の者だとしても。
「あたしの邪魔をするヤツは、全部全部潰してやる。」
嬉しさと悔しさとの狭間を は確実に噛み締めていた。
が向ける視線は白い大理石の壁の向こう、遥か遠くを見ていた。
テキパキと汗を流し、拭き取り、専属の服に着替えた。
ブルーコスモスにもそろそろ帰って今回の作戦について報告しなければならない、
そしてこれからの指示を仰ぎ、己も考えなければならない。
今から自分がすることを頭の中で整理整頓した。
向かう先は、ネオのいるコックピット。
まず自分がしなければならないことは、現状の把握と結果を穴の無いように知らなければならない。
「ねえ、ネ――――――――――――――――――――――――――――
「ラボは本気で使えると思っているのでしょうかね?」
「それでも、前のよりはだいぶましだろ?コッチの云うことや仕事をちゃんと理解してできるだけ」
『・・・僕たちだって、生きていたいよ。だけどよぉ・・・。』
『ずっとさ、黙ってたんだけど、俺たち薬ナシじゃ生きていけないんだよ。
頭じゃ否定してるけど、身体は常に求めているんだ。』
『例えこの戦争に勝ったとしても、オッサンに用済みって云われて消されるだろうし。』
『結局俺たちは死ぬんだ。』
消耗品と云われた彼らは、生体CPUと戦うだけのパーツになっても、たしかに『生きたい』と心の中で祈っていたのだ。
薬漬けにされても
化け物扱いされても
只、純粋に願っていたのだ。
「ふざけんじゃないわよ!!前のより使えるですって!!!?
アイツ等も……スティングもアウルもステラも道具じゃない!!!
同じ人間、生きているのよ!!!!それを、お前等はどうしてこういつもいつも!!!!」
「………極度に興奮しているね、落ち着かないと駄目だよ。
お前たちちょっと押さえておいてくれないか、鎮静剤を打つから。」
「了解。」
「ちょっ……!!?何!!?」
「暴れないでね、 。じゃないと、痛いままだよ……?」
誰かがあたしに触れること
誰かがあたしを見ること
誰かがあたしに耳に音を入れること
「いやっ、やだ触らないで!!!」
何もかも全部全部厭だ。
『ヨク聴イテネ、 。』
『モウ、怖ガルコトハナイヨ。僕ハ君ヲ助ケニ来タンダヨ。』
『君ハネ――――――――――――――――――――――――――
吐き気がする。
「いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「何かあったの?」
「いや、アウル何でもないよ。」
アウルの目には、ぐったり壁にもたれかかった が映った。
はアウルに気づかず、目を開こうとも、動こうともしなかった。
否、できなかった。
「コイツどーしちゃったわけ?」
「あー、疲れて寝ちゃったみたい。」
「こんな処で寝るなんて変なヤツ。」
「そうだ、アウル頼みが有るんだ。」
「ネオのボケ。何で僕がこの女部屋に運ばないといけないんだよ!!!」
ネオの頼みとはこうだ。
を部屋に連れて行くこと。
簡単に聴こえるが、アウルにとって は苦手というか嫌いな存在だった。
最初見たときは綺麗な女だと思っていたが、口を開けば悪態ばかり。
今では、逢うたびに喧嘩ばかりだ。
ネオの頼み(命令)じゃあ無かったら、こんな女どーなっても構わない。
アウルの歩みは段々と荒くなっていった。
「しかも、『君たちは特に仲が悪いからねえ。交流交流。』だって!!?
コイツが勝手につっかかってくるだけじゃねえか!!」
「……んっ……………」
「はあ、呑気なヤツ。こんなんだったらスティング起こせばよかったよ。」
ブツブツと文句をついている内に、 の部屋に辿り着いた。
ネオから予備の部屋の鍵となるカードを借りた。
何故持っているのか?と尋ねたら「子供はまだまだ知らなくていいんだよ」と子供扱いされたので
「ネオとコイツがセックスしているぐらい知ってるよ」とぶっきらぼうに云ってやった。
そのときのネオの反応といったら……!アウルはニシシと静かに笑った。
銀色のカードをセンサーに通したら、ピ!という高音と同時に薄硬いドアが開いた。
を抱っこする体制を立て直し の部屋に入った。
「相変わらず殺風景な部屋。女の部屋かよ、本当に。」
アウルの云う通り、 の部屋はベッドとテーブルとクローゼットなどという生活に必要な
ものだけ。他の物は一つもない。
同じ女でもステラはそんなことはない。
観葉植物とかアクリアウムなどを持ってきて魅入っているし、TVや雑誌では服を見ては「いいなあ」などと呟いている。
御洒落も
服も
靴も
バックも
願望とか
欲求とか
にはその素振さえ本当に、何もない。
そんなことを思いながら、アウルは にベッドに静かに横たわらせた。
相変わらず小さく声を上げることは有るが、起きることはない。
そんなに疲れたのだろうか?自分たちよりはMSも操縦してないのに。
すると、何も無いと思っていた の部屋に白いシンプルな枠の一枚の写真立てをアウルは発見した。
「写真……?好きなヤツの写真でも飾ってんのかよ。」
写真立ては、ベッドの脇に置いてあった。
しかし、立ててはなく地面に伏せていた。見られたくないのだろうか?
ラッキーなことにこの調子だと は絶対起きない。興味本位でアウルは写真立てを手にとった。
今度逢ったときに を黙らしてやろう。
しかし、写真はアウルが思っていたのとは違う光景が写っていた。
男女4人が、パーティーをしているときの写真だった。
はっきり云って、4人とも馬鹿面だった。
しかし、4人とも何処かで見たことがある。
よくよく目を凝らして見ると、写真に写っている人たちはアウル自身よく知っていた人物だった。
「オルガ先輩………、クロト先輩に……シャニ先輩…………………」
アウルたちがガーティ・ルーに配属されるかなり前に何度か逢ったことがあった。
2年前の宇宙での戦いに出た、自分たちとは違う人体強化兵士、生体CPU、
カラミティガンダムのオルガ・サブナック
レイダーのクロト・ブエル
フォビドゥンのシャニ・アンドラス
何度か逢ったことはあったが、写真のように笑顔なんて見たことがなかった。
あるとしたら、シュミレーションのときの狂ったような戦闘。
そして、彼らが愉しいそうに戦闘する顔。
流石にあれには、アウルはゾクゾクとした悦を覚えた。
それが、このようにごく普通の人間のように優しく楽しく笑うなんて……。
そして――――――――――――――――――――――――――――
「…………………… …!!?」
アウルは写真の と今ベッドに寝入る を何度も見比べた。
写真の は今より髪は短く、自分たちと同じ上着を着ている。ちょっとブカブカなのは
きっとシャニのと交換だろう。現にシャニのはおかしいぐらいにピチピチだ。
最も一つ違うのは、写真の は幸せそうに笑っている。
この上ない程、幸せそうに。まるで、其処が楽園かのように。
アウルが知っている限り今まで一度も が笑った顔は見たことさえない。
あったとしても、少しも笑っていない営業用の笑みぐらいなものだ。
はっきり云って、2年間の間にこうも別人に見えるのだろうか?
いや、2年間の間にこうも別人になるのだろうか?
髪は肘の処まで、黒く長く垂らし
黒い瞳は、何も映さないかのように虚ろでそして猟奇的で
身体は細く、虚勢を張っているようで
何処か哀しそうで
「………笑った方が、可愛いじゃん。 。」
アウルはベッドで寝入る を愛しいそうに見やって小さく呟いた。
コメント
な、何か最後の辺りいい感じじゃないですか…!?(気のせい)
白梟さんが単語吐きましたが、もういいや(…)
何か01/02と微妙で『?』と不可解なシィンが所々有ります(…)
物語が進む内に解明されていきます。
新連合は旧連合薬中トリオのことを先輩と呼ぶと信じています。