てっちゃんの俳句



    静けさやまた降り出した春の雨    (2016.3.)

    山寺やストーブ点けて朝の鐘    (2016.1.22.)

    古花瓶の梅活けてのち壊れけり    (2016.1.22)

    初御空岩山に添う觔斗雲(きんとうん)    (2016.1.1)

    (平成28年年賀)



    をちこちに生活(たつき)の音や冬の朝    (2015.12.1)

    大掃除思い出ひとつひとつ捨て    (2015.10.13)

    朝に栗拾う夫婦の小声かな    (2015.10.9)

    新築の槌音高し秋の空    (2015.10.6)

    夏過ぎてサントスグァテマラコロンビア    (2015.11.19)

    ハナバチの羽音うれしき日和かな    (2015.4.25)

    竹山の竹は動かず初蛙    (2015.)

    春浅し鳥に枝をかす老い木かな    (2015. 2. 6)

    沈黙の迷えるひつじ去年今年    (2015. 1. 1)

    (平成27年年賀)



    天高く空やま形に切り取られ    (2014.10.28)

    蟷螂の縮こまって死んでいる    (2014.10.27)

    青空をのこしてひくく秋の蝶    (2014.10.22)

    山影に煙昇りて秋の朝    (2014.10.16)

    老い猫も親恋しがり秋の声    (2014.)

    蝉かるし命は音となって消え    (2014.)

    野分風吹くにまかせて四畳半    (2014.10. 6)

    大阿蘇の達治の馬や去年今年    (2014. 1. 1)

    三好達治の詩を思って (平成26年年賀)



背負うべき荷

自分が背負うべき荷を他人に背負わせてはならない。そのようなことをしても背負ってはくれない。それをわからずにいると、世の中の上平上満をいうだけの人になってしまう。(2012.4.24)



ささやかで、はるかなもの

ヒメネスの「プラテーロと私《の「29 淵《から。


「~ささやかなものでありながら、はるかに遠くに見えるので、~《の言葉が印象に残る。確信と発見。


文章を読むとき、音楽を聴くとき、絵を見るとき、こういうことがいつまでも心に残っているように思う。


夏日に透ける新緑、金色に輝く雲、ピンクでも紫でもない色に染まる雲、朝の空に響くヒヨの声、母が台所仕事をしている物音、庭木を切っている父のしぐさの音、家の前を歩く隣人の足音、庭で日向ぼっこする車いすの女性の口元、もくもくと歩く浮浪者、夕日に照らされる誰もいない部屋。


過去へも未来へも通じる入り口。(2009.5.8)



楽譜は地図

楽譜は宝のありかを示す地図。地図を正しく読めば、宝がどこにあるかわかる。ただし、現実に宝を手につかむためには、現場に行くしかない。つまり実際の音を聴くしかない。 そして現場は、記号で表された地図と現実の状態との照合に常に惑わされる。また宝のありかまで行くための体力、精神力、技術、知恵を身につけなければならない。そしておそらく、インスピレーションと勇気も。(2012.4.5)



雲は孤独だ

雲は孤独だ。流されてやがてちりじりになって消える。自分もそうなるのか。だが雲はあとに青い空を残す。(2012.3.24)



誇り高き演奏

西洋のどこか、広場。霧雨がふっている。人がえりを立てて行き交うなか、どこからかヴァイオリンの音が聞こえてくる。音のする方へ歩いていくと、遠くに小柄なおじいさんがヴァイオリンを弾いているのがみえる。短い白髪で、細かいあたたかみのある織り地のスーツを着ている。ひとはほとんど無視して通り過ぎているが、たまに立ち止まって聞く人もいる。「こんな雨の中で・・・《と思いながら近づいていく。彼は無心に弾いている。そのとき気がついた。彼はぼおっと明るい光につつまれている。驚いたことにそこだけ雨がよけて降っている。なんて品のある演奏だろう。(2011.11.27)