新品種紹介
 

                                                                                   山口県光市   矢野芳春

               新品種登録認定制度は、日本ツバキ協会が、日本で育成されたツバキ、サザンカおよび近縁のツバキ類園芸品種の
                名称を整理し、新品種の名称登録制度を確立するために平成24年4月に制定をしました。

                 ツバキに普及活動の一環として、こうした取り組みに参加をすることで、ツバキに対する愛着や興味を増すことに繋がる
                のではないかと思います。

                私も、この制度に大いに賛成し、積極的に参加をしてきました。平成24年の発足以降平成29年3月までに新花登録は全体
                で50品種にも達しております。その中で私が登録申請をして認定された品種を紹介して行きたいと思います。

日本ツバキ協会新品種登録認定品種  
   

番号

品種名

申請年

表彰場所

審査番号

認定番号

1

芳秋華

2013

沖縄

2013-12

新品種認定12号

2

光の栄

2013

沖縄

2013-13

新品種認定13号

3

芳春白

2015

男鹿(欠席)

2015-01

新品種認定24号

4

故郷の華

2015

男鹿(欠席)

2015-05

新品種認定28号

5

春紅

2016

与謝野

2016-09

新品種認定38号

6

束藤

2016

与謝野

2016-10

新品種認定39号

7

藤公の光

2016

与謝野

2016-12

新品種認定41号

8

初冬絞り

2017

野々市

2017-07

新品種認定50号

9

高台白

2017

野々市

2017-08

新品種認定51号

10

明日の夢

2017

野々市

2017-09

新品種認定52号

 11  紺 春  2017  上五島  2017-18  新品種認定61号
 12  白無垢  2018  御殿場  2018-8

新品種認定71号

13  春の光  2019  五島(中止)  2019-  新品種認定83号 
14   富良娘 2020   松江(中止)  2020-7-16 新品種認定88号 
15  弥生絞り  2021   大船渡(中止) 2021-05-19  新品種認定99号 
16  いこい  2022  萩予定  2022-7-5   新品種認定107号
17  星の光  2022  萩予定  2022-7-5   新品種認定108号
                                                                                          H31.4.8
品種:芳秋華(ほうしゅうか) housyuuka
 

特徴としては

①秋咲品種である。②一重  ③中輪

④花弁の先が尖り、先端が外に開くように曲がる
形状である。

⑤園芸品種「桃雀」の種子を数個播種し選抜品で
自然実生として誕生。花付良好

 
 ②品種: 光の栄(ひかりのさかえ) hikarinosakae 
   

特徴としては

①秋咲品種である。②半八重の抱え咲  ③中輪

    花弁が整い、見た目にバランスが良い

   園芸品種「菊月」の自然実生品種で早咲。

  ③品種:芳春白(ほうしゅんはく) houshunhaku
   

特徴としては

①初冬から開花し、初嵐、白玉とよりやや遅く開花。

②一重  ③中輪

   開花時は、抱え咲きで茶花の席でも栄える
⑤  園芸品種「菊月」の自然実生品種で昭和61年
に初花。原木は幹回り40センチメートルまで成長

 ④品種:故郷の華(こきょうのはな) kokyounohana 
   

特徴としては

①3月咲で、花持ちもよく、型崩れしないところがよい。

②赤色の白覆輪・八重咲  ③中輪

④花弁は整然として円形に開花する。

⑤園芸品種「羽衣×玉之浦」交配品種

⑥開花期間は長めである。

 ⑤品種:束藤(つかふじ) tsukafuji  
   

特徴としては

2月から開花し、清楚なラッパ咲。

②赤桃色・一重  ③小~中輪

花付は非常に良い。

 自然実生品種で接ぎ木用台木として育てた
苗木の選抜種

 ⑥品種:春紅(はるくれない) harukurenai 
   

特徴としては

①小輪で花全体が唐子咲となること。

②赤色の唐子咲 ③小輪

    園芸品種「紅妙蓮寺×卜伴」交配品種

 ⑦品種:藤公の光(とうこうのひかり)toukounohikari 
   

特徴としては

①八重咲で深めの白覆輪が安定している。

②赤色に白覆輪 ③中輪 ④蕾はやや丸い⑤早咲

    類似品種については、玉之浦交配種は沢山ありますが、
花形、芯が安定していている点は分類が出来る。

    園芸品種「岩根絞り×玉之浦」交配品種

 ⑧品種:初冬絞り(しょとうしぼり)syotousibori 
 

特徴としては

10月から開花し、椿の開花の走りになっている。

②薄い桃色地に吹きかけ絞り ③中輪・抱え咲 
④蕾はやや丸い⑤早咲

⑥自然実生品種で接ぎ木用の台木として育てた
苗木から選抜。

 
 品種:高台白(こうだいしろ)koudaisiro 
   

特徴としては

11月から開花し、筒芯全体が薄い黄色である。

②蕾時は淡い桃色に見えるが開花すると純白 
③中輪・ラッパ咲 

④蕾はやや丸い⑤早咲

⑥自然実生品種で接ぎ木用の台木として育てた
苗木から選抜。

 

 品種:明日の夢(あしたのゆめ)asitanoyume 
   

特徴としては

①早春咲で、平開咲となるが花弁もしっかりしている。

②桃色の一重 ③小輪・平開咲 ④樹勢がしっかりしている 

園芸品種「夢」の種子を数個播種し育てたものの選抜種

 

 ⑪ 品種: 紺春(こんしゅん)   konsyun
   特徴として
①春咲き品種である。
②一重・濃紅色
③小輪
④花全体に対して、大きな雄芯が特徴
⑤咲き方は平開咲で輪芯
 ⑫ 品種:白無垢  (しろむく)  siromuku
   特徴として
①羽衣×ミセス・DW・デービスとの交配品種
②3月後半ごろ開花
③白色・八重大輪
④開花が進むにつれて外側が広がり、より大輪に見える
⑤花付きは非常に良い
⑥樹勢は旺盛
⑬ 品種:春の光  (はるのひかり)  harunohikari 
  特徴として
①赤色一重で筒からラッパ咲の小輪
②先細りしべである
③3月咲で、多くのツバキが開花する時期に目立つ花
④花色は赤ですが、白の雲状絞り花が多く出る
⑤接ぎ木の台木育成のため播種し育てた中から選抜 
⑭ 品種:富良娘 (ふらむすめ)   furamusume
  特徴として
①1月中旬から開花し薄黄色の花色が特徴
②薄黄色で一重に近い八重ラッパ咲
③開花が進んでいくと花弁中央に薄い桃色の縦絞りが入る
④樹はきわめて強健で育てやすい
⑤育成経過として、2006年3月ごろ白八重ツバキ
 (実生品種)と交配し、育種。以降8年経過初花。 
⑮ 品種:弥生絞り  (やよいしぼり)  yayoisibori
  園芸品種羽衣の実生品種
特徴として
①紅色時に赤の縦絞りが入るのか特徴
②3月咲で中輪の八重咲整った円形の花
③花持ちも良い
④羽衣の系統から葉の形状などに特徴がある。 
⑯品種:いこい  (いこい)   ikoi
  園芸品種「菊月」の実生品種
特徴として
①うっすらとピンク系で白色で宝珠咲から八重咲中輪
②1月咲で宝珠咲から八重で目立つ花
③菊月の実生で早咲の傾向は受け継いでいる
④葉の表面の光沢は少ない 
⑤平成6年播種、5年後初花、その後鉢で育種
⑰ 品種:星の光 (ほしのひかり)  hoshinohikari 
  園芸品種「羽衣」の実生品種
特徴として
①5枚の花弁が細く尖り、星のイメージで開花
②薄い桃色花の小輪で3月上旬から開花
③平成10年に播種し、6年後に初花
④小輪で星のような花が見事に咲く姿は見ごたえあり。 

           以上17種を紹介しましたが、目的をもって交配したものでも納得のいかないような花形だったり木姿であったりします。しかし
           、自然に結実したものでも、十分に観賞価値のあるものも出てきます。

          ツバキの実生(新花の作出)は播種して発芽し、それから早くて3年、遅ければ10年近く開花までかかります。花が咲いても、
          その花の良否を判断し、花が安定するまでにも時間が必要であります。気長に待つことも大事であろうと思います。

          日本ツバキ協会が新種の取り組みに着手され、椿愛好家もこの取り組みに賛同し多くの新種が後世に残っていくようになれば
          素晴らしいことと思います。

          私もこれから新しい花に出会えることを楽しみにしながらツバキの実生を続けようと思っています。

                                                                                                                      以上